サザナミタウン
「となると、彼の手持ちにはあの伝説のポケモンがいるということですか。サガミ部長から言われた時は半信半疑でありましたが、貴女とお話をしていてその疑問が確信に変わりましたよ。」
「いえいえ、それほどでもありませんよ。」
「流石はシンオウリーグのチャンピオンですな。」
ラクツらと別れたオウメはある情報を確認する為にイッシュを訪れていたシンオウ地方チャンピオンシロナと面会していた。彼が持つ6匹目のポケモンを把握する為に。
「しかし、何故シンオウ神話に伝わる伝説のポケモンが遥か彼方の、しかも海を越えた遥か先のこのイッシュに?」
「それは分からないわ。でも。」
「でも?」
「人とそのポケモンを繋ぐ特別な物。それを彼は持っているのかもしれない。最も、一番の有力候補はシンオウにあるのだけどね。」
「う~む。では一体。」
「・・・もしかして。」
国際警察公安部棟表口
「いい加減我々に投降しろ! これ以上の無益な戦いを我々は、ゲーチス様は望んでおらん!!」
公安部棟の周りには、プラズマ団員や、内通していた国際警察の職員らが包囲していた。
「今我々に投降するば、命は保証する! 速やかに投降しろ!!」
拡声器を使い、呼びかけを行うプラズマ団員。
「ダメだ。あいつら全く返答を返さん。」
「もうここは実力行使しかないのではないか?」
「やむを得ないな。折角ゲーチス様が御慈悲を与えんとしているのを無下にするのだからな。」
ドオオオン!!
突然包囲していた先頭集団が砲撃される。
「何事だ!!」
「どこからだ!!」
「あ、あれを!!」
団員が指を指した先には台車に括りつけられた大砲が10門ずらっと並んでいた。
「あの形状、まさか我々プラズマ団が開発したゲノセクトの砲台ではないのか!?」
「ええい!! 何をしている!! 突撃せよ!! もうこうなれば公安部本部を攻め落とせ!!」
公安部棟表口
「修正射、撃てー!!」
次々に発射される大砲。着実に敵の数を減らしている。
「敵を近づけるな!! 銃、構え―!! てえー!!」
続いて公安部の機関銃部隊による迎撃が開始される。まさか実弾を使ってくると予想していなかったプラズマ団員は大損害を被った。
公安部棟部長室
「サガミ部長、これでよろしかったのですか?」
「良いのよヨコスカ隊長。我々公安部は国際警察に巣くう悪を取り除かなければならない。その為にはあらゆる手段を講じ、敵に反撃の機会を与えてはならないのよ。今回投入したゲノセクト砲もその一環。自らが開発した兵器の前に滅べばいい。」
「お言葉ですが、いささかやりすぎに思えるのですが。正直、相手はまともに銃など火器の対策を講じていなかったようです。最早一方的な殺戮と化しておりますが。」
「テロリストに君は慈悲を持てと言うのか? 下らん。一時の判断が自らの生死を決定づけた、それだけよ。」
「・・・・・・・・・(この人に可愛そうとか、怖いとかの感情はないのか? まるで、イッシュに派遣されている黒の二号のようではないか?)」
「さて、包囲してた連中も壊滅したようね。」
一面血に染まった公安部棟前の広場がそこには広がっていた。
「これより公安部は、国際警察本部奪還の第二段階に移行する。各員、補給・整備が完了し次第作戦を開始せよ!」
「りょ、了解しました!!」
敬礼し、ヨコスカが逃げる様に部長室を後にする。
(あの人は鬼だ。感情がどこにもありはしない! ただ目の前の敵を駆逐する為に存在しているような化け物だ!)
