※自分が生きる大正時代で使える現代知識を持っています。
※今回は煉獄瑠火さんを救います、槇寿郎さんの背中を押します。
※瑠火さんの病気は結核ではなく脚気にしています。当時において二大国民病とも呼ばれ、妊娠、授乳などで栄養不足になるとなりやすいとの事で。
※医療知識がありますが診察だけです。
※JIN―仁―のネタがあります。
※偽名を使っています。髪型も違います。
※銀魂風にオリ主の心の中を書きます。
時空血鬼術・煉獄家編
何れかの未来か過去の時代に飛ばしてしまうという厄介な血鬼術を扱う鬼の技を受けてしまい、令和と呼ばれる時代に飛ばされてしまった神威真次。
彼はそこで圧倒的に飛躍した医療などの知識を本で会得し、特に食事療法に関する知識を身に付けた瞬間、再び飛ばされてしまった。戻ってきた時代はどうやら自分の時代のようだが、その過去の時代であるようだ。
そして厄介な事に煉獄さんとソックリな御仁に抜き身の日輪刀を向けられています。一人の凛とした女性を助けて案内された屋敷に来たらイキナリです。
「何者だ、貴様!何故、鬼殺隊の格好をしている!?」
「自分は神威紅と申します。このご婦人が倒れていたのでここまで運んできた次第です」
「そんな戯言が信じられるか!」
「いえ、この方が言っているのは事実です。槇寿郎さん」
「瑠火!」
「!!!!???」
槇寿郎!?もしかして、この人が煉獄さんの父君と母君なのか!?って事は相当昔に来てるって事になるぞ。
「ありがとうございました、紅さん・・・。あっ・・」
瑠火と呼ばれた女性が倒れそうになるのを刀を納刀して、すぐに槇寿郎が支えた。
「・・・もしかして、奥方様は病気なのですか?」
「お前に教える義理はない!!」
「いえ、この方は鬼殺隊の医者だそうです」
「まだ駆け出しですがね。その知識を買われて鬼殺隊にいます」
いやいや、俺は医者じゃないよ。ただ単に簡単な診察ができるくらいだからね!?だけど、此処で助けなきゃいけない気がするから合わせるけど。
「宜しければ診察致しますよ。ひょっとしたらご婦人の病気が分かるやもしれません」
「お願いいたします」
「む・・・う」
屋敷に案内され、眼球運動などの診察を行った結果。瑠火さんは脚気の症状が出ていた事を伝えた。原因はそれとなくわかる。二人の子供を産んだ事によるものだ。
「胸の痛みや、腹部の不快感などはありませんでしたか?」
「胸の痛みはありました。それに食事も食欲がなくて」
「間違いない、脚気の初期症状ですね」
「治るのか!?」
「ええ、今のうちならですが・・・治すには食事療法が一番なのです」
「食事療法・・?」
槇寿郎は首を傾げて聞いた事の無い言葉に対して、疑問をぶつける。
「はい、食事によって必要な栄養素を摂ることができれば治ります」
「ですが・・・食事は」
「なら、菓子を作りましょう。必要な栄養を摂ることの出来る菓子を」
「なんだと!?」
「少し、買い出しに行ってきます。その後で厨房をお借りできますか?」
「いいだろう」
偶然にも金銭を持ち歩く癖に助けられ俺は走って玄米、黒糖、小麦粉、卵、豆乳を手に入れ、甘味を取るためにあずきと砂糖も入手した。令和と呼ばれる時代にあったドーナッツとやらを作ることにした。簡単だからと教えてもらった覚えが有り、料理書も貰った。
まずは炊いた玄米を七分位に半つぶし、ごま油と黒糖を少々混ぜて固めたものを生地とし、輪の形にする。
この間に鍋の中に油を入れ、それをある程度の熱さになるまで待つ。その間に小麦粉と玄米の粉を割合として8:2とし、少しの油かすと豆乳、鶏卵を混ぜたものを作る。これに先ほど輪の形にした生地を浸し、衣をつけて、熱した油で揚げる。
「御夫婦と子供さんが二人いるけど、一人はまだ小さいから無理だな。人数分つくろう」
揚がった物に砂糖をまぶし、上に餡を乗せて完成だ。とりあえずよく食べるだろうからかなりの個数を作っておいた。
「お待たせしました」
「!なんでしょう・・この甘い香り」
「うむ、お前が手にしているそれか?」
「初めて嗅ぐ香りです!!」
これが幼少期の煉獄さんか・・・。おっと、見てる場合じゃなかった。さっそく食べてもらわないと。
「はい、これが脚気に効く菓子です」
「頂いてもよろしいので?」
「無論です。皆様でどうぞ」
最初に俺が一つ、手に取って食べる。これは毒が入っていない事を示すためだ。半信半疑な槇寿郎さんも一つ手にして口にし、奥方様である瑠火さんも手に取って口にし、息子である杏寿郎くんも口にした。
「!これは!」
「!美味しい・・・」
「すごく美味しいです!父上、母上!紅様!」
「よかった、お口に合ったようで。たくさんありますから遠慮せずに食べてください」
そういうと煉獄家の男性二人が我先にと食べ始めた。よほど美味しいのだろう、これなら作った甲斐があるというものだ。瑠火さんも上品に食べているが個数がどんどん無くなっている。
