ダンジョンでゴブリンをスレイするのは間違っているだろうか 作:ポッキー ィィィ!!!!!
『ヴヴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!?』
「ほぁああああああああああああああああああああああああああっ!?」
僕は今、死にかけている。
具体的には牛頭人体のモンスター、『ミノタウロス』に追いかけられている。
最初はゴブリンに追いかけられてたんだけどなぁ、と余裕がない中そんなことを考える。
しかしゴブリンはミノタウロスを恐れたか、もう僕の周りには居ない.......もしかしたらちょっと離れたところに潜んでいるかもしれないが
『ヴゥムゥンッ!!』
「くっ!?」
ミノタウロスの蹄。
背後からの一撃は体を捉えることこそしなかったものの、土の地面を砕き、ちょうど僕の足場も巻き込んだ。
足をとられ、ごろごろとダンジョンの床を転がる。
『フゥー、フゥーッ……!』
「……!」
臀部を床に落とした態勢から立て直し、ナイフを構えた。
袋小路に追い詰められてしまった。戦うしかない。
こんな所でくたばれない。
そんな覚悟を胸に合間見える。
しかし現実は非情、このモンスター相手にLv.1の僕の攻撃は通らない。
諦めずただひたすらにナイフを振り下ろすが弾かれる。
「切れない......なら......!」
ナイフを両手で構えてミノタウロスに特攻。
なけなしのステイタスをフル活用する。
繰り返すが現実は非情である。
安物のナイフ(でもローンがある)はミノタウロスの肉体に半分も刺さることなく折れてしまった。
武器は、ない。
ドンッと背中が壁にぶつかる。
来てしまった、行き止まりだ。
袋小路の奥にとうとう僕は追い込まれた。
僕の目は蹄を振りかぶるモンスターの姿を映す。
次の瞬間、その怪物の胴体に、胸部に剣が生えた。
「え?け、剣?」
『ヴぉ?』
何が起こったのか全く理解出来ていない僕とミノタウロスの間抜けな声。
『グブゥ!?ヴゥ、ヴゥモオオオオオオオオオオォォォオォ──!?』
断末魔が響き渡った。
剣が引き抜かれ血が溢れ出し、ついさっきまで僕を殺しかけていたモンスターはあっけなく灰となった。
その剣が引き抜かれたことにとって溢れ出た大量の血のシャワーを全身に浴びて、僕は呆然と時を止める。
「...ぼ、冒険者..?」
牛の怪物に代わって現れたのは、あまりにもみすぼらしい男だった。
身に纏う装備は角の折れた鉄兜と薄汚れた軽鎧に、鎖帷子。
左腕に小振りな円盾を括り付け、右手にはミノタウロスを貫いたばかりの装飾のない無骨な剣を携えている。
「無事か?」
「あ.....はい.......あの、あなたは?」
「..........
それが僕と、あの人の、最初の出会い。