元々幻想郷には神仏と関わる場所が、博麗神社くらいしか無かった。何でなのかは知らないが、そもそも一つしか無かった。
それが時を経て、外の世界から守矢神社が引っ越してきた。その際博麗神社といざこざがあったが、弾幕で話をつけたらしい。
そしてそこの祭神である八坂神奈子は、幻想郷のエネルギー革命を起こそうとし、地底の地獄烏に八咫烏の力を与えた。……ただ力を与えた相手がまずかった。その地獄烏は地上を焦熱地獄に変えようと地上に間欠泉を出現させ、異変解決者の二人に退治された。
そして、その間欠泉によって封印されていたある妖怪たちが、地上に解き放たれた。解放された彼女らは、ある僧侶の解放を目指した。
妖怪に慕われる尼僧。それが、聖白蓮である。
元は自分に掛けた不老の術を続けさせるために妖怪を保護していた彼女だが、妖怪たちの悲劇的な話を聞き続けるうちに、彼女は妖怪を本気で救おうと考えるようになった。時の権力に邪魔されて封印されてしまったが、千年の時を経て、幻想郷に復活したのだ。
自分の考えは受け入れて貰えなかったが、それでも今は自分の信念に従って動き、妖怪との共存を目指している。
さて、そんな聖白蓮の運営する寺である命蓮寺で、白蓮は悩んでいた。
彼女の悩みの種は、言わずもがなモンスターについてである。
「……うーん、里の近くに色々とモンスターが棲みついてしまっていますねぇ」
白蓮は目の前にある報告書を見て、頭を抱える。
これらは命蓮寺の一員であるナズーリンが、子ネズミを使って調べ上げたモンスターの生息域に関する情報である。人里の周辺を重点的に調べ上げられているそれを、入道使いの雲居一輪がつまみあげる。
「けるび?とかそういうのは良いんですけれど、問題は肉食の奴らですよね」
「そうね。里に住む方々では対処が難しいですから」
白蓮が危惧しているのは、肉食竜による里への被害。あちらの世界の村などと違って、幻想郷の人里には簡易的な壁しかなく、それらも主に野良妖怪の侵入を防ぐのが主目的だ。里の自警団だけでは、対処は困難を極めることだろう。
白蓮は書類を流し目で見ながら、三日前の出来事を思い出す。
初めて集会に参加した面々でもある彼女は、八雲紫からモンスターに関する情報を聞いた。にわかには信じ難い話であったが、門徒の妖怪も実際に見たというなら、真面目に取り組まなければならない。
そして彼女が先の集会で最も気になったのが、賢者が放ったある一言。
―――異世界同士の交錯の原因は既に判明してるのよ―――
判明しているのなら、なぜ彼女はそれを解決しようとしないのか。
八雲紫という妖怪が、この幻想郷を深く愛しているのは、新参でもある白蓮でも知っている。過去にはそれで天人と本気で戦ったというのは、知るものぞ知る大きな事件でもあるのだ。
そして彼女の性格から察するに、幻想郷に危険を及ぼしかねないものを放っておくのは考えにくい。そうすると、集会の目的である『幻想郷への異常流入を止める』というのは、かなり消極的ではないか。
……考えていても仕方ない。人間や妖怪たちを守るためだ。私に出来ることをやらねばならない。
「ひとまず、人里の皆さんにこの情報を伝えましょう」
「え、いいんですか?天狗とかの奴らが黙っていなと思いますけど」
「あくまで小型のモンスターだけよ。大型ともなると、既に大物たちが対処してるでしょう。我々は、人里を守ることに注力しましょう」
「……はい!」
こうして命蓮寺は、里に最も近い寺としての務めを果たすことになる。
魔法の森
私はある一軒家の前に来ていた。
一歩外に出れば油断できない自然が広がっているというのに、その家は妙に小奇麗だった。庭と思しき空間には、ティータイム用のテーブルやイスが立てられ、家主の性格が見えてくる。
「おーいアリスー、いるかー?」
玄関を開け、中へ入る。そのままリビングへ足を運ぶと、探していた魔法使いの姿があった。
「ノックくらいしなさい」
「入ってきたんだから、玄関まで来ればいいじゃないか」
編み物をしているアリスは、私のことを流し目で見ながら作業を続ける。
だが私は、アリスの陶磁器のような白い肌に、包帯が巻かれているのに気付いた。
