鋼鉄は泡沫の幻想に坐す   作:柴猫

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魔法の森のとある一軒家。

何のものか分からないガラクタが大量に置いてあるその家を見ると、家主の性格が不安に思えてくる。

 

そんな家の中で、何やら熱心に作業をしている少女がいた。

霧雨魔理沙である。腐れ縁の霊夢とは正反対とも言える努力家な彼女は、現在魔法の研究をしていた。親元を飛び出してきてまで魔法の研究をしたかったのだろう。一般的には、その姿勢は評価されるべきだろう。もっとも、彼女を知っている者は手癖の悪さからそれを褒めることはないし、彼女もそういうのは求めていない。

 

魔理沙は今、怪しい液体を作っていた。複数の毒キノコが平然と置かれている中に、明らかに大きなキノコがあった。

鋼龍がいた世界のキノコだ。アオキノコ、毒テングダケ、ニトロダケ、マンドラゴラ。アオキノコを除いては、扱いに注意が必要なものばかりだ。しかし、魔法使いに必要なのはこういうキノコなので、致し方ない部分もあるのだが。

元の世界ではハンターが利用するキノコであり、重用されている。アオキノコは回復薬に、毒テングダケは毒煙玉に、ニトロダケは爆弾に、マンドラゴラは秘薬に、と。あの世界で多く使われているものなのだから、魔法使いにとっても使えるはずだ!…という魔理沙の持論である。異世界のものなのだから、暴論に聞こえなくもないが、彼女の表情を見る限り、あながち間違いではなかったようだ。

 

本を見ながら、慎重に液体をかき混ぜる。あちらの書士隊とやらが書いてくれた本と、こちらの魔導書を見比べながら、液体を混ぜ続ける。その姿はおとぎ話に出てくる魔女の姿そのものであった。

しかし魔理沙はすぐに悩み始め、かき混ぜる手を止めてしまった。やはり情報の少ない異世界のものを使用するのは無理があったか。

だが、魔理沙はここで易々とあきらめる少女ではない。情報が無ければ集めればいいのだ。

 

魔理沙は玄関の扉を開け放ち、箒にまたがって空を飛んだ。

 

 

目的地は紅魔館。紫色の魔女の図書館だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

フランは振り下ろされた凶悪な爪を寸でのところで避け、怪物の腹に足蹴を食らわせる。

怪物は怯むも、すぐに頭を振り上げ頭突きをかます。しかしそれも大きく距離を取られて躱された。

 

距離を取ったフランは手を握りしめる。怪物は怯み、生えている棘が一本、根元から破壊された。

が、その棘は僅か数秒の間に鋭い棘へと成長する。怪物は変わらずフランに対して並々ならぬ殺意を注ぐ。

 

最初に、フランは千個の目を手当たり次第に潰した。百個くらい潰したところで、破壊した棘がさらに太く、長く、鋭い形状へ進化するのを見て、即座に破壊の力による攻撃を中断した。妖怪ならば時間をおけば目は再生するが、こいつはそのスピードが段違いだ。

おまけにこいつは棘が生えた部位を荒々しく使って攻撃し、その棘をバラまいて私を攻め立ててくる。素の攻撃はそこまで速くないからと油断していたら、まんまとその戦法にかかってしまい、ダメージを貰ってしまった。といってもかすり傷程度で、戦闘に大きな支障は無い。

対して怪物は、何度か攻撃を入れているのに動きが鈍ることは無く、むしろ攻撃された怒りからか、より素早くなっている気がする。仕掛けてきたのはそっちなのに、なんて礼儀のなってないやつだ。

 

怪物は四肢に力を入れる。それを見てフランは即座に前方へ回避。部屋の天井を掠めて飛びあがった巨体は、部屋の床を軽々と貫いた。

タフさもそうだが、こいつの特徴は馬鹿げた攻撃力だ。圧倒的膂力と、生えた棘から繰り出される攻撃は、強大な妖怪である吸血鬼とはいえ、まともに食らえば命に関わるものであった。吸血鬼として幼い彼女からすれば、当たり所によっては即死もありえそうだった。

 

怪物の弱点の目さえ潰せればそれだけで良いのだが、やたらに目をつぶしたところで奴の戦闘力を強化するだけ。何より、そんな決着はつまらない。

なるべく長くしないと、暇つぶしにならない。この退屈から目を覚まさせてくれる戦いにならない!あの巫女が来た時のような感覚を、もう一度味わいたいのだ。

 

冷静に分析しているように見えて、狂気的な考えを崩さないフランドール。これが彼女の恐ろしいところだろう。

 

ここまで争えば館の誰かが気づきそうなものなのだが、意図したかのように状況が悪い。

 

