まぶしい。
めがみえないくらいに、じぶんがなにをみているのかも、もうわからない。
でも、そのひかりをうけいれなきゃ。なんとしても。かならず。だってそうすれば……
あれ。
ぼくはなんのためにこんなあかるいひかりをもとめてるんだ?
爆発が大気を焼き、地面を抉る。
それによってほぼ消えかけた残火が、今度は青々として地に満ちる。
私は息を吐き、その火を消し飛ばす。紅蓮と青炎が突っ込むのを、空中へと逃げる。
目の前に立ちふさがる炎の龍の番は、異常なまでに目を爛々と燃やして私に吠える。負けじと私も咆哮する。そうでもしなければ、私もああなってしまいそうだった。
奴らだけではなく、その後ろにはやたらに暴れまわる竜種が阿鼻叫喚というような戦闘を飽きもせず繰り返していた。
ここの竜たちは、皆このような有様だった。眼球が歪な光を放ち、ところかまわず暴れ回る。自分の傷などまるで関係なしの、これまでに見たことないような惨劇だった。
ハァと、奴らにも気づかないようなため息が自然と出る。それは目の前のかつての賢王の暴走に走った姿と、昔の私もこれに近かったのかという二つへ向けられたものだった。
紫の言っていたことは正しかった。
こんな奴らが一頭でも幻想郷に侵入してしまえば、あの綺麗な森や湖は醜くかれてしまうだろう。ここまで近づいてようやく分かったが、この狂気の原因は絶対にあの冥灯龍だ。死骸がどうしてここまで命を狂わせられるのかは良く分からないが、そんな事はどうでもいい。
今は目の前の敵を殲滅するだけだ。
翼を広げ、角に力を注ぎ込む。光に狂う暴虐を、更に秩序のない嵐が包み込む。
『貴様らまとめてかかって来い!一頭残らず吹き飛ばしてくれる!』
ゴアアアアァァァァァ!!!!
咆哮と咆哮が鬩ぎ合い、容赦なき大乱闘が幕を開ける。
空に羽ばたくリオレウスは、毒爪で私を引き裂こうと滑空してくる。
その恐ろしいスピードの攻撃に、スカートの裾が千切れる。距離を取ろうとする私に、火竜はその異名に相応しい超高温のブレスをお見舞いする。
「霊夢さん!」
私は今度もそれを寸でのところで躱す。直接は当たっていないはずなのに、熱は私の頬を乱暴に撫で、右の髪結いを塵にしていった。
「そこまでだこの飛竜!」
魔理沙の八卦炉から光が直線状に溢れ出す。星の光のようなレーザーはリオレウスに命中……すると思われたが、空の王者は横へとスラロームしながらそれを躱した。攻撃してきた魔理沙には目もくれず、再び私を睨む。
今度は滑空しての突進。あの巨体が迫る様子はかなりの迫力だが、地底の地獄烏の弾幕に比べればなんてことは無い。
私はそれを飛び越すように回避し、そいつの背中を掴む。巫術によって現れた注連縄がリオレウスの胴体を回り込んで繋ぎ、固定する。リオレウスは私を振り落とそうとするが、腰に巻かれた注連縄がそうさせない。零距離の背中に属性お札を連射する。
「妖夢、参ります!」
空に飛んできた妖夢が、背中の私に気を取られているリオレウスの正面に位置した。妖夢は矢継ぎ早に剣戟を繰り出し、リオレウスの甲殻に傷を付けていく。
だがその連続攻撃も、空中で暴れる火竜の翼が起こす風圧によって押し戻されてしまう。これ以上はまずいと判断し、注連縄を切って地面に着地する。
私の視界が、赤で染まった。正体はリオレウスが放ったブレス。回避不可能の一撃に一閃の煌めきが走った。火球は半球状に切断され、後ろの龍結晶に直撃する。
「大丈夫!?」
「ええ、助かったわ妖夢」
火竜は地上へと着地し、私たち三人に吠える。
後方では、紫と幽々子が黙々と冥灯龍を死に追いやろうと術を唱え続けている。直接視認していなくとも、その肢体から煌々と光が強まっていくのが分かる。
どうしてかは知らないが、火竜は特に私を狙って攻撃してきている。連撃を避け続けるのは容易ではないが、注意をこちらに向けてくれるのは好都合だ。そこを狙って二人が攻めてくれれば、リオレウスに痛打を与えられるはず。
「二人とも、私があいつの注意を引くから、その隙に大技を撃って」
「おい霊夢、お前は大丈夫なのか?」
「平気、まだ防御用の結界は残ってる。いいから、頼むわよ!」
霊夢はそう言ってリオレウスの懐へと突っ込む。魔理沙は覚悟を決め、
最大限警戒すべき敵が眼前へと迫って来るリオレウスは、飛翔しつつ脚の爪を開いて霊夢を掴もうとする。霊夢はそれを避けて下から回り込もうとする。狙いは先ほども狙った背中への攻撃。背部はリオレウスの攻撃が届かずに唯一攻撃できる部位だ。その分背中の甲殻は堅牢だが、属性を主体に置いた霊夢の攻撃方法ならばある程度のダメージは狙えるだろう。
