数日前、変な奴らがここに来た。
羽人間ではなく、正真正銘の人間だ。ただ、私の知っている人間とは少し違っていた。
奴らは四人で来た。故郷に来た人間たちも、竜を狩るときは必ず四人以下だったのを思い出したが、奴らのように分厚い鎧も、鋭い得物も持っていなかったから、そこまで気にはしていなかったが。
ただ、そのうちの一人が私に話しかけて来たのだ。驚いた。種族もまるで違う生物が互いに話し合えるなどどんな幻想かと思っていたが、やはりここは静かな割に故郷とは様々なことが違うようだ。
その人間はまず最初に、『私たちはあなたと争う気はない』と言った。同種ではないのでどこまで信頼できるか知らないが、そう言ってくれるなら多少はましになる。
次にそいつは、私に質問をしてきた。どこから来たのかとか、どうしてここに来たのか、など。私は『故郷が騒がしくなってきたから、争いたくなくてここに来た』と言ったのだ。そうだ、あと、『どうやってケッカイを超えて来たの?』とも聞かれたな。私はケッカイというものがよく分からなかったから逆にそいつに質問したら、ついでにここがどういうところなのかを教えてくれたな。
幻想郷
博麗大結界というもので覆われた場所。
ここを住みかとしているのは妖怪、という人間を主食とする生き物だという。種や個体によって強さが大きく異なるらしく、中には古龍のような力を使う奴もいるらしい。極力相手したくはないが、曰くそいつらが私のことを酷く気にしているようなのだ。古龍の力は周囲の生物に大きく影響するのはここでも変わらないらしい。
肝心の結界とやらだが……よく分からなかった。結界の外で人間に忘れられたものが、ここに来ると言っていたのだが、なぜ人間限定なのだろう?妖怪はただ人間を捕食する生物なら、忘れられようがこんな場所を作る必要はないはず。そもそも捕食者ならば、忘れられることなぞ無いのになぜだろうか?
人間の話が終わったから、今度は私から話しかけたのだ。『私を見張っている奴らをどうにかしてくれないか』とな。するとそいつはこう言った、
『すぐには厳しいけど、そいつらを連れてきて直接話をすれば、監視をやめてくれるかもしれない。もちろん、攻撃は一切しないことを約束するわ』。
初めて聞いた時は訝しんだが、この人間は悪そうではないし、そいつの言葉に従うことにした。
そして今日、その見張っている奴の親玉が私の寝床に来たのだ。
「ふーん、こいつがクシャルダオラねえ。魔力とか妖力とか一切感じないのが不気味だわ」
私を見上げながらぶつぶつと喋っている人間、というか羽人間か。背格好は妖精―――この呼び方も先の人間に教えてもらった―――とほぼ同じなのだが、翼の形は飛竜のそれに酷似していて、発するオーラも妖精のような無垢なものでなく、妖しい力だ。
レミリア……どうたらこうたらとか言う妖怪の近くには、私と話せる人間―――華扇という名前―――も傍らにおり、レミリアの子分らしい人間も二人いる。くすんだイバラ結晶のような髪のものと、ダブッとした皮をまとう余り強くなさそうなやつ。
「一体どうやってこんな力持っているのかしら。私が持ってた本のどれにも似たようなものがないわね」
「異世界の存在ならば、本に載っていないのは当然では?」
「違うわよ。こういうことは過去にも何度かあったから、それに関する記述も当然残っているわ」
「ですけど、それでも無いんですよね?」
「………」
「どうでもいいわよ」
後ろ二人の会話にレミリアは口を出し、私の方に向きなおった。
「本の知識がないのなら、私がこいつの運命を見ればいいのよ」
後ろ二人はそれに黙り、華扇の体は少し強張る。レミリアは私の方をじっと見る。当然私に何ら異常は無い。
しばらくして、レミリアは目を外し、後ろ二人の方に歩いていった。
「さ、もう十分よ。帰りましょ」
「え、もういいの?」
「ええ、私はあなたみたいに動物と話せはしないけど、情報を得ることならば、運命を見れれば十分でしょ?」
そう言って、三人はすぐに帰っていった。華扇は胸をなでおろし、私は話しかける。
『本当に攻撃してこなかった』