「ん?お前ケガしてるのか?」
「え……ああこれ。前にモンスターとやらの群れに襲われてね。群れのリーダーを殺したはいいんだけど、生意気に掠り傷ををつけられたのよ」
「余裕で狩ったみたいな感じだが、結構なケガだな」
傷は腕だけでなく、足や頬にも手当の跡があった。恐らく服の下にも、同じくらい多くケガをしているのだろう。
「医者に診てもらったら良かったじゃないか」
「あんなところに行くより、自分で直したほうがいいわ。それに、色々あるのよ」
色々……と悩んでいると、アリスが編んでいる布が、ただの布の模様ではないことに気がついた。
「それ……布じゃなくて皮だな?もしかして、そのモンスターの奴か?」
「今さら気づいたの?そこらへんに放置して野良妖怪が群がるのも嫌だから、処理したのよ。これはその報酬」
「報酬って……あ、模様で思い出した。それはジャギィのものだな」
「あれ、ジャギィっていうの?」
「ああ。ジャギィの群れのリーダーがドスジャギィ。ジャギィノスって雌もいるんだが、見てないか?」
いいえ、とアリスは皮をなめしながら答える。
「うーん、魔法の森にまでモンスターは侵入してるのか。分かった、それじゃあな」
「次来るときは、モンスターの素材でも持ってきなさい」
アリスはそう言って作業を再開し、私は再び空を飛んだ。
迷いの竹林
昔は高草郡と呼ばれていたこの竹林には、人は滅多に足を踏み入れない。〝迷い〟の名が示しているように、全て同じような竹が生い茂り、目立つような目印がない竹林。幸運の素兎か、竹林の案内人に会わなければ、ここを通って目的地に入るのは難しい。
そしてそんな土地に建つ、古の空気を伝える建築様式の館。
人々が永遠亭と呼ぶその館は、竹林の中にあってまるで時が止まったかのような雰囲気を、来たものに伝える。
その永遠亭にて、医者と呼ばれる人物が一人、イスに腰かけ思案に耽っていた。
八意永琳。永遠亭の医師であり、元月の賢者でもある。机には何枚かの紙が置かれており、それは迷いの竹林でのモンスターの分布を示しているものだった。
今はもう地上に堕ちた身とはいえ、月の頭脳と言われた彼女の考えすら穢れたわけではない。事実、幻想郷の一重鎮として地位を確立しているのだから、相当なものである。
しかしそれは彼女の目的ではない。それも全て己の仕える姫、蓬莱山輝夜の為なのだ。
彼女は、幻想郷が本格的にモンスターへの対抗を考える前から、それを考えていた。
半年前、月の探査船が襲撃された事件。完全浄化用に作られた、月の技術の最新鋭であろう探査船が、鋼龍の一撃で使い物にならなくなった。操縦者が月の民であっても、おそらく結末は変わらなかっただろう。
あの龍は、異次元すぎる。永琳は表面上は静かな様でいて、内面は焦っていた。
かの龍を研究しようと動こうとしたが、幻想郷の他勢力から上手く動けなかった。幸か不幸か、その龍がおとなしかったため特に焦ることはないと思っていたが、この異常事態が起こってしまったからには、多少強引に動く必要があるだろう。
無論、妖怪だろうがモンスターだろうが、姫には傷一つ付けさせはしない。これだけは決して譲れない。
その為には、あのクシャルダオラを詳しく調べなくてはならないだろう。
なぜ妖力や神力に頼らずに、ただいるだけで幻想郷全体を覆える風を発することができるのか。
月の存在が一目散に逃げだす、あの莫大な生命エネルギーは何なのか。
蓬莱の知識人は、久方ぶりに掻き立てられる好奇の心に、喜びをあらわにした。
作者の執筆意欲が消えて投稿を再開できるかもかなり怪しいので、今後のプランをどうすべきか、読者の方々の意見を聞きたいです。
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このまま続ける(頻度は相当落ちる
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モンハン東方で新しく書き直す
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モンハン東方はもう出さなくていい