幼馴染の川内と   作:語部創太

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2.起床

「ぅん……」

 

 目を開けると、見慣れた天井があった。

 あれ……? 俺、出張してたんじゃ?

 まだ覚醒しきっていない意識で記憶の糸を手繰り寄せる。

 

 ……そっか。終電で帰ってきたんだっけか。

 枕元に置かれた時計を見ると時刻は12時。窓の外は明るいし、どうやら昼まで寝てしまったらしい。

 

 それにしても腹が減った。よく考えたら昨日の昼休憩から何も食べてないんだもんな。24時間食べてなかったら、そりゃあ腹も減るか。

 母さん、何か作ってくれてるかね。食事が出来ているのを願って、階段を下りてリビングへ向かう。

 

「あっ、おはよう! ご飯できてるよ!」

 

 

 

 河内がいた。

 

 

 

「……」

「でもすっかり冷めちゃったね。レンジで温めるからちょっと待ってね」

「…………」

「そうそう。昨日食べなかったケーキもあるんだよ? 後で一緒に食べよ?」

「………………」

「もー、そんなところで突っ立ってないで座りなよ」

「お、おぅ?」

 

 河内に促されるまま自分の席に座る。間もなくして、目の前の食卓には実に美味そうな食事が並んだ。

 

「それじゃ、いただきまーす!」

「いただきます」

 

 河内と一緒にモグモグタイム。この卵焼き、味付けがちょうどいい。俺が1番好きな醤油味だ。キュウリの漬け物も味が浸み込んでて美味い。味噌汁も、大根と豆腐のシンプルな具と薄味でいくらでも飲めてしまいそうだ。

 

「美味しい?」

「めちゃくちゃ美味い」

「良かった」

 

 向かいに座る河内が嬉しそうに笑う。その笑顔がたまらなく可愛くて、思わず俺の頬も緩んでしまう。

 

 

 

 いや違う。そうじゃない。

 

 

 

「な、なぁ」

「うん?」

「どうして河内がここにいるんだ?」

 

 ここ、俺の実家なんですけど。

 

「オジサンとオバサンから留守を頼まれちゃって」

「なに、父さんと母さん出かけてるの?」

 

 俺に一言くらい言ってくれればよかったのに。というか俺が休みなんだからわざわざ河内を呼び出すことないだろうに。

 

「うん。昨日から2人で夫婦水入らずの旅行だって」

「昨日から!?」

「正月の三箇日まで帰ってこないからよろしく~ってさ」

 

 9泊10日も旅行すんの!? そんなに旅好きだったっけあの人たち。

 

「そ、そうか。迷惑かけて悪かったな。後は俺がいるから大丈夫だぞ?」

「うん♪ ずっと2人っきりだね!」

 

 ……………………微妙に会話が噛み合ってないような?

 

「河内も、まだ仕事あるだろ? せっかくの休みなんだしゆっくりしてろよ」

「私は有給使ったから、来年の4日までお休みだよ」

「マジかよ。俺は28も仕事なんだけど」

 

 9連休とか羨ましいな。いやイブとクリスマスも休みだったんだっけ。11連休!? 半分くらい俺に分けてほしい。

 

「……有給、使いなよ」

「使いたいのは山々なんだけどなぁ」

 

 先輩たちが28休みだから、俺が出るしかないんだよ。

 というか河内、なんか急に声低くなった? 少し怖いんだけど。

 

「…………ちょっと待ってて」

「お、おぅ?」

 

 河内が怖い顔のままリビングから出ていった。とりあえず河内が作ってくれた美味い飯を食べながら待つ。うん、白米も美味い。この沢庵、我が家にはなかったはずだけどどこから持ってきたんだろう? 市販品なら商品名教えてほしい。めちゃくちゃ美味いからまた食べたい。

 

「ただいま」

「おふぁえひー」

「28、休みで大丈夫だってさ」

「……………………へ?」

「ほら、これ」

 

 河内から差し出された俺のスマホ――いつ持ってってたん?――には、上司からSMSで急遽休みにしていいというメッセージが届いていた。

 

「これで、ずっと一緒だね♪」

「アッハイ」

 

 ということで、なぜか河内がいる年末年始を過ごすことになりました。

 

 

 

 ……………………まあ、飯美味いから何でもいいか。

 

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