001
商業区の中でも外壁に近く、観光区からも職人区からも離れた場所。公的機関の目が届かない完全な裏世界。大都市の闇。昼間だというのに何故か薄暗く、道行く人々もどこか陰気な雰囲気を放っている。そんな場所の一角にある七階建ての大きな建物、表向きは人材派遣を商いとしているが、裏では人身売買の総元締をしている裏組織《フリートホーフ》の本拠地である。いつもは、静かで不気味な雰囲気を放っているフリートホーフの本拠地だが、今は、騒然とした雰囲気で激しく人が出入りしていた。
伝令などに使われている下っ端であろうチンピラ風の男達の表情は、訳のわからない事態に困惑と焦燥、そして恐怖に歪んでいた。
そんな普段の数十倍の激しい出入りの中、どさくさに紛れるように頭までスッポリとローブを纏った者が一人、フリートホーフの本拠地に難なく侵入した。バタバタと慌ただしく走り回る人ごみをスイスイと避けながら進み、遂には最上階のとある部屋の前に立つ。その扉からは男の野太い怒鳴り声が廊下まで漏れ出していた。
「ふざんけてんじゃねぇぞ! アァ!? てめぇ、もう一度言ってみやがれ!」
「ひぃ! で、ですから、潰されたアジトは既に五十軒を超えました。襲ってきてるのは二人組と一人です!」
「じゃあ、何か? たった三人のクソ共にフリートホーフがいいように殺られてるってのか? あぁ?」
「そ、そうなりまッへぶ!?」
室内で、怒鳴り声が止んだかと思うと、何かがぶつかる音がして一瞬静かになる。どうやら報告していた男が、怒鳴っていた男に殴り倒されでもしたようだ。
「てめぇら、何としてでもそのクソ共を生きて俺の前に連れて来い。生きてさえいりゃあいい。このままじゃフリートホーフのメンツは丸潰れだ。そいつらに生きたまま地獄を見せて、見せしめにする必要がある。連れてきたヤツには五百万ルタを即金で出してやる! 一人につき、だ! 全ての構成員に伝えろ!」
男の号令と共に、室内が慌ただしくなる。男の指示通り、組織の構成員全員に伝令するため部屋から出ていこうというのだろう。耳をそばだてていた、フードを着ていた者は、空気を切り裂くような音をそこらじゅうから鳴らした。
そして、室内の人間がドアノブに手をかけた瞬間に、壁から柱へ床へと、格子状に切れ目が走った。
男達の脚力に、支えを失った床が耐えられるわけもなく、轟音を轟かせながら、七階建ての大きな建物は人と瓦礫の山へと変貌した。
「あーもぅ、残り幾つよ……」
今しがた起きた惨劇の主犯は、園部優花だ。街で仕入れた上質な弦を使った弦操術により、建物を攻撃したのだ。
「まちなそこの女ぁ! テメェどこに喧嘩売ってんのかわかってんのか!」
「知らないっての」
ヒュン、と、たった一度の音がなるだけで、優花を囲った男達は首を捻って倒れる。
「もうやだお腹すいたー!!」
優花の嘆きを聞くものはおらず、瓦礫の山から男達の呻きが聞こえるばかり。
002
宿で襲撃を受けた彩織とカインは、愛子とミュウを背に防衛戦を強いられたのち、二人を冒険者ギルドに預けてから、オークションに関わる組織と人間の殲滅を開始した。
途中で優花と合流して、三人がかりで五十軒近く、人数にして千五百人程度を殲滅した。
しかし、そこで問題発生。冒険者ギルドがフリートホーフに襲撃を受け、愛子とミュウをすんなりと明け渡してしまったのだ。自由時間を優花と行動していたクラスメイトが彩織のもとに駆けつけて伝えると、すぐに彩織とカインは標的に冒険者を追加した。
悪党冒険者協力者区別なく、生ける血肉の海に沈められていった。
虱潰し、片っ端から人間を沈めていくうち、二人の目的地と呼べる場所に到着した。
