コミュ障を治す為にも極振りで頑張ります!   作:Negima -{}@{}@{}-

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更新できなくてすみませんでした<(_ _*)>
アニメ勢なので…というのは言い訳ですが、何も無いとネタが!


器用特化と四層

27、器用特化と四層

 

あの日から二日。

この日は第四層が追加される日だった。

 

理沙に学校で見に行かないかと誘われたのもあったが、誘われていなくてもそのうちログインしていただろう。

 

視界が光に包まれ、それが消えた時には三層の町が広がっていた。

周りを見渡すとメイプルとサリーが手を振っているのが見えたため、ランは2人の方へと向かった。

 

「どうする?早速行く?」

「三層のボスはメイプル一人でなんとかなるだろうし……行ってみようか。ランも気になるでしょ?」

「なる。」

 

ログインするタイミングを合わせている訳ではないので、今【楓の木】でログインしているのは3人だけだった。

今先に上層へと上がってももう一度ギルドメンバー全員でボスを倒さなければならないだろう。

それでも3人は新層への興味には勝てなかった。

 

 

 

 

どんなボスかも確認しないまま【暴虐】状態のメイプルはその背にサリーとランを乗せてフィールドをダンジョンに向かって駆ける。

 

既にこれがメイプルであると知れ渡っているため機械で空を飛んでいるプレイヤー達から攻撃されることはない。

ただし注目されるのは変わらない。

 

モンスターを轢きながらダンジョン内を進みボス部屋に到達するとメイプルはその扉を開けて中に入った。

 

「サリー?ラン?着いたよー!」

「おっけー!さっさと終わらせよう」

「援護する。」

 

部屋の奥にいたのは3人の三倍近い背丈の鋼のゴーレム。

もしもゴーレムに意識があったなら、扉を開いて顔を覗かせた相手が化物だったことに頭が真っ白になっていただろう。

 

「【幻影世界】!」

 

サリーだけでもメイプルは四体になる。

四体のメイプルは鋼で出来たゴーレムに巻きつくようにして攻撃を開始する。

 

それに対抗してゴーレムも攻撃をするものの当然メイプルにダメージは入らない。

それを見たサリーは安心して、その場に座って朧の頭を撫で始めた。

ランも白夜を出して戯れている。

 

しかし、そんな2人をメイプルの焦った声が引き戻す。

 

「2人とも!?どうしよう!?」

「えっ!?何!?」

「どうしたの?」

「ダメージ入らないんだけど!?」

「えっ!?」

「ほんとだ…」

 

2人がゴーレムを見るとゴーレムのHPは全く減っていなかった。

 

運営は考えていた。

自然に【暴虐】状態のメイプルを封じられる方法を。

 

そして思いついたのは理不尽なほどの攻撃力を持ったボスを配置することではなく、高い防御力とHPを持ったボスを配置することであった。

 

メイプルの天敵は超高火力のボスではなく、同じ個性を持った相手だった。

 

メイプルには貫通攻撃スキルがない。

ゴーレムもダメージを与えられない以上この戦いに決着はない。

一対一の場合にメイプルを抑える方法である。

 

「これは私達が何とかするしかないか」

「そうだね。」

 

サリーは現状を把握しダガーを抜いてゴーレムへと走り出した。

 

ランもレールガンを構えて撃ち始める。

 

 

 

そうして戦うこと20分。

サリーが【剣の舞】の強化を最大にし、ランが【黒稲妻】を使ったこともあってこの勝負は終わりを迎えた。

 

「はぁ……ミスったな」

「疲れた…」

「だね……結構大変だった」

 

ここをさっと突破して第四層を見に行こうとしていた3人としては出鼻を挫かれた形になったものの、3人は気持ちを切り替えて第四層へと向かった。

 

「どんなところかな?」

「綺麗なところがいいな…」

「ほら、見えてきた」

 

サリーが走り出し、メイプルとランも追いかけた。

 

第四層は常闇の町。

星の煌めく夜空に赤と青の二つの満月。

 

今までで最も大きなこの町は全ての建物が木製であり和の様相を呈していた。

町中を水路が走り、灯りは静かに道を照らしている。

 

町の中心に見える一際高い建物には一体何があるのだろうと心は躍る。

 

「探索する?しちゃう?」

「ギルドホームへ行ってから…」

「うう、そっか」

 

