「ふぅっ……♥️ ふぅ~……♥️」
3回目のオーガズムを経て、ようやく気持ちの高ぶりが落ち着きを見せてきた。枕は私のヨダレで、タオルケットは私の分泌液でグッショリと濡れてしまっている。
…………幼馴染のモノを自分の体液でマーキングしていく背徳感に、背筋がゾクゾクするほどの興奮を覚える。
もっと、もっと汚したい。優馬の匂いをかき消して私の匂いを染み付かせたい。この枕で寝た優馬に、私の匂いで興奮してほしい。
「……もっかい、やろ」
そうと決まれば話は早い。私は再び湧いてきた欲望に身を任せ、股座に手を──
『キャー』
………………なんかいる。
「──って、妖精さん!?」
机の上からこっちを見ていたのは、鎮守府にしかいないはずの妖精さんだった。
覗きがバレた妖精さんは、大慌てで逃げようとする。そこをフンズと取っ捕まえる。
『見てないです! わたしは何も見てないです!』
「嘘つけ! バッチリ見てたでしょ!」
両手で顔隠してたけど、指の隙間から目が見えてたからね! いやそうじゃなくて。
「どうしてここにいるの?」
『ユーマに置いてかれたです』
「なんで優馬の家にいるのかって訊いてるの!」
妖精さんは艦娘か提督がいる場所にしか姿を現さない。もしかして私が連れてきた? でもこの子は私が知ってる子じゃない。それにさっきハッキリ『ユーマ』って言った!
『ユーマは良い奴です。おいしい手作りカレーを食べさせてくれるです』
「何それズルい!」
私だって優馬の手料理食べたことないのに!
『お風呂にいれてくれるし、添い寝もしてくれるし、いっぱいナデナデもしてくれるです』
「よし分かった、そこに直れキサマ」
よろしいならば戦争だ。私が優馬にやってほしいこと全部やりやがってこの野郎。
私が使った優馬の布団とズタボロになった妖精さんをベランダに干しながら考える。
いや。というか考えるまでもなく結論は出てるんだけど。
「……ねえ」
『はい、なんでしょうか』
そんなに怯えなくてもいいのに。ちょっとお仕置きしただけじゃん。
まあ素直に話してくれるなら何でもいいか。
「優馬は、提督になれるの?」
『………………?』
質問に首を傾げる妖精さん。そっか、提督どうのこうのは妖精さんは認識してないんだっけ。あくまで気に入った人間と、艦娘に力を貸すだけ。役職は私たち人間が勝手に付けた名称だったはず。
「優馬のこと、気に入った?」
『うん!』
質問を変えると、返ってきたのは満面の笑み。これで確定した。山中優馬は──私の幼馴染は提督になる素質がある。
「…………マジか」
妖精さんが見える人を発見した場合には、すぐ海軍大本営に報告しなければならない。
学生時代に行われる検査から漏れた人材は、そのほとんどが社会人として働いている。よってその人物の優秀さにもよるけど――簡単なテストや性格診断も経て――大抵の場合は人として成熟していると判断されて、士官学校での教育を受けることなく提督として配属される。
そこで重要となってくるのが初期艦。士官学校から出た新米提督の初期艦が駆逐艦に限定される一方で、社会人出身の提督の初期艦として配属されるのはその提督を発見した艦娘か、家族・友人・同僚として親しい間柄である艦娘のどちらかだ。
そして、私はそのどちらの条件も満たしていることになる。
つまり――
「私が、1番……!」
――想像したのは、卸したての白い軍服に身を包み、慣れない執務に頭を悩ませている幼馴染の姿。その眉間にしわを寄せている横顔に見惚れている私の姿。
…………最高だ。まさに理想。他の誰にも邪魔されない空間。職場が一緒になれば、提督と艦娘というケッコンも認められている間柄になりさえすれば、もっと優馬と一緒にいられる時間が増える!
「――もしもし。大本営の人材課ですか?」
そうなれば善は急げだ。さっさと外堀を固めてしまうべく、私は電話をかけながら電車で1時間ほどのところにある大本営庁舎まで走り出した。
『うわーーーー!?』
――証人となる妖精さんの首根っこを掴みながら。
短編……?