コミュ障を治す為にも極振りで頑張ります!   作:Negima -{}@{}@{}-

28 / 34
器用特化と天の雫

次の日はギルドホームで各自が探索結果を報告することになった。

 

「メイプルは?」

 

サリーがまずメイプルに話を振る。

 

「私は即死効果を手に入れて着物買ったよ!」

「……うん、後でゆっくり話すとして。ランは?」

 

次に話を振られたのはラン。

 

少し考えてみると迦陵達も報告してなかったことを思い出した。

 

「仲間が3人増えて…捌の鳥居まで入れるようになって…スキル貰って…神様と仲良くなった。」

「……それもあとで聞く。」

 

 

サリーは情報をまとめて話し始めた。

 

サリーが話し始めたのは通行許可証のことだった。

通行許可証がなければこの町での探索は十分に行えない。

 

そして、その通行許可証のランクを上げるためには面倒なクエストをこなしていかなければならないという訳だ。

 

クロムやカスミなども既に知っていたが、その手の情報を積極的に集めることがないメイプルとランにとっては初耳となる話だった。

 

ランは知らずに凄いものを貰っていたことに今更気がついた。

 

多くのプレイヤーが必要とする工程を何段階も飛ばしているのだから有利なのは間違いない。

 

その後、それぞれがここにこういったクエストがあるなどを話し合ったが、メイプルの受けたというクエストに挑戦したそうなメンバーは出てこなかった。

 

「最後はラン。まず仲間って?」

 

ランはアンクレットから3人を呼び出した。

メイプルとサリーはあまり驚いていなかったが、他のメンバーは驚いていた。

 

「自己紹介して。」

「私は混天大聖:鵬魔王。名前を迦陵といいます。よろしくお願いします。」

[私は大鵬金翅鳥ヴィナマ・ガルダ。名前はアナです。よろしくお願い致します。]

「僕は蒼也。お願いします。」

 

蒼也は迦陵の後ろに隠れながらだが、しっかり自己紹介をした。

 

「自立思考プログラムのNPC?」

 

蒼也の仲間になる時の言動から自立ではないだろうが、明確な否定材料となり得ないので取り敢えずサリーの言葉に肯定しておく。

その後にスキルと通行許可証が捌になった経緯を説明した。

 

皆のランを見る目がメイプルを見る目に似てきている…

 

 

 

次の日。

サリーがリアルの用事があるのでログアウトして、メイプルとランが2人で街を歩いている。

 

すると目の端に見たことある人が止まった。

 

「あっ、ミィだ。あっちは……何があったっけ?」

「分からない。」

 

ミィがキョロキョロと周りを見渡した後で細い路地へと入っていったのを見て、何があったか思い出せないメイプル達は同じ道を行ってみることにした。

 

前回のイベントをきっかけに知り合って結構仲良くなったミィに声をかけるのもいいと思っていたのだ。

 

曲がり角の多い道を進んでいくとミィの声が聞こえてきた。

 

止まる必要はないのにメイプルは立ち止まり、隠れる必要は無いのにランは隠れ、角からチラッとミィのいるだろう方向を見る。

 

「よしっ……癒されたらモンスター倒しに行こうっ」

 

そう言うと、ミィは青いパネルを出して装備を変更し始めた。

それだけではなく、見た目を変更するアイテムも使い始める。

 

赤い髪は真っ白になりロングヘアーに、服は青と白に変更し、ぱっと見ただけではミィだとは分からないだろう。

 

いつもの赤い姿が印象的なためだ。

 

「よっし!」

 

ミィは扉を開けて中へと入っていった。

 

「…………見ちゃいけないのだったよね?ど、どどどうしよう!?」

「…謝る。」

 

メイプル達は結果的に後をつけて覗き見をするということになってしまった。

 

2人は誰にも話さないということに決めて、それでもミィには見てしまったことを伝えることになった。

 

「とりあえず……入った店は……」

 

小さな看板を確認するとそこには【ふわふわふれあいルーム】と書かれていた。

 

「……よし。ふぅー……」

「緊張…する。」

 

メイプルとランは扉を開けて中へと入ると受付の人に代金を支払って奥へと進む。

 

そうして入った部屋の中はふわふわと浮かぶもふもふの猫が何匹もいた。

そしてその奥で緩みきった表情をして座っているミィもいた。

 

