イチについて! O-Buster   作:修司

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ちょくちょく追加分を書くかもしれません。


イチについて! O-Buster

ーーーーーー彼女は言った。

 

 

 

神様を見たことは、多分ないと思う、と。

 

 

 

 

「冷却チューブ安定。起動に問題はありません。」

 

「パイロットバイタル、血圧の上昇が見られますが全て基準値内です!」

 

「この際だ!固定具はつけたままでいい!今は地上に出すことを考えろ!」

 

「人造臓器は安定していますが、胴体の人工筋肉剥き出しのこの機体では・・・」

 

「同じ素材の人造皮膚があっただろう!それを巻きつければ動くことには問題ない!」

 

 

深い地下に広がる空間の中に、その巨人はいた。

いや、巨人といってもそれは生々しい生物的なものではない。かと言って、機械的であるのかと問われればそうともいえない。まるで機械が人体を模しているとでもいえばいいだろうか。見上げるほどに巨大なそれは、まるで生物かの如くあたりに鼓動を響かせていた.

 

 

 

もし神様に願い事があったなら、それは誰が叶えるのだろう、と。

 

 

 

『ぶっつけ本番になってしまった・・・整備長、本当に申し訳ない』

 

 「構わん。お前さんのお陰でここまで楽しかった。あとは勝ってくれればわしから言うことはもうない。」

 

 

『・・・彼には感謝しても仕切れないな・・・』

 

 

「坊主!わしらの息子を頼んだぞ!」

 

 

「・・・・・」

 

 

作業員たちの手によって巨人に装甲と巨大な包帯が巻かれていく。それを眺めながら男は整備長と呼ぶ男に頭を下げた。

しかし設備長はそんな男に視線を少しだけ向けたあと、頭を掻きながら巨人に向かって話しかけた。

 

 

 

 

 

 

そんな彼女と同じく俺はーーーーーーこの日をずっと待っていた。

 

一度話してみたかった。画面の向こうで、決して出会うことのできないはずだった貴方に。

 

 

 

 ・・・・

「碇シンジくん。この施設の代表として、そしてこんなことに巻き込んでしまい、誠に申し訳ない。本来であれば、我々大人が何とかしなければならないはずなのに・・・・」

 

 

モニターに映った学生服の少年に向かって男はそう言う。

碇シンジと呼ばれた彼の写るモニター。その中の彼はまるでSFに出てくるかの様な球体のコックピットの中で、上半身だけのパワードスーツの様なものを身につけて立っていた。

そんな彼の表情は、若干の恐怖と困惑が見て取れた。しかし

 

 

 

 「い、いえ・・・助けてもらったし。それに・・・」

 

  「なんだい?」

 

 

 

それと同時に真っ直ぐさを感じさせる目をしていた.

 「・・・・すごく怖いけど、怖くて仕方ないけど・・・

 

 

 

 

 

力になりたい、って思うんで・・・」

 

 

 

 

「・・・ありがとう」

 

 

 

 

なぜならばーーーーーー

 

 

 

「アイスセカンド装填!火を起こせ!」

 

「カタパルト、ロック。予定位置に到達しました」

 

「いつでも発進可能です!」

 

 

まるで鎧を身につけたミイラの様な巨人が巨大なエレベーターに乗って移動する。

 

なぜならば。

 

 

「会長!よろしいですね・・・」

 

 

「・・・ああ、責任は全て私がとる!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「バスターマシン0号!オーバスター発進!」

 

 

 

オレは今、そんな世界にいるのだから!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

新世紀エヴァンゲリオン 二次小説

 

トップをねらえクロスオーバー

 

 

 

 

    イチについて!

         O-Buster

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 始まりは突然だった。

 

 気がつけば自分は、陸のほとんどを海に飲まれてしまった世界に来ていた。突然何を言っているのだと思うだろう。だがその前に話を聞いてほしい。

 

自分は沖縄で会社員をしていた男だった。元々は本州の出身で、沖縄へは穏やかな日常を夢見て20の頃に渡った。

あと先なんか考えてない、まぁよくいえば若さの勢いによる行動だ。沖縄はそのイメージ通り人柄は穏やかで冬などは過ごしやすい気候で素晴らしいところだった。

 

休日になると自分は必ず海に行き、その日のつまみとなる魚を取り、取れたあとは透き通る海に飛び込み海の美しさを満喫する。

そして平日には職場に向かい仕事をし、休み時間を同僚と共に昼飯を食べながら過ごす。

そんな日々を繰り返す。まぁ悪くはない。特に難しいことなど考えず、安定した日常の中でたまに趣味であるロボットアニメを楽しむ。

ごく普通の社会人だ。

 

 

 

 

そんな日々を過ごしていたある日のこと。

 

自分は足りなくなった野菜を買い足すために地元のスーパーに買い物に来ていた。その日は嵐で海の近くは荒れ果てており時々堤防に大きな波がぶつかり巨大な水飛沫をあげていた。

 

ん?そんな日に買い物に行ったのかって?

たしかに今思えば馬鹿なことをしたと考えている。しかし当時の俺は思いついた事は試さなければ気になって落ち着かない性格で、その日も晩飯のメニューに必要な野菜がなく、かと言ってそのメニューでなければ満足出来ないであろう事を何となく感じていた。

 

 

それで仕方なく雨が弱まったタイミングで自転車で近くのスーパーに向かい目的のものの他に様々な食材を手に入れた。

しかしレジ袋に荷物を詰め込み、いざ帰ろうとするがその頃には先ほどまでの小雨はなく、荒れ狂う土砂降りへと変わってしまっていた。

 

 

焦っていたのだろう。

 

当時の俺はその落ち着きのなさでよせばいいのに荒れ果てた天気のした荷物をカゴに詰め自転車で家路へと急いでしまった。

店員からはもう少し待った方が、と心配されたがそれをやんわりと断り俺はよせば良いのに近道の海岸線沿いの近道に自転車を走らせた。

 

 

 

 

 

 

そこが運命の瞬間だった。

 

 

 

 

