華と日の刃を護る五行の刃   作:アマゾンズ

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※死亡キャラ全員生存IFです。

※IF柱です。次世代と前世代で分かれています。

※公式カップリングは結婚済み

※しのぶさんの毒は日常生活と命を宿すのに差し障りのないレベルまで解毒した状態です。

※しのぶさんと付き合っていますがお忍びです。


痛めつけられた蝶と五行の逆鱗・婚姻編

しのぶを救出してから三ヶ月、真次はその日の夜に蝶屋敷に呼ばれていた。特に理由がないのだが、自分も特に予定がなかったので手土産を手に向かう事にした。

 

「手土産は・・コイツでいいか。にしても一体」

 

蝶屋敷へと到着すると出迎えに高田なほ、中原すみ、寺内きよ、この三人が出てきた。真次だと分かり、三人は笑顔を見せる。

 

「真次さんだ!」

 

「ようこそ!」

 

「いらっしゃいました!」

 

「よう、how are you?(元気だったか?)」

 

「?」

 

「??」

 

「???」

 

「っと、悪い。元気だったか?って聞いたんだよ」

 

「「「はい!」」」

 

「相変わらずだなぁ。それと、コイツは土産だ。食い物だから皆で分けてくれ」

 

手土産を渡すと三人は慌ただしく中へと戻っていった。途中でアオイにも出会い、挨拶する。

 

「よう、アオイ」

 

「あ、真次さん。こんな時間にどうしたんですか?今日は」

 

「此処の主さんに呼ばれてな」

 

「ああ、そういう事ですか」

 

「そういうことだ。ん?」

 

「どうしました?」

 

真次は『勘』ではあるが、アオイに何か宿っているのを『なんとなく』感じ取った。アオイは既に結婚しており、その相手は親友である伊之助だ。親友のメンバーの中でいち早く婚姻を結んだのもこの二人である。真次は手招きして耳元で教える事にした。

 

「予感なんだがな、アオイ・・お前から何か宿ってるのが見えたぞ」

 

「え!?それって!」

 

「Keep it secret(内緒にしておきな)話すのはまだ早い」

 

真次は人差し指を立て自分の人差し指に当てると、シーッとする仕草をした。

 

「そう・・ですね。まだ、決まった訳じゃないですし」

 

「そういうこった、Good luck(頑張れよ)」

 

「真次さん、あまり異国語を使わないで下さい」

 

「クセになってるからな、許してくれ」

 

アオイとの会話を終わらせると屋敷の主の部屋へと赴く。なぜ突然呼び出したのかを聞くためである。

 

「しのぶ、来たぞ」

 

「良かった、来ないなら迎えに行くところでしたよ」

 

「いきなり呼び出されたんだ、驚きもするだろうに・・それで?要件は?」

 

「せっかちですね。お茶でも飲みませんか?」

 

「・・・・頂く」

 

お茶を用意され、一息つくと同時に何故呼ばれたのかを聞く事にした。このままでは埒があかないからだ。

 

「で、俺を呼んだ要件は?」

 

「会いたかったから、じゃダメですか?」

 

「っ!?(こ、コイツ・・・危うくお茶を噴きそうになったわ!)」

 

「ふぅ・・・」

 

「ん?疲れてるのか?」

 

「ええ、座りっぱなしでしたから」

 

しのぶは腕を回したりしており、どうやら身体が疲れている様子だ。真次は立ち上がるとしのぶの背中に回った。

 

「真次さん?あっ!」

 

「随分固まってるじゃねえか、相当だぞ?」

 

「んっ!んんっ・・少し痛いですけど・・・お上手ですね」

 

「コイツは重要だしな。よし、俺が解してやるか」

 

 

 

 

 

一時間程の時間が経った後、善逸と炭治郎それにカナヲが扉の閉まっている診察室の扉の前で聞き耳を当てていた。

 

「・・・んんっ・・・あああっ!そこ、すごいです・・・!」

 

「まだまだ、こんなものじゃないだろ?」

 

「そ、そうですけど・・ああっ・・良い!こんなの初めて・・・!」

 

扉越しに聞こえてくるしのぶの嬌声と真次の声に、盗み聞きしている全員が顔を真っ赤にして口元を押さえている。

 

「ほら、横になりな。最後まで行くからよ」

 

