ご注文はうさぎですか?―ラビットハウスの看板姉弟―   作:テクト

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第11羽後編です。
大変っっっ!長らくっっっ!お待たせしましたっっっ!


少女は赤い外套を纏いウサギを駆りて聖夜の空を行くー3

ラビットハウス史上最も繁盛したといえる時間は終わり、閉店となった。

客がいなくなったホールでは、働いていた雪兎たちは私服に着替えて10人が集まっていた。

 

「今日は働いたね~」

 

「もうくたくたよー」

 

「でも、なんか楽しかったな」

 

「やり切ったって感じよね~」

 

「今日は、私とタカヒロさんでお料理を出すので、楽しんでくださいね」

 

「「「「「「「「「はーい!」」」」」」」」」

 

「あ、僕も手伝いに――」

 

青山の言葉に全員が返事する中、雪兎は料理の手伝いを提案するが、青山が言葉を遮る。

 

「雪兎くんはキッチンに立ち入り禁止と、タカヒロさんに言われてますので入っちゃだめですよ~」

 

「えっ」

 

青山は雪兎にキッチン入らないように釘を刺すと、キッチンの方へと戻っていった。

 

「こういう時ぐらい、親父さんに任せろよ」

 

「そうそう、何でもかんでも手伝ったり、断ったりしないのは雪兎くんの悪いところだよ」

 

友達二人の指摘に、雪兎は思わず言葉を詰まらせてしまう。

 

「チノちゃん、雪兎くん、乾杯の挨拶して」

 

「え…、あ…」

 

ココアに乾杯の挨拶を頼まれて、チノは戸惑うが、みんなは期待の目でチノを見ている。

困惑しているチノが雪兎の方を見ると、雪兎は笑って見せる。

 

「「お疲れさまでした。乾杯」」

 

「「「「「「「「乾杯!メリークリスマス!」」」」」」」」

 

子どもたちがホールで盛り上がる中、キッチンではタカヒロと青山が料理を作っていた。

 

「はぁ~」

 

青山がターキーの乗った皿を手に取ると、魅了された瞳でターキーを見つめる。

 

「それ運び終わったら、青山くんも参加してきなさい」

 

「いえ!お料理と目を合わせなければ大丈夫です!」

 

「ん?」

 

青山にパーティーに参加するようにタカヒロは促すが、青山はターキーの魅力にそれどころではないようだ。

 

「すっごーい!」

 

ホールのテーブルに並んだご馳走を見てココアが声を上げる。

 

「美味しそー!」

 

「すごいご馳走…。夢じゃないわよね」

 

「ピザにサンドイッチ、ターキー…。ここってレストランじゃなくて喫茶店だよな?」

 

「よしっ!ターキーを解体するか!」

 

刃物の扱いに自身のあるリゼが、懐からナイフを取り出す。

 

「うちの小麦色の誘惑は、特別な隠し味を使っているのよ」

 

「甘兎庵ではターキーにもそんな名前が付いてるんですか」

 

ターキーは甘兎庵で出しているものを千夜が用意したようだ。

 

(頑張った皆さんに飲み物を作りましょう)

 

カウンターでは青山とティッピーが、パーティの様子を見ていた。

 

「ねぇねぇ。交換したプレゼント、もう開けてもいい?」

 

「みんなで一斉に開けましょう」

 

「せーのっ!」

 

「わ~!美味しそうなクッキー!」

 

「うさ耳パーカー!似合うかな?私に」

 

「わー!?あの怖いうさぎだ!」

 

「…市松人形?」

 

女子たちが交換したプレゼントを開けて盛り上がっている横で、男子たちもプレゼントを開け始める。

 

「俺らも開けるか」

 

「そうだね」

 

「お、シューズ用品とケース!サンキュー二人とも!」

 

「最近、話題の文庫本にハードカバーの小説!二人ともありがとう!」

 

「これは、模型用のニッパーに、自転車の整備道具。ありがとう!欲しかったんだこれ!」

 

「お前らは、あらかじめ上げるものを決めてたのか」

 

ワイワイと盛り上がっている子どもたちを、カウンターで見ている青山とティッピー。

 

「…こんなに賑やかなラビットハウスは初めてじゃ」

 

「はっ!?マスターの声がはっきり聞こえます。…これが、奇跡の夜っ!」

 

ティッピーが思わず声を漏らすと、マスターの声が聞こえたことに感激する青山であった。

 

―――――――――――――――――

 

クリスマスパーティはお開きとなり、解散となったラビットハウス。

すっかり夜は更けて、雪が降る町の灯りは消えてイルミネーションだけが煌々と光を放つ。

そんな夜中、ラビットハウスの廊下を歩く人影が一つあった。

 

(お楽しみはここからだよ!)

 

その人物はサンタに扮したココアだった。

足音を立てないように、ゆっくりとした足取りで香風姉弟の部屋の方へと向かう。

 

(枕元にプレゼントを置かなくちゃ。お姉ちゃんとして!チノちゃん、サンタさんに絶対来て欲しがってたもん)

 

寝る前のチノの様子を思い出すココア。

 

『靴下は万が一のためです』

 

万が一と言いながらも、しっかりと靴下を用意してるチノを扉から覗いているココア。

 

(雪兎くんの方は、信じてないみたいだけど。私からプレゼントもらえるとは思ってないだろうし、驚いてくれるかな)

 

『靴下?父さんがプレゼントくれるんだから別に要らないでしょ』

 

『そういうな。雰囲気を楽しむのも大事だぞ』

 