そこの入り口には、二人の黒服に身を包んだ巨漢が待ち構えていた。
「カイン、静かに」
「ん」
気配を絶ち隠れながら、彩織の指示にカインは頷く。
(重操術、超初歩。音無)
刹那と比べれば酷く拙い重操術。しかし効果は絶大。カインは砂一つ鳴らさずに男達を卒倒させた。
男達を放置して、二人は正面から侵入した。
やがて、地下深くに無数の牢獄を見つけた。入口に監視が一人おり居眠りをしている。その監視の前を素通りして行くと、中には、人間の子供達が十人ほどいて、冷たい石畳の上で身を寄せ合って蹲っていた。十中八九、今日のオークションで売りに出される子供達だろう。
基本的に、人間族のほとんどは聖教教会の信者であることから、そのような人間を奴隷や売り物にすることは禁じられている。人間族でもそのような売買の対象となるのは犯罪者だけだ。彼等は、神を裏切った者として、奴隷扱いや売り物とすることが許されるのである。そして、眼前で震えている子供達が、そろってそのような境遇に落とされべき犯罪者とは到底思えない。そもそも、正規の手続きで奴隷にされる人間は表のオークションに出されるのだ。ここにいる時点で、違法に捕らえられ、売り物にされていることは確定だろう。
彩織が、怯える子供達静かな声音で尋ねた。
「海人族の女の子はどこにいますか?」
てっきり、自分達の順番だと怯えていた子供達は、予想外の質問に戸惑ったように顔を見合わせる。
すぐにほとんどが首を横に振るなか、一人が手錠を鳴らしながら彩織の前に出てきた。誰かと思えば、その子は愛子であった。
「ミュウちゃんは先ほど連れて行かれてしまいました! 私のことはいいので急いでください!!」
愛子の大声は、薄暗い地下牢によく響き渡った。慌てて口を抑える愛子だったが、監視にはばっちり聞こえていたようで「何騒いでんだ!」と目を覚ましてドタドタと地下牢に入ってきた。
彩織とカインを見つけて一瞬硬直するものの、叫ぶ暇すら与えずカインの拳が男を黙らせる。
音もなく、問答無用で暴力を振るうカインに愛子は今にも説教を始めそうな顔をしているが、自分たちのために行動しているが故に、切り出せない。
「言いたいこと、聞きたいこと。積もる話が幾らでもあるでしょう。しかし今は緊急事態。話は後にしましょう」
「……大丈夫、なんですよね?」
「問題ありませんよ。今の私にはカインに優花、それに愛子もいるのですから」
「へ? 私も、ですか?」
「私たちチームは守り合い慰め合い舐め合いの集団です。では、いってきます」
彩織は愛子に背を見せて先に進もうとしたが、カインに止められた。
「彩織、お前はここにいろ」
「……ハァ?」
「ハァってなんだよハァって! 別に邪魔だっつってんじゃねえ、ここでガキども守ってろっつってんだ」
「守るならカインの方が向いています。私がミュウを救いにいってきますよ」
「お前は救出に向いてねぇっつってんだ言わなきゃ分かんねえか!」
愛子の前で、夫婦喧嘩が勃発してしまった。どうしよう、私に何ができるんだろうと慌てていると――
「何騒いでんだ!」
「「うっさい!!」」
騒ぎを聞きつけた男が地下牢に飛び込んで来るが、速攻で拳二つ顔面に減り込み倒れた。
「カイン! 速攻でミュウを救出しなさい!! 私は、ここを中心に殲滅します」
「オーキードーキー! まかせろ! くっははは!!」
あっと言う間もなく喧嘩は終わり、カインは上階へ消えていった。
「さあ、ここを出ますよ。あなた達を餌に、この街の悪党を全滅させます」
彩織はガチャガチャと鉄格子の扉を触った後、鍵を破壊してこじ開けた。怯える子供達を無視して、愛子の手錠を繋ぐ細い鎖を引きちぎる
