一応注意喚起。今回からカルデアのサーヴァントが結構酷い目に合います。
具体的には首が切断されたり、体が破裂したりなどのスプラッタな事になったりします。
酷い目あったサーヴァントに推しの方がいる場合は、注意をご了承の上でご覧ください。
藤丸立香とそのサーヴァント達はオルレアンへとレイシフトを実行した。
本来なら一度にそんな大人数のレイシフトは不可能だったが、ジークがカルデアに『聖杯』を提供し、大人数のレイシフトが可能になる様にダ・ヴィンチ達に頼み込んだのだ。
その聖杯のおかげで、なんとかレイシフトは可能となり、藤丸立香達はオルレアンへと向かう。
そして、レイシフト後に立香達が目にしたのは荒野だった。
立香にとっては見に覚えがある光景だった。
それは立香が夢で見たジークの固有結界だった。
「来たか」
そこで、ジークは荒野に立っていた。
罠など配置せずに、あくまでも堂々と立って自らの『敵』を待って立っていた。
「俺こそが『ビーストⅣ/
「さあ、戦いを始めるとしよう」
ジークのその言葉をと共にカルデアとジーク…否、ビーストⅣ/EXの戦いが幕を開けた。
最初にジークに仕掛けたのは、カルデアのランサーのクーフーリンだ。
紆余曲折あった末に、彼に決まったのだ。
最も、彼1人ではない。
ランサーのクーフーリンに続いて、彼の若い頃のもう1人のランサーのクーフーリン、キャスターのクーフーリン、バーサーカーのクーフーリンが続いていった。
敵の力量を測るには彼らが適任であると、カルデアは決定したのだ。
クーフーリン達は槍を構える。ちなみにキャスターのクーフーリンは今回の決戦に向けてエミヤに槍を投影してもらっている。
各々の武器を手にしてジークに槍撃を放つ。
そして、クーフーリン達の槍撃が、壁の様にジークに向けて押し寄せる。
ジークはその槍撃を強固な魔力剣を2本創造し、その魔力剣を両手に握り、迎撃する。
本来なら防御すべきなのだろうが、中途半端な防御ではすぐに彼等は突破してしまうだろう。
故に攻撃は最大の防御という諺を実践するようにジークは全力で魔力剣を振るう。
二つの魔力剣を操り、クーフーリン達の槍撃を捌く。
だが、悲しい事にジークの技量が追いついていない。
所々捌けてはいるが、防ぎ切れず致命傷こそ避けているが直撃してしまう事も多々あった。
その様子にクーフーリンはやや失望半分期待半分の気持ちでついジークを挑発してしまう。
「オイオイ、この程度かよ?期待はずれもいい所だ。もうちょい気張れやぁ!」
その言葉と共に強烈な槍の突きをジークの肩を貫くが…
「分かった…ならばこそ言おう」
クーフーリンの挑発が引き金となり、ジークは覚醒する。
ビーストクラスとして顕現したジークは、別に強力な存在として顕現した訳ではない。
現にクーフーリンの槍撃の嵐を捌ききれず、所々に傷も負って一見するとボロボロだ。
はっきり言って、人類悪には到底見えない。
人類悪という名の割にはあまりにも弱すぎる。
だが、同時にその『弱さ』こそが『強さ』なのだ。
「
その覚醒を告げる言葉と共にジークの剣撃が速度を上げる。
嵐の様な攻撃に対処出来ないならば、
その結論の元、ジークは超音速で魔力剣を振るう。
「おおおおおおおおおおおおッ!」
剣を振るう。まだ足りない。腕の筋肉をより頑強に改造して振るう。まだ足りない。
腕だけでは足りない。体そのものをもっと頑強に改造する。まだ足りない。
改造する。まだ足りない。
改造。足りない。改造。足りない。
改造と不足を考慮し、思考の速度をクーフーリンの槍より速く動かして解決策を実行出来る様に自らの肉体をその場で改造しては積み重ねていく。
最初は致命傷を避ける程度にしか捌けなかった。だが次第にクーフーリン達の槍を全てを槍を捌ける様になっていた。
「ッ⁉︎」
その急激な成長にクーフーリンは驚愕する。
その剣撃は剣術の体を成していない乱暴な剣だったが、その速度はどんどん上がっていく。
次第には衝撃波を巻き起こし、次第にジークの剣閃が竜巻となる。
残像すらも残さず、振われる剣閃は、クーフーリン達の槍撃と互角となり、次第にクーフーリンを傷をつける領域にまで手を広げていく。
「馬鹿者がッ!四方から攻めろ!」
クーフーリン達の後ろから、クーフーリンの師匠スカサハが指示を飛ばす。
クーフーリン達はその指示に反射的に従い、ジークの四方を囲み、槍を振るう。