あと少し、そんな事を考えた時だったと思う。

 

ーーーー自分は海岸線から向かってくる波に呑まれた。

 

 

 

 

 

字にしてみればこれだけだ。気がつけば自分まで荒れ狂う海の中で、動こうにもどうにもならず俺は深い水の底へと沈んでいった。

 

 

その時の苦しみはとんでもないものだった。

息を吸おうにも周りには海水だけで、浮かびあがろうにも渦を巻く水中のせいでそれもできず、結局自分はそのまま苦しみながら死んでしまった。

 

 

 

 

 

ーーーー死ぬ瞬間考えたのは、あぁ、もう一度星空を見たい。だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おめでとうございます!元気な男の子ですよ!」

 

 

 

 

 

 

 

  そして俺が再び目を覚ました時、そこは世界の殆どが海の世界だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

みなもと てるゆき

「源 輝諭?」

 

 

特務機関NERV(ネルフ)戦術作戦部作戦局第一課所属の葛城ミサトはその名を口にした。

 

「そ、25歳という若さで大企業エクセリヲンの会長にして、例のオーパーツをサルベージした男よ。」

 

 

そんな彼女に反応したのはネルフ技術開発部技術第一課所属の科学者赤木リツコ。

汎用人型決戦兵器エヴァンゲリオンの開発、MAGIの管理運営などシステム管理を一手に担当し、使徒襲来時には、その特性の分析を行い作戦部をアシストする優秀な女性科学者である。

 

現在二人はネルフの休憩室にてコーヒーを飲みながら束の間の休息を過ごしていた。とはいえそれも30分という僅かな時間でしかないのだが。

何せ後日にはかつて世界を混乱に導いた怪物が来ると予言されており、その準備としての仕事に追われていたのだ.

 

 

そんな中リツコはふと思い出したかのようにその名を口にした。

 

「なんか日本重化学工業共同体と組んでロボット兵器の製造を行なっているらしくて招待状をもらってたのを思い出してね。」

 

 「ロボット兵器・・・どう考えても使徒、もとい私たちに対抗するためのものね」

 

「面白くないのでしょうね。とは言え参加は貴方と私、追加でパイロットは確定でしょうね。歓迎されるわよきっと」

 

「ゲ〜。歓迎ってどう考えてもそっちの方向ででしょめんどくさい。パス出来ないの?」

 

そう言ってミサトは顔をしかめる。

彼女の所属する特務機関ネルフは敵が多い。迎撃の対象である使徒にしてもそうだが、かつて人工進化研究所ゲヒルンからここまで権力を手にした彼女らの組織は周りの国や自衛隊、軍からは目の敵にされていた。

 

 

「我慢はいつものことでしょ。とは言え、彼については私としてもいろいろ気になるところがあるのは事実なのだけど」

 

「ふーん、ねえ?それってもしかして玉の輿でも狙ってんの?」

 

ニヤニヤしながらいうミサトにリツコは眉を顰める。

 

「もう、親父くさいわよ貴方。私が気になるのはオーパーツの方よ。」

 

「なーんだ。とは言えそんなことだろうと思ったけど・・・・・」

 

 

 ミサトは視線を目の前の書類に向け、そこに記された内容を流し見る。

 その内容は明日訪れるであろう例の選ばれし三人目の子供、サードチルドレンについての情報だった。

 

「いよいよね・・・この数年間の準備の成果が明らかになるのは」

 

「・・・貴方もうそろそろ帰りなさい。明日時間に遅れられたら困るのよ」

 

 

「わかってるっつーの。ただ・・・」

 

「?」

 

「子供に背負わせるってのがどうもね」

 

 

 

 

 

その一言を最後にミサトは部屋から出て行った。聞いていたリツコは自動ドアを潜るミサトに視線を一瞬向けると再び目の前のディスプレイに目を向ける。

 

「背負わせる・・・か。貴方も大概だと思うけどね」

 

リツコは今は部屋にいない彼女を思い浮かべ、エヴァの最終調整を行うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2人の会話から翌日午前9時32分。

 

 

 

「会長!源会長!」

 

 

とある格納庫にてその声は反響して響き渡る。

声の主はその手にタブレットPCを持ちながら離れたところで整備員と話をする男へとはなしかけた。

 

「ん?どうしたノノ。また割ってしまった皿の領収書か?前から言ってるが経理に渡せとあれほど・・・」

 

「ちがいます!いつもノノが同じ過ちを繰り返すと思ったら大間違いです!なんてったってノノは高性能ロボットですからね!今回はヒビだけで済みました」

 

 「結局割りかけてんのかよ・・・パワー調整というよりはもうバランサーの領域を調べた方がいいなこりゃ」

 

「ってそうじゃありません!ネルフの方からメッセージが来て、今度のお披露目会には来てくれるそうですよ!」

 

そういうと彼女はピンクの長髪の上に伸びるツノのようなアホ毛を怒りで揺らす。まぁまぁと男、輝諭が宥めると差し出されたPCを確認する.

 

 

「お、来てくれるんだ。正直まだ信用とか足りてなくて来てくれないかと思ってたが・・・」

 

「会長はもっと外側の人間関係を築くべきだと思いますよ?少なくともいい人ではあるんだから積極性を出せばもっと円滑に物事を進められるし勿体無いですよ。」

 

「そうですよ会長!このまま結婚もせずに歳をとっていくと思うとノノは心配でご飯も喉を通りません」

 

 

 

「ええいお母さんかお前ら。俺腹芸とか苦手なんだよ。ぶっちゃけほとんどそこら辺は副会長がやってくれるからいいんだよ。それより伊藤くんは最終チェックの内容を整備長のとこに持っていってくれ。」

 

 

 

そう言いながらジト目を話していた整備員と少女に向ける。

この世界に生まれ落ちて28年。自分はあの嵐の後、何故か1人の子供として再び生を受けて生まれ落ちた。

最初こそ疑問が尽きなかったけど、その世界で10年と過ごせば自ずと「あぁ、こんな不思議なこともあるんだな」と自然に受け入れていた。

 

