華と日の刃を護る五行の刃   作:アマゾンズ

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最終決戦後の、生還のIFです。

※アンケートでの『一人で何処かへ去る』パターンを踏まえています。


生存ルート 姿を消した五行の刃

最終決戦の折、無惨を倒し鬼化した炭治郎が人間に戻り、人間の勝利となって平和な夜を取り戻した。

 

皆が刀を置き、平和に生きていこうとする中、一人違う道を行こうとする者がいた。

 

「さて、と・・・これで準備は出来たな」

 

今まで暮らしていた屋敷の掃除と出ていく準備だ。ただ、最後の仕事が残っている。それは親友の結婚式を見届けることだ。

 

「・・・未練を断ち切らないとな」

 

正装に着替えて、結婚式会場へと向かう。そこには知り合った方々などが集まり皆が祝福していた。

 

「悪い、色々あって遅れちまった」

 

「何やってんだ!もう二人でてるぞ」

 

「こっちこっち!」

 

善逸に案内され、結婚の正装をした炭治郎とカナヲの姿を見る。幸せそうに微笑む二人に真次も笑みを浮かべている。だが、隣にいる善逸だけは真次の本心を音で気付いていた。

 

「It's beautiful(綺麗だな)カナヲ・・・」

 

一瞬だけ、カナヲがこちらを見て笑顔が消えた。幸せになれると言ってくれた真次と目が合ったのだ。だが、真次は微笑むとおめでとうと言葉を口にした。

 

「カナヲ?」

 

「ううん、大丈夫」

 

炭治郎も同じ方向へ視線を向けると真次が居るのに気付いた。彼からは寂しさと祝福を合わせた匂いがしていた。

 

「・・・っ」

 

そんな彼に声を掛けようとしたが真次は顔を横に振っていた。寂しそうな眼をしているのに親友と想い人の結婚を祝福してくれているのだ。その思いは嬉しいはずなのに辛い。親友を裏切ってしまった、親友をから想い人を奪い取ってしまった。そんな思いが頭の中をグルグルと回りだす。

 

コツンと額に何かあった感触がした。真次は指の合図で「き・に・す・る・な」とメッセージを送った。恐らく何か小さな物で自分の方に視線を向けさせたのだろう。

 

「真次・・・」

 

二人の祝福が終わり、皆が宴をしている中、真次は会場を見て笑った後、背を向けて歩こうとしていた時だった。

 

「待てよ」

 

「!」

 

声をかけて来たのは善逸だった。やはりというか、真次の状態を知って会場を抜け出してきたのだ。

 

「お前、誰にも会わず居なくなる気なのか?」

 

「・・・・」

 

「答えろよ!!」

 

「ああ、そうだ」

 

「何でだよ!皆と一緒に居ればいいだろ!!」

 

「っ・・・」

 

ギリッと唇を噛み締め、強く拳を握りこんだ。善逸には怒りと嫉妬が混同している音が聞こえている。真次は善逸の胸ぐらを掴むと低い声で詰め寄った。

 

「テメエ・・・毎日毎日、見てろってのか?想い人が他の男に笑みを向けるのを・・・毎晩毎晩、聞いてろってのか?想い人が他の男に抱かれるのを・・・!お前も禰豆子が他の男と結婚して、同じ状況になったらどうなるか・・・!!考えてみろよ・・・!」

 

「あ・・・ごめん・・・」

 

真次はすぐに掴んだ手を離すと背を向けて歩き出した。これ以上ここにいるのは辛く、善逸に八つ当たりしてしまった事が情けなく感じたからだ。

 

善逸も同じ状況という事を考えていなかった。ただ、自分を親友と言ってくれた友人がいなくなるのが寂しくなってしまうことしか考えていなかった。もしも、禰豆子が自分以外の男と結婚し、一つ屋根の下で共に暮らす事になればどうなるか?それを考えただけでも気が狂いそうになる。そのことを失念してしまっていた。

 

「真次!ずっと言えなかったけど、俺もお前の事を親友だって思ってるからな!!」

 

「!・・・ああ!」

 

真次は振り返って笑みを見せると夜の闇へと消えていった。善逸は他の二人になんて言おうと考えていたが結局、宴会が終わるまで思いつくことはなかった。

 

 

 

 

 

翌日の早朝、真次は住んでいた屋敷から出ていこうとしていた。荷物も少なく、元々ものを持つ事をあまり好まなかった為にカバン一つで全て収まるくらいだった。

 

「さて、行きますか。風の吹くまま気の向くまま・・・っと」

 

歩いて駅へと向かい、何処へ行くか考える。もう、親友達にも想い人にも会う事はないし遠征でも行くかと思いながら真次は歩いて行った。

 

そして正午、新婚となった炭治郎とカナヲが真次の屋敷へと趣いていた。その後ろには禰豆子、善逸、伊之助の三人もいる。

 

その中で、善逸だけが乗り気ではなかった。彼と最後に出会ったのが善逸だったからだ。

 

「(あれ?音がしない?)」

 

「真次ー!居るかー!」

 

「おい、善次郎!扉空いてんぞ!!」

 

「ちょっと、伊之助!勝手に入るのはマズイって!」

 

「待って、ここ人の気配がしない」

 

カナヲの言葉に善逸以外の全員が驚いた。急いで中に入り屋敷の中を見回すが誰もいない。

 

「誰もいない・・・」

 

「本当に誰も居ねえぞ!!」

 

「こっちにも居ないよ!お兄ちゃん!」

 

「真次・・・どこへ行っちゃったんだ!?」

 

「(これが・・お前の答えかよ。真次)」

 

その日、全員で手分けして真次が行きそうな場所へ手当たり次第に探したが手掛かりはなかった。

 

