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妖怪の山のとある一角において
今、一つの命が大地に還った。
日に輝いていた刃鱗は血にぬれ、鋭い刀角は半ばから折れたひどい姿で、千刃竜は地に倒れていた。
その竜を狩ったのは天狗の一団。しかし彼女らも這う這うの体で座りこんでいた。
医療班は前線で戦っていた戦闘員の手当てに勤しんでいる。セルレギオスの鱗と爪が引き裂いた皮膚は、妖怪の上位者たる天狗ですら相当に苦しむものだった。防具などは紙のように引き裂かれ、武器も損傷していないものを探すのが困難なほどである。
満身創痍の天狗の討伐隊であるが、その中には死者の姿は含まれていなかった。
それには、後衛で支援に当たった烏天狗たちの一助が大きいだろう。
セルレギオスの鱗は非常に軽く、打ち出した勢いでかなりの距離を飛翔する。たとえ遠距離にいる相手だろうが、極めて鋭い刃鱗は傷口を抉り、獲物に継続的な激痛を与える。セルレギオスの生存戦略の賜物である。
そのことを天魔から聞かされていた烏天狗たちは、ある作戦を思いついた。
それは、セルレギオスの刃鱗の軽さを利用し、天狗の持つ風を起こす力で無効化するものだった。
前衛には大盾を構えた完全防御特化の白狼天狗を配備し、その後ろから遠距離攻撃を仕掛けて討伐する。射命丸を主導に考えられた、この作戦。
失敗があるとするのなら、セルレギオスの爪の鋭さを考慮していなかったことか。白狼天狗の一人が、盾を引き裂かれ後ろ足に捕らわれた時は一団が動揺したが、拘束された白狼天狗は一命を取り留め、討伐は成功したのだ。
討伐の成功に、一人の烏天狗が鼻高に喜ぶ。
「ははは!我ら天狗の領土に踏み入ったのが運の尽きでしたな」
その烏天狗はリーダーである文に向かってそう言ったが、当の本人はなんの反応も示さない。失言だったか、とその天狗が口をふさぐ。
射命丸はセルレギオスの死骸のそばに立ち、まだ状態の良い刃鱗を手に取った。
自身の血で汚れた鱗はみすぼらしい様であったが、その切れ味は生きていたころと全く遜色ない鋭さであった。
「……そちらの」
「はっ、はい!」
慢心な烏天狗であったが、己より上の者である射命丸には下らしく応対する。
「こやつの遺体を、河童の所に運びなさい」
「は?」
「この竜の鱗は中々に鋭いものです。加工して我らの装備を増強させるべきでしょう?
この竜を倒したところで、異変は終わっていないのですから」
射命丸の命令に、その烏天狗は「御意」と答えて目的地へ向かった。
だが振り返ったその顔面に、巨大な何かが激突した。
「ぐあ!」
突然の攻撃。動ける天狗たちは、すぐさまその物体の正体を確かめる。
「……柿?」
「上だ!」
誰かが言った通り、天狗の一団が安静にしていた森の樹上に、
淡い青色の毛皮に、猿のような顔つき。前足には翼が生え、木を掴んでいるその尻尾は葉団扇のような五本指。
傷ついた天狗の集団に、天狗獣 ビシュテンゴは再び柿を投げつけた。
「うわー!撤退撤退ー!」
霧の湖の畔で、妖精たちが逃げ惑っていた。
それを追うのは、深緑と赤い顔の肉食獣、マッカォの群れであった。
数分前、ランポスたちと激闘を繰り広げていた妖精達。双方一歩も譲らない戦いぶりであった。妖精側は一回休みになったものは数知れず、ランポス側も結構な痛手を負っていた。
そこに突如マッカォの群れが襲来、手負いのランポスの群れを倒し、今度は妖精たちを追っている。
そしてそれを率いているのは、群れのリーダー、跳狗竜 ドスマッカォ。二足で駆けながら妖精達を追い掛け回す。
マッカォの群れの追い掛けは、妖精達が飛んで逃げていき、ひとまずは終わった。
そんな騒動が起きている畔とは、湖を隔てて正反対の位置。
吸血鬼の当主が、そばにメイドを連れて、のんびりと釣りを行っていた。
湖を隔てた反対の位置では今結構な騒ぎが起きていると言うのに、日傘を咲夜に持たせながら魚がかかるのを待っている空間は、非常にのんびりとした時間が流れていた。
しかしレミリアが垂らす釣り針にはカエルが刺さっており、彼女が普通に魚釣りをしているわけではないらしい。