003
オークション会場は、一種異様な雰囲気に包まれていた。
会場の客はおよそ百人ほど。その誰もが奇妙な仮面をつけており、物音一つ立てずに、ただ目当ての商品が出てくるたびに番号札を静かに上げるのだ。素性をバラしたくないがために、声を出すことも躊躇われるのだろう。
そんな細心の注意を払っているはずの彼等ですら、その商品が出てきた瞬間、思わず驚愕の声を漏らした。
出てきたのは二メートル四方の水槽に入れられた海人族の幼女、ミュウ。衣服は剥ぎ取られ裸で入れられており、水槽の隅で膝を抱えて縮こまっている。海人族は水中でも呼吸出来るので、本物の海人族であると証明するために入れられているのだろう。
一度逃げ出したせいか、今度は手足に金属製の枷をはめられている。愛子と同じものだ。
多くの視線に晒され怯えるミュウを尻目に競りは進んでいく。ものすごい勢いで値段が上がっていくようだ。一度は人目に付いたというのに、彼等は海人族を買って隠し通せると思っているのだろうか。もしかすると、昼間の騒ぎをまだ知らないのかもしれない。
ざわつく会場に、ますます縮こまるミュウ。かろうじて泣き出さないのは、いまだ半信半疑であるがカインと彩織がこの街にいるからだろう。共に捕まった女の子も優しい人だったし、きっと、きっと……。
「お兄ちゃん……お姉ちゃん……」
ミュウがそう呟いたとき、不意に大きな音と共に水槽に衝撃が走った。「ひぅ!」と怯えたように眉を八の字にして周囲を見渡すミュウ。すると、すぐ近くにタキシードを着て仮面をつけた男が、しきりに何か怒鳴りつけながら水槽を蹴っているようだと気が付く。
値段を釣り上げるために泳ぐ姿でも客に見せたかったらしく、一向に動かないミュウに痺れを切らして水槽を蹴り飛ばしているらしい。
しかし、ますます怯えるミュウは、むしろ更に縮こまり動かなくなる。
フリートホーフの構成員の一人で裏オークションの司会をしているこの男は、余りに動かないミュウに、もしや病気なのではと疑われて値段を下げられるのを恐れて、係りの人間に棒を持ってこさせた。それで直接突いて動かそうというのだろう。ざわつく客に焦りを浮かべて思わず悪態をつく。
「全く、辛気臭いガキですね。人間様の手を煩わせているんじゃありませんよ。半端者の能無しのごときが!」
そう言って、司会の男が脚立に登り上から棒をミュウ目掛けて突き降ろそうとした。その光景にミュウはギュウと目を瞑り、衝撃に備える。
――が、やってくるはずの衝撃の代わりに届いたのは……聞きたかった人の声だった。
「血生臭えクズが、人間様の血ぃ沸かせてんじゃねえよ。肉踊らせんぞクソ野郎」
天井だった瓦礫を客席に降り注がせながら、顔面刺青の男が飛び降りてきた。ミュウのいる水槽の縁に着地し、脚立に登っていた男に平手打ちをかました。
落下していく男を尻目に、カインはミュウへ手を伸ばす。
「怖い思いさせて悪かったな。助けにきたぞ、ミュウ」
「……お兄ちゃん?」
「おー、そうだとも。彩織も来てんぞ。すぐ会える」
ミュウはカインの手を取り、思いっきり水槽の底を蹴って飛び出した。
「お兄ちゃん!」
着地のことなんて全く考えていない大ジャンプに苦笑いしながら、カインは不安定な足場をものともせず受け止めた。ミュウはカインの腕の中に納まり、ひっぐひっぐと嗚咽を漏らし始める。
妙に慣れた手つきでミュウの頭を撫でるカイン。そこに水を刺すように、ドタドタと黒服を着た男達がカインとミュウを取り囲んだ。
「クソガキ、フリートホーフに手を出すとは相当頭が悪いようだな。その商品を置いていくなら、苦しまずに殺してや――