今日は雲一つない晴天であり、吸血鬼は本来寝る時間であるので、レミリアは自室で深い眠りについている。フランもそのはずなのだが、彼女の部屋は日光が射さず、夜なのか昼なのかも分からないのだ。掛け時計はすでに壊してしまった。

ここのメイド長も、今は買い出しに出かけており、館を留守にしていた。

パチュリーも図書館で熱心に何かを研究しており、遠く離れたフランの状況を察知できる状態ではなかった。

門番の美鈴は、太陽の光が気持ちいいのかウトウト……当然気づけるはずもない。

妖精メイドや小悪魔は、なんか揺れているな?とは気にしつつも、片や暢気な性格の妖精、片や主人の研究の手伝いに駆り出されているので、結局誰も異変を察知できなかった。

 

すぐ下で、狂気の悪魔と未知の怪物が争っていることなど。

 

 

 

ただそれは、ある部外者の来訪によって明るみに出ることになるのだが。

 

 

 

 

 

 

 

魔理沙はそこそこの速さで紅魔館に向かっていた。もっとスピードは出せるのだが、異変でもないので速くする必要は無いと判断。風を感じながら紅魔館を目指す。

 

すると、森の一角でやけに妖精が集まっているのを見かける。恐らくクシャルダオラの周りに集まっているのだろう。変に刺激して幻想郷がメチャクチャになるのではと思ったのだが、華扇が言うにあの龍は妖精たちを遊び相手だと思っているらしい。異世界の、それも正体が分かっていない存在と打ち解けられるとは、大いに疑問に残る。

今進めている研究が終わったら、そっちも調べてみるか。と、考えつつ、魔理沙は目的地へ飛ぶ。

 

数分も経たないうちに目的地が見えてきた。湖のほとりに建つ悪趣味な洋館、紅魔館だ。

 

「ZZZ……うん?げっ、魔理沙さん!」

 

「よう、お勤めご苦労さん」

 

嫌味ったらしく返すと、美鈴はより気まずい表情になる。

 

「何しに来たんですか?まあ、だいたい分かってはいますけど」

 

「話が早くて助かるぜ。そこ通してくれよ」

 

「お断りします。泥棒を簡単に通しては門番の名折れです!」

 

「……だとしたらその名前、もう何十回と折れてるぞ、多分」

 

美鈴は独特の拳法を構え、魔理沙も戦闘態勢に入る。

 

「ま、力づくで通るだけだけどな」

 

「今日は通しません!」

 

二人が弾幕を飛ばそうとした、その時

 

 

 

グルォォォォォォォォォ!!!

 

 

獣のような、龍のような、荒々しい咆哮が、小さいが確かに聞こえた。しかも、館の中から。

 

「な、なんだ?」

 

「館の中から……何が起きている……?」

 

美鈴は身をひるがえし、館の中へと走り出す。門番の居なくなった門の前に取り残された魔理沙は、しばし逡巡した後、美鈴の後をついていった。

 

 

 

 

 

「パチュリー様!」

 

美鈴は図書館の扉を開け、図書館の主の名前を叫ぶ。

 

「美鈴?用事なら後にして、今忙しいの」

 

美鈴がパチュリーの元へ近づくと、何やら複雑な魔方陣が床に描かれていた。パチュリーは魔導書を机の上に広げ、何かの術式を作っているようだった。

 

「火急の要件です!館の方で獣の声がしたんです!」

 

「獣の?また寝ぼけてたんじゃないの」

 

「確かに聞こえたんですよ!」

 

「おお?面白そうなことしてるな」

 

美鈴の後をつけてきた魔理沙が、パチュリーの魔方陣を見て一言。

 

「あんたまで……確かにこれは急を要するわね」

 

そういうと、パチュリーは攻撃用の魔方陣を魔理沙の方へ向ける。

 

「おいおい、物騒だな」

 

「こうさせたのはあなたでしょう。もう二度とうちの本を盗めないようにしてあげる」

 

魔理沙とパチュリーが戦闘態勢をとり、弾幕ごっこを始める。

 

「で、ですからパチュリー様!」

 

美鈴が困り果てた声色でパチュリーに声をかけた。

 

 

 

そして図書館の床が崩壊した。

 

「「「!??」」」

 

三人は後ろへ飛び、崩壊の余波を免れる。図書館の床に大きく空いた穴から飛び出してきたのは、

 

「妹様!?」

 

なぜか傷を負っているフランと

 

「なんだこいつ!?」

 

そのフランを追って出てきた黒い怪物だった。

 

作者の執筆意欲が消えて投稿を再開できるかもかなり怪しいので、今後のプランをどうすべきか、読者の方々の意見を聞きたいです。

  • このまま続ける(頻度は相当落ちる
  • モンハン東方で新しく書き直す
  • モンハン東方はもう出さなくていい
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