コミュ障を治す為にも極振りで頑張ります!   作:Negima -{}@{}@{}-

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器用特化と夜戦

日が沈んで三時間。

メイプル達は危なげなくオーブを守りきり、ポイントを加速させた。

 

早めに防衛から抜けたサリーとランはフィールドを駆け回っていた。

と言ってもサリーがランを背負ってある程度プレイヤーの近くまで行ったら下ろすのくり仕返し。

それでも、三時間の内に奪ったオーブは5つ。

倒したプレイヤーは数え切れない。

とりあえず、5個のギルドが壊滅したことは確か。

今も一人のプレイヤーを倒したところである。

 

「ふぅ、もう九時か……明日の朝までに後いくつオーブを奪えるか……」

「オーブは分からないけど…あと1時間以内に完成しそう。」

 

そうだねと返したサリーがマップを確認する。

そこには夥しい量のメモが書き込まれていた。

 

内容はイベント内専用武器修理アイテムの場所、地形、ギルドの規模や防衛の基本人数、偵察部隊がよく通る道に、待ち伏せの可能性の高い場所など多岐にわたる。

ランにはそれに加え、高い木や建物の場所と高さ、その内のどこからどこのギルドが狙えるのか、森や林の木の種類と平均高度といった狙撃手ならではの書き込みもある。

 

イベント開始から九時間。

走り回って続けた偵察によって手に入れた情報を元に、ギルドの全容や隙をまとめている。

サリーがランの視覚を頼ってまで一日目からマッピングに全力を尽くしている理由は、倒しやすいギルドが残っている内にオーブを奪いたいからだ。

後半になればなるほどオーブを巡る争いは激化する。

最終日までに小規模ギルドの全滅というのもあり得るのだ。

そうなってはオーブを奪えない。

 

「先行逃げ切りが唯一の勝ち筋……」

「だから…この夜のうちに、マップとオーブ…かき集める。」

 

もちろん、無理と危険を覚悟して。

 

「次は……よし、ここにしよう」

サリーは再び走り出す。

ランはそのギルドを狙える岩影に隠れる。

 

そして、ある程度のプレイヤーを倒したところでランが【強奪】でオーブを回収する。

 

それに気が付かずにサリーに気を取られているギルドは、オーブがないことに気がついて連携が崩れる。

そこを撃ち抜かれて壊滅させられる。

撃ち漏らしなどランがいる限り起こらない。

 

 

 

 

 

深夜一時。

サリーとランは一度も拠点に帰ることなくオーブ奪取に専念していた。

その分、得られたものは多い。

 

サリーのインベントリには18個のオーブが入っていた。

ランは居場所が割れるわけに行かないので持っていない。

それだけでも驚異的だが、サリーとランの目的はオーブを奪うことだけではなかったため、帰るわけにはいかなかったのだ。

とはいえその目的もようやく終わろうとしていた。

 

 

 

 

[サリー、敵100以上かも。でも、私の見える範囲外が多いから囲まれてるか分からない]

 

「……え?」

 

現在、かなりの距離が空いているランとサリー。

サリーがランの報告を聞いて、立ち止まり岩陰に身を隠す。

もう一度集中し直すとはっきりと分かるプレイヤーの気配。

 

それも十、二十ではない。

もっと多く。

そう、百よりも多い。

 

「ほんとだ、囲まれてる……!」

 

疲れのせいで気づかないうちに索敵能力がいつもより下がっていたのだ。

ランも、他の場所のマッピングのため、意識を向けていなかった。

 

バラバラと広い範囲で物陰に隠れているプレイヤー達に居場所がバレていることは明白だった。

 

「………このオーブのどれかが、大規模ギルドと繋がってた……!」

 

サリーはその答えに辿り着く。

しかし、どれかは確定させられないためオーブを捨てて逃げるわけにもいかなかった。

 

「……逃してはくれない、よね」

 

サリーはマップでこの当たりの地形を確認し、良さそうな場所を見つける。

その場所をいち早くランに送り、メイプルにも送っておく。

 

「……何としてでも帰ろう」

[場所に着いた。ポイントから2.5km、真東。先に白夜とエレクトリックリザード達を待機させとく。]

 

ランの目に付く範囲に召喚できる従魔達が先に居てくれることを知って少し安心する。

数がいるだけでもだいぶ楽になる。

覚悟を決めたサリーがその場所に向けて走り始める。

 

誰かの魔法が空に小さな太陽を浮かべており、これにより暗闇に紛れて逃げることも出来ない。

罠にかかったプレイヤーを見失わないようにしているのが明白だった。

周りにプレイヤーたちがいるのを感じながらランの従魔が隠れている場所に着く。

サリーにだけは見えている『モール』の作った罠などを確認しながらダガーを構える。

 

そして戦いの火蓋が切られた。

 

 

 

 

パンっ!

 

木の陰に隠れていたフレデリカの脳天をいち早くレールガンの弾が撃ち抜いた。

それによりドットに変わったフレデリカを見たプレイヤーたちの統率が一気に崩れていく。

 

[フレデリカがいた。集う聖剣で確定。]

[そっか…数で押し切られないように一斉攻撃にする。白夜達には後ろから襲わせて。じゃあ、行くよ!]

 

ランはサリーの指示通りに『モール』の作った地中動線に隠れていた白夜達を集団の後ろ側から放射状に攻撃させた。

サリーからだいぶ離れていて暗闇になっているので、ほとんどのプレイヤーがモンスターに気が付かず、襲撃されていく。

こうして、前衛が知らぬ間に後衛が減らされていく。

 

 

 

サリーがいる前衛はもっと残酷だった。

 

限界だった所に奇襲をかけられて限界突破したサリーは自分の感覚の変化に驚いていた。

今までの集中した自分の見ていた世界が高速に感じられる程に剣は遅く感じられた。

練習しても身につかなかった恐怖センサー…いわゆる勘も使えている。

それも、ドレッドよりも遙かに上手く。

 

ランも神経反射の域に達しているサリーの回避や攻撃を全て読んで、サリーにはかすりもさせずプレイヤーの頭を撃っていく。

ギリギリのところでもここに撃てば当たらない自信がある。

お互いが異常な集中力と理解度を持って共闘している。

だからこそ強い。

 

残り10人となったところで白夜達が倒された。

それでも、サリーとランにかかればその程度は簡単に倒せる。

そして、楓の木はたった2人で集う聖剣100人に勝ったのだった。

 

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