その人を思い出した時・・。
どうすればいいのだろう。
※今回は現代風に書きます、全員大学生という設定です。
※カラオケネタが入ります、カラオケ店内が架空レベルです、ご了承ください。
※前世ネタで曲を探していたら『月夜の悪戯の魔法』がものすごく合っていたので作品中で歌わせている設定です。
毎日毎日、不思議な夢を見る。蝶のような羽織を着て、満月の夜に両手を広げて羽根を現し、一人の女性がこちらに近づいて来る夢だ。
「っ・・・また、同じ夢か。さて、今日は3限目からだから昼までに行けば大丈夫だな」
俺の実家では曾々祖父と曾々祖母に関する話をよく聞かされていた。何でも鬼を退治していたそうで、今は文献しか残っていないそうだが、俺の曾々祖父、つまり俺の曾々じいちゃんは曾々ばあちゃんにあたる女性の医者と恋仲だったそうで、それはもう周りが羨む程のおしどり夫婦だったらしい。
「現代だとバカップルって言われそうだけどなぁ」
ぼやきながら着替えを済ませつつ、身支度を整える。整えると同時にスマホにラインが来ていた。
日炭「真次、今日帰りにカラオケ行こうって誘われてるんだけど一緒に行かないかい?(^∀^)」
五行真「は?いつものメンバーでか?Σ(゚д゚lll)」
日炭「そうだけど、カナヲのお姉さんも一緒に来るって、俺は歌えないけど(´・ω・`)」
そりゃあ、そうだ。あのカナヲでさえ歌うのを必死に止めてたもんな。
五行真「OK、行くよ(´∀`)b」
日炭「分かった、伝えておくよ!」
ラインの会話を終わりにして、寮からでて玄関の鍵を閉める。大学までは駅一つ分だ。歩くなら最寄りの駅は5分足らずで着いてしまう。
「・・・アイツ等、変な話してくるんだよな。『早く思い出して!』とか『待たせ過ぎ』とか『忘れてんな!』とかさ」
真次は電車に乗り、大学キャンパスへと向かう。親友三人は俺が若年性アルツハイマーにでもなったと思ってるのだろうか?と考えてしまう。炭治郎からは思い出せと言われても何を思い出せというのか?善逸からは待たせすぎと言われてるが、何を待たせているのか?伊之助からは忘れてんな!と言われるが何を忘れているというのか?
「ホント、訳わからねえ・・・・」
◇
その頃、炭治郎、善逸、伊之助の三人は大学の食堂で話をしていた。この三人は『前世の記憶』を思い出しており、真次と親友であった事も全て思い出している。伊之助は天丼をかきこみつつ話を聞いている。
「まだ、思い出さないな・・・真次」
「キッカケがあれば思い出すんだろうけどな」
「
「口の中に物を入れたまま喋るなって!飲み込んでから話せよ!」
「んくっ、早いとこ思い出させてやらねえと、アイツの事を」
「だから、カナヲ達にも頼んだんじゃないか。けど・・・」
「やっぱり、向こうも?」
「うん、思い出してないみたい」
◇
講義が終わりの時間、カナヲ、アオイは目的の人を探していた。それを見かけると二人は駆け寄った。カナヲとアオイは共に大学二年生、炭治郎達と同じように『前世の記憶』を思い出している。だが・・。
「しのぶ姉さん」
「カナヲ?あら、アオイまで」
「ご無沙汰してます」
彼女の名は胡蝶しのぶ、三姉妹の中の次女で大学三年生だ。その美貌と笑顔に言い寄ってくる男性は多いが、断っており強引に迫る相手は何故か逃げていくといった噂が立っている。
「今日、炭治郎達と一緒に遊びに行く約束をしたんだけど、姉さんもどうかな?」
「私が参加しても構わないの?」
「うん、参加して欲しい」
「私もです」
「じゃあ、参加させてもらいますね。楽しみにしてますから」
それだけを告げるとしのぶは次の講義に向かってしまった。二人はもう、講義が無いので、炭治郎達と合流することになっている。
「カナヲ、やっぱり・・・しのぶ様は」
「うん、まだ思い出してないみたい」
姉妹として接してはいるが、しのぶは『前世の記憶』を思い出していない。前世で幸せであった二人をもう一度幸せになって欲しいという願いがあった。だが、未だに思い出せていないのだ。
「根気よく行こう!きっと思い出してくれるはずだから」
「うん、そうだね」
「あ、そうだ。アオイにお願いがあるの」
「私に?」
◇
しのぶは歩きながら二人の言葉を思い出していた。その他にも色々な夢を見る事が最近になって多い。
青い龍、白い虎、朱い鳥、黒い亀、黄色い一角の馬、その全てが自分の元に来る夢。
一人の男性の侍が道教師のような相手と戦い、特攻していくのを手を伸ばして止めようとする夢。
顔のわからないその侍と自分が恋人になっている夢などだ。更には妹と同じように可愛がっている親戚から妙な事を言われる。
『早く思い出してください』
『きっと待っています』
と言われたのだ。自分には何も覚えがない、誰かを好きになった覚えもない、なのにあの二人は必死になって伝えてくる。