一方、雪兎の方はサンタが父親だと知っているようで、靴下を用意していなかったが、タカヒロに渡されているのをココアは見ていた。

ココアはまず、雪兎の部屋にこっそりと入る。

既に灯りは消えており、ベッドで寝ている雪兎は頭まで布団を被っていて顔は見えない。

ココアは起きていないか少し身構えるが、布団が規則正しく小さく上下に動いているのを確認する。

寝ていると判断したココアはベッドに近づくと、音を立てないよう靴下の中にプレゼントを入れる。

 

(メリークリスマス♪)

 

心の中でメリークリスマスと声を掛けると、雪兎の部屋を後にする。

雪兎の部屋を出たココアは、チノの部屋へと向かう。

チノはベッドで寝息を立てており、一目で寝ていることが分かる。

ココアはチノを起こさないように忍び足で歩き、ベッドに近づく。

 

「ふふっ♪」

 

父親以外からのプレゼントに驚くであろうチノの姿を思い浮かべてココアは小さく笑う。

その様子で扉の外で覗いている人物がいた。

 

(ココアくんも、同じ考えだったようだね)

 

姉弟の父親、タカヒロは優しくココアを見ていた。

 

―――――――――――――――――

 

雪は降り止み、雪化粧で白く染まった町に朝日が降り注ぐ。

チノが目を覚ますと、目の前にはプレゼントでぱんぱんに膨らんだ靴下があった。

 

「…あっ!ぱんぱん!」

 

チノは体を起こすと、大急ぎで靴下からプレゼントを取り出し、包装を開ける。

 

「わぁ!私が欲しかった立体パズルと、可愛いオルゴール!…それとココアさん!?」

 

何故か、サンタの恰好をしたココアがベッドの縁に寄りかかって寝ていることに驚くチノ。

ココアがサンタの恰好をして自分の部屋で寝ていることで、あることにチノが気づく。

頼んでいないはずのオルゴールが誰からのプレゼントかということを。

 

「すぅ…、すぅ…。…メリークリスマス…」

 

チノは笑うと、プレゼントを持ってココアを起こさないように部屋から出ていくと、雪兎を起こしに向かう。

 

「雪兎、朝だよ」

 

雪兎の部屋は相変わらず暗いままで、起きている様子がない。

 

「あっ」

 

チノがベッドに近づくと、棚の上にぱんぱんになった靴下に気づく。

こちらも、チノの靴下と同じようにぱんぱんなっているが、妙に平べったい。

そして、入らなかったのかもう一つのプレゼントは大きな箱に入っていた。

 

「雪兎、起きて。プレゼントもあるよ」

 

「…んぅ~?」

 

珍しく、雪兎はすぐに体を起こす。

 

「あ。…2個?」

 

「今年のサンタさんは二人来たみたい」

 

「…そっか」

 

雪兎はすぐに合点がいったのか納得したような返事をする。

 

「開けてみてよ」

 

「そうだね」

 

眠そうな目をこすって雪兎は頭を働かせると、包装を丁寧に外してプレゼントを開ける。

 

「あ、新しい調理セット!…それに、レシピ本?」

 

調理セットは父親に頼んでいたものだが、レシピ本については心当たりがない。

 

(…欲しかったって言ったっけ?)

 

レシピ本は、友達と本屋に行った際に欲しいと言った覚えがあるが、ココアとの買い物で言った覚えがない。

 

(二人に聞いたのかな)

 

ココアの事だから、二人に相談したといえば納得がいく。

 

「準備しようか」

 

「うん」

 

雪兎はチノと共に、プレゼントを持って開店の準備に向かった。

 

―――――――――――――――――

 

開店準備を終えた二人は、プレゼントをカウンター席に置いて、食器を洗っていた。

カウンター席ではメリーゴーランド型のオルゴールが音を出している。

 

「おはよう」

 

リゼが扉を開けると同時に、挨拶を掛ける。

 

「「おはようございます」」

 

「お、それって」

 

リゼがカウンター席のオルゴールに気づく。

 

「今年のサンタさんは二人来たみたいです」

 

(おじさんとココアか)

 

「一人はおっちょこちょいだったみたいですけどね」

 

リゼはオルゴールを買うところを見ていたので、すぐに納得する。

 

「雪兎は何を貰ったんだ?」

 

「僕は新しい調理セットとレシピ本です」

 

「ずいぶんと実用的だな…。男子はそういうものがいいのか?」

 

「そうですね。リクとカケルともあらかじめ欲しいもの伝え合ってましたし」

 

「それ、楽しみが薄れないか?」

 

「使わない物よりはいいかと思いますけど」

 

サプライズの交換会だった女子のプレゼント交換に対して、男子は互いに欲しいものを交換していた。

リゼは少し、男子の感性に疑問を抱いてしまう。

 

「大変だー!」

 

突然、カウンター横の扉の方から叫び声と共に走る足音が聞こえてくると、扉からパジャマでサンタの恰好をしたココアが、プレゼントらしき箱を抱えて飛び出してくる。

 

「おお起きたら私の部屋にプレゼントでサンタさんがーっ!?」

 

「お前が驚いてどうする!?」

 

「本当におっちょこちょいです」

 

「あはは。全く持って」

 

「え?な、何の話?」

 

「「おっちょこちょいのサンタクロースです」」

 

ココアの驚きように、声を合わせて呆れる香風姉弟だった。




クリスマスパーティとサプライズプレゼント編でした。
えー、ほんとに全くネタが思い浮かばず、めちゃくちゃ苦労しました…。
これがスランプか…。

女子組が各々用意して交換って感じだったので、男子組はあらかじめ欲しものを言い合ってそれぞれが用意するという形で対比を取ることにしました。

さて、1期編は残り1話となりました。
スランプが酷いので気長に待っていただけると幸いです。
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