そして新しく生を与えてくれた父親と母親に感謝をしつつ、今世こそは落ち着いた生活を心がけようとそっと決心した矢先だった。テレビに映った南極の大爆発、のちにセカンドインパクトと呼ばれるそれを見てこの世界が新世紀エヴァンゲリオンの世界だと察した。

 

 

新世紀エヴァンゲリオン

物語の舞台は西暦2000年9月13日に起きた大災害セカンドインパクトによって世界人口の半数が失われた世界。その15年後の西暦2015年、主人公である14歳の少年碇シンジは、別居していた父、国連直属の非公開組織・特務機関NERV(ネルフ)の総司令である碇ゲンドウから突然第3新東京市に呼び出され、巨大な汎用人型決戦兵器エヴァンゲリオン(EVA)初号機のパイロットとなって第3新東京市に襲来する謎の敵「使徒」と戦うことを命じられる

 

 

「そういえば、例の怪獣って近いうちにくるんですよね?やっぱり弟も出撃させるんですか?」

 

「あぁ、そのためにわざわざあの戦艦をサルベージしてこいつを建造したんだからな。」

 

「でもまだ未完成ですよね。それにパイロットも決まってませんし・・・」

 

「君姉さんなんだからなんとか説得してくれよ。」

 

「弟は弟、ノノはノノです。じゆーいし?は、尊重しないと」

 

「ぬうう、まさか補助aiが意思を持つとは・・・。俺が乗れればいいんだけどまさかあんなにも嫌われるとは」

 

 

「元気出してください。少なくともノノは会長のこと大好きですよ!」

 

 

「いや君ね、そーゆーとこが弟くん怒らせる原因なんじゃないか?」

 

「?」

 

 

 

その事に気づいた俺は当初興奮と一緒に焦りを感じた。まさか創作物の世界に転生するなんて思いもしなかった事もあるが、このままでは天寿を全うできないかもしれないという事もあり狼狽えたのだ。

この世界はいずれサードインパクトによって新世してしまう。あの映画の最後は今でもトラウマとして残っているが、あんなことになるかもしれないと思うと落ち着いてなどいられない。

 

 

しかしふとした思いつきによって、自分は巨万の富とどうにかする手段の両方を手にすることとなる。

 

 

 

(まさか俺の世界と同じ企業や株式会社がこの世界にも存在するとは・・・)

 

 

そう、この世界は元の世界と同じ企業や会社が存在していたのだ。代表的なのは大手コンビニメーカーローソンだろうか。他にもソニーなどの企業といい殆どの有名企業が存在した。

 

 

 

だとしたらあとはその情報をお金にするのは簡単だ。貯めていた10万円を投資しそれを元手に巨万の民を得て会社を設立。とある海底から古代の遺産を引っ張り出したのだ。

 

そう、その戦艦こそ、会社をここまで急成長させた要因である。

 

 

「まさか本当にあったとはなー。Nーノーチラス号」

 

 

 

この戦艦についてわからないもののために説明をさせてもらいたい。

 

Nーノーチラス号。

正式名称、 第四世代型超光速恒星間航行用超弩級万能宇宙戦艦ヱクセリヲン。

エヴァンゲリオンの物語が始まる遥か昔を描いたアニメ「不思議の海のナディア」に登場するM78星雲人ことアトランティス人が開発した超兵器である。

 

 

そう、遥か昔に墜落したこの戦艦を自分はサルベージすることに成功したのだ。存在すること自体には整備員の伊藤くんこと(伊藤ナディア)の存在によって確信があったが、まさか本当にできるとは思っておらず、見つかった当初は腰を抜かしたものだ。

 

 

「エンジンが生きていたのもありがたかったな。お陰であいつに心臓をくれてやることができたし。」

 

 

 

「会長ー?そろそろ行きますよー。今日は弟に会いにいくんでしょー?」

 

「あぁ!今行く!」

 

 

 

そこからはとんとん拍子だった。

採掘したノーチラスの技術を徹底的に解析し世に還元。そして例の兵器の建造費として割り当てた。

この世界の企業である日本重化学工業共同体と通産省、防衛庁も手を貸してくれたのは大きかった。彼らの力がなければ未だに形にすることすらできなかっただろう。

 

 

「あ、会長。リー・ヤン博士からアイスセカンド届いてるそうですよ。これであの子はいつでもフルパワーで動けますね!」

 

「無理言って取り寄せたことあとで謝っとかないとなー。とりあえず生産した

カリホルニウムを100gほど送ってやってくれ」

 

 

「かっしこまりましたー!」

 

 

そう言ってノノは後部座席でタブレットを操作する。

彼女の名はノノ。又の名を万能人型決戦兵器のp-pタイプである。気づいているものも多くいると思うが、彼女はアニメ「トップをねらえ2」に登場する第六世代型恒星間航行決戦兵器、バスターマシン7号をモチーフに作った人造人間である。

 

ノーチラスの心臓こと、縮退炉(ブラックホールエンジン)を取り出した時から、自分の開発する兵器は大体想像できていた。そう、俺がこの世界で何故ノーチラス号をサルベージしたのか。それはエヴァンゲリオンではない兵器によって人類補完計画をぶっ潰すためだ。

 

人類補完計画とは人間を命の水LCLと魂に還元し、それらを全て融合し究極の生命体、神へと至るとかいう頭のおかしい計画だ。

知らないやつと合体なんて絶対ごめんだし、あんな最後なんて絶対に拒否である。

 

そして俺は決めた。そのためにこの世界とはある意味真逆、友情と努力と根性によって世界を救って見せたスーパーロボットによって計画をぶっ潰してやると。

 

彼女はそのために開発された人工内臓が正式に稼働するのかを確かめる過程で生み出された。いわばその兵器ののプロトタイプのプロトタイプである。

 

「それにしても弟くんに会うのは久しぶりです!体に気をつけてるといいのですが・・・」

 

「うーむ、何でこんなに人が見当たらないんだ?今日何かあったか・・・?」

 