「そ、そんな所まで・・!んっ!・・はぁ・・・ん・・ああっ!!」

 

「最後までいかないと、気持ちよくならない・・・だろ?」

 

会話だけでもイケナイ妄想をしてしまう三人、声が漏れないように小声で会話する。

 

「ちょっと待って!あの二人ってば何やってんのおおおおお!?」

 

「な、なんだか!すごく気持ちよさそうな声を出してるよね・・・?(匂いが分からないし!)」

 

「ね、姉さん・・!まさか、真次と!?」

 

ギシギシと寝台が軋む音が聞こえ、しのぶの嬌声は大きくなっている。ここまでくれば中でやっている事は一つだとしか考えられない。

 

「もう少しだ、耐えろ」

 

「も、もうダメです・・・!んんっ・・はぁっ!ああっ!」

 

盗み聞きを続けているとアオイが通りがかり、何をしているんだと声をかけると三人は一斉にシーッ!と人差し指を立てる仕草をしている。

 

何事かと診断室の扉にアオイも耳を近づけて盗み聞きをする。

 

「ほら、最後の仕上げだ。行くぞ」

 

「あっ・・そこ・・!んんっ・・あああん!はぁ・・はぁ・・・もう、こんなになるまで・・・」

 

しのぶの嬌声を聞いた瞬間、アオイは思い切り診断室の扉を開け、大声で叫んだ。

 

「しのぶ様に何て事をしてるんですか!?この変態!」

 

「What?(なんだ?)いきなりどうした?」

 

「あら、アオイ?皆さんもどうしましたか?」

 

全員が二人を見てると真次がしのぶの肩を押さえつつ、丁寧に回していた。それは機能回復訓練時にやっているマッサージを応用しているものだと一目でわかる。

 

「え・・あ、あの?」

 

「ほら終わりだ、しのぶ。固くなってたのを解して外したから軽くなったと思うぞ」

 

「う―――ん!本当ですね。ありがとうございます」

 

しのぶは腕を伸ばすとスッキリした表情で深呼吸しており、本当に軽そうな様子だ。

 

「ま、真次さん?あの・・しのぶ様に何をしてたんですか?」

 

「ん?座りっぱなしで、しのぶの肩が固まってたのを解してやっただけだぞ」

 

さも、当然と答えてくる真次に如何わしい事は何もなさそうだ。アオイの質問に大して嘘は全くついていない。

 

「I see(なるほど)・・・しのぶの声で俺達が、此処で如何わしい事をヤってたのかとでも思ったのか?」

 

「!!」

 

「あらあら、盗み聞きは感心しませんね」

 

「ご、ごめんなさい!私、てっきり!」

 

「Ridiculous(馬鹿馬鹿しい)こんな所で普通やるか?」

 

「そもそも、そんな事は私が許しませんよ」

 

「だってさ、そこの三人」

 

真次の視線は、アオイ以外の盗み聞きをしていた三人に向けている。三人は一斉に謝ると逃走してしまった。

 

「わ、私も、し・・失礼します!」

 

アオイも一礼すると部屋を出ていき、真次はやれやれと言いたげな様子で椅子に座り直した。

 

「(本気で身を固めるか・・・今回それが目的だし)」

 

「でも、正直・・・あの四人が羨ましいですね」

 

「・・・なんでだ?」

 

「好きな人と一緒にいて、ともに歳を重ねる・・・そんな当たり前の事を私は捨てていますから」

 

「・・・」

 

真次は一歩踏み出そうとしたが出来ないでいた。断られるかもしれないという恐怖がそれを阻んでいる。だが、此処で踏み出さずしていつ踏み出すと思っているとしのぶに声をかけられた。

 

「お月見、しませんか?」

 

「季節は外れてるが今日は・・・満月だったな。OK」

 

 

 

 

月がよく見える蝶屋敷の縁側に二人で座る。真次はしばらく月を見ていた後、しのぶの横顔を見ていた。初めてこの蝶屋敷に世話になった時もこんな満月の夜だった。

 

「真次さん、月が綺麗ですね」

 

しのぶの言葉に真次は言葉を思考する。そういう意味なのか?そういう事でいいのかと。ならば、俺はこう返そう。

 

「Oh I see(そうか)・・それはきっと『お前と一緒に見る月だから』だな」

 

