コミュ障を治す為にも極振りで頑張ります!   作:Negima -{}@{}@{}-

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器用特化と遊郭

リアルでゴタゴタしていたランはイベントポイントをほとんど稼いでない。

しかし、ギルド単位では最高の報奨が貰えた。

 

そして時は流れてクリスマスを少し過ぎたある日。

 

前日にメイプルとサリーがプレゼントを開けてスキルを手に入れたと言っていたので、ランも早速開けることにした。

 

リボンを解いて蓋をぱかっと開けるとそこにはそれぞれ巻物が一つ入っていた。

やはりスキルを取得出来るアイテムである。

 

【ドライミーティア】

30秒間ドライアイスを打ち出す。

当たると5分間AGI5%減少。

5分後に再使用可能。

 

【減速領域】

1分間地面に半径5メートルの雪の結晶が現れる。

その範囲内のプレイヤー・モンスターが減速する。

10分後に再使用可能。

 

どちらもAGI特化のプレイヤーに刺さるスキルだった。

とりあえず移動式ギルドホームの訓練場で迦陵に頼んで試させてもらった。

 

「【ドライミーティア】に数発当たるならまだしも、【減速領域】の中はほとんど身動き出来ないですね…体感的にはAGIが80%減少と言ったところでしょうか?」

 

その言葉でスキルの試行を終わらせて、街に繰り出す。

今日は目当てがあったのでスキルショップへ直行する。

 

今回の目的は【カバームーブ】を買うこと。

盾役でもないのにどういうことかというと、先日メイプルに聞いた【カバームーブ】の仕様が気になったから。

 

【カバームーブ】は目に見える範囲のプレイヤーの元に移動するスキル。

その範囲が異常に広いランだったら面白い使い方ができるかもしれない。

 

ただそれだけ。

 

しかし、一応メイプル同様移動手段として考えているので使い所はある。

 

 

 

研究所に入るのも考えたが、引きこもりがちのランは実はこの階層を見て回っていない。

 

とりあえず、通行証はどこにでも行けるようになっているので、色々なところを見て回る。

 

そして辿り着いたのはラクシャーサの遊郭。

結局ランの興味を引くお店はなく、とりあえず知り合いに会いにくることにしたのだ。

 

遊郭の中に入ろうと中を覗くと、ラクシャーサとその百鬼が数体、受付の九尾の狐、その子供であろう狐の女の子、その手を掴む七体の人狼が固まっていた。

 

動かないキャラクター達。

外傷があるわけでも足下を固定されているわけでもないので、ランは不思議に思う。

 

しばらくして、イベント発生NPCだと気がついた。

とりあえず、誰が何をしたのか分からないのでラクシャーサの味方をすることだけ決めて中に入る。

 

ランが足を踏み入れると止まっていた時間が進む。

 

「お客さん、そいつは従業員でないんでね…手を離してもらおうか。」

 

ラクシャーサの低い声がフロアに響く。

客だという人狼たちはそれでも狐の女の子の手を離さない。

 

九尾の狐の女性はオロオロし、百鬼達は殺気を無理やり押さえ込んでいる。

お客さんだから強く当たれないことが目に見えてわかった。

 

「従業員じゃない?はっ…遊郭にいる女なんて男の相手をさせてなんぼだろ!」

「そうだ、そうだ!」

「兄貴はここの客だぜ。客を大事にしない奴に管理を任せる、阿呆の顔を見てみたいぜ!」

 

言っていることは横暴でもそれを言われるとラクシャーサには手出しができない。

ランはラクシャーサの主である毘沙門天を知らないが、素晴らしい人格者だろうと思っている。

 

とりあえず、ランは客の立場なのであの人たちを倒しても問題ないだろうと判断し、女の子の手を掴んでいる男以外の2人を撃つ。

 

ドットになった二人に気づかれる前に最後の一人の背後にスキルを使って近づく。

 

レールガンを光剣にして首に当てる。

そして、話して貰えるよう低く作った声で脅…お話する。

 

「その子を離せ…ラクシャーサ様の店で騒ぎを起こされちゃたまったもんじゃない。」

 

人狼は怖がって手を離した。

それを見て光剣を首から下ろす。

 

「お前、なんなんだよ。」

「ただの客だ…今すぐここから立ち去れ」

 

ランは逃げ腰で走り去った狼を見て、演技を辞める。

そして、女の子に【ヒール】を使いながら話しかける。

 

「大丈夫?…もう、痛くない?」

「ありがとう、お姉ちゃん。」

 

赤くなっていた腕も【ヒール】ですぐに治り、女の子も笑顔を見せてくれる。

 

「ランにはまた迷惑かけたな…助かった。」

「私からもお礼を。この子を助けて下さりありがとうございます。お礼になんでも致します。」

 

礼には及ばないとラクシャーサに伝えても、女性は何かするといって聞かない。

 

それにはラクシャーサも困り顔だ。

 

するといきなりアンクレットから蒼也が出てきた。

そして取り巻きをしていた白鬼達に近づいて言った。

 

「皆、久しぶり。」

 

「おう、クリシュナ…じゃなくて蒼也元気だったか?」

「ちゃんと、ランの役に立ってるか?」

「またいつでも遊びに来いよ!」

「強くなりたいなら稽古だってつけてやるからな」

「お前腕っ節は強くねえからなwww」

「そうだぜ、女相手だけでもバトルで役にたてよ!」

 

百鬼達に笑顔で歓迎される蒼也もいい笑顔だった。

それを見ていた狐の女性はハッとした顔でランを見た。

 

「私も仲間にしていただけませんか。戦闘も少しは出来ますから、お役に立てると思います。」

「私もお姉ちゃんにありがとうしたい!」

 

狐の女の子も笑顔でそう言うのでランは二人を仲間にすることにした。

もちろん、ラクシャーサの許可も頂いている。

 

二人を仲間にして、蒼也含め四人でギルドホームに向かおうとするとラクシャーサ様から声が掛かる。

 

「そういえばラン、ここの遊郭なくなっちまうんだ。

まだしばらく先だが、毘沙門天がこの上の階層に新しく店を作るからここを閉店することになった。

そこの管理は俺じゃなくて夜叉になりそうだから俺は暇になるんだ。

だからこれまでの恩返しも兼ねてお前に従属したいんだがいいか?」

 

いきなりの展開についていけなくなるランだが、暫くして状況を飲み込み驚くと同時に嬉しくなった。

 

また賑やかな仲間が増えることを幸せに思い、ランはにっこりと微笑んだ。

 

 

 

 

次の日、ギルドホームにはマイ、ユイ以外の全員が揃っていた。

なので新しく仲間になった三人の紹介をした。

 

「右から九尾の狐のマリー。…その隣がマリーの子供のリリ。…一番左がラクシャーサ様…名前は可畏(カイ)。」

 

相変わらずの成果に呆れられた。

特にカスミは何かを考えついたあとで恨めしそうにランを見てきた。

 

あいにく本人に全く自覚がないのだが、そのカスミの考えは的を得ている。

 

すなわち、四層の王は鬼である以上可畏には逆らえないということ。

それはランの必勝と同義だった。

 

まあ、ランは四層の一番上にモンスターがいることなんてそもそも気にしていないので、本人がこれに気がつくのはもう少し先の話である。

 

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