ゲーム世界の敵キャラに憑依したから死なないために奮闘する 作:赤山大和
無事に別荘についた翌朝。
これからの予定は大分慌ただしいものになる。
屋敷の中の掃除は変わらずに続けるとして周辺の村の村長や村の代官等に話を通す必要もある。
食糧庫や村からの税を収めているはずの倉庫の中身の確認。
周辺の土地の見回りを始めとした安全の確保。
村の村長達に周辺のモンスターの様子や盗賊などが出てないかなどの情報を聞く必要があるか。
これに関しては村に出向くのではなくこちらに呼び出す形になるので少し時間がかかるか。
紅獅子の牙の面々には周辺の見回りと供に連れてきた部下と一緒に村の様子も見てきて貰う事になるか。
そして、その間に俺はこの屋敷にあるアイテムの入手とダンジョンがあるのかどうかの確認だ。
これは以外と早くに済んだ。
もともと知識としては何処にあるかがわかっていたのが大きいだろう。
しかし、中盤から終盤の手前位までは使える武器やアイテムが手に入ったのはありがたい。
書斎に隠された腕輪等はゲームではともかくこの世界で普通に秘宝扱いされるマジックアイテムだからな。
そうでなくても屋敷の地下室で何代か前の引退した当主が集めていた武器のコレクションやら秘蔵された魔道具やらが手に入ったのは普通にありがたい。
金銭等も原作以上の収入だろう。
それに隠しダンジョンへの入り口も見つけられた。
原作通りならば出てくるモンスターを相手にレベルを上げて最下層で加護も手に入れられる。
問題は『紅獅子の牙』か。
アイテムやダンジョンの事を伝えられるのは借金で縛れるセレナ達までだ。
一応は雇用を約束しているとはいえ紅獅子の面々には知られたくない。それにカインやグエンの強化とかしたくない。
となると、彼等に隠れてダンジョンの攻略をする事になるが彼等が村の方で魔物退治や盗賊退治をする為に屋敷にいない間に攻略を目指すというのは無理があるか。
とりあえずは方針を話す為にダンジョン攻略のメンバーの予定であるカタリナ、シエル達奴隷組とセレナ達を集める。
「さて、集まった皆には俺がこの別荘に来た目的について話す」
「目的ですか」
「ああ。その前にだ。皆はこの国の成り立ち。王や貴族の始まりについては知っているか?」
こちらの唐突な話しに皆が戸惑う中で首を捻りながらカタリナが反応する。
「確か名も無き邪神によって、滅びを迎えたこの世界を神の力を宿した八人の勇者が倒したのですよね。そして、名も無き邪神を倒した勇者達が各々の国の王となるというのがこの世界の国の始まりとされていたと思います」
「そうだ。神の力を借りた八人の勇者が各々国を創り、そしてその勇者の仲間達であり神の従属神や精霊、聖獣と呼ばれる存在の力を得た者達が貴族呼ばれるようにとなったとされている」
されているというよりも実際にそれらに選ばれた貴き者が貴族を名乗ったのだけどな。
そういう意味でいうならば蛇神の加護を宿したシエルは本当の意味での貴族と呼べるのだよな。
「眉唾なお伽噺ではありますが王族や貴族の中でも侯爵の地位にいる方は特別な力を持つ者が現れる事があるので一部では信じられている話しです」
「反乱を起こした軍が一人の王によって滅ぼされたなんて話も聞いた事がありますね」
文字通り神の力を使う王と戦える人間は少ないからな。
王族の中で神の力を持つ者が現れる。
それがこの世界での戦争が起こり難い理由だったりする。
高い身分にいる人間は神や精霊の力の強さを身を持って知っている。
そして戦争になれば相手もその力を奮ってくる。
核とまでは言わないが中世の世の中で各々の国にミサイルが存在する。
戦争では結局の所、神の力を持つ王や貴族達が結果を決めるという事を知ってる。
それが戦争の抑止力にもなってはいるのだがその分、一度戦争になると酷い事になるのだよな。
「少なくとも俺達貴族の間では事実とされている。そして、実際に精霊や聖獣と呼ばれる存在の加護を得る方法がある」
「それは本当ですか?」
「そういえば、シエルの事を神の加護を得ていると言っていましたよね?」
皆が驚いた顔をするが当たりまえだよな。
神や精霊の力を得るなどこちらがおかしくなったと思われてもおかしくはない。
彼女らの視線は俺とそしてシエルに向かう。
シエルの灰色の肌や鱗を神の加護と俺が言っていたのは聞いているだろうからな。
「そうだ。神や精霊の加護は存在する。そしてその加護を得る為の試練となるダンジョンがこの別荘地には有る。俺の目的はそのダンジョンの攻略だ。まぁ、加護がなかったとしてもダンジョンの攻略が出来ればいやでも力がつく。ダンジョンを攻略する為の装備なんかはこの屋敷にあるしな」