「え!?あ、あの・・・?」

 

しのぶは思わず真次の方を見てしまう。いつの間にか視線を月に向けており、腕組みの代わりに羽織を着込んで袖の中に隠している。

 

そのつもりで言ったのがバレてしまったのだろうか?否、言葉の意味を理解した上で返してきたのだとしたら不覚でしかない。

 

だが、目の前の彼なら有り得る。今の彼は異国語を勉強する程の勉強家になった一面があり、その中で文豪の作品を読んでいた可能性があるのだから。

 

「・・・・しのぶ、これを受け取ってくれるか?」

 

「?」

 

贈り物の包装がされている小さな箱を差し出され、しのぶはそれを手にして自分の元に持っていく。

 

「開けてもいいですか?」

 

「ああ」

 

封を解き、蓋を開けると其処には『指輪』が入っていた。蝶の彫り込みがされており、色合いも光によっては五色を連想させる艶やかなものだ。どう見ても特注品にしか見えず、しのぶは驚きを隠せない。

 

「!・・・真次さん、この意味を理解してますか?」

 

「理解してなきゃ送らねえさ・・・こんな一世一代の物はな」

 

「私に・・・こんな」

 

「・・・待ちな」

 

真次はしのぶの手を優しく握り、箱の中に入っていた指輪を取り出し、しのぶの左手薬指にはめた。しのぶは更に驚き、指輪と真次を交互に何度も見ている。

 

「I love you(俺はお前を愛している)だから・・・しのぶ、俺と結婚してくれ」

 

「!!!!」

 

しのぶは無意識に自分の手を抑えるような仕草をしていた。真次からの婚姻の申し込み、自分には相応しくないと思っていた言葉を今、目の前の男から言われたのだ。

 

「良いんですか?こんな私で・・・」

 

「お前じゃなきゃダメだ」

 

「私、怒りやすいんですよ?分かってます?」

 

「知っている」

 

「大声で泣いて、周りを勘違いさせるかもしれませんよ?」

 

「構わない」

 

「・・・ズルいです、本当に貴方は・・・こんな幸せ、一生無いと思っていたのに・・・」

 

「遅れた幸せを一緒に噛み締めていこう、しのぶ」

 

「はい・・・」

 

しのぶは泣きながら真次の手を握って、泣きながら笑顔を見せていた。

 

 

 

 

 

 

物陰では既婚組が物陰から二人の様子を覗いていた。所狭しと全員が必死になってみている。その中には炭治郎が呼んだであろう禰豆子も様子を覗いている。

 

「あの二人もやっとかぁ・・・しかも月でプロポーズとかホント嫌になるくらい伊達男だよ、アイツは!宇髄さん並に!」

 

「善逸さん、そう言わないの。ようやく実った恋じゃないですか」

 

「そうそう、真次がしのぶさんを好きなのは分かってた事じゃないか」

 

「しのぶ姉さんが選んだなら文句は言えないけど、複雑・・・」

 

「しのぶ様も本気のようですね・・・カナヲと同じで私も複雑です・・」

 

「良いじゃねえか、番になったんだろ?しのぶと真担はよ」

 

カナヲとアオイが複雑と言ったのは、この蝶屋敷においてしのぶは長姉である為、姉妹に血の繋がりはないのだが、真次が二人にとっての義理の兄となるのだ。だからこそ心境は複雑なのだろう。

 

そんな心境ではあるが、姉が幸せになって欲しいという思いは共通であり、嬉しく思っている。

 

「明日、お館様に報告に行くか」

 

「そうですね」

 

そう言うとしのぶは真次の肩にもたれ掛かってきて真次は少し驚くが、そのままにさせた。

 

「・・・今日だけは私の『戯れ』を許してください」

 

「月夜の蝶か・・・羽を休めるなら幾らでもOKだ」

 

その翌日、真次としのぶは二人だけでお館様と呼ぶ産屋敷耀哉の屋敷を訪れていた。報告したい事があるという文を予め鴉を通じて渡していたので事はスムーズに運んでいる。

 

「やぁ、真次。それにしのぶ、私に報告する事があると聞いたよ」

 

「はっ、某、神威真次はこの度こちらの胡蝶しのぶとMarriage(婚姻)を結ぶ事となりまして」

 

「真次さん、異国語が出てますよ」

 

