ゲーム世界の敵キャラに憑依したから死なないために奮闘する   作:赤山大和

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冒険者はブラックだ。他の就職口があるならばそちらを望む。

セレナ達を雇用する事を決めた上で改めて『紅獅子の牙』のリーダーであるリエンとサーシャの2人と話し合う。

 

別荘までの道のりはこの街からは2日。

明日の朝に出発をして次の日の夕方には別荘に着く予定となる。

この辺りの地図を見ながら行動の計画を立てる。

 

 

「問題はこの辺りの道を通る時に毒や麻痺を扱う魔物が出る可能性がある事か?」

 

この辺りの土地は物語の中盤で通る場所。

故に毒やらなんやら少し厄介なモンスターが出始める。

 

「そうですね。毒消し等の備えは必要になります。こちらでも用意はしますが事前にそちらでも用意をして貰えると助かります」

 

「ああ、手配する。となる明日はこの辺りでの夜営は避けるべきか」

 

「ええ。多少無理してもここを抜けた場所で夜営をする方が良いわね」

 

「なるほど。まぁ、2日の日程だし多少の無理は通せると思うぞ。その後の道のりだがここの村を経由してから別荘に向かうか経由せずに別荘に向かうかだな」

 

村を経由すると少し時間がかかりそうだな。

 

「その辺りは私達の消耗を鑑みて臨機応変にとなるかしら。消耗がなければわざわざ村を経由する必要はないでしょう」

 

「そうね。この日程では時間のロスになるわ。別荘に着くのが夜か最悪次の日になるもの」

 

「基本的には村によらずに別荘に向かう方針か。それで別荘に着いてからの事だが」

 

「周辺の魔物の討伐ね。動くのは別荘に着いた次の日からになると思うのだけど」

 

「ああ。暫くは別荘を拠点にして活動して貰う事になる。まぁ、別荘は去年の夏に行ってから使われてないから掃除等をする必要があるし、魔物や不審者が入り込んでないか警戒する必要があるが」

 

「その時は私達がどうにかするわ」

 

 

「期待している」

 

 

「で本当に別荘を拠点として使って良いのかしら?貴族として私達みたいな冒険者が使う事に忌避感とかはないの?」

 

まぁ、平民を見下す貴族何かもいるのは知ってるが。

 

「俺は気にしない。それに護衛という役割もあるのだから別荘を拠点にして貰えた方がこちらとしても都合がいい」

 

俺が目指す別荘には周辺に2つの村があるがそちらを拠点にされては有事の際に対応が遅れるだろう。

 

それに、別荘の近くには俺の目的であるダンジョンがあるはずだからな。別荘を拠点にしつつ供に潜ってもらうつもりだ。

 

「そう、ならば後は雇用期間の問題だけど最短でも1月。長くなるならば1月毎に追加で料金を支払うという事だけど」

 

最初の1月はギルドが払うので問題はないし次の月からはこちらが給料を払うというだけだからな。

 

 

「ああ。それで良い。それとも貴族の護衛として正規雇用を望むのか?生活は安定するだろうが給料的には減ると思うぞ」

 

実際、冒険者として月に5回程度依頼をこなせばこちらの給料以上のお金は得られるだろう。

 

「安定した生活っていうのは魅力的なのよ。冒険者としての生活では確かにお金が入るけどその分命懸け。危険が多いわ」

 

「それに武器や防具が消耗した場合はもちろん依頼毎に回復薬などの消耗品の準備にお金がかかりますからね。依頼を失敗した時の賠償金等に備えた貯金等も必要ですし」

 

 

支出と収入でかかる金銭を考えると余裕がないのか。

それに自分達がAランクやBランクまで上がれると夢見る事が出来れば頑張れるのかもしれないが。

 

「なるほど。それならば結果としては雇用の方が望ましいのかもな。月毎の更新も悪くは思っていないのか」

 

 

「そうね。無理な危険や支出がないのに一定の給料は出るのでしょう?雇用して頂けるにしろ何れ辞めるにしろお金を貯える事ができそうなのよね」

 

「ええ。私達にとってはプラスです。冒険としても無理せずにランクを上げる事が出来そうですし。命を危険に晒して何度も依頼をこなしてBランクを目指すよりも安定して生活をしながらランクを上げる為のポイントを溜められるわけです。雇用して貰えた方がありがたいと考えています」

 

1月毎に依頼を達成した事にはなるし、食事や住む場所もこちらが用意をするから生活には困らずお金も入る。

護衛や周囲の見回り等の仕事はあっても現状よりは危険も少ないと。

 

普通に条件が良いのだな。

 

「なるほど。そちらの働きを見ていないので直ぐには答えられないが前向きに考えよう」

 

 

「ええ。宜しくお願いします」

 

 

後日に詳しく聞くと彼女らが冒険者となったのは『それしかなかった』からだそうだ。

農家でも三男以降に産まれると畑を与えられる事もなく労働力として消費されたり裕福な商人の愛妾として売られたり。飢饉になれば奴隷として売られる事もある。

それを避けて街で働き口を探しても街の外からきた人間を信用して雇う奇特な人は滅多にいないし女というだけで身の危険がある。

 

そのために他の働く道に進む事が難しく冒険者の道を進む。

なりたくてなったわけではない命懸けの仕事。

Eランク、Dランクの頃は依頼を達成しても報酬が少なくてカツカツの状態。Cランクに上がって報酬が良くなったがより強い魔物と戦う事になり危険が増えた。

このまま頑張ってBランクに上がったとしても更に強い魔物と戦う事になる。命の危険と安全な生活。

 

天秤は安全な生活に傾いている。

そんな所に降って湧いた貴族の護衛という名の危険の少ない雇用生活への道。

彼女らのやる気は高かった。

 

何気に借金の返済のためという名目でも長く雇用される事になる『蒼の魔女』の面々を羨んでいたらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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