ミィはメイプルとランに気づくと抱いていた猫ですっと顔を隠した。

いくら変装をしていても割と仲良くなった相手と向かい合えばバレてしまうだろうことは明白だからである。

顔のパーツまでは変わっていないのだ。

 

メイプルとランはそんなミィに近づくと全て話して図らずも見てしまったことを謝った。

 

「いいよいいよ、それに……誰かには知ってて欲しかったかも。演技し続けるのも大変で……あはは……」

「本当、ごめんね。お詫びっていうか……何か出来ることがあったら言って!」

「私も。」

「……じゃあ、この後ちょっとモンスターを倒すのを手伝ってくれたり…」

 

メイプルとランはそんなことならと快く了承するとミィと共にしばしもふもふを堪能した。

 

 

 

 

ラン達は赤の服と演技でいつもの雰囲気に戻ったミィと今日限りのパーティーを組んだ。

 

「私足遅いから、【暴虐】!……行きたいところまで乗せていくよ!」

「ありがとう。」

「……の、乗るぞ?」

 

ミィは恐ろしい見た目の足からよじ登り背中に跨る。

ランはさっさと乗ってしまった。

 

ミィとしてはまさか乗ることになるとは思っていなかっただろう。

ミィはそのままメイプルに向かってほしい場所を告げた。

 

「おっけー、しゅっぱーつ!」

 

ぐんと加速して駆け出した化物はフィールドにいるモンスターよりもモンスターらしかった。

 

 

 

そうして暫く走った所で3人は目的地に辿り着いた。

 

「よっ……と。【炎帝】!」

 

ミィはメイプルから降り、ぐっと体を伸ばすとスキルを発動させた。

それを合図とするように次々とモンスターが現れる。

 

「私が倒さない方がいい?」

「うーん…レベル上げだから出来れば私が倒したいな」

「分かった。」

 

ランはレールガンを装備から外し、ダメージを与えすぎないように『水面の短剣』と周りに浮かんでいる星を使ってHPを削っていく。

 

絶対にトドメは刺さないのも全てのモンスターのHPバーを常に確認している観察眼による代物だ。

 

「【身捧ぐ慈愛】」

 

メイプルが発動したスキルはミィとランを完全に守りきる。

敵にすれば恐ろしいそれは味方にすると回避や防御という行動の存在を忘れてしまいそうになるほど頼もしい。

実際、ミィ達は防御行動を取る必要が全くなかった。

 

メイプルが横にいるだけでモンスターのHPを削ることを考えるだけでいいのだ。

 

「……これは、勝てない訳だ」

 

そうして移動しつつ狩りは続き、あらかた狩り尽くした所でミィは脱力した。

最後に移動して到着した湖を背にしてミィが座り込む。

 

「ありがとうメイプル、ラン。ごめんね、かなり付き合わせちゃった……」

 

ミィは素の状態でメイプルとランにお礼を言う。

 

「ううん、いいよ!でも、今日はそろそろ終わろうかな……眠たくなってきちゃった」

「確かに…少し眠い。」

 

現実世界でも夜は深まっている。メイプル達は今日のところはログアウトしようかと考えた。

 

「本当ありがとう、私も終わろうかな。いつもより張り切って攻撃したから疲れたかも」

 

「そうだ!じゃあ、最後にもう一度癒されていく?」

 

メイプルはそう言うと化物のお腹からドシャッと落ちてきた。

人型に戻ったメイプルはスキルを発動させ、ふわふわの毛玉になった。

 

ミィは恐る恐るそれに触れる。するとふんわりと柔らかい感触がする。

 

「中へ入ってきてー?」

 

「う、うん」

ミィは毛をかき分けて中へと入る。

心地よい柔らかさに包まれて体の力が抜けていく。

 

「あー……いい……」

「私も入りたい。」

「よかった、2人とも気に入ってくれて。」

 

メイプルより上に重なるようにミィが潜り込んで、ランは下の方に潜り込んでからしばらく時間が経過した。

 

そして、癒されていたその時、3人はぐっと毛玉が引っ張られる感覚を覚えそれぞれに反応する。

 

「な、何?」

「んん?」

「浮いてる?」

 

三人が揃って毛玉の側面からポンッと顔を突き出した。

 