二十人近くの屈強そうな男達だったが、なんの前触れもなく突如倒れた。
「ナイスタイミングだ、バカ弟子」
「あぁん? なに師匠、アホみたいな命令しといて、ありがとうの一言も言えないわけ?」
優花が不機嫌な様子で弦を回収しており、ミュウは子供ながらに彼女の苦労を察した。
「……や、悪かったよ。緊急事態だったんだ、許せ」
「許せって、そんな……ちょっとその子、裸じゃない! 早く服着せてあげなさいよバカ師匠!」
そう言いながら、優花はカインからミュウを受け取り、上着で包んでやる。
「お姉ちゃん、だれ……?」
「私は園部優花。そこのイレズミマンの弟子よ」
「でし……弟子? 彩織お姉ちゃんは?」
「誰がイレズミマンだ誰が! ……彩織は俺の恋人だ」
「……ふ〜ん」
「なんだその意味ありげな『ふ〜ん』は」
「「ふ〜ん」」
「増えるな!」
客席からの呻き声を無視して騒ぐ三人の元に、愛子や子供達を連れた彩織がやって来た。
「楽しそうですね。カイン、優花、ミュウ」
「彩織お姉ちゃん!」
「あっ、ちょっ!」
ミュウが優花の腕から飛び抜け、彩織に抱きついた。
「……よく頑張りましたね。危険な目に合わせてしまい、申し訳ありません」
愛子にしたのと同じように、彩織はミュウの手錠を引きちぎった。
「ねえ、なんで彩織さん、平然と鉄引きちぎってんの?」
「知らん。あいつはマジの弦操術用の糸、《アクタガワ》でも引きちぎるぞ。……憧れんなよ。どうしようもねぇから」
「それはないっての。私が目指すのは怪物じゃなくて料理人」
「料理人は人を糸で気絶させたりさせません! 祈和君なにを教えてるんですか!」
「護身術。どっかのメイド長曰く、店やるなら全人類と戦争できる程度に強くなきゃいかんらしいぜ」
「……祈和君、なんで高校生してるんですか?」
「知らん」
004
「壊滅した建物百十一棟、消滅した建物八十八棟、半壊した建物四十四棟。再起不能なフリートホーフ構成員その他犯罪者……、ざっくり悪人全員再起不能、冒険者の行方不明者五十五名。……で、何か言い訳はあるかい?」
「治安維持に全力で貢献しました。恥じるところは一片たりともありませんよ」
「全部ゾロ目で揃えろって師匠が」
「ミュウのためにやった」
「はぁ~~~~~~~~~」
半壊状態の冒険者ギルドの応接室で、報告書片手にジト目で三人を睨む、フューレンのギルド長、イルワ。三人に並んで座っている愛子が、同じく三人を睨む。
しかし、カインが膝の上に載せたミュウに茶菓子を食べさせている様子に脱力する。
「まぁ、やりすぎ感は否めないけど、私達も裏組織に関しては手を焼いていたからね……。行方不明になった冒険者達もほとんどは素行が良いとは言えないものだったし、今回の件は正直助かったといえば助かったとも言える。……ただ、これで裏世界の均衡が大きく崩れたからね。……はぁ、保安局と連携して冒険者も色々大変になりそうだよ」
「ほっとけばなんとかなりますよ。この街の悪の芽は全て摘みましたから、外からの来訪者の管理を徹底してください。ついでにあの行列も。大掛かりな割に管理が甘いです。具体的には海人族が連れ込まれているくらい」
彩織の言葉に苦笑いするイルワは、何だか十年くらい一気に年をとったようだ。
「私たちチーム、《銀翼》、《カイン》、《豊壌の女神》の名を抑止力に使って構いませんよ」
「おや、いいのかい? それは凄く助かるのだけど……そういう利用されるようなのは嫌うタイプだろう?」
彩織の言葉に、意外そうな表情を見せるイルワ。
「構いやしねーよ。いつものことだしな」