何代か前の当主の命令でこの屋敷の防衛を考えてと考えるしては過剰な位に武器や防具が揃えられているし定期的に食糧などの消耗品も新しく変えるように指示が出ている。
たぶん、この場所にあるダンジョンの事を気付いたのだろうな。ヒントなんかも有ったし。
「なるほど。加護が得られるならばそれで良し。得られるなくてもダンジョンで得られるものがあるという事ですね。それに武器等は事前に用意されているようですし」
「そうだ。全員の装備を整えたらダンジョンに向かう。ただし、ダンジョンの事は紅獅子の牙には内緒だ。話す事を禁じる」
「彼女達の協力があった方が攻略が進むと想うぞ。それに加護とやらを私達も得られるのなら………」
「紅獅子の牙の面々が加護を得たり力を強める事を危惧しているわけですか」
「リエンさんたちはともかくとしてあの男の人達はいまいち信用できませんし仕方ないですかねー」
「私達を信用してくれたと考えるべき」
まぁ、露骨だしわかりやすかったかからな。
「ダンジョンの攻略は出来る限り紅獅子にはわからなようにする。幸いにもダンジョンへの道はこの屋敷の地下にあるからな。一部を立ち入り禁止としておけばさすがに入ろうとはしないとだろう」
「地下ですか。そんなものがあるとは驚きですね」
「おそらくだが別荘の近くにダンジョンがあるのではなくダンジョンがあるからこの屋敷のを建てたのだろう。ガーゼン家の秘匿していたダンジョンというわけだ」
攻略の手記まで見つかったしな。
「貴族が直々に秘匿したダンジョンですか。先ほどの加護の話に信憑性が少しありますね」
ゲームの情報通りだったのは嬉しい事だけどな。
それにこのダンジョンはサブイベントでのダンジョン。
ゲーム的には攻略しても攻略しても構わない類いのものだが攻略する為のレベルは高くない。
難易度が低めの割に経験値やアイテムの美味しいダンジョンになっていたからな。
その辺は三男のアルトに肩入れして関わった場合とサブヒロインのエリスを攻略する為に立ち寄った場合のレベルの差とかが関係しているのだろうが。
さて、ダンジョンの攻略を始めるか。
今更ながらキャラ紹介①
ゲオルグ・ガーゼン 15歳男性
本作の主人公。ゲームでは主人公と敵対する事はあるが味方になる事はない。
ガーゼン家での当主の座を争う最中に三男のアルトを当主に据えようとする主人公に殺されるかサブヒロイン枠のエリスとの関わりで争う事になって殺されるかのどちらかの可哀想な人。
貴族として自分を高める事に熱心で政治的にも軍事的にもガーゼン家を良くしようと頑張った人でもある。
原作では弟のギムルが学園で問題を犯した故に家臣達に担ぎ上げられて後継者争いに加わった。
ガーゼン家の特徴である灰色の髪に黒い眼をしている。
身長は175cm。幼い頃から鍛えている割には体が細いが長年剣を振るっていただけ戦闘力は高い。
土と水、闇の魔法に適性がある。
来年から学園に通う予定。
原作での死亡フラグを恐れたり原作の展開的に戦争等の危険から生き延びる為に色々と努力している。
体を鍛えて魔法の修練にも意欲的。
原作がエロゲの影響なのか仲間として近くにいる人間が女性ばかりで自分でハーレムを形成しかけてる。
カタリナ 15歳女性
ゲオルグの専属メイド。
銀色の髪に褐色の肌とこの地域ではみない色の為に幼少時にイジメられていた。
ゲオルグに助けられて以来、ガーゼン家というよりはゲオルグに尽くすようになった。
ゲオルグが少し変わった事に戸惑ったが根っこの当たりは変わらないと理解した。
家を出る事を選んだゲオルグに驚きはしたが元々兄弟の争いに否定的で本妻の息子であるギムルが当主となった方が良いと口にしていた事を聞いてはいたのでおかしいとは思わなかった。
数少ないゲオルグの家臣と奴隷達をまとめようと頑張っている。
ゲオルグに仕えるメイド達の筆頭。
《バトルメイド》というメイド系の戦闘職。
火と雷系の魔法を使う。
ゲームでは最後までゲオルグに仕えた。
シエル 14歳女性
ゲオルグの奴隷。
灰色の髪に肌に紅い眼、さらには体に生える鱗を恐れられて忌み子として扱われ廃棄される前にゲオルグに購入された。
自分でも嫌っていた紅い眼や体に生える鱗を含めて受け入れてくれたゲオルグを慕っている。
蛇の神の加護を受けた影響で力も強く高い再生能力も持っている。
原作での最強クラスのキャラクターの一人。
並外れた怪力による攻撃に蛇眼による状態異常。
再生という高い回復能力。
固有魔法持ち。
と、厄介極まりない敵で世界を怨み終盤でボスの部下として主人公を苦しめる。
現在はゲオルグの側で護衛をしている。
与えられた戦斧をその怪力で振り回し一度に数体の魔物を屠れる強さを持つ。蛇眼は未だに扱いきれないが訓練の最中にその眼で強く睨み付けられると相手は体が動かなくなるので開花仕掛けているのだろう。