真次の墓の前で昔を懐かしんでいる中、誰かここへ登ってくる気配を感じる二人。
「お兄ちゃ―ん!お義姉ちゃ―ん!やっぱり此処だったのね」
現れたのは炭治郎の実妹であり、カナヲの義妹でもある禰豆子であった。手には沢山の花束が握られている。
「禰豆子!」
「やっぱりバレてたんだ」
「当然だよ。御盆はみんなで絶対、此処に来るって決めたじゃない!」
「禰豆子ちゃ~ん、待ってええ」
「おい、アオコ!早く来いよ!」
「慌てて行かないでくださいよ!」
善逸、伊之助、アオイまでもが来ていた。それぞれ、花束やお供え物などを手にしている。
禰豆子を始めとする後から来たメンバー達は花を真次の墓に供え、最後に伊之助が山で取って来た山の幸の食材などを備えた。
「真次、俺・・・禰豆子ちゃんと恋仲になったんだ。炭治郎からも許しが貰えたんだよ。羨ましいだろ?」
「もう、善逸さんってば!真次さん、お兄ちゃんとお義姉ちゃんが結婚したのは聞いていると思います。私、今とても幸せなんだなって、噛み締めています」
善逸はいつものハイテンションではなく、まるで話しかけるような状態で真次の墓に話しかけており、禰豆子は少し顔を赤くしながらも兄や義姉達と幸せになっている事を報告した。
「おい、まかつぐ(真次)!お前が言った通り、俺は今もこの二人を支えてるぞ!それにな、アオコが俺の番になったんだよ!」
「な、何言ってるんですかぁ!?伊之助さん!もう!真次さん、あまり・・お話しませんでしたが聞いての通りです。蝶屋敷も変わりませんよ」
アオイも顔を真っ赤にしながら伊之助へ叫んでいた。真次の墓は花でいっぱいになっていき、炭治郎達は墓掃除を改めて行い、再び手を合わせた。しばらくして立ち上がると。
「それじゃ、もう行くよ」
「また、来るから」
「色々、お話に来ますね」
「次は俺の結婚報告に来るから!」
「今度はとっておきのドングリを持ってきてやる!!」
「それじゃ、失礼しますね」
皆が帰ろうとした瞬間、強い風が吹き抜けた。思わず顔を腕で覆ってしまう。
『みんな・・・』
「え?」
「どうしたの?お兄ちゃん」
「まさか!?」
炭治郎が振り返ると皆も一斉に振り返る。そこには全身が透けているように見える真次が自分の墓の水鉢の部分に腰を掛けてこちらを見ていた。
「ゆ、ゆゆゆうゆ幽霊!?」
『ありがとう・・・みんな、幸せにな?来世でまた会おう』
善逸は慌てていたが、皆は驚きすぎていてその場に固まってしまっていた。その言葉を最後に真次は消えてしまった。同時に花の傍に置いてあった真次の日輪刀の鞘にヒビが入り、砕けてしまった。
「鞘が・・・」
「きっと鞘に、最後の意思を残していたんですね。ビックリしましたけど」
「驚かせるの好きだったから、真次は」
「ねぇ・・・今日はみんなでおはぎを作らない?真次さんの為に」
「いい考えだな!ほら、早く行こうぜ、それから俺にも食わせろよ!」
皆が背を向け、真次の墓がある丘を下って去っていく。突然吹き始めた風に揺らされ花びらが散り、四神と麒麟は優しげな風と共に天へと登っていった。
◇
アナタは来世を信じますか?
もし、前世の記憶を思い出したらその相手になんて伝えますか?
恋した相手、親友だった相手、そんな相手に対してどんな言葉を紡ぎますか?
数百年、数千年だとしても、自分の大切な人達に対してこの言葉を言うでしょう。
『ただいま』
短いですが、これにて完結にします。
最後の短歌は平安時代に生きていた「在原業平」のものです。
意味は「あなたによって人を想うことを学んだ。世の中の人はこれを恋というのだろう」
という意味です。
次回は異聞番外編、つまり・・「もしも」の世界として書きます。
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