鋼鉄は泡沫の幻想に坐す   作:柴猫

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「……あー」

 

やる気の無い声を出して机に突っ伏す。書きかけの原稿用紙が慰めるように頭をなでるが、鬱陶しく思い原稿用紙を丸めて屑籠に放る。

 

 

天狗の里

私は家で新聞を書いていた。しかし見ての通りネタが思い浮かばず、異常気象による妙な暑さにもやられてしまい、書く気が失せてしまったのだ。

どうしよう……明日には原稿を出さないと間に合わないのに。いや別に出さなくたっていいのだが、来月の新聞大会にも向けてここらへんで発行部数を稼いでおきたい。

 

「……仕方ないか」

 

私はカメラといつものネタ帳を持ち、窓から飛翔した。

 

ネタが浮かばない時はとりあえず外に出る。はたてと違って、私は真実を載せる新聞記者だ。そのためには実際に話を聞くのが何よりも良い。少なくとも、インパクトに乏しいネタばかり書くよりかはマシである。

 

 

 

上空まで飛翔し、ひとまず幻想郷を眺めてみる。

まずはどこに行こうか。紅魔館……は今新種の妖怪に襲撃されて気が立っている。前にも取材に行ったが、あれは近寄るべきではない。うん。

なら博麗神社か。あそこに行けば、とりあえずのネタはあるはずだが……まだインパクトが薄い。

 

そうだ、人里。風のうわさで、このところ田畑や里山の方で怪奇現象が発生しているらしい。まだ誰も書いていないから、そこを取材すれば新聞も売れるはず。

 

よし、そうしよう。まずは変装道具を取りに家に戻ろう。そう思って帰ろうとした、

 

 

 

大地が揺れた。

 

「え……!?」

 

空中にいるので揺れは感じなかったが、だからこそ幻想郷全体が大きく揺れ動いているのがよく分かった。天狗たちも突然の地震に慌てふためし、人里の方もかなりのパニックになっている。

 

おかしい。これほどの地震なら竜宮の使いが出てきて、さっさと忠告して帰っていくのだが、そんな話は聞いていないし、そもそも要石があるのだからこんな地震は起きないはず。

 

 

そこまで思考していた私の目に奇妙なものが映った。

 

「何……?」

 

奥深い森林の中に、明らかにおかしいものがあったのだ。天狗の目の良さを生かして、それをじっと見る。

 

細かい輪郭は分からないが、それは色あせた龍の頭部のように見える。かなり離れているはずなのに、なお極めて巨大に見えるそれが、地面から這い出てくるようにして天を向いているのだから、注目しないわけは無い。

 

私はカメラを持ってその頭へ近づこうとして、

 

 

 

刹那、突如上空から刃が飛来した。

 

「きゃっ!?」

 

とっさに回避するも、見るとカメラは引き裂かれたようにずたずたになっていた。

 

 

そして翼をはためかせながら、そいつは私を睨む。

 

全身が金色の鋭い鱗に覆われた巨体。肢体は一見細く見えるものの、筋肉に富んでいるのが見れば分かるほど鍛え上げられ、その体を宙に浮かしている前翼も立派だった。

頭部から生える刀のような鋭い角。尻尾も槍のように尖り、後ろ脚は交差したような一見すると奇怪な形状。しかしそこに生える鱗と爪は、あらゆるものを引き裂けそうな鋭さを持っている。

 

「なんなんですかいきなり…!」

 

私は団扇を構え、目の前に立つそれへ向ける。

 

 

煌めく千の刃は、私めがけて猛然と襲い掛かる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何だ何だ!?」

 

竹林の道中、突然強い揺れに襲われ、私は運んでいた薪を落としてしまった。薪が頭にぶつかるが、不老不死なので命に別条があることは、絶対にない。

 

少し時間が経って、足で立てるほど揺れが収まってきたので、私は周囲を見回す。

 

結構な規模の揺れだったが、迷いの竹林はそれほど変わっている様子はなかった。竹は元より、木は地面にしっかり根を張っているのでそう倒れることはない。それにしても、あの地震は何だったのか。

 

「……ん?」

 

前から何かがやってくる。数は……複数。事が事なので私は手に炎を浮かべ、こちらへと来る者たちの正体を見据えた。

 

 

近づくに連れて、そいつの姿が分かってくる。茶色と碧い羽の毛並みをした丸っこい体が、お世辞にも格好良くない全力疾走で走っていた。その見た目から、私は詰めていた息を吐き、その丸鳥たちは私には目もくれずに横を通過して行く。

 

「……あんなの竹林にいたっけ」

 

自分の千年はある記憶を振り返ってみるが、あんな奴らは見たことない。妖気も無いし、慧音の言っていた外来種とかいう奴らか?

