鋼鉄は泡沫の幻想に坐す   作:柴猫

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本格的に戦闘です。





何だ、この妖怪は。目の前に現れた棘だらけの怪物に、魔理沙はそう思った。

 

妖気が出ているから、妖怪であることは分かる。ただ、あまり知識が豊富でない魔理沙でも、こんな妖怪は見たことがない。

東洋の龍にも似た骨格だが、その禍々しさから、それと同じ種とは言い難かった。魔王と言ったほうがまだ近そうだ。

それに、この殺気。本能を直接噛みつかれるような感覚には、弾幕ごっこではない本気を感じた。

 

パチュリーと美鈴は傷ついたフランを守るように立つ。怪物は二人を邪魔者と見たか、前足を振り上げ、美鈴を叩き潰そうとする。美鈴はそれを避け、床にめり込んだ怪物の前足に、妖力を込めた蹴りを放つ。

前足に生えた棘が折れるが、怪物は怯むことなく再度攻撃を仕掛けようとする。そこにパチュリーの魔法弾が襲い掛かる。私も星形の弾幕を打ち、怪物の右翼の棘を破壊する。

 

怪物は翼を広げ、図書館の上空へ退避する。獲物を見定めるように、こちらを睨みつける。

その動作の間に、左腕と右翼の棘が、白く、しかし破壊前よりも鋭く再生していった。

 

「再生ですか……」

 

「厄介ね」

 

怪物は上からパチュリーに対して攻撃を仕掛ける。パチュリーはそれを飛んで回避する。だが、空へ逃げたパチュリーに飛びかかりの追撃。パジャマみたいな服の裾がちぎれる。

 

「ちっ……」

 

彼女にしては珍しい舌打ちをつくと、再び魔法による攻撃。しかし、先ほどとは魔方陣の数が多い。地面に着地した怪物の背中を、殺すための弾幕が襲ってくる。

右翼の白い棘が破壊され、怪物がその場に悶える。

 

「チャンスだぜ!」

 

二つの魔法が怪物の全身を襲い、拳と蹴りが頭を乱打する。怪物は大きく美鈴を弾き飛ばし、態勢を立て直す。

 

相当に攻撃されたことからか、遂に怪物の怒りが頂点に達した。

 

 

ゴルルルルァァァァァァァァ!!!

 

 

紅魔館全体を震わす程の咆哮。三人はその場で動けなくなり、怪物の殺気がもろに伝わってくる。

怪物は美鈴に狙いを定め、右腕を思い切り叩き付ける。床を貫き、その下の地面が見えるほどの凄まじいパワー。鬼も顔負けの威力に加え、叩き付けた衝撃によって棘が大きくバラまかれ、美鈴の体を貫く。

 

美鈴は大きく吹き飛ばされ、図書館の壁に激突する。美鈴にとどめを刺そうと、怪物が大きく飛びあがった。

しかしそれはパチュリーが放った、水の弾幕に遮られた。着地に失敗し、本棚にガシャーンと墜落する。

 

「小悪魔!」

 

パチュリーが叫ぶと、倒れた本棚の隅に隠れていた小悪魔が飛び出し、美鈴を抱きかかえ、逃げる。その顔は今にも泣きだしそうであり、相当あの怪物を怖がっていたのが分かる。

 

「パ、パチュリー様ぁ……」

 

「はいはい、あんたは美鈴と妹様の手当をしてて」

 

私とパチュリーは怪物の前に立った。怪物は怒りのままに私たちを睨む。

 

 

強い。普通の妖怪ならさっきの集中砲火でくたばってるはずだが、こいつはそれで怯まない。むしろ、受けた傷を再生し、それをそのまま攻撃に転用してくるという厄介な性質。加えて、かなりの攻撃を受けても撤退しない獰猛さ。

しかし、ここで疑問が残る。こいつはなぜ紅魔館に忍び込んだんだ?ここの主の怒りを買うことは当然ながら、妖怪は同族の妖怪を襲っても何のメリットもないはず。にもかかわらず、忍び込むような真似をしてまでフランを襲った。何かの復讐だろうか?だが見た限り、知能はせいぜい野良妖怪程度だろう。そんな人間的な感情云々はあまり関係なさそうに見える。そもそも5メートルもある巨体がどうやって忍び込んだのか。

 

怪物は再び雄たけびをあげ、次は私に牙を剥く。考える時間は無いと悟り、ポケットからミニ八卦炉を取り出し、怪物を迎え撃つ。

 

 

だが、私たちの後ろから飛来した影が、怪物へと迫っていった。フランだ。

 

「妹様!」

 

小悪魔の呼びかけに、フランは答えない。僅かに見えた横顔には、狂った笑みを浮かべていた。

フランは怪物の頭に思いっきり激突する。頭を揺らす怪物に、フランは実体化させたレーヴァテインを怪物の角へと突き刺す。怪物はフランを振り払おうと激しく頭を揺すり、地面に叩き付ける。