「もう!会長聞いてくださいよ!久しぶりにあの子に会うのでノノは心配で仕方ないのに」

 

 「ん?あぁ、大丈夫だろう。なんてったってうちの整備長は日本1、いや世界1の技術者だからな。あと3日もすれば完成度も聞いてるし・・・それより今はここまで人がいないことをだな・・・」

 

 

そうして人気のない街中を走っていると、道の向こうに公衆電話の前に立っている学生を見つけた。輝諭は彼の前で車を止めると窓を開けて少年に話しかける。

 

 

「君、一人かい?ここらを走り回ってるんだけど周りには人っ子一人見当たらなくて・・・何か知らないかい」

 

 

「え、あ、はい。僕は知り合いが迎えに来るのを待ってるんですけど、なかなか来てくれなくて・・・。なんか公衆電話からは緊急事態宣言とか聞こえてくるしもうシェルターに行こうかと」

 

 

「こんな暑い中か?たいへんだな。それに緊急事態宣言・・・?」

 

少年の言葉に輝諭はだんだん冷や汗を流し始める。

待て、まさか今日なのか?しかし俺は何も聞いてないし・・・でも目の前の少年、なんか見たことがーーーー

 

 

 

「かいちょー!大変です!あれ!」

 

 

ふとそばで聞こえた叫び声に顔を上げるとノノが窓を開けて身を乗り出してある一点を見つめていた。少年もその言葉を聞いて目線を向けるとノノと同じように固まった。彼らの視線の先・・・遥か向こうの山の方からーーーーーー

 

「君!名前は⁈」

 

「は、はい!碇シンジです。」

 

「シンジくんだな!乗って!あぁもうノノ邪魔!悪いけど反対側から乗ってくれ!」

 

 

その言葉にシンジは戸惑いながらも反対方向に回り車のドアを開け中に入る。輝諭はそれを見届けると同時にアクセルを吹かせ一目散に車を走らせた。

 

そして次の瞬間、先ほどまで自分たちがいた場所に国連軍の航空兵器UNが墜落し爆炎を上げた。

 

「にゃあああ!た、助けてください〜!?」

 

「あ、危ない!」

 

身を乗り出したままのノノはその急加速に咄嗟に反応出来ず車内から吹っ飛ばされそうになる。しかし少年ーーー碇シンジが腰を掴んで車内に引っ張ることでなんとか難を逃れた。

 

「会長ひどい!ノノが入ってから走らせてもいいじゃないですか!」

 

「悪かった、でも今は緊急事態だ!まさか今日だとは・・・。ノノ!今すぐ本社に連絡しろ!」

 

流れゆく景色を前に輝諭は考える。

想定よりも早くくるとは・・・。しかも焦っていたとはいえ彼を連れてきてしまうとは。

 

「シンジくん、君の待っていた人ってもしかしてネルフ関係者かい?」

 

「は、はい。でもなんで知って・・・」

 

「碇って苗字とこの時期この瞬間呼び寄せるってことで大方察してね。ネルフのお偉いさんと同じ苗字だし。ノノ、ネルフのほうに報告してくれ。君たちの関係者をこちらで保護したと。」

 

そう言って再び前を向いて車を走らせる。後ろからは破裂音のような音が響き渡っておりその音がハンドルを握る手に汗を流させた。

 

 

 

「シンジくんですね。さっきはありがとうございます。お陰で助かりました。」

 

「いえ、流石に危なかったし・・・」

 

「あ、私ノノって言います。こっちのお兄さんは会長の輝諭さんって言います。」

 

「ノノさんと輝諭さんですね。その・・・」

 

「すまないね。まさか今日が例の奴の上陸日だとはこちらも思わなくてね。悪いがこのまま我々の本社に向かう。君の待ち人にはこちらから説明しといたからことが終われば迎えにくるだろう。」

 

そう言ってるうちに走らせた車がトンネルに入ったことで薄暗い景色へと変貌する。その景色はしばらく続き、1分ほどだろうか。輝諭は車をトンネルの壁際に止めると車から降りてトンネルの壁についた扉へ視線を向ける。

 

「二人とも降りて。こんなこともあろうかとトンネルに非常用通路を設置しておいて良かった。このまま格納庫に向かう」

 

「え、でも会長?シンジくんも一緒でいいんですか?」

 

「今は緊急事態だ、俺が許可する。シンジくんついてきてくれ。」

 

「は、はい」

 

そうして扉の前に立ち懐から出した鍵を差し込む。すると扉の手すりの部分の一部が開き中からタッチパネルのようなものが現れる。そこに自らの指を乗せると扉から音声が響いた。

 

『ユーザー名ミナモトテルユキ。確認しました。a5ブロックへとつなげます。』

 

「よし、乗ってくれ」

 

 

「こんなところにエレベーター?」

 

 

「うわあ!まるで宇宙船みたいですね!」

 

「そうだ。文字通り宇宙船の技術さ」

 

扉を開けた先に広がっていたのはまるでエレベーターのような見た目をした空間だった。全員が乗ったのを確認すると扉を閉め目的地をインプットする。

 

「これは普段はただの連絡通路だが非常時にこの鍵を刺すとエレベーターがきて本部や支部へと向かってくれるんだ。まぁ個人用の地下鉄のようなものだね」

 

「宇宙船の技術って・・・もしかして源さんってエクセリヲンの?」

 

「ああ、一応そこの会長をしているよ。そんで持ってその子はノノ。うちで開発されたアンドロイドさ」

 

「あ、アンドロイド⁈」

 

「はい!あ、でもロケットパンチはついてないんですよね・・・」

 

 「前から言ってるけどなんでお前はそうもロケットパンチをつけたがるんだ・・・」

 

シンジは輝諭の言葉に二重の意味で驚愕する。

会長?この人が?どう見ても20代くらいにしか見えない。エルトリウムの会長といえば謎の多いことで有名だ。

いわく古代文明の戦艦を掘り起こした。

いわく現在の殆どの最新技術を生み出した。

いわく究極の成り上がり。

そしてそんな謎多き人物が目の前の彼だというのか。

そしてノノ。彼女がアンドロイド?先ほど掴んだ体はどう考えても人間の感触だった。それに自然な仕草、柔らかい表情などどう見ても人にしか見えない。

 