「あ・・し、失礼しました!お館様!!」

 

しのぶからの注意を受け、慌てる真次。意味を隠す心理が働いて異国語を使ってしまった事を詫びた。

 

「大丈夫だよ、真次。その意味は婚姻だろう?」

 

「ご、ご存知でしたか?」

 

「うん、それにしても君達が婚姻か・・・。仲人をさせてもらいたいけど構わないかい?」

 

「はっ、その件でお館様に是非お願いしたく今回、参上しましてございます」

 

「しのぶ、それは君も同じかな?」

 

「はい、私もこの方と共に生きる覚悟を決めています」

 

二人の報告を聞いて耀哉は笑みを浮かべ、軽く頷くとふたりへ気配を向ける。

 

「日取りが決まったら報告して欲しい、仲人の件は喜んで引き受けよう」

 

「ありがたき幸せにございます」

 

「ありがとうございます」

 

 

 

 

 

お館様の屋敷から帰宅し、一夜明けた後にお館様の屋敷に集合せよとの伝令が入った。其処には次世代の『新柱』前世代の『柱』が全員が集められている。しかも珍しく、耀哉が既に席に座っている。

 

「やあ、私の可愛い剣士たち。今日はどうしても皆に伝える事があってね・・・嬉しい知らせだ。真次、しのぶの二人から聞いて欲しい」

 

「はっ」

 

「はい」

 

全員が二人に注目する。この二人から何か伝えられること自体が非常に珍しいのだ。

 

「この度、この神威真次と」

 

「私、胡蝶しのぶは」

 

「「婚姻する事になりました」」

 

瞬間、耀哉以外の全員が大声を上げた。親友である三人とカナヲは既に知っていたのでどこ吹く風である。

 

「待てや!そりゃあ本気か!?」

 

「よもや!よもやだ!これはめでたき事だな!!」

 

「派手な事しやがるな!次世代の奴らはよ」

 

「婚姻・・・夫婦になるの?」

 

「きゃー!結婚だなんて羨ましいわ!」

 

「次世代と前世代の『柱』が婚姻とはな、だが本当に支える事ができるのか?どう支える気だ?」

 

「南無・・素晴らしきことかな」

 

「・・・・」

 

前世代の『柱』達が祝福と疑問を交互に口にしている中、真次が抑えきれなかった五行に呼応する五匹の聖獣が形を成した。

 

「お、おい!」

 

青龍、白虎、朱雀、玄武、麒麟は存在こそ陽炎の如く寄らいでいるが夫婦となる二人を守護するかのように、全面に立っている。

 

「ああァ?何だコイツらは?」

 

不死川実弥の殺気に当てられ、聖獣達がそれぞれ咆吼する。真次はしのぶに合図するとその意図を察し、声を出した。

 

「やめろ!」

 

「やめなさい」

 

二人の静止に聖獣達は大人しくなる。今にも攻撃しそうだったのを止めたのだ。此処はお館様である耀哉の屋敷という二人の共通認識が聖獣達を止めたのだ。

 

「この気配・・・・四神、四方を守護する聖獣達・・・おお、この目で見える事叶わぬが、気高き気配が解る。南無」

 

行冥は四神の気配を感じ取っており、全員がその姿に注目している。耀哉はなぜ現れたのかを口にし始めた。

 

「彼らは二人に対する守護の意思が強いようだね、それを証明する為に現れたのだろう。彼らを刺激する事はあまりよくないからね」

 

その後、二人は婚姻の発表を済ませた後、日取りを教え、その日取りに乗っ取っては神社による婚姻の儀が行われた。

 

とらる神社において袴姿の神威真次と白無垢に身を包んだ胡蝶しのぶの両名、真次には親類が居なかった為、代理で産屋敷家の人間が勤めている。蝶屋敷の面々は、胡蝶家の親類として呼ばれ慎ましく終わった。

 

 

 

 

 

 

 

その後、親友など交友関係がある全員が集まり盛大な宴が開かれた。上下関係なくの無礼講、酒も入り気になった事を聞いてきた。

 

「おい、真次。お前、胡蝶をどうやって口説いたんだ?」

 

「そうだなぁ・・・ソイツは気になるぜぇ・・・」

 

「私も気になるわー!」

 

