コミュ障を治す為にも極振りで頑張ります! 作:Negima -{}@{}@{}-
二日目もあと30分ほどになった頃。
楓の木の面々が待っていた人達が来訪した。
[数は10。主要4人以外は撃つね。]
[思った通り少数精鋭できたね…お願い。]
集う聖剣の主要メンバーを攻撃しないのは、ここで倒したとしてもランの攻撃しか見せられていないので、どこかでまた攻めてくる可能性が大きいからだ。
つまるところ、連合軍を相手取った時と同じである。
六連続で吐き出された弾はしっかり全員をドットに変えた。
ペイン以外は驚いて警戒していたが、ペインは知っていたかのように振舞っている。
内心でどう思っているのかはランには分からない。
洞窟の中にランが戻り、いよいよ全員の気がひきしまる。
「確認するよ。ペインさんの相手はメイプル。ドレッドさんはマイ、ユイ。ドラグさんはクロムさん。フレデリカは私。このマッチングで最初は確定させて、あとは戦況に応じて臨機応変に。」
サリーの采配を全員が確認したところで足音が近づいてくる。
「サリーちゃんにランちゃんやっほー!」
「ラン、オーブを持って行かなくても、こちらには出向いたというのに。」
「どうせ来るなら…オーブはとる。2人だってそうする。」
「そもそも、楓の木に手を出さないでくれたらオーブも取りませんよ。」
意外と親しそうに話す四人に周りは驚いているが、ペインが少しの殺気を放ってメイプルに話しかけたことで全員が戦闘態勢になった。
メイプルが天使の羽を天に伸ばし化物を召喚したのをきっかけに戦闘が始まった。
「 【多重加速】!」
フレデリカの魔法が【集う聖剣】の移動速度を上げる。
ドレッドとペイン、続いてドラグが前に出る。
「「【飛撃】!」」
「当たらねぇよ!」
マイとユイの攻撃はドレッドに当たらない。
そして最前線にいたユイとマイにドラグからの攻撃が入る。
「【土波】!」
斧を叩きつけた地面が波打ちバキバキと裂けて弾けユイとマイにぶつかる。
メイプルのお陰でダメージは無かったもののドラグの特性である【ノックバック付与】は別である。
メイプルが後退し最前線のユイとマイが【身捧ぐ慈愛】の範囲から抜ける。
それは偶然に起こったことではなかった。それを裏付けるようにドラグとドレッドがユイとマイに突撃する。
メイプル達はこの二日目で派手に暴れた。特に【炎帝ノ国】との戦いはメイプルとユイとマイの異常性が大いに発揮された戦いだったと言える。
【集う聖剣】の偵察部隊が静かにその様子を見ていたことにメイプルは気づかなかった。
故に【集う聖剣】は知っている。
【身捧ぐ慈愛】の弱点を。
メイプルの武装展開を。
メイプルの大盾に回数制限が追加されていることを。
その上で計画を立てて本気でメイプルの首を取りに来たのだ。
「【カバームーブ】!」
「やらせるか!」
「【魔力障壁】!」
カスミがドレッドをクロムがドラグを止め、カナデが魔法で守りを固める。
メイプルが崩れてもクロムやカスミもトップレベルのプレイヤーだ。
攻撃をいなすことには慣れている。
「メイプル!解除した方がいい!」
「う、うん!分かった!」
サリーの声を聞いてメイプルが【身捧ぐ慈愛】を解除する。
対策を立てられていることが分かった以上、貫通攻撃が次々に飛んできてもおかしくない。
そして実際、後方からのフレデリカの魔法には防御力貫通能力のある魔法がほとんどだ。
メイプルにも直接向かうその魔法は流石に大盾に受け止められるが動きにくくなるため厄介だ。
ドラグとドレッドに五人が引き付けられたその一瞬にペインがさらに先へと進む。真っ直ぐにメイプルを見据え、盾と剣を持って駆ける。
「行かせない」
サリーが二人の間に立ち塞がり、次のどんな行動も見逃すまいと集中する。
「ドレッド!」
ペインが叫ぶ。それによって反応したのはドレッドとドラグとフレデリカだ。
「【神速】!」
「【バーサーク】!」
それぞれのスキルによってドレッドの姿が消え、ドラグのスキル後の硬直がなくなった。
二人が強力な切り札を使ったところでフレデリカの声が響く。
「【多重全転移】!」
フレデリカの切り札の魔法がドレッドとドラグにかかっていた全ての効果をペインに移す。
ペインの姿は消え、その速度は跳ね上がった。
「【超加速】」
さらに加速したペインがサリーを振り切る。
サリーにはペインの位置を掴むことは出来ても追いつくことが出来なかった。
それはレベルの差。
サリーとペインには二倍以上のレベル差があり、元々のステータスがサリーよりも高い。
戦闘となれば反応し躱すことで互角以上に戦えるかもしれないが、相手にされなければ意味がない。
「ど、どこ!?」
ペインを探しつつ大盾を構えるメイプルは大盾のない側を警戒していた。
その背丈よりも大きい大盾はその身を守ってくれるだろうと。
それ故に大盾の向こうから声が聞こえたのは予想外だった。
「【断罪ノ聖剣】!」
姿を現したペインの光り輝く剣が数瞬の溜めの後に振り抜かれる。
四人分の切り札を一点に集め、その首を取らんとする。
しかし、ペインの動きを読むことが出来る者がいた。
[メイプル【暴虐】!]
ランはサリーの【超加速】中でも完全に合わせることが出来ていた。
それは動体視力と観察眼による予測から成り立っていた。
ランは第1回イベントから幾度も見てきたペインの動きから次の攻撃を予測した。
「【暴虐】!」
数瞬の溜めの間に発動したそのスキルにより、メイプルは5桁近い防御力と1000のHPを持つ化け物になった。
【断罪ノ聖剣】は確かにメイプルに当たった。
しかし、それでもメイプルを倒せなかった。
「【カウンター】」
ノイズの混ざる声を聞いたペインが見たのは一条の火柱。
それは化け物の口から放たれていた。
自身の最大威力攻撃が跳ね返ってくる。
「ぐっ……まだだ…!【破砕ノ
ペインもHPを1だけ残して耐えた。
そして、メイプルに再度肉薄しようとした。
確かに同じレベルの攻撃をもう一度食らったら1000のHPは削れるだろう。
「いや…もう終わり。」
後ろから聞こえた声にペインはゾッとした。
頭では今すぐこの場を離れなければいけないことを理解している。
しかし、スキルを発動しかけている体は思い通りに動いてくれない。
次にペインが見たのは自分の心臓部から生えた光の剣。
ランが【凪】によって姿を消し、後ろからレールガンで切った。
それだけの事とは言え、ペインの意識が完全にメイプルに向いた瞬間を狙って姿を現している。
これはランがゲームをしている内に癖になってしまったことに関係している。
2層が実装された頃にメイプルがゲーム内での動きをリアルでもしてしまったことがあったように、これはランのリアルにも影響していた。
しかし、これは悪影響ではなかった。
癖というのは人の意識がどこに向いているかを意識すること。
死角からの狙撃をし続ける上で人の意識がどこにあるか見るだけでわかるようになった。
その癖によって完全にメイプルに意識が向くまで隠れ続け、完璧なタイミングで現れることが出来たのだ。
闇夜に紛れてフィールドを徘徊する化け物とその肩に乗るプレイヤーたち。
集う聖剣を倒しきり、6つのオーブをポイントに変えた楓の木はオーブを持ち出して他のギルドを総攻撃で襲い始めた。