さまざまな疑問が浮かんでは消える。しかしその考えはエレベーターのチンと言う音と共に一旦消え去った。

 

「シンジくん、これから君が見るのはこの国の機密事項の一つだ。だからどうか外部に漏らすようなことはやめてくれ。まぁ巻き込んだこちらがこんなことを言うのも気がひけるが・・・」

 

「は、はい、でも機密事項ってーーーー」

 

 

音と共に扉が開いてゆく。薄暗いエレベーター内に扉の向こうの光が入り込みシンジは一瞬視線を細める。そして再びしっかり向けた目線の先にあったのは、彼の常識では測りきれないものであった。

 

「ご紹介します!私の弟です!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ!?シンジくんを保護した⁈」

 

「誰かさんが遅れたせいね。だから昨日言ったのに・・・」

 

ネルフ本部に戻ったミサトはリツコの言葉に驚愕する。目的の場所に向かったミサトであったが時間に大幅に遅れてしまった為か既に目的の少年はおらず状況確認のため一度戻ってきていた。

彼は今エルトリウムの会長によって保護されているらしく、今からネルフに向かうことはできないらしいのだ。

 

「そんな・・・じゃあパイロットはーーーー」

 

「レイになってもらうしかないわね。」

 

「無茶よ!あんな大怪我じゃあ・・・」

 

その続きを口にしようとするが出来なかった。この事態を起こしてしまった責任は自分にある。それがわかっているミサトは作戦部長として「乗せられない」など言えるわけがない。

 

「なんとかならないの・・・?」

 

「・・・今はプログラムをレイに切り替えている。ここまで来ると、もはやどうしようもないわ。今から彼を迎えに行くと間に合わない」

 

「・・・」

 

その言葉にミサトは思わず下を向く。

まるで怒られる前の子供のような表情を浮かべるミサトにリツコは覇気を込める意味も込めてビンタを喰らわせる。

 

「しっかりしなさい!今あなたがしなければ行けないのはなに!貴方がそんなんじゃ私たちも動くことができない!」

 

「落ち込むことは後からでもできる!今はーーーーーー」

 

 

 

前を向いて戦いなさい!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こ、これ・・・ロボット?」

 

「はい!そして私の弟です!」

 

シンジの目の前に広がる景色、その真ん中にそれはあった。 

一つ目の顔、だろうか。頭にはまるで三日月のような飾りをつけ顔の真ん中には巨大な機械の目玉がある。二人の後をついてゆくとやがてその全体像が明らかになってゆく。

まだ未完成なのか胴体の方はまるで内臓のようなマシンが合わさっており巨大な人体模型のようにも感じる。そして特徴的なのが縦に伸びる板のような形をしたものが肩に当たる部分に取り付けられている。

 

「整備長!準備は出来てる?」

 

「あぁ?!坊主お前どっから来てんだ。てかいきなり出撃準備なんか言われてすぐ用意出来るか!」

 

「本当ごめん!でも今は緊急事態だ。こちらも情報の反映が遅れたせいで今日が上陸ってわからなかったんだ。」

 

「わかってらぁ!だがこのままじゃこいつは十分な力を発揮できねぇぞ。」

 

「それでもいい。とりあえずは俺が乗ってみる。スーツの準備をしてくる。」

 

整備長とある程度の話を終えた輝諭はすぐさま更衣室へと向かって行く。その様子を眺めていたシンジはポカンとするがそばにいたノノに話しかけられたことで意識を現実に戻す。

 

 

「この格納庫はある意味1番丈夫に出来てますので安全です。どうかリラックスしていってください」

 

「ありがとうございます・・・その、あの怪獣って・・・」

 

 

 

現場の荒々しさとは異なって手頃な場所に座ったノノにシンジは疑問を問いかける。ここまで色々と濃ゆい出来事が起こったが、とりあえず一つずつ片付けることにしたのだろう。

 

「あの怪獣は使徒と言います」

 

「使徒?」

 

 「はい、かつて起きたセカンドインパクト。その原因と言われている生物です。ネルフや私たちはそんな使徒を倒して人類を守る仕事をしているのです。」

 

「な、なんだか現実味がないですね・・・。あ、いや疑ってるわけじゃないです。ただ・・・」

 

「無理もありません。ノノたちの中にもきっと今日来るまでは信じきれなかった人たちもいると思いますし・・・」

 

そう言いながらなのは周りを眺める。そうこうしているうちにパイロットスーツを着込んだ輝諭がロボットのコックピットがあるであろう胸の近くまできて整備長と話をしていた。

 

「しかしお前さんこいつに嫌われてるだろう?!」

 

 「そうだけど人命がかかっている!今こうしている間にもネルフの機体が戦ってるんだ!こいつもきっと納得してくれる!」

 

 「そんな無茶苦茶な?!普段リアリストなくせに肝心な時にそうなの本当なんなんだ!?」

 

 

 

 否、言い争っている。

 

「あの、大丈夫ですかあれ?」

 

 「あ、あはは・・・会長は本当はパイロットをするつもりだったそうなんですがあの子は会長が苦手でして・・・」

 

 「苦手って・・・ロボットなのに?」

 

 「あの子には簡易的な思考回路が組み込まれてるんだけど、それがいつしか意思を持ってしまって・・・パイロットを選ぶようになっちゃったんです。」

 

 

あらゆる人間が動かそうとしたが叶わず会長である輝諭がギリギリ動かせる程度である。

 

「でもそんなんならノノさんみたいな体に思考回路を移せば・・・」

 

 「詳しくはノノも分かりませんが・・・あの子は人間一人では動かすことが出来ないらしいです」

 

そう言うとノノはロボットを見上げる。

その表情はまるで弟を見守る姉のようであり、困った息子を眺める母親のようでもあった。そんな表情を見たシンジは思わず顔を赤らめた。

 

