ゲーム世界の敵キャラに憑依したから死なないために奮闘する 作:赤山大和
護衛依頼を受けた冒険者達の様子に不安を覚えてパーティーの人達に詳しい事情を聞いた訳だが呆れの方が先立つ。
「つまり、クルスという青年に惚れてリーダーをしていたアマンダが暴走。今ではまともに依頼もこなせていないと」
「はい。そうなります」
しかも、クルスというのはパーティーメンバー全員と仲良くハーレムパーティーだとか。
「まぁ、クルス達の方も少し前にいた荷物持ちを追い出してから失敗が続いているらしいがな」
「そうなのか」
「そうだよ~。荷物持ちっていうかサポート役で頑張っていた子なんだけどね」
ハーレムパーティー。
サポート役の荷物持ち。
追放。
クルス達ってテンプレの追放ざまぁされる対象じゃないのか?
不安が大きくなったぞ。
「不安ですね」
「話を聞いたかぎり良くないパーティーと当たったっぽい」
「ゲオルグ様はシエルが護る」
「向こうの5人にはあまり期待しない方が良いのかもな。君達が頼りだ。よろしく頼む」
「いえ、こちらが悪いので」
そんな風にこちらの雰囲気は微妙な感じのだが彼方の馬車から感じる雰囲気もあまり良くなさそうだ。
少なくとも護衛でありながら周囲の警戒をしているようには見えない。
もちろん、早々に襲われるなんて事はないのだろうが彼方の馬車にいる奴隷の人達が怪我でもしたら依頼の失敗としてみなす事も考えるからな。
セレナさんもカナタさんも有能そうだしアロマは少し軽い感じだが優秀だと思うからな。
マリスやミリスにも警戒をお願いする事になっているのは減点だが。
別荘までは3日程。
その間に何もなければ良いのだが。
不安には思ったが初日は問題は一応なかった。
食事の用意や夜営の準備を一切考えておらずこちら便りであることでセレナさん達が謝罪していたが。
それと夜の夜営での見張り等は普通は冒険者である彼らの仕事であるはずなのにそれをサボって夜の運動をしていた事をマリスとミリス、それにアロマが報告してきた時には少しキレそうになったが。
それとあちらの馬車での様子を聞くに馬車に対する不満をのべながらひたすらイチャイチャしていたらしい。
あちらの馬車の奴隷達から苦情と不満を述べられた。
2日目。
お昼過ぎに、馬車の前方に広がる草原に魔物がいるのを見つける。
見つけたマリスが報告をしてそれを聞いた蒼の魔女の皆さんは戦闘態勢に。
馬車を止めて戦闘に備える。
魔物のがいる事を後ろにいる馬車に伝えるとそちらも遅れて戦闘の準備を始める。
どうやら護衛依頼の最中でありながら鎧等を外していたらしく準備に手間取っているようだ。
『蒼の魔女』はともかく『疾風の槍』は評価出来ないぞこれは。
依頼が終了した場合にギルドに伝えると評価はかなり低いものになりそうだ。
俺達の前に現れたのはゴブリンとオークの群れ。
それなりに知能があるゴブリン達の襲撃であるとするならば伏兵にも注意すべきだ。
ゴブリンは弱いと思うがこのゲームではどの土地でも現れる魔物だ。場所によってレベルが異なる上に上位種が出たりする。
この辺りのゴブリンはレベル20前後だったか?
油断出来る相手ではないな。
皆に注意を呼び掛ける間に疾風の槍のクルスを中心としたメンバーがゴブリン達に向かう。
先ずは魔法使いの少女が先制の魔法攻撃をオークに向けて放ち、それを追うように緑色の槍を掲げたクルス達が走る。
速いな。
あの槍がパーティー名の由来である風の槍か。
風の刃を放ち素早さにも補正がかかる魔法の槍だったか。
魔法を受けて怯んだ魔物達に突撃……あ、転けた。
「脚が取られたように見えたが罠か?」
「多分そうですね。背の高い草もあって足元が見辛いですし」
「落とし穴までいかなくても少し地面を凹ませておくとか草と草を結んでおくだけでも罠として機能するだろう」
多少なりとも知性のある魔物達が待ち伏せているのに無警戒に突っ込みすぎだろ。
ゴブリンごときと油断していたのだろうが。
倒れた所に攻撃を受けて囲まれたクルスを助けるためかアマンダが『蒼の魔女』の由来である水の魔法を撃ち込むがあれは過剰じゃないか?
「あれは上級魔法か。凄い威力だな。感心する………周囲の被害を考えなければだが」
これから進む事になる道に対して水の上級魔法を撃ち込むとかな。ゴブリン達のいる草原を中心にこれから通る道まで水浸しだ。
もちろん道を直接狙ったわけではないので多少迂回すれば良いだけなのだろうが。
「申し訳ありません」
「謝られてもな。それから彼女の魔力は大丈夫なのか?上級魔法の魔力の消費はかなり大きかったはずだが」
ゲーム的にいえば下級はMP消費が10以内。中級が10~30で上級が30~50位。最上級はそれ以上だったか?
冒険者ランクがCという事はレベル20~30位だろう?
職業にもよるが上級を撃ったら魔力の大半は飛ぶんじゃないのか?
「そうですね。アマンダは上級魔法を撃ったら下級魔法を何回かしか使えなかったと思います。魔力の回復をしないと」
「セレナ、少し待って。敵さんの増援が来てるみたい」
視線を向ければ馬車の左右にゴブリンとオークの姿が見える。疾風の槍の面々はクルスの回りで騒いでいて気づいていない。
それに魔法を撃ったアマンダもクルスの方に行ってる。
はぁー本当に護衛としては使えないな。
「カタリナ、奴隷達にも武器を持たせてくれ。俺達で左側からくる魔物の相手をする。右側から来てる魔物は疾風の槍と家の護衛に任せよう」
「わかりました」
指示に従い武器を手に魔物と相対する奴隷達とセレナ達蒼の魔女の面々。
何気にこの世界でゲオルグになってから初めての戦闘。
援護がある上だが緊張するがさてやるとするか。