だが、そこで怪物が大きく怯んだ。フランが魔力の大弾を至近距離で放ったのだ。続けてフランは破壊の力を使い、怪物の角を片方へし折った。

 

このまま押し切れるかと思ったが、怪物は即座に態勢を立て直し、フランを思いっきりぶん殴った。小柄な体が毬のように跳ね、本棚に激突して、そのまま動かなくなった。

 

「まずい……!」

 

パチュリーは怪物の気を逸らそうと弾幕を放つが、それらを無視しながら怪物はフランへと近づいていく。手を振り上げ、気絶した吸血鬼にとどめを刺さんとする。

 

 

 

しかしまたしても、小柄な影が怪物の腕を穿った。怯んだ怪物に、容赦のない攻撃魔法が襲う。

 

 

怪物が大きく転がっていくのを、レミリア・スカーレットは冷徹に見ていた。

 

「パチェ、状況を説明して」

 

「私たちが図書館にいたら、床を突き破ってこいつが出てきたのよ。既にフランは負傷していて、私たちで応戦していたところ」

 

レミリアは、小悪魔の手当てを受けている美鈴を見ると、そのまま怪物を睨む。震えかけるほどの恐ろしい殺気だ。

だが、起き上がった怪物もそれと同じくらいの殺気を放つ。

 

家族を傷つけられた怒り。獲物を仕留め損なった怒り。

理由は違えど、それはこの場にいる全員が息を飲むくらい、凄まじいものだった。

 

先手を取ったのは怪物。筋肉を生かした突進で、レミリアに迫る。

レミリアはグングニルを手に取り、怪物の突進を躱し、その背中に槍を突き刺した。怪物は僅かに悶えるが、翼を乱暴に広げ、レミリアを落とそうとするが、レミリアは即座に手を放し、遠距離からの魔法で攻撃された。

怪物はレミリアから目を外し、まだ意識が朦朧としているフランに、今度こそとどめを刺そうとした。

 

私は溜めていた魔力を一気に解放し、八卦炉からマスタースパークを放った。怪物は大きく怯み、壁に押し付けられる。

 

「貸し一つな」

 

「ぼさっとしてないで、とっとと攻撃しなさい」

 

パチュリーは魔方陣を展開し、更なる追撃を。レミリアも赤黒い弾幕を放ち、怪物の体力を削っていく。

それでも怪物は倒れない。横にステップして攻撃魔法の波から逃れ、近くのレミリアを殺そうと前足を振り下ろす。叩き付けを躱したレミリアだが、地面に叩き付けられ射出された棘が、レミリアの足に食い込んだ。

痛みに顔を顰めるレミリアに、怪物が更なる追撃を加えようとする。

 

突如として現れたナイフの群れが、怪物を襲った。不意の攻撃に、怪物はただ怯むことしか許されなかった。

隙が生まれた怪物のどてっ腹に、レミリアのグングニルが突き刺さった。こんなことできるのはこの館に一人しかいない。

 

「遅いわよ、咲夜」

 

「申し訳ありません」

 

紅魔館のメイド長―――十六夜咲夜はレミリアに謝った。

 

「まあ、今はこの五月蠅い獣を処分しましょ」

 

私たちは、それぞれの獲物を広げ、怪物にとどめを刺そうとする。

いつの間にか形勢が不利になっていたことに、怪物は恨めしく睨みつける。隙のない布陣に怪物は攻めあぐねる。

 

怪物の腹と背中からは血が流れ、その他にも大小多くの傷がついていた。いくらタフといえど、ここまで攻めればもう勝負は着いたも同然……

 

そう油断していた時だった。

 

 

怪物が雄たけびをあげた。だが、先ほどの咆哮とは何かが違う。やばい、これは非常にまずい。何の確証もなく、本能がそう告げているのだ。

 

 

怪物が宙に飛び、態勢を整え、こっちへ向かってくる。それに全員が即座に退避する。

 

 

 

 

直後、私の後ろで棘が爆ぜた。白い棘の氾濫が、私の体を掠めていった。それは館の壁すら突き破った。

 

 

 

「いって……」

 

痛みを我慢して向き直るが、怪物の姿は既に無かった。

 

 

 

その後、フランと美鈴の治療が最優先で進められ、ついでに私も治してもらった。

 

流石に本は盗らなかった。




私戦闘シーン書くの下手くそだな……

ではまたいつか

作者の執筆意欲が消えて投稿を再開できるかもかなり怪しいので、今後のプランをどうすべきか、読者の方々の意見を聞きたいです。

  • このまま続ける(頻度は相当落ちる
  • モンハン東方で新しく書き直す
  • モンハン東方はもう出さなくていい
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