だがリオレウスも先ほどの属性お札の痛みを忘れたわけではない。尻尾を振って霊夢を引き剥がそうとする。当たりはしなかったが、霊夢の勢いが落ちる。
その隙を付いて火竜は上空へと移動し、再びブレスでの迎撃を狙う。火球の雨に霊夢は逃げるしかなく、徐々に追い詰められていく。
しかしリオレウスは霊夢の排除に集中しすぎた。死角を通ってきた魔理沙が自分の頭上に気づいたのは、構えられた八卦炉から茶色の物体が顔にかかってきた時だった。
霊夢と魔理沙が苦しめられた、オロミドロの素材を使って魔理沙とパチュリーが作った泥粘土発射装置だ。まさかこの火竜も、同族が仕留めた竜の素材で追い込まれるとは思っていなかっただろう。ただの泥遊びの類と思うなかれ、かなり強い粘度の泥が人の顔ほどの大きさでまとめられ、八卦炉の火力で発射される。小型の鳥竜であれば軽く吹き飛ばせる威力は、魔理沙本来の得意属性が水であることも加味されているのだろう。
それが顔面に直撃すれば、いくら空の王者とて態勢を崩しかけてしまう。振り落とそうと頭を振るが、泥は中々落ちてくれない。
泥が落ちた右目から見えたのは、身の丈を超える長さの太刀を振るいあげる妖夢の姿だった。渾身の霊力を鉄刀に籠め、火竜の頭部へ斬りかかる。
八雲紫が自身の術を使い霊力との親和性を持たせた鉄刀は、本来の限界を超え、リオレウスの頭部の甲殻を斬り、その右目をも切り裂いた。切り口から血が勢いよく溢れ、凄まじい激痛が顔を走り、火竜はのけざらざるを得ない。
だがそれは、飛竜の王たる彼の怒りを買う行為であった。痛みを激怒が塗りつぶし、口腔からその怒りが形を得たように火球が発射された。
油断していた妖夢の身体が炎に包まれる。黒煙から墜落する庭師の手から、半ばから刀身が折れた得物が一足早く落ちて行った。
「「妖夢!!」」
二人の悲鳴に、幽々子は既に死者となった自分の背中に、身も凍る寒気が広がったのを感じた。しかしここで作業を切らすわけにもいかない。既にかの龍の魂へと干渉し、取り込まれた霊魂の除去に当たっていたからだ。中断すれば、冥灯龍の魂から無作為に霊魂が溢れ出してしまう。
龍脈のエネルギーの除去に専念していた紫は、隣から大きく軋んだ歯ぎしりが聞こえたのを、黙って作業を続けた。
そんな幽々子の逡巡を無視するように、リオレウスは急下降した。彼は怒り心頭でありながらも、自分が殺そうとした人間が虫の息ながら生きているのに勘付いていた。あの鉄の爪で、直撃を避けたのだろう。人間ながら感心するが、自身の右目を奪った贖罪からは逃れらないと、猛然と降下する。魔理沙と霊夢が止めようと追尾するが、重力に乗った飛竜の巨体を止められるはずもない。
彼我の距離、数メートル。毒爪が黒焦げになった妖夢の体に突き立てられる、
その間に割って入るように、雷がリオレウスの体を突き抜けた。
弱点である電撃を受けた火竜は制御を失い、龍結晶に突っ込む。そして力尽きた妖夢が地面へと激突する寸前で、宙に浮かぶ船が彼女を運んで行った。
「おらぁ!その程度か空の王者!」
「庭師よ、意識はあるか?安全な所に運ぶぞ」
参戦してきたのは、雷を纏ってリオレウスに啖呵を切る蘇我屠自古と、自身の船に妖夢を乗せる物部布都だ。二人の存在に気付いた魔理沙が、屠自古に問いかける。
「おい、何でお前らがいるんだ?」
「ん?ああ、お前か。布都の奴に案内されたらここに着いたんだ。近づくなり爆音が激しかったから、急ぎ参上した次第だ」
「あれ、あんたの主は知ってるの?」
「知ってるも何も、我は太子様の命で随行したのだ」
痛みに呻くリオレウスの眼前に、光り輝く剣をかざす聖徳王の姿が見えた。
「悔い改めよ!空の暴君!」
神子が振るった剣は火竜の頸を切り裂いた。鮮血が溢れ出し、意識を失った天空の王者は、無残な姿で地表へ堕ちていった。
「さて、状況を教えてもらおうか?霊夢」
妖夢ちゃんを焼いたリオレウスは龍結晶の地のレウスです。他の奴らに攻撃されて元凶の所に追いやられました。
ではまたいつか
作者の執筆意欲が消えて投稿を再開できるかもかなり怪しいので、今後のプランをどうすべきか、読者の方々の意見を聞きたいです。
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このまま続ける(頻度は相当落ちる
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モンハン東方で新しく書き直す
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モンハン東方はもう出さなくていい