そんな時だった。格納庫全体に赤いサイレンと共にブザー音が鳴り響いた。それと同時にその場にいる人間を巨大な揺れが襲う。

 

「会長!ネルフの決戦兵器が苦戦してる模様です!このままではあの兵器もパイロットも死んでしまいます!」

 

「わかっている!今俺が乗り込んで動かしてみせる!だからそのための準備を進めて!」

 

「ダメです!マシン側から拒絶されています!そんな、この間まで拒否こそあれ動かすことはできたのになんで・・・!」

 

「そんな、バカな!?」

そうしている間にも激しい揺れは空間全体を揺らして行く。オペレーターの言葉を聞いて輝諭は思わず声を上げた。

 

 

そんな時だった

 

「あぶない!?」

 

「うわあああッ⁈」

 

次の瞬間、シンジたちの頭上に向けて整備用の橋が落ちてきた。それをいち早く察したノノはシンジを助けようと駆け寄るが遅い。このままでは彼女もシンジとともに押しつぶされてしまうだろう。

そしてノノの声に反応したシンジも目の前に迫る巨大な落下物に思わず悲鳴をあげ目を瞑る。このままではなすすべもなく彼は死んでしまうだろう。

誰もがその瞬間に目を向けた。輝諭も思わず大声をあげるが離れ過ぎているためどうしようもない。

 

 

その時ーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「た、たすかっ、た?」

 

ノノに覆い被られたシンジはそう呟いてゆっくりあたりを見渡す。視線を向けた先、そこは先ほどまで眺めていた景色とは大きく違っていた。

橋が落ちてくるはずの頭上。そこに巨大な手のようなものが自分たちの傘になるようにまもっていたのだ。

 

 

「シンジくん!ノノ!怪我はないか?!」

 

駆け寄ってきた輝諭に対して怯えた表情のまま首を縦に振る。そして巨大な手はゆっくりと元の場所に戻り先ほどと同じポーズへと戻った。

 

「まさか自分の意思で守ったのか・・・?そんな、じゃあこいつはこの子を選んだ?」

 

 

「あ、あの。輝諭さん?」

 

話し込む輝諭にシンジが話しかける。

しかし返事をしないまましばらく考え込むとやがて顔を上げてシンジの方を見て言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「シンジくん・・・こいつに乗ってくれないか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・え?」

 

 

瞬間、シンジの頭は真っ白になる。輝諭の言った言葉があまりに突拍子のなさすぎて混乱したのだ。しかしそんなシンジを現実に戻したのもまた輝諭だった。輝諭はシンジの目の前に膝をつくと地面に擦り付けるように頭を下げた。そう、シンジに対して土下座したのだ。

 

 

 

 

 

 

「ち、ちょっと輝諭さん?!」

 

 

「いきなりこんなこと言われて混乱するのはわかる。でもお願いだ!どうかこいつに乗って使徒と戦ってくれ!」

「本来であれば俺が乗るはずだったんだ!しかしこいつの人工知能は俺を選んでくれず君を選んだ!つまり今この場に戦うことのできるのは君だけなんだ!」

 

 

土下座と共に語る輝諭の言葉は真剣そのものだ。本来であればエヴァにのることになるこの少年は、なんの因果かその危機を脱した状態であったはずだ。にもかかわらず、せっかく流れた運命に再び乗せようとしている。そんな罪悪感を抱えながらも言わずにはいられなかった。それがなんとなくわかるからだろうか。シンジは困惑しながら言う。

 

「そ、そんな・・・いきなりそんなこと言われても操縦の仕方もわからないのに出来るわけないよ!それにネルフもいるんでしょう?そっちに任せて仕舞えば!」

 

「ダメなんだ!今ネルフの兵器が戦ってるがとてもじゃないが歯が立たない状態らしいんだ!君みたいな子供の、それもこちらが無理矢理巻き込んだ様なものなのにこんなこと頼むなんておかしいってわかっている!でも、もうこれしか手はないんだ!」

 

「条件があればそれを飲む!乗ってくれた際には報酬も出そう!だから頼む!我々に力を貸してくれ!」

 

「そんな・・・でも僕にはそんなこと・・・」

 

辺りを静寂が包み込む。揺れは変わらず続いておりその衝撃は地上の戦いの激しさを地下であるここまで伝えていた。

 

シンジはここまでのことを振り返り、なんでこんなことになったのかと考える。長年疎遠だった父親から来た手紙、その手紙によってここまで来た彼は今なぜか大企業の会長に土下座されている。しかしそんなことを言われても頷けるわけがない。ここにくる途中で落ちてきた自衛隊の戦闘機。遠目からではあるがその戦闘機のほとんどがあの怪獣によって墜落させられていた。そんな恐ろしい力を持った存在に立ち向かえと言われて頷くわけがない。

 

だからこそ出来るわけない、と叫ぼうとした時ーーーーーー

 

「シンジくん、ノノからもお願いします。私たちと一緒に戦ってくれませんか?」

 

ノノの言葉がシンジの叫びを遮る様に呟かれた。

 

「そんな、ノノさんまでそんなこと言われても」

 

「シンジくん、ノノが車から落ちそうになった時助けてくれましたよね?」

 

急に話が変わったことでシンジは次の言葉も出せなかった。

 

「あの時、ノノは怖かったです。ノノはたしかにロボットですが、あの速度で放り出されたらと思うと今考えても震えちゃいます。」

「でも、それを飛ばされない様にシンジくんが掴んでくれた時、ノノはとっても安心しました。助けてくれた、ってとても嬉しくなりました。」

 

そう言うと手に持つPCにとある映像をみせる。そこに写っていたのは、紫の巨人が黒い首のない怪獣にボロボロにされている映像だった。

 

「このロボットのパイロットは、きっとその時のノノと同じ気持ちのはずです!一人で戦って、全然歯が立たなくて怖がっているはずなんです!頼れるのはシンジくんだけなんです。だからシンジくんお願いです!」

 

戦って!