毛玉は重力も忘れた様に湖の真上までふわふわと飛んでいった。

 

「メイプル、ど、どうなってるの!?」

「分からない!ランは?」

「分からない。」

 

湖の真上についた毛玉はそのまま空へ向かって上昇していく。

 

「これは……イベント?」

「どうだろう?もし落ちても私が守れるから大丈夫だけど……」

「何もしない方がいいよ…」

 

3人が水面から五メートル程上昇した所で湖の水が柱のように伸びて毛玉を包み込む。

しかし、それも一瞬のことで3人は光に包まれると、次の瞬間別の場所にいた。

 

「と、取り敢えず出るね?」

 

ミィは毛玉からすぽっと抜け出ると毛玉の真横に降りる。

ランも既に抜け出ていた。

 

メイプルはこのままでは身動きが取れないためミィに毛を焼いてもらい地面に降り立つ。

 

いや、正確には地面ではない。

 

「ここ、どこ?」

「……えっと、雲の上?」

「柔らかい…」

 

メイプルが今踏みしめているのは土ではなかった。

ふんわりと柔らかい雲だったのだ。

 

「すごい星……」

 

足下を確認したメイプルは今度は空を見上げる。

星々が眩しいくらいに輝いているのは、思わず見惚れてしまうような光景だった。

 

「うん、綺麗。星が降る夜ってこういう夜かな?」

 

3人はしばし夜空を眺めていた。

 

「……取り敢えず進もう。」

 

ランの提案にミィも乗ったので、メイプルを【ヒール】で回復してから、3人は雲の壁を乗り越え乗り越え先へと進んでいく。

 

そうして進んでいくとまっすぐに伸びる雲の道に辿り着いた。

3人はギリギリ3人が横に並べるくらいの道幅の道に足を踏み出した。

 

「ん?2人とも!上!」

「メイプル、【身捧ぐ慈愛】。」

「【身捧ぐ慈愛】!」

 

メイプルは一度は解除した【身捧ぐ慈愛】を再度使用し、ミィ達を守る。

 

直後、空から道に光る物体が降り注ぐ。

メイプルはそれを浴びつつバックし、避難する。

すると、雨のように降り注いでいたそれは止んだ。

 

二人は降ってきたものに当たりをつけることができていた。

 

「ミィの言う通り、星降る夜だった……」

「物理的に降ってくるなんて思わないって……」

「どれくらいの威力なのかは分からないけど、私なら耐えられるから進めそうかな」

 

メイプルはミィと共に再び歩き出そうとした。

そこにランが待ったをかける。

 

「この先に何があるか分からない…だから、私が行く。2人は待ってて。」

「星はどうするの?」

 

メイプルがもっともな質問をする。

 

すると、ランはおもむろに手を上にあげる。

そして指輪を力を使って落ちてきていた星を全て空中で止めた。

 

そしてメイプルの範囲防御外に出て、続いている道を歩む。

 

長い道を進んだ先には雲の壁、そしてそこにできた横穴があった。

ここまで来て何も無いことはないので、【千里眼】で覗いてみる。

 

そこには煌めく光が注がれていた。

静かに、糸のように伸びる光。

それが天から雲で出来た器へと続いている。

 

ランは器に近づいて、溜まった光に触れてみる。

何かを触った感覚はなかったが、一つのアイテムを手に入れた。

 

手に入れたアイテムは『天の雫』という名前で、素材でもバフアイテムでもない。

 

とりあえず、メイプルとミィを【念話】で呼び出してアイテムを回収してからログアウトした。

 

 

 

 

 

 

『天の雫』の使い道がわかった。

 

玖の鳥居の先に行くために必要な3つのアイテムのうちの一つ。

しかも知っているのは楓の木と炎帝の国だけ。

 

両ギルドともプレイヤーたちがアイテム回収に向かうが、炎帝の国は星の威力に負けて何度か失敗したらしい。

そのため、最近はメイプルかランが炎帝の国のサポートという名のアルバイトをしていることが多い。

 

しかし、今日だけはギルドホームに全員が集まっていた。

 

楓の木のプレイヤーで必要アイテムの2つ目の『龍の逆鱗』を集めに行くために今日だけは集まる予定を組んでいた。

 

とりあえず、このギルドの全員で集まればそうそうに負けることは無いので、すぐに龍のところに向かう。

 