「一体何なんでしょうね?」
自分の課題を早く終わらせることに集中する。今日は珍しく妹が遊びに誘いに来たのだから。
◇
そして、午後。カラオケ店にあるパーティールームを予約しコースも予約した男子メンバー、もちろん女性陣にも許可はもらっている。
「ごめんなさい、少し遅れました」
「待たせちゃったかな?禰豆子ちゃんも誘ってたから」
「ああ、大丈夫だよ」
「姉さんはもう少ししたら来るって」
「真次も同じだって」
「こっち来いよー!」
『前世の記憶』を思い出しても、やはりそれぞれ夫婦になっていた相手の近くに座るメンバー達。メインの二人が遅れるため、先に自分達で楽しもうという形になった。
◇
「えっと、ああ・・此処だ。ん?」
「カナヲ達が言っていたのは此処ですね。あら?」
真次としのぶはお互いに見つめ合う形になってしまう。まるで周りは動いているのに自分達の時間だけが静止しているように。
「(この人、大学で見かけたような・・・え?なんだ?この感じ?)」
「(あら?あらあら?大学ではすれ違っている人ですね・・・けど、何故だか気になります)」
二人の間に不思議な空気が流れる。お互い知らないはずなのに知っているような、何かを忘れているような、そんな感覚。
「あの、初めまして。俺、神威真次です」
「ご丁寧にありがとうございます。私は胡蝶しのぶです」
「胡蝶?もしかしてカナヲが言ってるお姉さんって貴女の事ですか?」
「カナヲの事を知ってるんですか?」
「ええ、まぁ・・・カナヲは友人の彼女だって聞いてますから」
「あぁ・・なるほどなるほど」
「とりあえず、中に入りませんか?みんな待っていると思うので」
「そうですね」
真次は店の中に入り、先に入店している友人達と合流しに来たという旨を店員に伝えると奥のパーティールームだという事を聞いた。
「奥の部屋だそうです」
「そうですか、行きましょう」
扉を開けると善逸が熱唱しており、炭治郎、伊之助の二人がバックダンサーをしている。
このカラオケ店のパーティールームは広めで、バックダンサーをする事も出来る簡易ステージがあり、楽器ができれば演奏モードもできる。店に言えばコスプレ服すらも貸してくれるという徹底ぶりだ。
「あ、姉さん!真次も」
「少し遅いですよ!しのぶ・・さん」
「カナヲもアオイも居たのね」
「よう、遅くなって悪かった」
「ふぅ、やっと来たな!」
「善逸さん、すごかったです!」
「ありがとぉ禰豆子ちゃぁん、俺も練習してるんだぁ」
「歌えなくてもダンスは出来るのが役に立ったな。あ、真次!」
「よ、炭治郎」
「あー、腹減った。ダンスは腹が減るんだよ」
それぞれが順番に炭治郎以外が歌い、合流した二人も歌った。今度はリクエスト合戦になり、それぞれが歌が上手い順に歌い始める。その途中でしのぶは歌本を眺めている中で気になる曲を見つけた。
「[月夜の悪戯の魔法]ですか・・・あ、私からリクエスト良いですか?」
えっ!と全員がしのぶの方を一斉に見る。先程まで聞き手に回っていたしのぶがリクエストをしたいと言って手を挙げてきたからだ。
「真次さんに[月夜の悪戯の魔法]を歌ってほしいのですけれど良いですか?」
「え?お、俺でよければ」
「あ、少し待って姉さん」
「?」
「ちょっと衣装借りてくる」
「あ、しのぶさん。目隠ししますね?サプライズっぽくしたいので」
「構いませんよ」
カナヲは素早く衣装を借りに行き、しのぶはアオイから目隠しをされるが準備があるのだろうと思い、受け入れた。
「ちょちょ!何すんだカナヲ!炭治郎達まで!!」
「いいから黙って衣装を着て!」
「そうそう、カナヲの言う通りにしてくれよ」
「いいから着ろって!」
「分かった、分かったから!」
真次はされるがままに衣装を着る事になった。それは大正時代に着ていた鬼殺隊の衣服に似た物で羽織は『前世』を思い出したアオイが仕立てて作ったものだ。カナヲに頼まれ、この日の為に作っていたと言うのだから驚きだ。ご丁寧にマイクはピンマイクにされている。
「なんだよこれ・・・?(でも、異様に馴染むなぁ)」
「姉さん、目隠し取るね」
「はい」
「曲は俺が入れておくよ」
善逸が曲を入れ、スタートする。目隠しを取った瞬間、しのぶは真次を見て目を見開く。何故なら目の前に夢の中で特攻を止めようとした侍と真次の姿が完全に一致していたからだ。
「あ、曲が始まるな」
伊之助は何気なく曲の始まりを口にしていた。しのぶが真次にリクエストした[月夜の悪戯の魔法]が始まる。元々、カラオケ好きな真次はプロとまではいかないが、通っていた影響か、かなり歌唱力が高くなっている。
一番AメロBメロ、サビに入っていき盛り上がるように歌詞を大事に歌う真次。しのぶの中では歌詞が切なく歌われる度に自分の胸がチクリと痛む感覚がある。何かが出てきそうな、そんな予感だ。
