コミュ障を治す為にも極振りで頑張ります!   作:Negima -{}@{}@{}-

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器用特化と第5回イベント

あれから数週間。第五回イベントが始まってからフィールドには雪が降り始めた。

デバフがあるわけでも歩きづらくなる訳でもないが、イベントモンスターも白い色の個体が多いので狙撃がしにくい。

 

三十分ほど木の上から狙撃をし続けていたが、ランは一体ずつだと効率が悪いと感じた。

そのため、リザード、バット、エレクトリックリザードを呼び出して攻撃を頼んだ。

 

たまたま遭遇したプレイヤーに倒されてしまうことには目をつぶった。

というか、倒されたら狙撃し返していた。

ランの従魔への愛情は、ランを暗殺者にした…

 

何種類かいるイベントモンスターの中でも雪だるま型の1番ポイントが高いモンスターは問答無用で火魔法の矢を放つ。

 

普通の矢ではほとんど削れない体力がゴリゴリ削れていく。

 

数時間はたっただろうかと言うところで日課になっている研究所の本の読解をするために研究所に入る。

 

昨日まで掛かりっきりだった本は神が人間として下界にいることがあるという本。

クリシュナがユースティティアにされたように神格を失う場合と、自分の主神に神格を預かってもらうことで人間の肉体で下界に降りる場合があることが分かった。

 

今日から読み始める本を選ぶ。

 

手に取った本には『Антарес』と書かれていた。

 

書き初めを読んでみる。

Альфа-зірка в Скорпіоні, сяє в 10000 разів яскравіше Сонця.

Кажуть, що він був захищений вогнем, бо в древні часи його помиляли з Марсом.

案の定一言も分からない。

 

今回は1文字も分からないので、タイトルだけ記憶して紙に写し書きしたものをカナデに見せた。

 

「アンタレス…ウクライナ語でさそり座のアンタレスを指している単語だよ。」

 

これによってウクライナ語であることがわかったので、これまでと同じようにリアルと研究所の往復が始まった。

 

と言っても今回の本はウクライナ語の同じような本がリアルの図書館にあり、しかも日本語訳が着いていたので1週間弱で読み解けた。

 

 

 

アンタレスはさそり座のα星で、太陽の1万倍明るく輝く星。

古代に火星と間違えられていたことから火の加護を受けているとされる。

 

その明るさをさそりの弱点である心臓と考えた人が、弓で射抜こうとしたことが射手座のケイローンの由来でもある。

 

その先はさそりを狙う場所というタイトルで場所の特徴が書かれていた。

 

(これ、【星の加護】を取得したところだ…)

 

早速サリーに行き方を聞いて向かう。

極夜に乗って移動したのでほとんど時間はかからずに着いた。

 

現在時刻は16時30分とまだ外は明るい時間なので、フィールドが夜の設定のこの場所は不思議に思えてくる。

 

2つある席には目もくれずにさそり座を探す。

この間来た時と星の配置が変わっているので、外の季節に合わせて年周運動をしていると簡単に想像できた。

 

さそり座の中に一際輝く星がひとつ。

ランは一応【千里眼】で補足してレールガンを構える。

 

「【パワースナイプ】」

 

威力も上げて打ち出す。

スキルによる白い尾が弾の軌跡をなぞる。

 

『スキルを取得しました。』

その声を聞いて、直ぐにスキルを開いて確認する。

 

【アルファ・スコルピィ】

火魔法が効かなくなる。

取得条件:ケイローンの代わりにアンタレスを射抜くこと。

 

またしてもランはメイプルに近づくスキルを手に入れた。

というか、炎帝に対して最強のカードを手に入れた。

 

 

 

次の日はイベント内ポイントの高い雪だるまのみを狙う作戦でフィールドに出た。

 

そう簡単に見つかるモンスターではないが、広い視野のあるランには飽きないレベルで見つけることができる。

 

一体目を火魔法の弾で倒したところでインベントリを開くと何も変わりはない。

 

実は、この雪だるまを倒すと低確率でクリスマスにのみ開くことができるプレゼントがドロップする。

ランはそれを狙っているのだ。

 

雪だるまは火魔法にめっぽう弱いので【魔弾の射手】が効果を発揮する。

他のプレイヤーの比にならないほどに雪だるまを倒し、プレゼントを2個ゲットしたところで今日は終わりにする。

 

 

 

ログアウトして、しばらくしたところで千斗が帰宅した。

千斗は自室に入る前に藍の部屋のドアを叩いた。

 

「兄さん?ご飯はまだだよ?」

 

そう言いながらドアを開けた藍の目に映ったのは仕事中の眼差しをしている千斗。

その目を見て、藍も仕事モードに切り替える。

 

「藍、いきなりだけどCDを出さない?」

「……………………………えっ?」

 

その提案は仕事モードの藍でも予想出来なかった。

そもそも、藍はアイドルでもなければ歌手でも、声優でも、役者でもない。

 

「どういうこと?」

 

完全に混乱した藍は少し焦り、強めに千斗に問う。

千斗は対照的にいたって落ち着いている。

 

「藍には歌の才能がある。その才能でモモを励まして欲しい。」

 

詳しく聞くと、Re:valeの5周年が近づいて来るにつれてモモさんの顔が暗くなっているそうだ。

歌っていても声が出なくなってきていると感じる千斗は歌の力に頼ることにしたらしい。

 

「作詞作曲までしなくても構わないから、頼む。モモが元気になるなら…!」

 

ここまで感情を露わにする兄を見るのは5年ぶり。

相方だった万さんが千斗を庇って怪我をし、活動を続けていけなくなって荒れていた時のよう。

 

(兄さんは万さんと百さんとの思い出が詰まったRe:valeを無くしたくないんだ。)

 

こんなお願いを聞いて黙っていられる藍では無い。

藍は兄のお願いを引き受けた。

 

「やる。でも、やるなら作詞も。」

 

思いを伝える歌を作るために藍は作詞もする決意をした。

作曲は千斗ではなく別の人に頼むことにした。

 

(兄さんにも歌が届いて欲しい。)

 

5年間、1番近くで今のRe:valeを見守ってきた藍だからこそかける歌を…

 

この日からイベントに1日1時間参加し、それ以外の時間…学校の休み時間でさえ作詞に打ち込む藍の生活が始まった。

 

 

 

 

 

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