しっかり武装を展開したプレイヤー達の目の前には煌々と輝く魔法陣。

それに乗れば即戦闘フィールドだ。

 

「じゃあ、行っくよー!」

 

メイプルの掛け声でみんなが次々に魔法陣に乗る。

 

到着したのは以前メイプルが悪魔と戦ったと説明したような荒野だった。

 

遥か高い暗い空、そこを真っ白い鱗を持った龍が飛んでくるのがメイプル達には見えた。

 

低空飛行でない状態では魔法攻撃すら届かない。そんな高みから龍はバチバチと音を立てて白く輝く玉をメイプル達に向かって放った。

 

「アナ、【火障壁】」

 

ランがアナを呼び出してこの状況で敵に対して最強の対龍の防御をした。

 

「迦陵、【金翅炎弾】」

 

迦陵には対龍の炎を打ち出させる。

 

その弾は吸い込まれるように龍にあたり、龍を火だるまにする。

その炎は簡単に龍のHPを削りきり、迦陵には経験値が入る。

 

「2人ともありがとう。」

 

その言葉を聞いてアンクレットに戻っていく迦陵とアナを見た他の人たちは悟ったような顔でランを見ていた。

 

普通は従魔が倒すとドロップスキルはあっても、ドロップアイテムはないはずなのだが、今回のアイテムはドロップではなく報酬なのでギルド全員が手に入れることが出来た。

 

その後予定が大幅に短縮され空白の時間が出来たので、そのまま次のボスにあてるというクロムの提案が採用された。

 

そうして一行は鬼退治に向かった。

 

その鬼は凶悪な見た目を十秒ほど見せつけたところで、ラン以外の攻撃で光に変わっていくこととなった。

 

 

 

 

 

それからしばらくはメイプル、ラン、サリー、クロム、マイ、ユイが許可証のレベル上げをしていた。

カスミはもうレベルを上げきっているので、ボスに挑戦している。

 

そしてランが最後のレベルを上げきった日にメイプルからギルドホームに集合がかかった。

 

ランが向かうとまだ居ないメンバーがいたのでしばらく待ってからサリーが口を開く。

 

「第五回イベントがもうすぐだから、集まってもらったわけだけど…みんなどうする?」

 

結局AGIのないメイプル、マイ、ユイが不参加で許可証のレベル上げ。カスミがボスへの挑戦。

イズがギルドのサポート。

それ以外がイベント参加となった。

 

 

 

イベントまでの期間何をしようかと考えている仲間をよそにランはゲームをログアウトし、外出の準備をした。

 

「兄さん、ありがとう。」

「可愛い妹の頼みだからね。」

 

家を出て向かった先はテレビ局。

千斗が今日は衣装調整も兼ねて番組見学をしないかと誘ってくれた。

 

理由は今日の番組ライブの衣装が珍しく藍の作った衣装じゃないから。

今日は番組側が用意した衣装なので、藍は勉強しに来た。

 

今日の番組はRe:valeの冠番組なので一人ぐらい見学を入れることぐらいは簡単に融通が効くと千斗が言っていた。

 

Re:valeの楽屋で百の衣装の最終調整を終わらせて収録時間までのんびり待っていると、楽屋の外から声が聞こえてくる。

 

『調べたらRe:vale不仲説とか出てきて…』

『怖いのかな?』

『怖くないですよ〜全然怖くないです。ほーら、リラックスして〜。』

『催眠術にかけるみたいな言い方やめてくんないかな…。』

 

その会話を聞いていた百達は少し弄りたくなったようで、藍には2人の座るソファの後ろで無言で立っていてくれと笑いながら言った。

 

「ブラホワのIDOLiSH7の歌凄かったから絶対に褒めるんだ!」

 

百が言うブラホワは通称ブラックオアホワイト。毎年年末に開催される歌番組で、視聴率も毎年大台を取っている。

 

コンコン、ガチャ。

 

ドアが開く。

その瞬間に2人の雰囲気が変わる。

さすが演技派…

 

「失礼します。小鳥遊事務所のIDOLiSH7とマネージャーの小鳥遊紡です。本日はよろしくお願いします。」

 

その態度を見て、百が値踏みするような態度をとる。

千斗もそれを感じ取って同じようにする。

 