まるで自分ではない自分が誰かに呼ばれている。そのような感じがするのだ。
真次も曲を歌う度に大切な何かがあったような気がしてくる。一人カラオケで練習に歌った事もあったので歌詞に『花鳥風月』が入っている事を知っていた真次は動きで『花』を取り出す仕草をし、花びらを舞わせているような動きをした後、『鳥』は羽を表現する為に羽織を靡かせて翼を再現し『風』は舞踊のようにゆっくり回転する事で現し『月』は手で円を描いて表現した。
最後に「君は近くに居るのに」と歌い終えた瞬間、しのぶの目からは涙が溢れ出ていた。いくら拭っても拭っても止まらない。歌に感動したのとは違う。
「え・・・・?あ、あれ?どうして・・涙が」
「しのぶさん?」
『しのぶ・・・』
「っ!!」
真次に声をかけられたと同時に、しのぶの頭の中へ大量の映像が流れ込んでくる。これは前世の自分だ。戦いの場面、恋する場面、抱かれる場面、婚姻を挙げる場面などだ。
『お前にしのぶを喰わせてたまるかァァ!』
『貴方は!どうして!』
「!!」
瞬間、しのぶは思い出した『前世の記憶』の全てを。そしてステージで歌っていた男が自分と繋がりが深い相手だという事を。
「こんな時になるまで忘れていたなんて、うっかりです」
「姉さん?もしかして・・・!」
「え?え?」
「はい、全てを思い出しました・・・」
「!しのぶ様・・・!」
今の時代でも妹であるカナヲとアオイに笑みを見せる。あの頃と変わらない笑顔を見せ、かまぼこ隊のメンバー達も笑顔になっている。しのぶは立ち上がると真次の近くへと行き、真次の顔を正面から覗き込む。しかも上目遣いのおまけ付きだ。
「真次、いつまで私を待たせるんですか・・・?」
「へ?あ・・ああああの!?」
「お寝坊さんには接吻しちゃいますよ、私は此処に居ます」
「!!」
真次もしのぶの言葉で同じように頭の中へ映像が入り込んでくる。自分と同じ姿、しのぶと全く変わらない女性を愛したかつての自分。真次自身もようやく『前世の記憶』を思い出したのだ。
「しの・・・ぶ?」
「クスッ・・・ようやくですか?私も人の事を言えませんが、貴方もかなりのうっかりさんですね」
「ああ、思い出したよ・・・。しのぶ、待たせて悪かった」
「お互い、本当に待たせてしまいましたね」
しのぶはポフッと真次の胸元に収まり、目を閉じた。真次も抱きしめて応えるが少ししてハッとする。
「・・・・(ニコニコ)」
「・・・(ニコニコ)」
「ギギギギギ・・・」
「・・・・(ホワホワ)」
「・・・・(ニコッ)」
「・・・(真っ赤)」
「あ・・・・っ」
「?どうしまし・・・あっ!」
そう、二人以外のメンバーはそれぞれ反応していた。手にはスマホを持って連射撮影しているのもいる。
「やっと思い出したんだね?」
「ちょっと羨ましいんですけどおおお!?」
「ナカガイイッテ・・・スゴイヨネ」
「ウフフ、お似合いでしたからね」
「真次、あとでお話しないとね?」
「もう、私達を忘れるなんて!」
「し、しのぶ」
「知りませんっ!」
その後のカラオケは大盛り上がりとなり、全員が『前世の記憶』を取り戻した事で蝶屋敷があった頃のようだった。
時間になり解散すると、真次としのぶだけが残された。帰り道も一緒なので共に隣り合って歩く。
「なんだか、アイツ等にしてやられた気がしないまでもないな」
「フフッ、それは仕方ないと諦めましょう」
そう言いながら、しのぶは真次の腕に自分の腕を絡ませて腕組み状態にしてきた。
「真次、今日この後・・・大丈夫ですか?」
「?大丈夫だが、なんでだ?」
「私、今日・・・帰りたくありません」
顔を赤くして、しのぶに迫られる真次は葛藤と戦うハメになるのであった。
ど、どうでしたでしょうか?歌で記憶を取り戻すパターンにしてみました。
『前世』に関しては善逸が一番最初で、二番目に炭治郎、三番目は伊之助が記憶を取り戻しています。
女性はカナヲ、アオイの順です。現代の知識も融合してるのでほとんど変わりません。
伊之助が大学に入れたのはアオイが勉強を見ていたのと、アイツが入るならばと決起して頑張った結果、合格したという設定です。
しのぶさんで見たいネタ
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前世
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ご解任
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子育て(ご都合有り)
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夫婦