 

 

その声は広い空間であるはずの格納庫全体に響き渡った。誰もがことの成り行きを、その中心である少年に目を向けていた。

その言葉を聞いたシンジは再びPCに目を向ける。そこに映る紫色の巨人は黒い怪獣によってビルに叩きつけられていた。その様子を見たシンジは下を向いて目を強く閉じると自分を奮い立たせる様に呟く。

 

 

 

 

 

 

(逃げちゃダメだ。逃げちゃダメだ。逃げちゃダメだ逃げちゃダメだーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

逃げちゃダメだ!)

 

 

再び上げたシンジの瞳には、強い決心の色が浮かんでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やります・・・・僕が乗ります!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてーーーーーー

 

 

「碇シンジくん。この施設の代表として、そしてこんなことに巻き込んでしまい、誠に申し訳ない。本来であれば、我々大人が何とかしなければならないはずなのに・・・・」

 

 

モニターに映った学生服の少年に向かって男はそう言う。

碇シンジと呼ばれた彼の写るモニター。その中の彼はまるでSFに出てくるかの様な球体のコックピットの中で、上半身だけのパワードスーツの様なものを身につけて立っていた。

そんな彼の表情は、若干の恐怖と困惑が見て取れた。しかし

 

 

 

 「い、いえ・・・助けてもらったし。それに・・・」

 

  「なんだい?」

 

 

 

それと同時に真っ直ぐさを感じさせる目をしていた.

 「・・・・すごく怖いけど、怖くて仕方ないけど・・・

 

 

 

 

 

力になりたい、って思うんで・・・」

 

 

 

 

「・・・ありがとう」

 

 

 

 

「アイスセカンド装填!火を起こせ!」

 

「カタパルト、ロック。予定位置に到達しました」

 

「いつでも発進可能です!」

 

 

まるで鎧を身につけたミイラの様な巨人が巨大なエレベーターに乗って移動する。

 

 

 

 

「会長!よろしいですね・・・」

 

 

「・・・ああ、責任は全て私がとる!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「バスターマシン0号!オーバスター発進!」

 

 

そして、巨人の瞳に光が灯った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「神経パルスに異常発生!このままではパイロットが危険です!」

 

「頭蓋端部に亀裂発生!装甲がもう持ちません!」

 

「パイロットバイタル低下!このままでは!」

 

 

ネルフ本部では、現在オペレーターたちの叫び声がこだましていた。断腸の思いで出撃させたエヴァ初号機、最初こそ拮抗していたもののパイロットの大怪我ゆえか今はなぶり殺しもいいところだった。

そんな中ミサトが叫んだ。

 

「・・・エヴァ回収準備急いで!もう持たないわ!それとーーーー」

 

 

 

 

 

「自爆プログラムの準備を、念のため・・・」

 

 

その一言に、司令部内に沈黙が走る。

無理のないことだ。初号機が破壊された時点でもはやネルフに打つ手はないのだ。オペレーターたちは悔しさに歯を食いしばる。

 

 

 

 

 

「・・・最初からここまで上手くいかんとは。ままならんものだな」

 

「・・・・・」

 

そしてその様子を眺めていたネルフ司令こと碇ゲンドウに副司令の冬月コウゾウが呟く。その問いに対してのゲンドウの反応はない。彼自身、ここまで上手くいかない事に対して考えていた。

 

 

(神はそうまでして、私の邪魔をすると言うのか・・・)

 

 

かつて愛する妻を失った彼はモニターに映っているエヴァから目線を下に下げる。そんな彼を見た冬月はゲンドウの肩にそっと手を乗せた。

 

 

 

絶望が、ネルフ本部を包み込む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな時だ。

 

 

「作戦部長!第7ハッチが開いています!」

 

 

「!なんですって!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

視界が赤に染まる中エヴァ初号機パイロット、綾波レイはコックピットであるエントリープラグ内にて身を蹲めていた。そんな彼女の表情は普段の彼女を知るものがいたら驚くほどに怯えきっていた。先ほどから機体を動かそうとするも反応が返ってくる様子はない。

 

(動かない・・・体が痛い・・・怖い?)

 

 

モニターに映る使徒の仮面の様な瞳に光が灯る。

先ほどと同じ熱線を放つのだろう。その衝撃に彼女は身構える体力もないのかそれを眺めるだけである。

 

 

(怖い?人形である私が?・・・そう、今私は怖いのね・・・)

 

 

このまま動かなければエヴァは熱線によってその頭を吹き飛ばされてしまうだろう。しかし言うことの聞かない自身の体、そしてエヴァではどうしようもない。最悪の未来を想像して綾波はそっと目を瞑る。

 

その時だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

使途からだいぶ離れた第7ハッチ。その中から現れたのは、エヴァとはまた造形の違う姿をした巨人だった。

そのシルエットはエヴァと比べて遥かにロボットに近い姿をしており、しかしその全身は包帯を巻かれたことでミイラの様な印象を浮かばせる。風に吹かれてなのか包帯の端がたなびいており、それを気にする様子もなく巨人は腕組みをして仁王立ちしていた。

 

 

『ネルフ本部!ネルフ本部!応答願います!』

 

「今度は何!?」

 

その様子を見ていたネルフ本部の外線に突如として通信が入った。オペレーターのマヤがそれに気づきモニターに移すとそこには20代ほどの年齢の男がパイロットスーツの様なものを着てこちらに叫んでいた。

 

『状況判断からこれよりエクセリヲンは援護を開始します!なのでその間にそちらの兵器を撤退させてください!』

 

「貴方一体、いえ、しかしこちらも動けない状況で・・・!」

 

 

『やはり待たせ過ぎてしまったか・・・!了解した。ではこれより救出を第一とした作戦を開始します。目標の攻撃の届かないポイントをなんとかそちらで出しておいてくれ!』

 

そう言って一度通信を切ると今度はオーバスターのコックピットに話しかける。

 

「シンジくん!先ほど説明した通り、その機体はまだ完全ではない!搭載している兵器も二つだけだしエンジンもまだフルスペックを出せているとは言えない。だからなるべく遠距離による攻撃を主体とするんだ」

