コミュ障を治す為にも極振りで頑張ります!   作:ほたる(蛍)

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器用特化とオーブ防衛

カスミ達攻撃班が帰ってきた。

サリーはもう一度攻撃に出た。

 

オーブは3個。

それを3時間守れるかでギルドのレベルが伺える。

しかし、このギルドには1つの利があった。

6km以上先にいる時から奇襲に備えて準備ができる。

 

「3時の方向に10人、0時に3人、10時に13人。

3、10は魔法使いあり。0は剣盾のみ。」

 

「では、カナデとランが0の方向、イズさんとマイ、ユイが3、私とクロムさんが10だな。」

 

カスミの采配に皆が了承し、走り始める。

ランはその場から狙っていく。

 

カナデが走り始める前からレールガンが3発分の弾を吐き出している。

カナデは着く頃にはほとんど残っていないと考えながら急いだ。

 

3ペアともに打ち漏らしはなく、しっかり3時間の防衛ができた。

 

途中で偵察中のランがある人を見つけた。

 

[サリー、5km半先、ペインさん見つけた。周りは護衛が三人。]

[射程内に入ったら撃って。]

 

レールガンはランの思い通りに弾を吐き出し、ペインの頭を吹き飛ばした。

ランはペイン相手にだけは当たり前のように【消音】を使う。

 

もちろん護衛の人たちも一発で仕留めた。

 

[完了。]

[さすが、ラン。これから先、ペイン、ドレッド、ドラグ、フレデリカ、ミィ、シン、ミザリー、マルクスは見つけ次第撃っていいよ。]

[私、シンさん、ミザリーさん、マルクスさんって知らない。]

[…そうだね。]

 

炎帝の有名人たちをこぞって知らないランに呆れるサリーだったが、崩剣のシン以外はその特性上拠点防衛だろうという予想なので関係ないことに気がついた。

 

 

 

その後、防衛はつつがなく行われ、ランが定期的にサリーに【念話】で安否確認をしている状況だ。

 

[ダメージは負ってないけど…さっきの言葉訂正。ドレッドさんを撃つ時は私に聞いて。]

[?わかった。]

 

サリーはドレッドと戦って彼の勘が侮れないことを知った。

 

 

 

 

 

「はぁ…ただいま。」

サリーが帰ってきた。

持っているオーブは5個。

 

今、この場には9人全員が揃っているので、防衛タイムだ。

 

小規模ギルド5つから奪われたオーブを取り戻すため、それらギルドが手を組んだ。

ランが洞窟内に入ってきたのを見て、メイプルが【身捧ぐ慈愛】を発動させる。

 

「あと600m。数…50弱。」

 

ランはそのままレールガンを光剣にして構える。

メイプルのカバー範囲内で全員が構え、待つ。

ちなみにランが撃たないのは、相手にもう一度襲ってくる気力を無くすための作戦だ。

 

「8人で戦うのは初めてだね。」

 

「イズさんはメイプルと組むのが初めてじゃない?」

 

メイプルとサリーの和やかな空気が伝わり、楓の木の面々に緊張はない。

そのうち、バタバタと足音が聞こえてきた。

そして、50人弱のプレイヤーたちが洞窟内に入ってくる。

減ったメイプルのHPはカナデが即座に回復させている。隙はない。

 

メイプルの前進に合わせて8人が歩を進める。

正面衝突した両軍が斬り合う。

ユイとマイがあちこちからくる攻撃を次々と受けてしまうが、二人が倒れることはない。

ランも同様だ。

 

「「【ダブルスタンプ】!」」

「…ん。」

 

轟音と共に弾け飛ぶプレイヤーや鎧が豆腐のように切られているのを見て、3人から離れたプレイヤーに襲いかかるのは鉈と刀だ。

 

「おらぁっ!」

 

「ふっ!」

 

二人の攻撃を耐え、躱してオーブを先に狙おうとする者達は利口だった。

輝く地面の範囲から逃れ、オーブへと向かう者達に降り注いだのは爆弾の雨。

 

「あら、悪い子ね?オーブだけ狙うだなんて」

 

イズもメイプルがそばにいれば最早戦闘員と変わらない。

十分過ぎる程に脅威となる。

 

それを無理やり潜り抜けた者はめでたくカナデの図書館にご招待だ。

 

「【パラライズレーザー】」

 

カナデが放った低威力、高確率麻痺のレーザーが空間を水平に薙ぐ。

追加効果が強力なために、届く範囲が狭いことを除けば文句なしだ。

ただ、カナデが倒さなくとも後始末をしてくれるプレイヤーがいる。

 

「ぐっ…がっ!」

 

「く、くそっ!」

 

レーザーを受けたプレイヤーが呻きながら逃げようとするものの、動きは緩慢だ。

 

「はーいさよなら」

 

彼らからオーブを奪った張本人。

サリーによって、カナデが動きを止めたプレイヤーはギルドに送還されていく。

こうしている間にも前衛の攻撃により倒れる者が次々に出る。

気づけば同盟軍は崩壊、心の折れた者から順に敗走に入っていた。

ただ、そんな中で一矢報いようとする者も確かにいた。

 

「【跳躍】!」

 

クロムとカスミの間をすり抜けて飛び込んだプレイヤーはもう生き残る気などさらさらなかった。

そして天使の羽を持ち、前線を支えたプレイヤーに一撃加えてやろうと剣を振るった。

 

「はぁ!」

 

剣と気合を叩きつけるようにして振るった渾身の一撃はあまりにも無慈悲な防御力を前にその力を失い弾かれた。

迫り来る二つの大槌の気配を背中に感じつつ、最期にそのプレイヤーが見たのはフードを目深に被っていてはっきり見えていなかったプレイヤーの顔だった。

 

「メイプルかよ……ミスったな」

 

彼は諦めと共に小さく呟き、大槌にその身を打ち据えられた。

残っていたプレイヤー達は全て、オーブに触れることは出来なかった。

 

 


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