「す、すごい・・・山盛りで作ったのに完食してしまうとは」
「あ、す・・すまん。あまりにも美味かったものでな」
「はい、とても美味しゅうございました」
「すごく美味しかったです!紅様!!」
思わず顔がほころんでしまう。だが、これだけではダメなのだ。この人、煉獄槇寿郎に次世代へ繋ぐ事を説かなければならない。一時的に救ったとしても瑠火さんを喪ってしまうかもしれない。そのためには二人に話をする必要がある。
「槇寿郎さん、それと瑠火さん。お二人に内密なお話があるのですがよろしいですか?出来る事なら個別でのお話の許可を頂きたいのですが」
「む・・それは」
「私は構いません。よほど重要な事なのでしょう」
「分かった。瑠火がそう言うなら退室しよう」
槇寿郎さんは息子二人を連れて部屋を出ていった。瑠火さんは凛とした眼でこちらを見ている。
「それで、お話とは?」
「はい、この先・・つまり未来のお話です」
「未来?」
「はい、未来では貴女様は亡くなられてしまっています。それと同時に炎柱としての存在意義を失う出来事もあり、槇寿郎さんは酒に溺れ、息子さん達に見向きもしなくなってしまうのです」
この事は炭治郎と千寿郎くんから聞いた話だ。この事を口にするのは辛いが、少しでも息子に愛情を注いで欲しいという俺の自分勝手な願いに過ぎない。
「そうなのですね・・・」
「信じるのですか?戯言かも知れないのに」
瑠火さんは軽く頷くと佇まいを直してこちらを見てくる。その目はまるで水晶のように透き通っているようだ。
「貴方が嘘をついているように思えません、それに私を助けようとしている心遣いも感じられました」
「・・・」
「未来のあの人がそんなに弱い方だったとは・・・私も説教しなくていけませんね」
「お手柔らかにしてあげて下さいね」
こわっ!すっごく怖い!静かな怒りっていうのかな?それが形になってるよ!殺気はないけど威圧感が半端ないよ!
「それはそれとして、紅様」
「ひゃい!?」
「?どうなされました?」
「ああ、いえ・・・何か自分にお話が?」
「先程の菓子の作り方と、私の病気の治療に役立つ食事の作り方を教えてくださいませんか?」
「!ええ、槇寿郎さんとのお話が終わった後に是非」
「よろしくお願いしますね」
一礼をされた瞬間、瑠火さんは本当に綺麗だと思った。恋愛感情とかではなく凛とした和の美しさを持った女性だと。その所作の一つ一つが美しいと。
「じゃあ、俺は行きますね」
「あの人をよろしくお願いします」
◇
槇寿郎さんの部屋へと趣き、声をかける。どうやら気配からして一人だけのようだ。
「紅です。入ってもよろしいですか?」
「ああ、入ってきて構わん」
「失礼します」
部屋に入り、刀を右側に置き正座する。その所作に槇寿郎さんはわずかながら感心していた。
「それで、俺に話とは何だ?」
「はい、単刀直入に申します・・・貴方様は未来において堕ちぶれてしまっております」
「何だと!?口を慎め!未来の話などと、そんな戯言を!!」
「いいえ、これだけは譲れません!!未来の貴方は奥方様を亡くされ、更には酒に溺れ炎柱としての存在意義すら失ってしまう事実を知ってしまうのです!!」
俺は怒号をきかされようが、殴られようが、斬られようが構いはしなかった。言いたい事だけはハッキリ言わないと気が済まない。
「貴様ぁ・・・!」
槇寿郎さんは顔を真っ赤にし炎の呼吸を使った状態で俺に刀を向けてきた。だが、こんなもので怯みはしない。
「いい加減に黙らんとその口をたたっ斬るぞ!!」
「どうぞ」
「!?」
「真実を聞きたくないが故に口封じ、それが『柱』の刃だというのなら。さぁ!斬れ!!」
抵抗する素振りどころか、自ら斬れと言ってきた目の前の男。手が震えている恐れではない、気圧されているのだ。こんな自分よりも一回り年齢が下の相手に、そう思っていると奴の背中から赤い鳥が見えた。炎を纏っているその鳥は、自らを炎に焼かれながらも新生する姿を見せていた。
「っ・・・く」
斬られても構わないと訴えかけるその目に槇寿郎は刃を収めた。未来の自分が不甲斐なくなっているという理由を聞くために。
「詳しく聞かせろ。未来の俺を」
「はい、先程も申した事は割愛させていただきますが・・・更に貴方は呼吸法の始祖である『日』の呼吸を知り、そこから派生したのが五つの呼吸だという真実を知って、自分のやってきた事が全て偽りだったと考えてしまうのです」
「な・・・そこまで知って・・・」
「未来の貴方から聞いた話ですので・・・」
「っ・・・!」
「ですが、派生した呼吸が偽りだとは俺は思えません」
「慰めのつもりか!」
「いえ、偽物が本物に叶わない通りはないと考えているんですよ」
「!?」
俺の言葉に槇寿郎さんは鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしていた。何事にもおいて必ず始まりがあり、その始まりから出来事は枝分かれしていくのだ。だから始祖こそが本物だという事はない。俺はそれを伝えた。