その日の夕方、帰宅すると善逸が皆を集めた。いつもならおちゃらけている善逸が珍しく真剣な表情で。

 

「皆、言うか言わないか迷っていたんだけどさ。真次の奴、あの屋敷から出ていく準備を既にしていたようなんだよ」

 

「え?」

 

「なんだそりゃあ?アイツが居なくなる理由なんかねえだろ!連れ戻してやる!!」

 

「最後まで話を聞けよ、イノシシ!それで、アイツは姿を消す決心をしていたらしい。一緒には居られないって」

 

「どうして・・・」

 

炭治郎は信じたくないといった様子だが、善逸は心を鬼にして事実を言うことにした。

 

「炭治郎、例えばだけどカナヲちゃんが別の男と結婚して、その男と一緒に住んでてさ。好きだった人が仲良くしている場面を毎日見るの耐えられるか?」

 

「え・・・それは、無理だよ。考えたくもない」

 

「伊之助もそうだ。アオイちゃんが他の男と一緒に居るのに一緒に居られるか?」

 

「・・・・ぜってえ無理だ。暴れるかもしれねえ」

 

「真次はさ、それに耐えられない自分を自覚して居なくなったんだよ」

 

「真次・・・」

 

「真次さんが・・・」

 

これにはカナヲと禰豆子も驚きを隠せなかった。真次の好きだった人はこの場にいる全員が知っている。

 

「結婚式に参加したのは、最後の未練を断ち切る意味もあったのかもしれないな」

 

「なんで言ってくれなかったんだ!?善逸!」

 

「言えるわけないだろ!!二人が幸せな状態でこんな話なんか!」

 

「炭治郎、落ち着いて」

 

善逸の肩を掴んで騒ぐ炭治郎だったが妻となったカナヲに宥められ、炭治郎は冷静さを取り戻した。

 

「とりあえず、どうすんだ?アイツを連れ戻すのか、連れ戻さないのか」

 

「私は止めておいた方が良いと思う・・・」

 

意外にも禰豆子は連れ戻す事を反対してきた。その言葉に兄である炭治郎が疑問を投げかけた。

 

「なんでだ!?禰豆子!」

 

「真次さんは、お兄ちゃんとカナヲお義姉ちゃんの幸せを願って身を引いたんだよ?それを連れ戻すのは酷な事じゃない!」

 

「あ・・・・」

 

「私も連れ戻さない方がいいと思う」

 

「ハナヲ、お前もか!?」

 

カナヲも反対意見を出してきた。これで女性は反対という意見が固まった。

 

「同じ立場になって考えてみたら、辛すぎるもの・・・」

 

「う・・・」

 

炭治郎と伊之助は連れ戻すつもりだったようだ。だが、カナヲの意見と同じだったのを思い出し、諦めたようだ。

 

それから数年後、それぞれの子供が6歳になり東京へ遊びに来ている時であった。娘が走り出してしまい、見回りをしていた一人の警官にぶつかってしまったのだ。

 

「あ、こら。走り出したら危ないぞ!」

 

「わっ!?」

 

「おっと・・・」

 

「あ、すみません。ほら謝りなさい」

 

「おまわりさん、ごめんなさい」

 

「良いんだよ、ちゃんと謝れたね。良い子だ」

 

「(え・・・この匂い)」

 

目の前にいる警官から懐かしい匂いが出ていたのを炭治郎は感じ取った。かつて親友として友情を築いた彼の匂い。

 

「炭治郎~、ごめん。買い物に時間がかかっちゃって!(あれ?この音・・・)」

 

「お兄ちゃん、ごめんね」

 

「こっちも終わったぞ」

 

「大変でしたね」

 

善逸も警官から出ている音で気付いていた。数年間行方不明で連絡も何もなかった一人の親友が目の前にいるのだ。警官は帽子を深く被り直すと一礼した。

 

「それじゃ、本官はこれで失礼します」

 

「あ・・待って、真次!」

 

「真次なんだろ!?おい!」

 

「・・・・」

 

警官は振り向きもせずに人混みの中へと消えていってしまった。追いかけようとしたが追いかけられなかった。

 

「炭治郎?」

 

「善逸さん?」

 

「あの、おまわり・・・真担だったのか?」

 

「え、真次さんが?」

 

炭治郎と善逸は自分の妻や友人達から声をかけられていたが、耳に入っていなかった。もう彼は自分達とは全く違う場所にいる、それでも生きていてくれたという嬉しさが涙として出てきていた。

 

 

 

 

 

警官姿の真次はそのまま街を歩いていた。そんな中、一人の男が路地裏に入る隙間から声をかけてきた。

 

「おい、良かったのかよ?再会を喜ばなくて」

 

「・・・忍はお節介なんですね?宇髄さん」

 

それはかつて共に戦った宇髄天元その人であった。今は真次に情報を出す裏の情報屋として繋がりを持っている。真次は壁に話しかけるような形で会話を続ける。

 

「友と惚れた女の為に身を引く・・・か、派手だが俺には出来ねえな」

 

「そんな柄でもないでしょう?貴方は」

 

「まぁな・・・ほれ、頼まれてた情報だ」

 

「・・・・やはり重役か」

 

真次は懐から小太刀を僅かに取り出し、すぐにしまった。今の彼からは想像もつかないほど冷たい眼をしていた。

 

「裏稼業はほどほどにな」

 

それだけ言って宇髄はいなくなった。真次は空を見ながら平和に暮らしてくれともう会う事のない親友と想い人達を思い浮かべるのだった。




大正コソコソ話。

真次が警官になったのは情報面で役立つと思ったためです。

次はアンケートの結果によります。

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