3人ははやる心を抑えてギルドホームへと向かった。

 

 

 

 

ギルドホームの位置を確認し、内装を一通り見て回ったところで【楓の木】の残りのメンバーがログインしたことにサリーが気付いた。

 

「ごめん2人とも、手伝いに行ってくる」

「じゃあ、私も行くよ。【身捧ぐ慈愛】で守るだけだけど」

「私は研究所に行く。」

 

一旦別れた3人だが、マイユイの攻撃力によって、ボス戦はほとんど時間がかからなかったのですぐに集合した。

 

新たな町にやって来た一行はそれぞれがバラバラに広い町を探索に向かった。

後でどんなものがあったかギルド内で情報共有することで町の全容を把握するためである。

 

ランは一人、道を歩いてはキョロキョロと何があるかを見ていた。

 

そうして道を歩いていると漢字で壱と書かれた板が貼られた大きな赤い鳥居が見えてくる。

ランがその下を通ろうとすると許可証確認という音声が聞こえた。

 

試しにランはゆっくりと足だけを伸ばして何も起こらないことを確認すると一気に鳥居の下を越えた。

 

第4回イベントの10位以内の景品であった伍と書かれた通行許可証はここで使うものらしい。

 

ランはそれを確認して再び歩き出した。

 

内側へと向かうためには通行許可証が必要である。

そして当然、内側へ行けば行くほど良い装備や良いスキルに巡り会える可能性は高まるという訳だ。

 

ランは肆の鳥居をくぐった所で裏路地から悲鳴を聞いた。

 

咄嗟に向かうと、傷だらけの白い鬼が一人の少年を庇っている。

相手は狼…いや、フェンリル2体。

 

神性の高いフェンリルに対して鬼では分が悪いのだろう。

フェンリルには鬼の攻撃がほとんど通っていない。

 

「迦陵、アナ、助けてあげて。」

 

迦陵は鵬魔王、アナは大鵬金翅鳥につけた名前だ。

アンクレットから呼び出した2人にフェンリルを攻撃してもらう。

 

2人の戦闘は初めて見たけれど、1人でもオーバーキルだったのではという威力だった。

少しでも神の要素があれば2人の相手では無いのだろう。

 

私はその間に鬼に【ヒール】を使う。

 

(メイプルにもサリーにも使ったことないな…)

 

確かにそうなのだが、少し場違いなことを考えている間に鬼は完全に回復した。

 

「お姉ちゃんありがと。」

 

少年も鬼も言葉が通じるようなので、鬼に何があったのか聞いてみる。

 

「こいつはクリシュナ。本来は聖仙であり、救世主思想の原点に立つ英傑。だが、多くの姦計に関わったことを他の神軍…というかユースティティアに裁かれて、人の子供として下界に落ちてきちまったんだよ。

それを親方が助けたんだがな…ちと、周りの環境に馴染めなくて逃げ出したところを何者かの使い魔に襲われたんだよ。」

 

「なるほど。じゃあ、貴方は?」

 

鬼は名乗っていなかったかという顔をしたあと口を開いた。

 

「俺には名前が無い。親方…ラクシャーサ様に作られた白鬼夜行の一部だからな。」

 

ラクシャーサは仏教十二天の一人、羅刹王のヒンドゥー教での呼び方。

鬼を統べり、統括する神。

 

毘沙門天に仕え、毘沙門天に任された遊郭の取り締まりを行っているという言い伝えがある。

 

「百鬼夜行じゃない?」

ボソッと呟いた言葉は鬼に届かなかった。

 

「まあ、そこの大鵬金翅鳥なんかには負けるかもしれないが、俺もそこそこ強いんでこいつを探すのに抜擢されたんだ。フェンリルにはかなわなかったがな。」

 

その後、クリシュナを助けた件について親方に報告したいと言われ、親方の元へついて行くことになったのだが、その場所が捌の鳥居の奥にあるそうなのだ。

 

「私伍までしか入れない。」

 

「じゃあ親方に言って捌までは入れるようにしてもらうよ。ちょっと待ってな。」

 

ランはそんなことが出来るのか…というかしていいのかと思ったが口に出さない。

 

鬼は耳に手を当てて話し始めた。

見た感じ念力の類だろう。

 

「親方、クリシュナを捕まえたぜ。そんときに助けてくれたランって人間を連れていきたいんだが、伍までしか入れないんだ。どうにかしてくれ。…ああ、分かった…おう…じゃあ。」

