戦いの場面から始まります。
※前々からやっていますが、今回は戦国BASARAの伊達政宗の要素をふんだんに使います。許せる方はどうぞ。
一人の男が呼吸を乱しながら走り続ける。整えてはいるが焦りが先行しており、ただただ前へ間に合えと走り続ける。
彼は神威真次、雑魚の鬼を突破し自分の恋人が向かった部屋を目指している。目的の部屋を見つけた瞬間、乱暴に開放し、その鉄扇で切ろうとしていた人物を刀で受け、間に入った。
「!?」
「上弦の鬼?Wonders(驚異)?NO…単なる生きたがりさ」
「おや?」
「どうやら、間に合ったようだな。Don't worry(心配かけるなよ)しのぶ」
「どうして・・・」
「単純な答えだ。お前は俺の女、そしてお前の仇は俺の敵だ」
「へぇ・・・君かぁ。そこの彼女が呟いていた相手って」
「だからどうした?上弦だろうが下弦だろうが、鬼には変わりねえ・・・ただ頚を落とす。それだけだ」
「うーん、カッコイイねえ?伊達男って言葉が似合いそうなほどカッコイイよ君」
「Huhn?ふざけてんのか?テメェの言葉には軽さしかねぇ。薄っぺらいんだよ」
真次の言葉に鬼である童磨は鉄扇を折り畳みながら初めて嫌悪感を抱いた。この男の眼は自分を見透している。どんなに言葉の壁を積み上げても射抜いてくるのだ。そんな彼に童磨は怒りを覚える。
「初めてだよ。そんな事を言われたの・・・君、意地が悪いね」
「Ha!図星を突かれたかい?怒る事くらいは出来るじゃねえか」
「気に入らない、本当に」
「だったらこの心臓、穿ってみるか?出来なきゃ・・・You’re gonna be sorry(お前は後悔するぜ)OK?」
異国語(英語)を口にしながら鋒を向け真次は童磨を挑発する。気に入らない気に入らない、目の前のこの男の全てが気に入らない、こんな感情は初めてだ。生まれた時から何も感じず鬼になっても何も感じない、救うという目的で教祖をしていたが、この男は自分の中にある空虚を見透かしてくる。童磨は初めて嫌悪するという感情を出していたのだ。
「Ha!さっきから凍りついてるぜ?アンタの周りがな。アンタの血鬼術は凍らせるってところか?そいつは驚異だな?体ン中を凍らされたら終わりになっちまう」
「!?」
「イラつくなぁ・・・本当に」
「だったら来いよ。この五行の刃、五つの首を持つ竜・・・即ち五竜の首を凍りつかせてみせろよ」
今の真次は青龍、白虎、朱雀、玄武、麒麟ではなく・・・青竜、赤竜、黄竜、白竜、黒竜の五匹の竜が闘気として現れそれぞれの色に対応した位置から咆哮を上げている。
「そうだね。五行は五のつくものならば全て対応しているものが多いからねぇ・・・君は八岐大蛇ではないにしろ・・・本当に苛立つから真っ先に・・・あれ?」
「二人だけで盛り上がっているところ悪いですけど、私もいるんですよ」
しのぶは瞬間的に童磨へ毒を打ち込んでいたが、少しずつ治まっていってしまっている。恐らくは抵抗力と再生力の組み合わせだろう。
「She's an unsased woman(おっかない女だ)相変わらずよ・・・」
「ウフフ・・・」
「しのぶ、Are you Ready?(準備はいいか?)」
「ええ、出来ていますよ。貴方から教わっていますけど、あまり難しい異国語は使わないで下さいね?」
「おっと、Sorry(すまねえ)クセになって来てるもんでな」
「はぁ・・・もういいよ君たち」
「なっ!?」
「何を驚いてんだ?竜は雷を伴って、怒りで火炎を吐く生き物だろう?というよりも、アンタ・・初めて余裕の仮面が剥がれたな?」
「?何を言っているのさ?」
「アンタの中にあるのは快か不快のどちらかだけだ。さっき薄っぺらいと言ったのはそういう事なんだよ。アンタの言葉には何一つ重みがねえ、『救ってやる』だの『命は大切だ』だの、そんな気概が全く見えねえんだよ。宗教でもやってるのかい?ただ、面倒だからやっておく・・・そうじゃねぇか?」
「っ・・・」
どこまでコイツは俺の心の中に入ってくる。気に入らない!あの眼、あの声、聞かされるだけで俺の全てを見抜こうとして気に入らない。ああ、これだから嫌なんだ。
