ゲーム世界の敵キャラに憑依したから死なないために奮闘する 作:赤山大和
出発に向けての準備を終えて『紅獅子の牙』の面々との待ち合わせ場所に向かえばすでにエリス達を含む5人の男女の姿があり、簡単な自己紹介をすると彼女に対する既視感の理由が理解できた。
紅獅子の牙
リーダー・リエン
炎の魔法を得意とする魔法剣士。18歳・女性。Cランク
冒険者歴は5年。剣士としての腕を磨きながら魔法を修めCランクに昇る。金髪に青い瞳が特徴的な美人。
パーティー名の紅獅子を意識している紅く染めたライトアーマーを装備。
副リーダー・サーシャ
リエンの幼なじみで冷静に動くように勤める盾戦士。同じく18歳・女性。Cランク
冒険者歴は同じく5年。盾職と言っても力がそこまで強いわけではないので基本的には回避盾。
光系統の回復魔法を使える。
前線で回復をしながら盾の役割をしていてパーティーの要。
ターニャ
支援魔法を得意とする魔法使い。16歳・女性。Dランク
冒険者歴は3年。リエンに誘われて紅獅子の牙の一員となる。攻撃系統の魔法は苦手だが味方の力を高めるパフ系統の魔法が得意。デパフ系統の習得は現状では力を下げる類いのもののみ。
………この3人は問題ない。
問題はこの後の2人だ。
カイン
パーティーの斥候役を勤める盗賊。18歳・男。Cランク
冒険者歴は4年。斥候が出来る人間を探していたリエン達がギルドの紹介で仲間とした人物。
腕の良い斥候役で魔物の索敵能力も高く罠を見破る眼力もあるらしい。
原作キャラの一人。詳しい理由は不明だが弟のギムルの元で汚れ仕事をしていた男の部下として登場。
昔の仲間を売ったという話しがある人間なので警戒が必要。
グエン
攻撃魔法を得意とする魔法使い。20歳・男。Cランク
冒険者歴は6年。炎の攻撃魔法を始め強力な攻撃魔法の使い手として冒険者の中で高い評価を得ている。
原作キャラの一人。物語の序盤で登場。主人公に敵対する貴族に雇われて戦う敵キャラ。お金の為に色々と悪事をこなしているらしいけど。
うん。問題だ特にカインが。
リエンの事を見覚えがあったのは原作で娼館に通う事で起きるイベント系のスチルだとお陰で気付けたけどな。
雇うどころか別荘に入れる事すら注意する必要がある相手じゃないか。
別荘にある金目の物を持って逃げるとか普通にやりそうだぞこいつら。
「どうかしましたか?」
こちらの微妙な視線に気付いたのかリエンが気にして来るが教えた方が良いよな?
放置して後で娼館で出会いでもしたら気まずいぞ。
とりあえず、カタリナとシエラ達にも伝えておこう警戒しないと不味い。
今回の馬車での人員の振り分けではリーダーであるリエンだけはこちらの馬車に乗ってるから話してみるか。
「少し確認しておきたいのだがあのカインという男とグエンという男は信用出来る相手なのか?」
「カインとグエンですか?彼らは私達がDランクの頃から一緒のパーティーですし信用していますが。彼等がなにか?」
貴族であり雇い主である俺が気に掛けている事が気になるのだろう。
「悪い噂のある冒険者を調べた時に聞いた名前なので少しな。よくある名前と言えばそれまでだが」
「そういえば、ギルドで冒険者を雇う上で調べた時にその名前を聞いた覚えがあります」
カタリナが知ってるという事はガーゼン家で知られているということだよな。
「そんな。いえ、あくまでも噂なのですよね?それに名前が同じだけという事もありますし」
「あー、噂だけじゃないかもだよ。なんか私達を見る目とかちょっと嫌な感じだし」
「私も嫌な感じがした」
「シエルも嫌な感じがする」
アロマとマリスに加えて加護持ちのシエルまで嫌な感じがするとかもう確定じゃないのか?
「旅の間はもちろんだが別荘でも監視をする必要があるかもしれないな。問題を起こした場合はこちらとしてもそれなりの対処をする必要が出るぞ」
こちらの強い言葉に怯んだようだが直ぐに気を取り戻したようだ。Cランクは伊達ではないという事か。
「そんな事はありません。彼等も私達の信頼出来る仲間です。なにもしてないうちから疑うような事は止めて下さい」
真っ直ぐにこちらを見る眼には強い意思を感じる。
ゲームのスチルだと絶望的な表情だったんだが何があったのか。
冒険者やっていて仲間に裏切られたといった感じのテキストがあったと思うのだが。
「そうだな。それは済まなかった。だが、問題を起こした場合には彼等だけではなく君たちパーティーに責任がいく事を理解して欲しい」
同じパーティーに所属している以上は連帯責任というものになる。彼等を切り捨てられなければ全員が相応の責任を負うことになりかねないぞ?
まぁ、ゲームでの情報とカタリナ達の印象だけで確たる証拠はないが。
アロマを筆頭にマリスとミリスには諜報活動紛いの事を頼む事になるか。
後はカタリナとシエル、セレナに気に掛けてもらう。
カナタとニーナは他の奴隷達の護衛を任せるか。
何もなければ良いのだがな。
はぁー、何でこうトラブルの種が続くかね。
とはいえ、別荘までの道のりは順調だ。
遭遇した魔物にも危うげなく対処をするしセレナ達も最低限の援護ですんでいる。
夜の見回りでも真面目にやってるのがわかる。
何の問題もなく安全に別荘につく事で不安になるというのは笑えないが。
夕暮れ時に到着した別荘は伯爵家の人間が使用するだけあって大きく部屋も多い。
カタリナの指揮のもとに奴隷の皆が屋敷の換気や掃除をして泊まるのに問題ないように手配していく。
まぁ、本職のメイドは数名しかいないので手間取っているようだが夜までには食事を含めて用意が出来た。
その間にセレナ達やリエン達は屋敷の見回りと周辺に魔物の類いがいないかを警戒してもらった。
屋敷の中には少なかれず宝物や価値のある武具等もあるからその辺りの窃盗にも注意をしなければな。
とはいえ、最初からこちらが疑っている事に気付けば向こうもめったな行動を取らないとは思うのだが。
それに、この家にきた目的も果たさなければな。
さて、明日から忙しくなるか。