「……へえ……。」

「……IDOLiSH7…?」

 

二人が声を発した瞬間に何人かの体が固くなった。

ただ、IDOLiSH7のリーダーだけは演技でもなく緊張していない。

 

2人が演技をしていることに気づいているのだろう。

 

「IDOLiSH7…ああ、TRIGGERに勝ったグループでしょ。…そこの君ちょっと良い?」

 

百がIDOLiSH7の赤髪の男の子を指名した。

指名されてあからさまに緊張しているのが伝わってくる。

百も意地悪が好きな質ではないので、このあたりでやめるだろ。

 

「収録前に一言いいかな?」

「なんですか?」

「ブラックオアホワイトのステージ……」

 

千斗が演技を辞めた。藍ももうやめている。

でも相手で気づいているのは緑のリーダーだけ。

これは百が勝ったな…と心の中で思う藍だった。

 

「すっっっっごい良かった!!!」

「…えっ?」

 

まあ、そういう反応になるだろう。

後ろで緑のリーダーが肩を震わせている。

 

「歌もダンスもすっごい良かった!めちゃくちゃ感動した!TRIGGERも凄かったけど、IDOLiSH7、最高だったよ!あの日から、ずっと、会えるの楽しみにしてたんだ!

なのにさー。Re:valeは怖いなんて話してるから、悪戯心がむずむずしちゃって。出来るだけ怖そうにしてみた。どう?びっくりした?」

 

「こら、モモ。いっぺんに話しかけたらびっくりさせるだろ。」

 

千斗が止めない限り続いていたであろう百のマシンガントーク。

 

「改めて、Re:valeの千だ。今日はよろしく。いびったりしないから固くならずに、のんびりやってくれ。」

「そうそう、ユキの家にいるみたいに。」

「僕ん家かい!」

 

また始まった…Re:valeのサービス夫婦漫才。

周りの人達は何となくやっているように感じているそうだが、この漫才はずっと考えて2人が作った持ちネタ。

普段はこんなことしないから、サービス。

 

 

 

それからスタジオ入りして、本番が始まった。

Re:valeのステージはやっぱりすごい。

 

自分の兄という贔屓目なしに見ても圧巻。

お互いが相手のことを思いやりながら体の隅々、指先に至るまで魅せることを考えている。

 

でも、自分の作ってない衣装を着ているのを見るのはやっぱり複雑な気持ちになる。

 

「はい、カット!」

「お疲れ様です!」

 

百が率先してスタッフに声をかけていく。

千斗は藍のところに直行した。

 

「どうだった?」

「うーん、腰周りの生地の合わせ方とか参考になった。」

「それは良かった。」

「そういえば、兄さん1番のBメロの頭の振り小さくなってた。どうしたの?」

「よくわかったな…そこを小さくすると後が大きく見えるかと思ったんだよ。」

「百さんと一緒にやらないと目立つよ?」

「そうね。」

 

そんな会話をしていると、IDOLiSH7の歌収録の番になった。

 

しかし、IDOLiSH7のセンターである赤髪の男の子…陸さんが調子が悪いようで声が出ていない。

 

「……っ、すいません。」

「これで5テイク目だよ…しっかりして!」

 

監督から檄が飛ぶ。

しかし、千斗が庇う。

 

「そんなプレッシャーかけたら、余計歌えなくなるだろ。」

「そうそう、俺たちは大丈夫だから…1回休憩にしようか。」

 

監督と百が話し合っている間に藍は鞄の中から保温性の水筒と紙コップを取り出す。

 

水筒の中身はカモミールとキンカンはちみつで作った藍特性のお茶。

 

暖かいカモミールと蜂蜜、キンカン、隠し味に入っているすりおろし大根で喉にいい。

 

いつも持っている紙コップを9つ出して、同じ量を入れていく。

スタジオ内にあったお盆にコップを乗せて運んでいく。

 

「百さん、どうぞ。」

「おっ、藍ちゃんありがと。ユキとIDOLiSH7の皆もどうぞ!」

 

私がIDOLiSH7に話しかけに行くのは緊張するだろうということで百が声をかけてくれた。

 

IDOLiSH7の皆にも好評で、三月にはレシピを聞かれた。

 

それからの撮影は問題なく進んだ。

 

今日は賑やかで楽しかった。

 




10分遅れました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。