緑の玉ねぎが言うことにゃ、お前さん…… 作:緑の葱
チャンピオンロードと呼ばれる道の入り口にて、二人の少年が空を見上げながら会話をしている。
「なあ、ユウキ」
「どした?」
「俺はチャンピンになれると思うか? グリーンに勝てると思うか?」
深刻な顔をして、普段は滅多に話さない少年の問いかけに俺は答えた。
「緑の玉ねぎが言うことにゃ、お前さんはチャンピオンになれるらしいぞ」
俺の言葉に驚いた少年は、少しの間、呆然とした後、笑いながら言った。
「ユウキの言葉に出てくる緑の玉ねぎっていつも謎だったけど、今回は不思議と元気が出てきた。行ってくる」
「頑張れよ」
決意を固めた少年を見送って、俺も別の場所へと向かった。
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「なあ、ユウキ」
「はいな?」
「俺はチャンピンになれると思うか? ワタルさんに勝てると思うか?」
深刻な顔をして、普段は楽しそうな顔をしている少年の問いかけに俺は答えた。
「緑の玉ねぎが言うことにゃ、お前さんはチャンピオンになれるらしいぞ」
俺の言葉に驚いた少年は、少しの間、呆然とした後、笑いながら言った。
「ユウキの言葉に出てくる緑の玉ねぎがいつも謎だったけど、行けそうな気がしてきた。行ってくる」
「頑張れよ」
決意を固めた少年を見送って、俺も別の場所へと向かった。
そして俺はまた・・・・・・・・・
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ガラル地方のとある田舎で、幼馴染のホップとユウリが、俺を呼びに来るのを待っていた。
何でもチャンピオンであるホップの兄のダンデさんが、家に帰省するため、会おうという話になったのだ。
ポケモンに関しては、あまり興味がない俺でも、ホップの兄が偉大であることを知っているため、ひそかに会うことを楽しみにしているのだ。
そうこうしているとホップに呼ばれたため、彼の兄を駅に迎えに行き、そのままホップの家に集まることになった。
ダンデさんからヒバニーを貰い、遊んでいると、ジムチャレンジの話になったが、特に興味が無いため、聞き流していると、何やら有名な博士のところに行くらしい。一人別行動は気まずいため、着いていくことにする。
ああ、空気を読むことしかできない自分が憎い。
一先ず、両親にポケモン図鑑を貰いに行くことを伝えると、ユウリの家の方から、大きな音が聞こえてきた。
見に行くと、ウール―というポケモンが、まどろみの森という曰くつきの森に侵入したとのこと。
ユウリ、ホップが心配なため見に行くというからには俺も着いていくしかないと覚悟を決めた。
今、思い返してみても、ここが俺の人生の分岐点なのだろう。非常に後悔している、そして、非常に感謝している。だって、緑の玉ねぎに出会えたのだから。
森の中に入ると、霧が深く、視界が悪かった。そのせいで、二人と逸れてしまった。
入って、5分もしていないのに。
寂しくなり、二人の名前を呼んでいると、目の前に緑の玉ねぎが飛んでいた。
「緑の玉ねぎが飛んでる」
俺の声に気が付いたのか、緑の玉ねぎがこちらに近づいてきた。
「ビィ?」
ビィ?と聞かれても困る。人の言葉を話してくれ。
「ビィ!」
適当に同じ音を出しながら手で追い払うジェスチャーをする。
「セレビィ!」
むっとしたのか少し怒った感をだしている。
どうしろと言うんだ。
「セレビィーーー」
もう一度、同じ音をだして駆け出す。俺の勘が叫んでいるのだ、奴は俺にとって、疫病神的なものだと。
俺の動きに呆然としたのか、その場から動かずに俺を見送る緑の玉ねぎ。俺の勝利のようだ。