「Drunks(酔ってやがる)月が出てる夜に口説いただけです」

 

宇髄が話しかけ酒に酔った実弥、蜜璃の三人に絡まれ、しのぶにプロポーズした言葉が気になるようだ。その中でも恋に情熱的な蜜璃はしのぶのもとに行き、同じ事を聞いている。

 

「しのぶちゃーん!真次くんになんて告白されたのー?」

 

「え?それは・・・真次さんが言ったように月が出てる夜がプロポーズでしたよ」

 

しのぶは真っ赤になりながらも答えるが、全員が納得がいかない様子だ。全員が頷くと明かりが消え、月夜の夜が再現された。

 

「な、何だこりゃ!?」

 

「え、なんですかこれ!?」

 

「二人はどうせ隠すだろうと思って準備しておいたの!さぁ、皆さん!ご一緒に!!」

 

善逸の号令と共に再現コールが部屋に響く。ふたりして追い詰められ、やらざるを得ない状況になってしまう。

 

「し、しのぶ!」

 

「・・・・仕方ありません」

 

しのぶは真次に向き直り、何かを耳打ちすると一瞬だけ彼は目を見開き、笑みを見せて頷いた。すると、あの日の月の夜見たく言の葉を乗せた。

 

「真次さん、月が綺麗ですね・・・」

 

「そうだな・・・それはきっとお前と一緒に見る月だから、だな」

 

あまりの神秘的な世界観に全員が固まり、悶えている者も数名いた。こんなプロポーズは見たことがないと誰もが騒いでいる。

 

「なんなのこれええええ!!!ダイジェストしたら逆に神秘さと大人っぽさがありすぎるんですけどおおおおお!?」

 

「コイツは・・・地味だと思ってたが、派手だ。それも静かな派手さじゃねえかよ」

 

「よもや!月下の告白だったとは!!」

 

「こんなに素敵な告白だったなんて・・・キュンキュンが止まらない!」

 

「くぁ・・・甘ったるすぎんだろぉ・・・」

 

全員が告白の現場を見たと同時に真次としのぶは頷いて、全員にとても良い笑顔を揃って向けた。

 

「さて・・・善逸も含めて」

 

「皆さん?」

 

「覚悟は」

 

「よろしいですよね?」

 

笑顔だが怒りのオーラがハッキリとわかる。更に二人を守護する聖獣達まで現れていた。敵意はないが攻撃する意思は見て取れる。

 

「Attack(攻撃だ)!!」

 

聖獣達は普通の生き物がするような攻撃をし始めた。だが、それでもお仕置きなのである程度は痛い。

 

「痛たたたた!何この紅い鳥!?チュン太郎みたく突っついて来るんですけど!?」

 

「痛てぇ!この白い虎、噛み付いてきやがるぞ!」

 

「おい、この青い龍を何とかしろ!ぐぐぐっ!」

 

「重いー、この黒い亀ちゃん重いー!」

 

絡んできたメンバーにお仕置きを終えると、聖獣達はデフォルメみたいな姿になり、鼻息をフンと鳴らしたのが聞こえそうな勢いで出すと消えていった。

 

「これ以上、からかうなら」

 

「考えがありますからね?」

 

似た者同士だこの二人。と全員が満場一致した瞬間だった。その後は普段の飲み会と変わらないものとなり、夜も更け解散となって皆が帰っていった。

 

そんな中、真次はとある人物に呼ばれていた。前世代の『柱』の一人である冨岡義勇だ。

 

「どうしたんですか?」

 

「・・・神威、胡蝶を頼む」

 

「っ!?はい、義勇さん・・・」

 

真次は返事すると右手を差し出した。その意図が分からず困惑しているが右手を出せと合図し、その手を握る。

 

「!!」

 

「今度は一緒に鮭大根を食べに行きましょうか、隊員としてではなく友人として」

 

「ああ、そうだな」

 

「それと、思った事は口にしないと勘違いされますからね」

 

義勇は思った、真次もしのぶと同じ事を言っている。だが、どこか懐かしく感じるとも・・・ああ、これはアイツだ。アイツと似ている雰囲気を持っていたのかと義勇は考えた。

 

「ではな」

 

「また、任務で」

 

二人は別々に戻っていき、真次は夜空を見上げながら結婚について考えていた。これからは鬼殺隊、蝶屋敷、結婚生活と色々忙しくなるだろう。

 

