マスター名は公式の藤丸立香を使います。
一応男主人公をイメージして書いています。
追記
サブタイトルを変更しました。
プロローグ intro1 とある最後の戦いにて
冬木の大聖杯の眠る鍾乳洞にて、2人の男が戦っていた。
片や銅色の混ざった銀髪の男が大剣を振るい。
片や長い黒髪の男が日本刀を振るう。
戦いは拮抗していた。
2人の顔は正反対だった。
銀髪の男は怒りを露わにして。
黒髪の男は喜悦を露わにしていた。
「
黒髪の男は、戦っている銀髪の青年…ジークに語りかける。
「こんな感情は初めてだ。どうやら私は
「お前の存在が許せない!なのに私はこんなにもお前を求めている!」
「不思議だ…『根源』に到達してなおもこんなに焦がれるとは…お前という存在は本当に不思議だ!」
その戦いは『最後の聖杯戦争』の最終局面。ジークがレティシア…もといジャンヌ・ダルクというパートナーを失い、世界との契約を終えた後の出来事だった。
黒髪の男こそ『最後の聖杯戦争』の
「喧しい!黙れよ死ねよ。消え失せろ!」
「お前が殺した!彼女をお前が殺したんだ!」
「殺してやる!必ず殺す‼︎」
ジークは怒りのままに剣を振るう。
黒髪の男はジークの怒りの剣を刀で受け流し、笑顔でジークと会話する。
「良い怒りだ。腹が立つが認めるよ。お前こそが私の『運命』だと!」
「私の『人類救済』の最大の障害だと理解したよ」
「私の望みは…お前を倒して初めて成し遂げられる」
黒髪の男は訳の分からない事を大声で叫びながら、ジークの剣を捌いていく。
そして第三者の視点から見ても分かりやすいほど黒髪の男は手を抜いて戦っていた。
黒髪の男はジャンヌ・ダルクの切り札を捌いた時の様に超常の力を振るわず、ジークとのチャンバラ合戦に興じている。
黒髪の男とジークには絶大な実力差があるにも関わらず、ジークを観察でもしているのか全く本気で戦う素振りを見せない。
ジークにはなぜ男が手を抜いて戦っているかは分からない。
それでもジークは男を殺せるならば…とその手抜きを好機として剣を振るい続ける。
世界の加護という名のバックアップを受けてジークの剣は徐々に鋭さを増すが、それでも実力差は覆らない。
「まだだ!」
その実力差を覚醒という名の裏技で少しずつ埋めていく。
敵の剣の術理を目で見て理解し、魔術で再現して自分の物にする。
ジークの振るう剣撃が加速する。
「まだだ!」
その一言で、またも剣撃が加速する。
「まだだ!まだだ!まだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだッ!!」
振われる度、『
意志という燃料を燃やして、ジークは成長し、更にその意志をより強固にする。
意志を燃やして、『必殺』の殺意で剣を振るう。
その姿勢に黒髪の男は感心している様子だった。
「ほう、更に出来る様になったな」
「いいだろう。では
黒髪の男がそう言うと、男は突然、刀を下ろした。
すると、突き出したジークの剣が男の胸を…正確には心臓を貫いた。
「……え?」
あまりにも突然の出来事に先程までの激情が吹き飛び、ジークは呆然とする。本来なら目の前の男にジークは敵う筈がない。
男がその気になればジーク程度の存在を消してしまう事など楽に出来る。
それほどまでに強大な実力差がありながら、ジークの剣が男を貫いたのは、単純だ。
単に勝ちを譲られた。それだけだ。
「……なんで?」
ジークは分からなかった。
男に野望があるならわざわざ自殺など有り得ない事だ。
そもそも圧倒的な実力差があるにも関わらず男がどうして手を抜いて戦っていたのかが分からない。
ジークに殺される意味が分からない。
疑問ばかりが浮かび、ジークは立ち尽くす。
「筋は良いがまだまだ足りん」
「私が倒したいのは、今のお前ではない」
黒髪の男はジークにそう告げる。
男は心臓を貫かれてなおも余裕を崩さない。
「残りの生を研鑽に使うがいい。それでようやく相手をしてやる」
男は瞬時にジークと距離を取り、自らの受肉した肉体を魔術による業火で火をつけた。