しばらくしてから、釣り竿に向かって巨大な影が忍び寄ってきた。レミリアと咲夜は顔を引き締め、じっと待つ。
影は釣り餌のカエルの前でしばらく止まる。二人は一層気を引き締め、待ちに徹する。
遂に魚影が釣り餌に食らいついた!レミリアはすぐさま折り畳み式のイスから立ち上がり、竿が折れんばかりの勢いで釣り上げようとする。
「……ふっ!」
呼吸を合わせ、思い切り竿を振り上げた。
釣り上げられた水竜 ガノトトスは思い切り地面に激突し、そのまま動かなくなった。
「やったわ!」
「見事でございます、お嬢様」
釣り上げたガノトトスを見て、レミリアは外見相応に喜んでいた。
「……ここにもいないのか」
薄暗い迷いの竹林の中、藤原妹紅は探し歩いていた。
捜索の対象は、つい三日前に彼女を襲ったモンスター。ジンオウガである。
あの時は未知の妖怪か何かと思って、手製の妖怪退治用の札を使ったのだが、当然ジンオウガには全く効かず。超帯電状態にある猛攻をいきなり受けて、一回殺されてしまった。
永琳から聞いた話、ジンオウガの超帯電状態は外敵に遭遇した時に繰り出す本気モードのようなもので、私が出会った瞬間からその状態なのはおかしい、と言っていた。
その他にも彼女からジンオウガに関する情報は聞き、私自らあいつを倒してやると、今こうして探しているわけだ。
知らなかった奴とはいえ、全敗に近い形でやられたのは私のプライドが許さない。何よりも、これからあいつと殺し合いするときにそのことを一々言われるのが、すごい癪に障るだろう。こう想像しているだけでイライラしてくる。
そういうわけで意気揚々と竹林の奥に入ったのはいいのだが、肝心の奴の姿がどこにもいない。あいつが共生しているという超電雷光虫も見つからず、普通の雷光虫だけがわさわさいるだけである。
私もここに住んで永くなるが、迷いの竹林を全て網羅しているわけでもない。深く深くと入っていき、だんだん自分のいる場所が分からなくなってきた。
すると、前方に光が見えてきた。
一瞬ジンオウガか、とも思ったがそれはすぐに違うと分かった。
だってその光は、蒼く美しい雷光ではなく、
妖魔の類が発するような、言うなれば鬼火は、少しずつ私の方へ寄ってくる。
しかし、あれは本当に鬼火なのか?
鬼火は通常赤いはず。狐火の方は青。紫色なんて、それこそ作り話でしか読んだことない。
私は逃げることなく、全身から赤い炎を吹き出す。竹はそんな簡単には燃えないので、足元の地面が燃えるだけだ。
赤い霊力の炎は鬼火の方へと、光を灯し、その正体をあらわにしていく。
「っ!?」
そこに飛び込んできたのは、またしても予想外な光景だった。
紫色の不気味な鬼火を、十文字槍のように展開した尻尾に灯しながら、そいつは闊歩している。紫紺色の鱗と甲殻に覆われた、筋力の発達した肢体。背と前足には黄色の突起に見える部位が立ち並び、名将の兜のような頭部は、あるモンスターを咥えていた。
そいつは、私が探していた雷狼竜だったのだ。黄金と碧の美しい体は、もはやズタボロに引き裂かれ、その体からは未だに血を流している。
禍々しい竜の目が、私を捉えた。鬼気迫るような迫力は、並大抵の妖怪を超えてしまうようだ。咥えた雷狼竜の骸を雑に放り、その口からも鬼火のような炎が噴き出した。
怨虎竜 マガイマガドは鬼火と執念を滾らせ、首なしの不死鳥に食らいついた。
ガノトトスは4Gの個体です。釣り上げただけで死ぬ。
ではまたいつか
作者の執筆意欲が消えて投稿を再開できるかもかなり怪しいので、今後のプランをどうすべきか、読者の方々の意見を聞きたいです。
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このまま続ける(頻度は相当落ちる
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モンハン東方で新しく書き直す
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モンハン東方はもう出さなくていい