「楽しくなりそうだな、色々な意味でよ」

 

部屋に戻るとしのぶが窓の外を眺めていた。抱きしめたいとなるよりもその姿を見ていたいという気持ちになり、その場で静止していた。

 

「もしもーし、そんな所で立ったままどうしたんですか?」

 

「ん?ああ・・・見とれてた」

 

「もう、そう言う言葉を簡単に言わないでください!」

 

「口にしなきゃ分からねえだろ?」

 

「そうですけど・・・・」

 

少し不満げな様子のしのぶだが、照れ隠しなのは分かっている。隣に座ってきた彼は夫婦になったのだからという風に強引にはしてこない。親しき仲に礼儀ありの通り彼は義を重んじる質なのはよく分かっている。

 

「それにしても・・・これから、胡蝶しのぶではなく神威しのぶになるんですね」

 

「そうだな、逆が良かったか?」

 

「胡蝶真次・・・・ですか?フフフ」

 

「笑うなよ」

 

「だって・・・余りにも・・・合わないですから。アハハ」

 

いつもなら軽く小突くところだが、それはしなかった。こんなにも普通に笑っているしのぶを見た事がなかったからだ。

 

「しのぶ・・・お前が抱えてる荷物、少しくらい分けちゃくれないのか?」

 

「え・・・」

 

「夫婦なんだから・・って訳じゃなく。二人で持てば楽になるだろって事さ。嫌ならそれでもいい」

 

「っ・・・」

 

ずるいずるい、この人はいつもそうだ。自分のことは二の次にして私の事を優先してくる。どうして自分を大切にしないの?何故、私の事ばかりを優先するの?だけど、結婚した今なら解る。この人は私と同じだと、形は違えどこの人も私と同じで怒りを内に潜めていたのだ。

 

「それなら、貴方の荷物も私に持たせてください。それが条件です」

 

「こりゃあ、一本取られたな・・・ハハハ」

 

彼がこうして天井や空に向けて顔を向けるのは、嬉し涙を隠す時だ。彼の優しさは厳しさと同列で人に優しくする分、己を厳しく律してしまい自分自身を縛ってしまう。

 

「もう、縛る必要はありませんよ」

 

「しのぶ?」

 

「これは『胡蝶しのぶ』として最後の言葉です。貴方は誰よりも優しい・・・優しすぎるが故に厳しく、その優しさと相克するように己を厳しく縛る。それでは本末転倒ですよ」

 

今のしのぶは張り付かせた笑顔ではなく、心から慈愛を注ぐ笑顔を見せていた。己を縛る必要ない、その優しさを厳しさに変える必要はない、貴方の優しさはきっと届いているのだから。

 

「What are you talking abou(なんだよ)・・・これじゃ、俺が慰められてるじゃねえか」

 

「泣き虫な所、変わってなくてよかったです・・・」

 

これまでとは逆にしのぶは自分の腕の中に真次を招き入れ、優しく抱きしめた。その心地よさは人間が清水の中で漂う開放感と似ていた。

 

「しのぶ・・・」

 

「はい?」

 

「今日は・・・同衾してくれ」

 

「ふふっ、分かっていますよ」

 

その夜、二人は情事をすることなく就寝に入った。その後、婚姻してから二人は互いに支え合うようになった。周りからすればただの夫婦愛にしか見えないだろう、だがそれは違っている。片羽根を亡くしていた蝶は五行という新たな羽根を与えられたのだ。

 

五行は色が欠落し、蝶はその色を与えた。蝶は片羽根を亡していたがく五行はその羽根を支える力となった。

 

二つで一つ、これこそが真の陰陽和合。後に子孫からこの夫婦はおしどり夫婦として語り継がれることになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『恋すてふ わが名はまだき立ちにけり 人知れずこそ思ひそめしか』

 




大正コソコソ話

実は結婚する二人、西洋風にするか和風にするかで揉めていました。


それと最後の短歌は壬生忠見(みぶのただみ)のもので百人一首にあります。


歌の意味は「恋をしているという私の噂は早くも立ってしまった。人に知られず思い始めたのに」という意味です。

しのぶさんで見たいネタ

  • 前世
  • ご解任
  • 子育て(ご都合有り)
  • 夫婦
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