闇雲に走っていると、森の入り口に到着するとダンデさんを含む3人が待っていた。俺だけ、迷子になっていたのだと言う。
解せぬ。
二人に話を聞くと、俺と逸れてから、犬のようなポケモンに出会ったのだとか。俺もそっちの方が良かったというと、俺の頭に石が飛んできた。
不思議に思い回りを見てみるが、敵の存在は無し。非常に恐ろしい出来事である。
不思議体験後にポケモン図鑑を持っている博士の家に到着し、ユウリとホップを眺めていると、二人はどうやらジムチャレンジに挑戦するらしい。
二人とも頑張ってなー、と適当に心の中で応援していると、とんでも無い話がでてきた。
「ユウリ、ホップ、二人には俺から推薦状を出そう。お前たちなら立派なチャンピオンになれるかもしれないからな!」
「やったぞ! 俺はアニキに挑戦して、チャンピオンになるんだ」
「私も頑張る!」
はしゃいでいた二人がふと気付いたように俺の方を見た。
「アニキ、ユウキには推薦状を出さないのか」
ホップ、君が優しいのは分かったから、余計な事はしなくていい。俺はチャンピオンではなく、大企業に就職したいのだ。
「そこは気にしなくていいぞ、ホップ! ユウキには別の人よりすでに推薦状が出てるからな」
その話、初めて聞いた。
「誰が僕に推薦状を書いたんですか?」
「何とカントーのチャンピオンやジョウトのチャンピオンなど、名だたるチャンピオンから推薦状が届いている。君はすでに次のジムチャレンジの注目の的だ」
そんな奴ら知らん。いきなり会ったことないチャンピオンから推薦とか、悪夢以外のなんでもないでしょ。
俺が困惑していると、ダンデさんがさらに言葉を重ねてきた。
「ついでに、チャンピオンたちから伝言も預かっている」
「はあ」
話したこともない人から伝言とは、つくづくホラーである。
「俺も意味は分からんが、そのまま伝えよう。『緑の玉ねぎが言うことにゃ、お前さんはチャンピオンになれる』とのことだ」
「はあ?」
嫌な予感がしてきた。絶対にあいつが犯人だ。
俺以外の全員は意味不明だったらしく、頭を悩ませていたが、答えは出ないため、一先ず放置することにした。
結局、流されて、俺はジムチャレンジをすることになり、両親にそれを伝え、旅の準備をして、出発した。
ワイルドエリアに到着し、キャンプをしていると、奴が現れた。
「ビィ?」
興味深そうに俺が作ったカレーをじっと見ている。こいつ、着いてきたのか。
「カレーが欲しいのかい? でもね、このカレーには玉ねぎが入っているからやめときな」
俺が手をしっしとすると、それに腹が立ったのかねんりきを発動。腕を決められて泣きそうである。
「ギブギブ!」
俺が降参すると、分かってくれたのか、ねんりきを止めてくれた。こいつどっかに行ってくれねぇかな。
俺が許可を出していないのに、勝手にカレー食べ始める玉ねぎ。ふと気になって、図鑑を出して調べてみると、なんと森の神様で、時を超える力を持っているとのこと。
「嘘くせぇ。こいつにそんな力があるわけないだろ」
あははははは、と笑っていると、緑の玉ねぎ、別名セレビィに飛び蹴りを食らわせられた。
カレーを食った挙句、蹴りを入れるとは、許せない。
「セレビィ!!」
図鑑の説明文を指さし、できますと怒るセレビィ。
「じゃあ、やってみろよ!」
促す俺。
「セレビィ!!!」
光るセレビィとその光に飲まれる俺。
そして俺たちはこの時代から消えたのだった。
☆☆☆☆☆☆☆
その数分後、俺たちは戻ってきた。
座り込む俺とケラケラ笑うセレビィ。
空を見上げて、俺は呟いた。
「チャンピオンの推薦状、緑の玉ねぎじゃなくて、俺が原因だよ」
こうして、数年分の過去をめぐる旅をして、すでに育て上げたポケモンを手持ちに加えた俺の旅が始まるのだった。
ちなみに、緑の玉ねぎは俺の手持ちになってます。
ちくしょう。