鋼鉄は泡沫の幻想に坐す   作:柴猫

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5/5追記
章の付け直し。また申し訳ありません。


㯃章 単純な殺し合い


血よ

 

 

陸に、海に、空に流れる 我々に生と死 時間を与えるもの

 

 

血は一針の隙間なく 世界と我の体を埋め尽くす

 

 

糸にも似た血 食うか食われるか 二足の絆

 

 

血は我らをつなぎ、永遠の恵みを与えん

 

 

 

なべての血は 白き王につながらん

 

 

 

 

 

――――――シュレイド地方のとある小村に伝わる歌

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ごそごそ…がさがさ

 

「うぷっ、流石に埃がすごいな」

 

私は家の倉庫を漁り、目的のものを探していた。毎日整頓していればこうはならないんだが、魔法の研究のほうが最重要だからそんな面倒なことはしない。

それより、あれはどこに放ったけな?無縁塚にあるものにしては状態が良いから拾ってきたんだが。

 

「お」

 

大量の物の山に手を突っ込んで、指先にその感触が伝わってきた。両手でその感触の正体を掴んで引っ張る。

 

出てきたのは、私の顔くらいの大きさの樽。中身はない、ただの木の重さだけが伝わってくる。

普通の奴なら道端に捨ててるだろうが、私の蒐集心は見逃さなかった。

なにより蓋の底に彫られている、『小タル爆弾専用』という字。

 

爆発するために作られたタルなら、存分に使わせてもらおう。今日はかなりの強敵に挑むからな。手段は選ばない。

 

 

 

 

作業も終わり、私は荷物を整理する。

 

まず回復薬。これは古い編纂書に書かれてたのをそのまま調合した。回復系の魔法は得意じゃないから、これは重宝する。

あとは閃光玉やその他諸々……あっちのハンターが使ってるアイテムを作ってみた。念には念を、だ。

 

荷物の確認を済ませたのでバックに詰め込んで背負う。箒にまたがって、待ち合わせ場所に直行!

 

 

 

 

 

 

「よし、一番乗りだ!」

 

「なに言ってるのよ。あんたが一番遅いじゃない」

 

「咲夜にお茶でも用意させておけば良かったわね」

 

人里のはずれの森の中。いつぞやのお稲荷さんの前で、アリスとパチュリーは待っていた。

 

「何言ってるんだよ、風に乗れた一番乗りってやつだぞ」

 

「そんな大荷物でよく風に乗れたわね」

 

「うん?そういうお前らは随分身軽だな」

 

私がバックにしこたま詰め込んでいるのに、アリスは人形の数が多めで、パチュリーは魔導書を二冊多く携帯しているくらいだ。

 

「おかげであなたより速く来れたのよ。雑多な荷物を持つよりも、このほうが良いでしょ?」

 

「いつも図書館に籠ってるからそんなに速く来れないと思ったぜ」

 

「そんなことより、魔理沙。行先は分かってるのよね」

 

「もちろんだ!」私は胸を張って答える。

 

 

「あのモンスター、オロミドロは森の僻地に巣を作ってる。今回は私たちから攻めてやるぜ!」

 

 

 

 

 

 

 

あれから魔理沙は、単独でオロミドロの行方を探っていた。色々な思いはあるだろうが、やはり霊夢の敵討ちという面が強いだろう。

地道に足跡と塗りつけられた泥を追跡し、ついにオロミドロの巣を探り出したのだ。

 

とはいえ、相手は霊夢を倒すほどの実力を持つモンスター。魔理沙一人で倒すのはかなり厳しい。いや、十中八九返り討ちにあうだけだろう。

そこで彼女はオロミドロ討伐に来てくれそうな知り合いに頼んだ。

二人が付いてきた理由は〝魔法研究に役立ちそうだから〟魔道を究める者として、未知の存在には心惹かれるのだろう。

 

 

夏を感じさせる日差しが照り付ける森を飛び、一同はある泥沼へとついた。

いつぞやの大嵐で出来たのだろうか。水面は茶色に濁り、独特の匂いを放っている。

 

「ここ?」

 

「ああそうだ。丸二日追ってようやく突き止めたんだ。褒めても良いんだぜ」

 

「はいはい。でも肝心の奴の姿がないんだけど」

 

アリスの言う通り、泥沼にはなんの生き物の姿も見えなかった。せいぜいハエやカが飛んでいるだけで、鯉一匹も見当たらない。

どういうこと?とアリスとパチュリーは魔理沙を見つめる。

 

「あれ?おかしいな、ここに棲んでいるはずなんだけどな」

 

「見間違えとかかしら。あなたならやらかしそうだけど」

 

「そこまで言うなら、私があいつを引っ張り出してやる!」

 

魔理沙はバッグの中から何かを取り出す。

彼女の手にあったのは、魔法陣が描かれた手持ちの木樽。二人は怪訝そうにそれを見つめるが、正体は魔理沙しか知らない。

 