「・・・・・」
「だからこそ、貴方には気高くいて欲しい。仮に奥方様が亡くなっても息子さん達にはこのまま変わらず接してあげてください」
「ああ・・・」
「奥方様は身体が強い方ではありません。食事療法をとったとしても、どのくらい生きられるかは分かりません。ですから、奥方様と息子さん達との時間を大切にしてあげてください。ご存命のうちの姿を残しておきたいのなら『ふぉとぐらふ』を撮るのも一つの手段ですよ」
「!それは盲点だったな」
「数々のご無礼・・お許し下さい」
俺は頭を下げ、そのまま静止する。此処まで深々と頭を下げられるとは思いもしなかったのだろう、少し慌てた様子だ。
「い、いや・・俺も頭に血が上りすぎていた。だが、助かった・・・俺は家族を見ているようで見ていなかった。瑠火に甘えてばかりだったのだな、これでは父親とは言えん」
「奥方様、槇寿郎さんに説教するとおっしゃっていましたよ」
「!!!!」
顔を上げると槇寿郎さんは顔を真っ青にしていた。この様子からして相当怖いんだろうということが想像できた。
「ああ、そうだ!それと、奥方様の為に作る食事の記録を作っておくので、しっかり作れるようになっておきましょう」
「う、うむ」
二人への話が終わり説教された槇寿郎さんと瑠火さんに料理を教え、作り方やコツを記した記録本を残した。本当に此処に居た時間は楽しかった。けれど、俺はもう行かなくてはならない。この家族がどうなるか、過去を変えたが故にどうなるかは分からない。
「そうか、もう行くのか」
「はい、これ以上は長居できないので」
「お待ちください」
瑠火さんが俺の背に切り火をしてくれた。家族以外にしたのは初めてだったはず、切り火をされた背中に何か温かいものが宿った気がした。
「煉獄家の切り火、ありがとうございます」
「達者でな」
「お気をつけて」
「また、お会いしましょう紅様!」
四人に振り返り、俺は煉獄家を後にした。姿が見えなくなると同時にまた飛ばされ今度こそ、見覚えのある時代に帰ってきたのだ。するとそこへ見覚えのある人がこちらへやって来た。
「神威少年!此処に居たか!」
「煉獄さん?どうしましたか」
「うむ、何故か君を我が家に招待したいと感じたのだ!!来てくれるか!!」
「構いませんよ」
先程まで居た煉獄家に招待される俺、中に入ると殆ど変わっていない。変わっているのは瑠火さんが存命だということだ。昔見た美しさは変わっておらず、そのまま厨房へと案内される。
「今日は母上の誕生日で、とある菓子を作ると我が家では決まっている!」
「菓子ですか?」
「うむ、南蛮由来だそうだが俺も幼少の頃に食べた味が忘れられない!」
「あ、兄上。それに真次さんも」
そこでは千寿郎くんが生地を油で揚げているところであった。それは俺が過去に瑠火さんと槇寿郎さんに教えたもので。
「千寿郎くん、槇寿郎さんは?」
「父上なら部屋にいます。母上とご一緒ではないかと」
「そっか、俺も手伝うよ」
「いいえ、大丈夫ですから。父上と母上にお会いになって下さい」
彼から断られてしまい、仕方なく瑠火さんに挨拶しようと部屋へと案内してもらった。
「む?君か」
「久しいですね」
「お久しぶりです」
「ああ、本当に久しぶりだな」
俺も二人に挨拶をすると槇寿郎さんは俺を含めた三人だけで話したいと言い、部屋には俺と槇寿郎さんと瑠火さんだけが残っている。
「・・・・まさか、君だったとはな」
「バレていましたか」
「これでも、元・『柱』だ。君の刀の特徴を覚えていたのでな」
「私もこのような形で再会するとは思いませんでした」
バレてるよバレてるよ!あの時隠す物が無かったし、仕方ないけど再会を喜んでくれるならいいけどさ、すっごい感謝の眼差し向けてくるの止めて、眩しいし苦しくなるから!
「君には、返しきれない恩が出来てしまったな」
「本当に心から感謝しています」
「気にしないで下さい、俺がやりたくてやったことですから」
「今日は泊まって行ってください。息子達ともお話をしてあげてください」
「!分かりました」
その日の夕食はさつまいもご飯だった。ああ、これがこの家族の味なんだなと噛み締めて食べた。過去を変えた事で俺は恐らく、何か代償を払う時が来るだろう。それまで、この過去か未来へ渡ってしまう血鬼術を受け続けよう。
それが俺の運命ならばな・・・・。
大正コソコソ話。
ドーナッツが余りにも美味しくてずっと食べたいと言っていた瑠火さんに真次は「体調が良くなってからは運動しながら食べないと太りますよ」と言ってしまい、槇寿郎さんから稽古の仕方を教わったそうです。
その時の顔は鬼気迫るものだったとか。
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