「お前を倒すのは、お前が死んだ後だ」
男の口振りからジークは、初めて理解する。
この男は
「お前が混乱するのも分かる。私も…
「だが、それでもだ」
「お前を倒すのはこのオレだ」
「オレの創る世界にお前はいらん」
男はジークにそう宣言する。
「我が真名は『天草四郎時貞』。いずれ貴様を倒し、
この時、ジークは初めて屈辱と悔しさに涙を流した。
そしてその涙は決意に変わる。
「いいや、
「いずれ……決着をつけよう。その時は必ずお前の『
そしてこの日……天草四郎時貞の宣戦布告を受けたジークは世界の『敵』となる決意を固めた。
その光景を夢として『見て』いた者が1人いた。
その人の名は
人理継続保証機関『カルデア』の最後のマスターである。
「この記憶は俺にとって
ボーッとその光景を眺めていた立香の元に男の声が届いた。
「貴方は?」
その男は、銅色の銀髪を腰まで伸ばした長髪のスーツの上に青いコートを羽織った青年だった。
「先程、君が見た『
青年は少し恥ずかしそうに立香に訴えた。
「ご……ごめんなさい……」
この『夢』については立香自身でも制御が効かない。
一部ではもはやネタになるほどのカルデアでは見慣れた現象だ。
この『夢』を介して何処かの誰かの夢と繋がってしまったり、何処かにレイシフトしてしまったりと、正直あまり良い記憶は少ない。
「まあ、不可抗力なら仕方ない…」
「そこでだ。君はここが『何処』か分かるか?」
青年にそう言われて、立香は周囲を見渡す。
周囲には幻想的な黄昏の空と広い荒野が広がっていた。
「ここは俺の固有結界だ。より正確には俺の心象風景であり精神世界だ」
「夢により繋がったとはいえ、かなり危ない所にいるんだぞ…。分かっているのか?」
青年は立香の事を心配そうに言う。
「う……なんか……すいません………」
藤丸立香は先程の青年の言葉に反応し、つい質問してしまう。
「もしかして…英霊?」
固有結界などの大魔術を扱えるのは、悪魔などの人外を除けば高位の魔術師か英霊くらいのモノだと教えてもらった。
「正解…と言いたいが、少し違う」
「俺は正規の英霊ではない。正確には
「もっとも…今は事情があって
青年はやや引っかかる言い方をするが、そんな事はカルデアの英霊達が日常的にやっているので立香はあまり気にしなかった。
「エミヤみたいな感じ?」
守護者と聞いて真っ先に思いつくのは、よく厨房に入り浸る赤い弓兵の事だ。
「ほう…エミヤ…お前の知り合いか?」
「いや、その言い方だとおそらくカルデアに召喚されたんだろう」
「アイツは元気にしているのか?」
エミヤという英霊を知っているのか、青年は気になる様だ。
立香はその質問に正直に答える。
「いつもみんなに美味しいご飯をご馳走してくれます」
立香の返答を聞いて青年は少し嬉しそうに微笑みを浮かべる。
「そうか…どうやらアイツは元気にやっている様だな」
「正直な所、いつかまた会いたいと思っていてな。叶うなら奴の紅茶を味わってみたいものだ…」
まるで友人の無事が分かった事の様に安心した様子を見せる青年に、立香は「この人は良い人そう」という印象を抱きながら、疑問を口にする。
「そういえば…貴方は?」
そもそも自分と夢を介して繋がったこの英霊は何者なんだ。
雰囲気から立香には何処か既視感がある。
青年は「君の善性はよく分かった」と呟いて、改めて立香に向き合い、自己紹介を始める。
「自己紹介がまだだったな。俺の名はジーク」
「これから君達『カルデア』が戦う。『敵』だよ」
青年…英霊ジークはそう応えて藤丸立香の両腕をその手に持つ大剣で
前半部分の黒髪の男は、テンション高めですが、あの男です。
名前の部分は透明にしてありますので、一応ネタバレ注意です。
まあ、バレバレですが念の為です。
明らかにキャラ崩壊していますが、ちゃんと理由もあります。決してホモに目覚めた訳ではないので悪しからず。
彼はちょっと作者の独自設定を加えたせいで、あんな感じになっただけです。