魔理沙はそれを泥沼に放り込んだ。小タルは水面に落ち波紋を広げる。

 

 

そして、泥沼全体が大きく揺れる。三人は身構え、泥沼の主を待つ。

 

 

 

泥沼から長大な影が飛び出してきた。全身を泥色の甲殻と鱗で覆い、赤いひげと奇妙な尻尾を持つ。オロミドロだ。

その長髭で小タルの着水の振動を感じ取り、出てきたのだろう。衝撃で小タルが大きく跳ねる。

 

その時、小タルに描かれた魔法陣が起動する。連鎖してタルの内側にまでびっしり書かれた魔法陣、そしてタルに入った爆薬が反応。

 

 

 

魔理沙の作った小タル爆弾は、その小ささに見合わない大爆発を引き起こした!

 

その衝撃は遠くいた魔理沙たちにすら届くほど。もっと近いオロミドロはそれ以上に衝撃を受けただろう。飛びだした泥翁竜は地面にのたうち回った。

 

「な、言っただろ」

 

「乱暴ねえ。魔法使いならもっとスマートに出来ないの?」

 

「パチュリー、こいつにそんなの求めたって無駄よ」

 

「おい!そこは褒めるとこだろ!」

 

いつも通りのやり取り。その間にオロミドロは態勢を立て直し、縄張りへの侵入者に向かって咆哮する。

 

「まあ、悪くないノックの仕方だったわよ」

 

「お、じゃあ今度からそうするか」

 

「あなたは人間相手へのノックから勉強しなさい」

 

 

先に仕掛けたのはアリス。魔法の糸で繋がれた人形たちが、オロミドロを襲う。

 

オロミドロは尻尾を振り上げ、泥沼の泥を搔き出す。泥の波に人形たちは押し流され、攻撃は届かなかった。

 

続いて魔理沙とパチュリーが魔法を放つ。事前に魔理沙からオロミドロの生態は聞いている。何が弱点か、もだ。

二人はオロミドロの弱点の火の弾幕を放つ。非実体の魔法弾は泥では簡単には押し流されない。先ほどのようにはいかないだろう。

 

それを見たオロミドロは、泥沼にその全身を沈めた。星形の弾幕と火の魔法が泥沼を激しく打つ。

オロミドロは沼の中を潜航し、三人の後ろへ出て回避した。

 

 

反撃と言わんばかりに泥翁竜が上体を持ち上げ、爪で引っかく。宙に浮いているとはいえ、オロミドロがかなりの大きさであるため、その尖爪は魔理沙とパチュリーに届いた。

二人はそれを回避するが、オロミドロは更に尻尾を振って宙を薙ぐ。パチュリーは少し危なげであったが回避には成功した。

 

初撃に失敗したアリスが、再度人形を使った突撃を行う。その人形は、アリスが仕留めたジャギィの皮で出来た防具と武器を装備していた。

オロミドロは再度泥で押し流そうとするが、別に展開されていた人形の弾幕が妨害する。

 

人形の小隊はオロミドロに直接攻撃を仕掛ける。ただの刃物よりよっぽど鋭いジャギィの武器は、オロミドロの体に確かに傷を与えた。

鬱陶しそうにオロミドロが全身をくねらせ、人形たちを振りほどく。オロミドロも小さい奴らのリーダーがアリスと気づいたのか、アリスに向かって泥を飛ばす。

 

「防御!」

 

アリスの号令に盾を構えた人形たちが術者をかばう。泥は中々の重さであったが、人形たちの盾はそれを防ぎ切った。

 

その隙に魔法陣を展開していたパチュリーが、弾幕を放つ。色彩豊かな属性弾幕がオロミドロを襲う。最も効果を与えていたのは火属性だが、水の弾幕も体表の泥を洗い流し、防御力を低下させる。

 

オロミドロはパチュリーを狙い、宙を翔けながら突進を仕掛ける。長大な体が迫る様子は中々の迫力だが、それに屈するほどパチュリーは若くない。

防御術式で突進を受け流し、アリスのもとへ戻る。そこに魔理沙も合流し、双方再度にらみ合う。

 

「魔理沙、()()は?」

 

「おう、ばっちりだ!」

 

オロミドロは黄金色の液体をほとばしらせ、排除すべき敵へ咆哮する。

 

 

 

凸凹魔法使い三人組も、各々が得意とする魔法を備え、異世界からの侵入者に相対する。




これから忙しくなるので遅くなると思います。ご了承ください


ではまたいつか

作者の執筆意欲が消えて投稿を再開できるかもかなり怪しいので、今後のプランをどうすべきか、読者の方々の意見を聞きたいです。

  • このまま続ける(頻度は相当落ちる
  • モンハン東方で新しく書き直す
  • モンハン東方はもう出さなくていい
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