「って、あの子は思ったかしらねえ。」
「あまり部下を怖がらせん方が良いのではないか?」
「私も好き好んで怖がらせようとか思っちゃいないよナンブ警視監。」
「正直隣で聞いていた私も恐怖を感じたぞ。」
「ふ~ん。入りたての頃からの付き合いなのに、怖く感じちゃうのね。」
「しかし、お前を見ていると黒の二号と似ているところも相まみえるな。」
「そう? 私はそうは思わないけど?」
「何故だ?」
「だって、あの子には、感情があるから。」
「・・・・・・・・・・・・そうか。」
「ほら、ぼさっと立ってないであんたも作戦指揮をしなさい!」
「分かってますよ。」
国際警察本部
「公安部め、遂に動き出しおったか。」
モニターに映し出される殺戮劇を見つめるヴィス警視総監。
「如何致しましょう。我々も火器で対抗しますか?」
「それは確実にするべきだ。如何に奴らが精強ぞろいと言っても数は此方が勝っている。数で潰せ。手段は問わん。」
「はっ!」
プラズマフリゲート
「間もなく本艦はジャイアントホールに着陸します。衝撃に備えてください。」
着陸態勢にフリゲートが入る。
「さ~て、どうしようかな~?」
Sと名乗る人物から送られてきた文書に目を通していくアクロマ。
「う~ん? 乗っちゃおうかな~、どうしようかな~?」
「如何致しますか? Mr.アクロマ。」
「う~ん、何か今までより待遇良くなりそうだし、罪状もなかったことにしてくれるらしいし、乗っちゃおうかな! Sって人に此方からの条件も添えて伝えて置いて!」
「了解しました。」
「・・・・さて、キュレムの合体、これも楽しみですね~。」
カゴメタウン
「ここで警視殿と合流予定か。」
周囲を見渡すハンサム。
「凄まじい冷気が漂い、直ぐにでも凍ってしまいそうな寒さだ!」
「そんなことはどうだっていい!! 俺はプラズマ団を!!」
「むむむ!!」
ハンサムが上空を見つめる。
「け、警視殿!!」
上空にはゲノセクトに乗ったラクツとファイツがいた。そして、此方の存在に気付いたのか、進路を変更し、着陸してきた。
「け、警視殿!! 良くぞご無事で!!」
涙ながら敬礼するハンサム。
「ああ。君には多からず迷惑をかけたようだ。申し訳ない。」
「いえいえ!! 警視殿がご無事でこのハンサム感動しているところでございます!!」
「そうか。」
「ちょっと待て。」
ヒュウが口を挟む。
「ま、まさかラクツ、お、お前。」
「・・・・・・・・・・・・。」
「う、う、嘘だよな? お、お前が、国際警察の、け、警視、だなんてさ。」
「・・・・・・・・・・・・。」
「な、何とか言えよ!!」
「・・・だからどうしたと言うのだ。」
「だからどうした、だと!?」
急に怒るヒュウ。
「まさか、お前がよう、俺たちの学校に来た理由って。」
「無論、プラズマ団を壊滅させる為だ。」
「だったら何で俺に教えてくれなかった!!」
「何故君に教える必要があるのか、理解しかねるな。」
「んだと!!」
殴り掛かるヒュウの拳を簡単に受け止めるラクツ。
「君は僕が警官だと始めから知っていたら、どうするつもりだったのか? 妹のチョロネコを探させようとでも考えていたのか?」
「な、何でそんなことを知って。」
「全て国際警察のデータベースに書いてある。君がプラズマ団を恨む動機も、事件の全てもね。」
「だったら何故。」
「僕の任務はあくまで七賢人の逮捕とメモリーカードの回収だ。私情が挟めば、任務に支障をきたす恐れがある。だから僕は言わなかったし、知らないふりをした。」
「・・・・・・・・・・・・。」
「君が僕のことを何と思うと知ったことじゃない。だが、我々はこれよりジャイアントホールに向かうつもりだ。そして、そこでプラズマ団との最終決戦を迎えることだろう。そこで君は君の闘いの決着を付ければいい。さて、行くぞファイツ、ハンサム。」
そのままジャイアントホールに向かおうとするラクツ。
「待ってくれ!!」
呼び止めるヒュウ。
「俺も連れて行ってくれ。」
「・・・・・・・・・・。」
「俺はただあいつのチョロネコを取り返したい。決戦の地で俺の闘いの決着をつける。」
「・・・・勝手にしたまえ。だが、敵は待ってくれないぞ。」
「分かってる!!」
「さあ、行こう。決戦の地、ジャイアントホールに!!」
「「「おう!!」」」
(続く)