「しのぶ、長期戦は不利だ。奴の頚にお前のPoisonを打ち込めるか?」
「それくらいは簡単ですけど、その後は?」
「斬れやすくなったら斬る。それだけだ、お前は危険なGambling(賭け)には乗らねえのかい?賭け金は自分の命だ。それとも仇は取らねえで退くかい?」
「その言葉、腹が立ちますね・・・良いですよ。貴方の危険な賭けに乗ってあげます!」
「上等!Ya-ha-!さあ、partyの始まりだ!!」
二人は隣り合って刀を構えると同時に童磨へと突撃する。童磨自身は氷の血鬼術で二人の猛攻をいなし続ける。
「この戦いの後、キッチリ謝ってもらいますからね!」
「今、そんなこたぁどうでもいい!勝つ事だけを考えろ!余計な思考をするな!!」
「本当になんなの?君達は」
「さぁな?今は鬼を砕き殺す竜かもな」
『五行の呼吸 火(炎)の型・三之巻・朱雀翼・極』とは本来、陽炎によって幻惑させる技である朱雀翼を更に進化させ、自身だけではなく自分の味方の陽炎すらも作り出し波状攻撃する技だ。単体で使えば自身を、味方が居る時に使えば味方の数に応じて陽炎を作り出すことも数を増やす事もできる。しかし、作り出すには大量の水分が必要となり、空気中だけではせいぜい二人分、つまり本体と分身を合わせて四体が限界だ。
だが、この部屋には蓮の花を育てる為の小池、更には童磨が扱う『血鬼術』の特性を逆手に取っている為、陽炎をその四倍、作り出す事が可能であった。
「はぁ、勿体無いな。男はどうでも・・・あれ?」
「流石は『五行の呼吸」ですね。どんな呼吸にも対応出来る応用力がすごいです」
「あれ?こんなに沢山の毒が頚に・・・でも、俺には・・がっ!?」
「残念だったな、本命はコッチだ!」
しのぶが毒を打ち込み、効いている間の僅かな時間に真次は間髪入れずに刃を首に減り込ませた。
「うぐっ・・・毒は、俺の肉を柔らかくする為の・・・囮!」
「Great answer(大正解だ)俺の刃は簡単には折れねえぜ!う、おおおお!!」
「ぐ・・こんな奴に!!」
瞬間、真次の斬撃よって童磨の首が落とされる。しのぶはそれを逃さず自分の日輪刀を突き立てた。
「えー、頚斬られちゃった・・・・あーあ、いくら俺に毒が効かなくてもこれじゃ無理だ」
胴体は真次は一刀両断し、再生できないよう。念入りに斬っていた。そんな中でしのぶは童磨に話しかける。
「最後に何かありますか?」
「なんだろう・・・ね。負けたというのに今はない心臓が脈打つ感じがしてるよ」
「?」
「これが恋って奴なのかな?ねえ、しのぶちゃん。俺と一緒に地獄へ行かない?」
「Don't talk about people's women(人の女を口説いてんじゃねえ)」
「!」
「見ての通り、私には相手がいますので。とっととくたばれ、糞野郎」
童磨が消滅したのを見ると同時に真次は床の上に大の字で倒れた。しのぶもその場で座り込んでしまう。極限状態での呼吸であった為に真次が息を荒くしている。
「はぁ・・・はぁ・・・もう、あんな奴の相手は二度とゴメンだぜ」
「全くです。それと、私を挑発した事を謝ってくれますか?」
「ん?ああ、済まねえな。決起させるためにやったが地雷だったものな」
「少し、お仕置きしますね」
二人は冷気にやられた影響と血鬼術による怪我が多いが呼吸で止血されている為、少し休めば立てるようになるだろう。そんな中、しのぶは自分の唇に歯を立てて血を出すと口に何かを含み、大の字で倒れている真次に接吻した。
「むぐっ!?」
「んっ・・・フフ」
しばらくして唇を離すと、真次は自分の身体が動けないことに気づく。これは毒の症状だ。
「ぐ・・・し、しのぶ・・おま・・!」
「私、かなり怒っているんですよ?大丈夫、死なないように加減はしましたから」
「加減・・・って・・」
「言い忘れてましたが、私の全身には高濃度の藤の花の毒が回っているんですよ。解毒剤と一緒に接吻しましたから、症状は軽いですけどね」
「お・・・ま・・え」
「しばらくは一緒に休ませてくださいね」