 

伍の鳥居に番人を待たせておくので、その人に捌まで入れるようにしてもらうように。

 

その伝言通り鳥居のところで捌までの許可証を手に入れ、親方に会いにいく。

 

だんだん進んできて、もうすぐ会えるという所でランは気になったことを聞いた。

 

「ここ…遊郭?」

「おう、親方が毘沙門天に任されたんだ。」

 

あの伝承は本当だったか…と若干呆れたランだが、周りの環境を観察して子供のクリシュナが馴染めないのがよくわかった気がする。

 

ここの空気は不思議だ。一見煌びやかで澄んでいるのにドロドロとした空気が地を這うようにこびりついている。

 

クリシュナも怖いのかランの手を握っている。

 

しばらくすると他の店と比べても立派な装飾の施された暖簾がかかる店が現れた。

鬼とクリシュナがその暖簾をくぐって中に入っていったのでランも続く。

 

「親方、帰ったぜ。」

「お…お邪魔します。」

 

目の前には全身真っ黒で髪だけ赤い鬼。

左の腰に提げた刀と全身を包む鎧が威圧感を出している。

 

「おう、お前がクリシュナを助けてくれたって言う人間か。代わりに礼を言うぜ、ありがとな。礼と言っちゃなんだが、これをやるよ。」

 

そう言ってラクシャーサがくれたのはスキル。

 

【白鬼夜行Ⅰ】

一分間白鬼を呼び出す。

鬼のステータスはスキルレベルに依存。

 

「スキルレベルは使えば上がっていくから…まあ、こき使うことだな。」

 

その後一言二言話した後に部屋を出て行こうとすると、コートの袖が誰かに引っ張られた。

 

下を見てみるとクリシュナが袖を引っ張っていた。

 

「遊ぼ?」

 

否定されることが分かりきっているような目で、しかし希望を含んだ声で聞いてくる。

 

「こいつの口癖なんだ。だけど俺らも忙しくてな…いつもあんまり遊んでやれねぇんだ。お前さえ良ければ遊んでやってくれ。」

 

「…いいよ。遊ぼ。」

 

クリシュナは驚き、喜び、興奮しとコロコロと表情を変えている。

 

ランはラクシャーサに店の裏なら好きに使っていいと言われたが、車3台分程の広場では満足に遊べないと思った。

 

すぐにインベントリから『移動式ギルドホーム』を出す。

クリシュナを連れて訓練場へ入り、その広大な空間でかくれんぼを始める。

 

隠れる場所などのあるフィールドは、ランとその従魔達が揃えば3分もかからずに作り出せる。

 

鬼は五体のコロモリ。

素早すぎることも無く、数も調整できるため適度な鬼となった。

 

クリシュナは初めこそランの呼び出した従魔に怯えていたが、どんどん打ち解け始め今では極夜がランに言われるでもなく背中に乗せている。

 

(楽しそう…良かった。)

 

心から笑顔になっているクリシュナを安心してみていると、横に迦陵が来ていた。

彼女もクリシュナを気に入ったようで良かった。

 

暫くして、ランがログアウトしなければいけない時間になった。

それをクリシュナに伝えると、もっと一緒に遊ぶと言い出した。

 

「また来るから…」

「やだ、夜も明日も遊ぶの!」

 

どうしたものかと困っていると、『移動式ギルドホーム』の前に白鬼が立っていた。

とりあえず、外に出る。

 

「まだ遊ぶ。」

「はあ…親方に聞いてやる」

 

鬼は少し困った顔をした後に耳に手を当てる。

そして驚いた後にクリシュナに耳打ちした。

 

クリシュナは喜んでランの方を見た。

 

「お姉ちゃんと一緒に行っていいって!僕バトルも頑張るからいっぱい遊んでね。」

「えっ…クリシュナにバトルさせる気は無いよ?」

「僕バトルも頑張るからいっぱい遊んでね。」

 

この言葉がデフォルトのようで話が噛み合わないが、とりあえずクリシュナが仲間になった。

クリシュナは蒼也(そうや)と名付けた。

 

黒い肌に映える青い目が印象的なクリシュナにぴったりの名前だと思う。

 

ひとまず、クリシュナにアンクレットの中に入ってもらいログアウトした。

 

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