今度彼女に聞いてみるか。そう思って薪を拾おうと屈んだ時、

 

 

 

さっき鳥もどきが走ってきた方向から、蒼い閃光が走った。

 

そこからゆったりとした動作で、歩みを進めるのはオオカミに似た怪物。

オオカミが余りにも小さく見えるような巨躯。それを蒼と金色の甲殻に包み、白い体毛がバチバチと音を立てている。発達した前足には鋭い鉤爪、頭部には金色の双角。周囲に不可思議な蒼い光を漂わせながら、長い尻尾を揺らして竹林を闊歩する様。

 

それは、まさに王者とも言うべき風格。

 

もう感じるはずの無い死の恐怖が来たかのように、私は炎をまとい、眼前の大狼へ向く。

 

 

 

竹林に、稲妻と無双の狩人の咆哮がほとばしる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

異変はなにも、空と竹林だけに限らなかった。

 

玄武の沢で、何やら少々大きな試作品の試運転をしていた河童。先の大地震により機械が壊れ、げんなりする彼女たちを

 

 

突如、崖から大きな影が降ってきた。

緑色の体色に、甲羅を背負い、カモノハシのようなクチバシをした巨大生物が、河童たちに襲い掛かろうとしていた。

 

「何だこいつ!?」

 

 

 

 

「……あれ何かしら」

 

「あれですか?前から湖に棲んでいた人魚ですよ」

 

「いやそうじゃなくて、それを追っかけてるあのでかい魚は何」

 

『助けてーー!!』

 

 

「……しつこい彼氏…とかではなさそうですね」

 

「いやむしろなんでそう思ったの?」

 

悪魔とそのメイドが湖で、逃げる人魚と、それを追う足のついた巨大魚を館から眺めていた。

 

 

 

 

「うおーー!!走れーー!!」

 

霧の湖では、畔でも逃走劇が繰り広げられていた。

 

妖精たちがチルノを先頭に、背後に張り付く青と黒の斑色の肉食竜から逃げていた。

 

「きゃっ!」

 

「大ちゃん!」

 

緑髪の大妖精が転倒してしまう。すぐそこには、黄色い凶暴な嘴たちが迫っていた。

 

「来い!あたいが相手してやる!」

 

青い肉食竜たちは鋭い牙と爪を見せ、目の前の餌に襲い掛かる。

 

 

 

 

「あらあら、地震の元凶を調べようと出たら、随分な歓迎ね」

 

魔法の森にて、アリス・マーガトロイドの眼前に立ちふさがるのは、くすんだ桃と紫の体色に身を包んだ凶暴そうな二足の獣。それも結構な数である。

 

その中でも非常に体が大きく、立派なエリマキを持つ個体が、天に向かって吠えた。

すると他の小さい奴らが、回り込むように移動した。獲物を取り囲んで逃げ場を失くす、原始的な包囲網。

 

「低級妖怪の群れだと思ったけど、意外に頭がいいのね」

 

アリスも眼前の獣の群れが明らかに妖怪ではないことに気づいたのか、人形を取り出しそれらを複雑な隊列で配置する。

 

「さ、原始的な種族の包囲網と知性ある軍隊、どちらが強いか決めましょうか」

 

 

 

 

「うわちょっと、何なのよ一体!」

 

「もう、食事の邪魔しないでよね」

 

道端の屋台でヤツメウナギを焼いていたミスティアと、それを食べていたリグルが目を向けたのは見たことも無い獣。

 

カバのような口に、全身が桃色の毛で覆われ、手入れしたように伸びる鮮やかなトサカ。珍獣の視線は、屋台の蒲焼に向けられていた。

 

「悪いけど、無賃飲食は許さないからね!」

 

「……ねえ、ミスティア。何か変な匂いしない?」

 

リグルがそう言いかけた時、珍獣の尻から明らかにやばい色の気体が飛び出した。

 

 

 

 

「こっちに来ないでー!!」

 

鈴蘭が咲き誇る花畑で、メディスンは怪鳥に追われていた。

 

深い緑色の羽毛を首に生やし、奇異な色の尻尾と、ぎょろりと飛び出した目玉は、誕生してまだ幼いメディスンには、非常に恐怖であった。

 

しかも先ほどからちょくちょく当てている毒の弾も、怪鳥には効果が無く、お返しと言わんばかりに毒液を吐いてくる。人形ゆえに直接のダメージにはなっていないが、それはそれで精神的な辛さが浮き彫りになるのだ。

 

しばし鈴蘭畑で、人形と怪鳥の追いかけっこが続いた。

 

 




モンハンのモンスター、ついに幻想郷襲来
幻想郷の住民はどう動くのか?次回はそれを書こうと思います

ではまたいつか

作者の執筆意欲が消えて投稿を再開できるかもかなり怪しいので、今後のプランをどうすべきか、読者の方々の意見を聞きたいです。

  • このまま続ける(頻度は相当落ちる
  • モンハン東方で新しく書き直す
  • モンハン東方はもう出さなくていい
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