そう言いながら、しのぶは真次の上にのしかかり、胸元に埋まるのだった。真次は毒でやられながらも惚れた女には弱いんだなと改めて自覚した。
◇
「し、もし。もしもし」
「ん?」
「いつまで寝ているんですか?稽古が終わっているといっても寝過ぎは毒ですよ」
真次はしのぶの顔を見た後、ゆっくり起き上がった。まさか、あの激戦を夢に見る事になるとは、と思う。
「どうしたんですか?難しい顔をして」
「ん?ああ、お前と一緒に上弦と戦った時の夢を見てた」
「それはそれは、懐かしいですね」
「懐かしいって、死にかけたんだぞ?俺」
「あれは貴方が悪いです」
「う・・・・」
そう言いながら隣にしのぶは腰掛ける。しのぶは自分が考えられなかった今の平和を噛み締めるように目を閉じた。
「でも、感謝しています・・・貴方が私の怒りを分かち合ってくれた・・・貴方が居なかったら私は間違いなく死んでいた。それでもいいと思っていたのに」
「My sister(自分の姉)の仇を取りたい・・・そう俺に話した時からそんな気はしてたんだよ」
「・・・・」
「俺は死を恐れねえ・・・だが、死のうと思った事は一度もねえ。お前はその逆だった。仇を取るためなら死んでも構わない。そんな感じだった」
「その通りです」
しのぶは真次の言葉の重さと痛みを同時に感じている。そうしなければ自分を保てなかった姉の仇を取る事だけが自分の生きる意味ともなっていた。
「だが、庭を見てみろよ」
「?」
庭ではアオイが洗濯物を干し、カナヲがその手伝いをしており中原すみ、寺内きよ、高田なほといった三人が鞠を手に遊んでおり、かまぼこ隊のメンバーも皆、笑顔だ。
「お前が死なないで戻ってきた時、アイツ等・・・俺になんて言ったと思う?『しのぶ様を守って下さってありがとうございます』って言ってきたんだよ」
「あの子達が?」
「お前は姉の仇の為に死んでもいいとか言ってたが、アイツ等にとっての姉はお前なんだよ。血の繋がりだけじゃねえんだ。忘れろとは言えねえ・・けれどもう、抱えてるものを下ろしてもいいんじゃねえのか?」
「!!」
真次の言葉にしのぶは彼の横顔を見る。彼はまるで自身の姉であるカナエと似た雰囲気を持っていた。男性であるはずなのに優しく包まれるような雰囲気だ。しのぶはたまらず声をかける。
「真次さん」
「ん?なんだ・・んっ!?」
「んっ・・・」
しのぶは目を閉じ、真次が振り返ると同時に首に腕を回して彼に口づけした。自分の中にある精一杯の深愛の気持ちを込めて。
庭にいた全員が驚いているが、それ以上に真次が驚いていた、今のしのぶからは深愛の気持ちが深く深く伝わって来るのだ。ゆっくりと唇を離されるが真次の心臓は激しく鼓動している。
「I'm surprised(驚いたぜ)・・・どうしたんだ?しのぶ」
「私・・・一人の女として貴方に言いますね。貴方を心からお慕いしています」
それは、しのぶからの心からの告白であった。『柱』としてではない『復讐』もない、ただの『女』である胡蝶しのぶとしての。
「俺もお前を愛している・・しのぶ」
「貴方は藤の花の意味を知っていますか?」
「確か「優しさ」「歓迎」「決して離れない」「恋に酔う」だったか?」
「はい、その通りです。私は貴方から離れません」
「俺は離すつもりもないけどな」
「フフ、此処まで惚れ込ませた責任、とってくださいね?」
「俺はお前の毒に酔わされっぱなしだな・・・」
「それなら今夜、私の部屋に来てくださいね?待ってますから」
そう言って二人は抱き合いながら口づけを交わした後、しのぶは熱っぽい視線で人差し指を口元に当てながら去っていった。
王道みたいな感じで書きました。
話は浮かぶのに漫画だったら・・・と思わずに居られませんです。はい・・・。
アンケートに関してはしっかり見てます。一番多いものと二番目に多い意見を参考にしています。
※この後の二人は、あーんな事やこーんな事をしたり、それもう夜は燃え上がりまくりでしたよ。
※それと感想ください(切実)
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