縁をたどり、カルデアへ流れるはずのこの男は外れてしまった。
流れ着くは呪い蠢く東京と呼ばれる場所
美しき獣、ここに堕ちる
この短編には地獄界曼荼羅平安京轟雷一閃
のネタバレが含まれています
とある白紙の星に、一点の黒き渦ありき。
是、とある陰陽師が生み出せし大暗黒点、名を地獄界曼荼羅。
時がたてば新たな異聞へと変貌し、汎人類史を破壊せんとする害なる物である。
そのおぞましき力の脈動は、今か今かとその機会をうかがっていた……。
このままでは白き大地に暗黒なる世界が生まれてしまうだろう。
己を美しき肉食獣と表するあの男によって、かつての世界が消えてしまうだろう。
これで人類は終わってしまうのか……? 。
――否
閃光が走る。
渦巻く黒の中心部、汎人類史最後のマスターと金髪碧眼の源氏武者達が争う力の集結点、その場所で勇ましき声が響く。
『ゴォオオオオオオオオルデン!』
轟雷一線。
音を立て崩れるそれに一体となっていた元凶は、かつて行った
これにより闇は晴れ、長く続いた因縁も決着がつき、マスターは盾の乙女を始めとする仲間たちの下へと帰還を果たす。
休息を経て、次なる戦いへの準備を始めることだろう。
これで何もかもが次へと向かっていく、マスターは明日へ。
白紙となった航海図は、新たに刻まれる道を待ち、反逆者たちは力を蓄える。
一時の大団円……そのはずであった。
「ンンン?」
見上げれば首が疲れるであろう高さの高層ビル群。
あたりをせわしく行き交う人の群れ。
そして……どこからか漂う薄暗い力。
陰陽師は、そんな町の中心に立っていた。
「ンンン――はてさてこれは、一体どういうことでありましょうか?」
陰陽師の記憶にはある。
それは、己が倒れされたということを。
陰陽師の記憶にはある。
それは、今見ているこの光景は白紙化されたはずの現代と呼ばれる時代であることを。
陰陽師は困惑している。
自身が新たに召喚されることがあれば、その場所はかならぬの彼のマスターのところであるだろうということ。
「どうやら、
そしてさらに奇妙なことに、
容姿は現代でも受け入れられるだろう美丈夫ではあるが、服をはだけさせている2メートルの大男である。
このような男が何もないところに突然現れた場合、一般人はまともでいられるだろうか? 答えは否であろう。
「ンンン! 奇妙奇天烈ここに極まる! と、言ったところでありましょうか?。 ですがですが!、何やらそのような事よりもどこからか心地の良いものが流れてきていますねえ……はてこれは?」
男の頭が
殺意、妬み、そして怨。
人が微弱ながら垂れ流す、それらより練られた呪いを祓う呪いの力。
この世界において呪術師と呼ばれる者、その一人。
「ンンン! これは僥倖、今すぐにでも我が肢体の今と情報を得ることが出来ようとは!」
男は宙に指を軽く走らせ五芒を描き、光泣き目が描かれた無数の人型を呪術師へと襲い掛からせた。
呪霊と呼ばれるものが、この世界にはある。
人から流れ出た呪力が固まり、形を得たものである。
呪霊にはランクが存在しており、上から順に
特級
1級
2級
3級
4級
4級未満
となっている。
そして特級呪霊と呼ばれる者の中にはもう一つ種類が存在し、その名を特級仮想怨霊という。
それは、人類に共通してある妖怪や怪談などという物がそう呼ばれる。
ならば、あの男は?。
1000年前、今日の都を守護した大陰陽師、彼の安倍晴明と相争い他者を呪ったあの男は!
「ンンン! 呪霊、呪術師、そして両面宿儺! いやはやまさか世界が異なっているとは拙僧驚嘆の至り!」
男は笑う。
呪術によって吸い出した情報に心躍らせながら呪術師の頭を握りつぶし、返り血を浴びた体で影へと沈んでいく。
「さて、いったいどのようにしてしまいましょうや?」
その者、自身を
その忌み名キャスター・リンボ!
その真名、蘆屋道満! 。
「拙僧、美しき獣にて!」