『ええ、あの吸血鬼は意外とわがままだから、ちょっと焦ったけど、この調子なら他の奴らとも大丈夫そうね』
『それは安心した。
ところで、なぜ奴はあんなに自分の名前を私に憶えさせようとしたのだ?』
『……あはは』
レミ……なんたらが来てから数日後に、今度は別の奴らが来た。
「茨華扇、こいつは何と言っている?」
「『ずいぶん変わったエリマキだな』ですって」
「あははは!エリマキって、確かに見えなくも無いわ!」
「諏訪子さま、笑いすぎですよ!」
「諏訪子、おまえあとで覚えていろよ……」
三人。一人は、前に来た緑と白の人間。もう一人は赤と紫で、背中にエリマキみたいな奴を背負っている。最後の奴は三人の中で一番小さく、頭に何かの生き物―――カエルだろうか―――を象ったものを被っている。奇面族の亜種だろうか。
「神でも妖怪でもない……古龍というのか?お前はどうしてそんな力を使えるのだ?」
赤エリマキが何か言うと、華扇が同じような意味の語で問いかけてくる。
『どうして……成長と戦闘でここまで上手く使えるようになったが、風を生むだけなら生まれた時から出来たぞ』
再び華扇が翻訳する。
「成程、種族として元から違うというわけか……」
「ってことはさ、若い時は力を上手く使えられないってこと?」
今度はカエル頭の人間が話しかけて来た。
『若い奴は無意識に風を放出しまくる。そこらの領域が嵐になるのだ。普通の竜相手なら威嚇として機能するが、古龍や異常な化けもの相手だと自分の居場所をさらけ出しているようなものだからな。特に私の故郷はそういう奴が多いから、若い頃は苦労したよ』
華扇が翻訳して伝えると、三人はしばらく内輪で話し合った。そして赤エリマキがこちらに向き直った。
「そうだな……お前は天候を操れるようだが、ここに住みたいのならその能力は使わないでほしい。私の力も似たようなものだが、お前と違って正しく使わないといけない。お前が容易に天候を変えてしまうのは、私達の力……人間からの信仰を揺るがすものだからな」
華扇の翻訳を介して話し合う。
『人間からのシンコウ?お前たちはそれを餌にしているのか?』
「餌とは違うな。だが、私たちにとってはそれよりも重要だ。それがないと、私たちの力は弱くなってしまう。お前で例えるのなら、風や天候を操れなくなるようなものさ」
『何だと?それは困るな』
「そうだろう?それを得るためには、勝手に自然現象を起こされては困るのさ。だから、大人しくしてほしい。お前からしても、嵐を起こさなければ他の奴らから目をつけられないしな。静かに暮らしたいのならそれが賢いと思うが」
『確かにな。そうしよう。だが、私を襲ってくる奴らがいたら、多少の嵐は起きると思うぞ?』
「襲ってくる奴はいないと思うが……それにしても人里から離れてやってくれ」
互いに了承しあうと、三人は飛び立っていった。
『奴らも妖怪なのか?』
『いいえ、彼らは神と言って、基本的には人間の味方よ。人に祀られることであなたみたいな力を使えるのよ』
『人間に?奴らにそんな力があるのなら、カミとやらをまつる必要はないのではないか』
『いや、むしろその逆……自分たちではどうしようもできないから、信仰に頼る必要があるのよ。幻想郷はその原理で成り立っているようなものだからね』
『………………?』
やはりここは不思議な場所だな、とつくづくそう思った。
名前覚えてくれない、変な名前で覚える
古龍と言っても所詮生き物だし、ねえ?
ではまたいつか
作者の執筆意欲が消えて投稿を再開できるかもかなり怪しいので、今後のプランをどうすべきか、読者の方々の意見を聞きたいです。
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このまま続ける(頻度は相当落ちる
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モンハン東方で新しく書き直す
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モンハン東方はもう出さなくていい