 

 

 

『わ、わかりました!』

 

 

オーバスターは組んでいた腕を解くと左手首のコネクタと右手首のコネクタを繋ぐ。そしてそのまま左手首を下へとスライドさせると技を打つ構えをとりエネルギーを充填、放出した。

 

 

「バスタアアアアッ光線!!!」

 

バスター光線

右腕照射装置と左腕コネクタを接続し縮退炉からのエネルギーを直接攻撃として用いる兵器である。

赤く輝くその熱線は真っ直ぐに使徒へと直撃しエヴァへの攻撃を中断させた。

 

「荷電粒子砲?!あのロボット、単独で熱線を放てるっての?!」

 

 

使徒が離れたのを確認するとオーバスターはエヴァの元へと駆けつけて盾になるように身構える。やがて再生を完了させた使徒は新たに3つ目の仮面を生成しこちらに幽鬼の如く歩み寄ってくる。それに対しオーバスターは堂々とした歩みで使徒へと近づきその仮面に向けて拳を振り下ろした。

 

辺りに衝撃音が響き渡る。手応えを感じたシンジであったが、しかしよく見るとその拳が使徒に届いてない事に気づく。

 

「て、輝諭さん!バリアみたいなので塞がれてます!」

 

「落ち着いて!おそらく敵がこちらへ肉弾戦を仕掛ける際にはそのバリアははられないはずだ!それだけ近いんだ、奴も熱線は使えないはず・・・⁉︎」

 

混乱するシンジに輝諭が叫ぶ。しかし輝諭の予想は大きく外れて、使徒は目の前にオーバスターがいるにもかかわらず熱線を放ったのだ。

先の一撃、バスター光線を脅威と感じてのことなのだろう。自身が焼けるのもお構いなしに使徒はオーバスターの右手を重点的に熱線を放つ。

 

「うわああああ!」

 

「シンジくん!」

 

コックピットに衝撃が走りシンジが悲鳴を上げる。熱線を浴びたオーバスターはビルへと突っ込む。そしてやはり耐え切らなかったのであろう右腕は、熱戦の直撃によって力なくスパークを起こしながら垂れ下がっていた。使徒が再びゆっくりと近づきオーバスターの頭を掴む。するとその細腕では考えられないほどの力で巨体をもちあげた。

 

 

「まずい!さっきのバンカー攻撃だ!シンジくん、バスター光輪を使うんだ!」

 

 

「は、はい!」

 

 

無事だった左腕に搭載した巨大電鋸を起動させ、オーバスターは使徒の腕を切り裂いた。すぐさまその場を離れるオーバスター。使徒は引き裂かれた腕を一瞥すると断面から新たに腕を生やした。

 

「な、治ってる!これじゃキリがありません!」

 

「落ち着け!その真ん中にある赤い球体、それがそいつの力の源だ!それを破壊すればーーーー」

 

「で、でも腕とかならまだしも近付けばあのバリアーで!」

 

 

「可動時間、残り5分を切りました!」

 

オペレーターの声が無常にもこだまする。それに対して輝諭は焦りを、シンジは恐れを感じオーバスターを後退させる。負けが、見えて来る。

使徒がゆっくりと仮面をこちらへ向けて光をチャージする。再びあの熱線を放つのだろう。しかしここはビルに囲まれた道路。横に咄嗟に逃げることはできない。

そして熱線は無常にもシンジとオーバスターへと降り注ぐ。

 

 

「シンジくん!」

 

 

はずであった。

 

 

 

 

 

 

シンジが再び目を開けると、そこに映っていたのは紫色の巨人がこちらを守るように立つ姿だった。

 

「あ、あれは!?」

 

 

 『くう、ううう、!ひ、一つ目の人。今のうちに!』

 

 

オーバスターへと通信が入る。あの紫の巨人のパイロットだろうか?その声は自分と同等かそれ以下の幼さを感じさせる声で、今の状況と相まって凄まじい違和感を感じさせた。

 

 

『エクセリヲン、エクセリヲン!応答願います!』

 

「ね、ネルフか!?」

 

『現在我々の兵器が奴の障壁を無効化しています!今のうちに、中心部のコアを破壊してください!』

 

 

「本当か?!協力感謝します!。シンジくん!」

 

「は、はい!」

 

 

それを聞いたシンジ、オーバスターはゆっくりと姿勢をピンと伸ばすと腹に巻いたサラシのような包帯をぎゅっと強く締めた。

それを行うと同時に、オーバスターの足の裏と背中のノズルから推進力を放出して空高く飛び上がった。

 

 

 

「と、飛んだ?!あのロボット飛ぶこともできるっての?」

 

「あんなものを、ただの企業が作ったって言うの?」

 

天高くまうオーバスターは雲の上まで駆け抜けると下にいる使徒へ向けて急降下を始めた。そしてその姿勢をキックのポーズへと変えて足の裏からバスター光輪と同じ電鋸を生やしながらエヴァに動きを止められている下へ向けて狙いを定めた。

 

そう、これこそ我らがスーパーロボットバスターマシン伝統の必殺技にして、文字通り逆転の切り札。

 

「シンジくんいっけえええええええっ!」

 

 

 

イナズマキックである。

 

 

 

 

 

「イナズマアアアアアアアアッ!!キイイイイイイイイイイイック!!」

 

 

 

それに対して2枚目の障壁を張る使徒であったが、出力が落ちた影響だろうか防ぎ蹴ることもできずその体ごとキックの餌食となってしまった。やがて何かが割れるような音とともに、使徒は身体を膨張させ光の十字架となり消滅するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エントリープラグから降りた綾波レイは、痛む腕を押さえながら上を見上げる。千切れた右手のまま腕を組むオーバスターは、胴体の包帯をたなびかせ輝く十字架を見つめ続けており、こちらに気づく様子はない。

 

そんな後ろ姿を綾波レイは救出班が到着するまで、見つめ続けるのだった。

 

 

 

 

 

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