「私は違うんですけど!?」
「愛ちゃん先生、諦めた方がいいと思うよ。残念ながらこの人たち、基本マジだから」
「園部さぁん!」
完全に巻き込まれただけの愛子に、イルワは暖かい視線を向けた。そしてすぐ、ミュウに視線を移した。
はむはむとカインの手にあるクッキーをリスのように食べているミュウは、その視線に一瞬震えた。
「そのミュウ君についてだけど……。こちらで預かって、正規の手続きでエリセンに送還するか、君達に預けて依頼という形で送還してもらうか……二つの方法がある。君達はどっちがいいかな?」
最初に救出を始めた彩織とカインが向き合うと、すぐに二つの視線はミュウに集中した。
「ミュウ、あなたが選びなさい。信用できる人間を。共にいたい人間を。命を委ねられる人間を」
ミュウは一瞬イルワに目を向けたが、すぐにカインと彩織に向き返った。
「お兄ちゃんとお姉ちゃんと、一緒にいたい。……め?」
「なわけねーだろ。ほら泣くな。菓子食って笑え。それがガキの仕事だ」
「ですね。ミュウ、どれくらいの期間かわかりませんが、それまでの間仲良くしましょう」
彩織は手を伸ばし、ミュウの頭を撫でた。ミュウは避けることなく、その手に甘んじる。
「しかしあれだな、そのお兄ちゃんって呼び方、背中が痒くなるからやめてくんねえか?」
チームの最年少、りんごの呼び方ですらむず痒いのに、余所の子供にまで呼ばれるのは照れ臭いにもほどがある。
「じゃあ……パパ」
「あん? おいミュウ、お前今なんて言った」
「パパって言った」
「そりゃあれか? 海人族の言葉で『カイン』とか『神の落書き』とか『人類最初の殺人者』とか、そういう意味か?」
「ううん。パパはパパなの」
「いいじゃないですか、パパ」
「うん。いいんじゃないの、パパ」
「やめてくれ! 恵里のママですらギリなんだぞ!?」
カインが今にも彩織と優花に殴りかかりそうなのを尻目に、愛子が苦笑いしながらミュウになぜパパなのかと尋ねた。
「ミュウね、パパいないの……。ミュウが生まれる前に神様のところにいっちゃったの……。キーちゃんにもルーちゃんにもミーちゃんにもいるのにミュウにはいないの……。だからお兄ちゃんがパパなの」
「おーきーどーきー、何がだから何だ。ミュウ。頼むからパパは勘弁してくれ。娘は一人で十分だ」
「やっ、パパなの!」
「やめてくれ! さもなくば泣くぞ! 十七歳で顔面刺青の男が泣くぞ!」
「カイン、それは見苦しいのでやめてください」
「師匠の泣き顔って、多分凄いレアだよね」
その後、ミュウは異様なまでの強情さを見せ、ミュウのカインの呼び名はパパに決定した。
イルワとの話し合いを終え宿に戻ってからは、彩織があの手この手でミュウにママと呼ばせようと試みるが、失敗した。
ママは本物のママしかダメだし、そもそもママっぽくないとのこと。かつて恵里にも同じ理由でママ呼びは断られた。
005
「カイン、私はいつか母親になれるでしょうか」
「人間寸前がなに言ってんだ。まず人に成れ。んでもって成人しろ。話はそれからだ」
「そんなの待っていられません。今夜あたりどうです?」
「ミュウがいるのにできるかバカ」
「仕方ありません。ミュウも一緒に……」
「四歳だぞ!?」
「だからこそです」
「教育に悪すぎるだろ!」
「そういうところですよ、ママ」
「なぁ!?」
「私が思うに、あなたはわりかしリアルな母性が滲み出すぎていると思うのです」
「やめろ。リアルな母性は本当にやめろ。男にそれは危うすぎる」
「いっそ性転換してみます? 樹生か刹那ならできるでしょうし、貴方なら女になろうとも愛してあげますよ」
「……考えとく」