ジークは負けじと応戦する。
だが、クーフーリンの背後にはスカサハがいる。
「中々見込みがあるが…まだまだだ…」
スカサハは一気に勝負を決めるべく、宝具を使用する。
「刺し穿ち、突き穿つ!『
必殺にして必中の槍の奥義が、ジークの胸を…否、心臓を貫いた。
「「「駄目押しだ!」」」
4人のクーフーリン達は好機とばかりに各々の宝具を使用する。
「『
「『
「『
「『
無数の枝で構成された巨人が。
「心臓を刺した」という因果逆転の必中の槍が。
その槍を更に強力にした必中にして必滅の槍が、ジークの体を貫いた。
特に心臓のあった胸部は複数の必中の槍が重なった事で、沖田の『無明三段突き』の様に事象崩壊を起こして完全に消滅していた。
それぞれがジークの心臓を四方から貫き、クーフーリン・オルタの槍が、その効果を発揮して、ジークの体内の臓器を体内側からズタズタに刺し砕く。
そして、枝の巨人がジークを縦に押し潰す。
その明らかに過剰な暴威には英霊どころか神霊すらもただではすまないだろう。
本来ならばこの一連の暴力を受けた事で、決着する…筈だった。
「まだ…だ!」
ジークは叫ぶ。
まだまだこんな所で止まるつもりはない。
この程度の障害で止まるほど、俺の決意は軽くない。
その魂からの叫びは、ジークに力を与える。
まず体内のズタボロの内臓に刺さった槍を破壊すべく、『理導・開通』を発動させる。
心臓は破壊されたが、脳さえ無事ならば魔術は使用可能だ。
枝分かれした槍の穂先に魔力を通し、破壊する。
続いて、槍を破壊しようとするが、それを察知したクーフーリン達とスカサハは、すぐに槍を引き抜いて距離を取る。
ジークはそれを狙っていた。少しでも距離を取れば、後は肉体改造に集中出来る。
まずは破壊というより消滅させられた心臓は放置して、消滅した胸部を魂を代価とした錬金術により修復し再生させる。
ゲイ・ボルグに破壊された心臓はその呪いにより修復は出来ない。
一つしかない心臓を破壊された者はどうすればいい?
簡単だ。壊れたならば造ればいい。
壊れた心臓を放置して、
心臓の構造や機能はジークは
それは第三魔法の片鱗を使う度に、
自らの肉体の情報が流れ込む事で、時に肉体を錬金術で完全に直し、時に肉体を限界以上にまで酷使する事が出来た。
何をするにも
それをジークは知ってはいるが、気づいていない。
矛盾していると思うが、単にその時はジークが夢中で気づいていないだけだ。
その材料は
一つでは先程の二の舞だ。ならば心臓は
心臓を六つ精製する。それだけでは足りない。
生前は脳を破壊された事で、固有結界の暴走を引き起こし、今回はその様な事が無い様に脳を増やしておく。
脳を心臓と同じく六つ造る。
新しく造られた心臓と脳が体を巡る。
体内で精製された複数の心臓と脳は活動を開始する。
新しい心臓が魔力を作り、脳がその情報を処理する。
その機能は本来なら一つの脳が他の機能と並行して行っていた作業だ。
だが、今その脳が分かれて肉体の何処かに配置されている。
脳があるという事は
即ち、いつも並列思考で行っていた投影や強化魔術などの基本魔術を勝手に体内の脳が使用出来るという事だ。
その為の魔力を生み出す心臓は六つ造ってある。
そして、何よりも自分の受けたダメージを体内の脳が対処してくれる。
ジークが判断せずとも、体内の脳が勝手にジークの傷を錬金術で直す。
欠けた肉は魂を材料にして補い、胸に空いた穴は、他の心臓がある為、問題は無い。
そして、必中の槍を受けて、枝の巨人に押し潰されたジークはすぐに復活を果たした。
復活したジークは、すぐにクーフーリン達に斬りかかる。
ジークがまず最初に斬りつけたのは、キャスターのクーフーリンだ。
キャスターのクーフーリンは、ジークの動きに反応して回避を試みるが、その回避行動より速くジークの魔力剣が振り下ろされ、キャスターのクーフーリンは、文字通り、真っ二つに両断された。
クーフーリン達とスカサハはそれに動揺することなく、ジークに対処する。
再びジークを囲み槍で応戦するが、ジークの異常なほどの身体能力による剣撃で彼等の槍撃が撃ち落とされる。
本来なら四方に囲まれて、超音速の槍撃を四方から浴びれば普通なら対処出来ないし、サーヴァントでも出来る物は非常に少ないだろう。
だが、ジークはそれに対処していた。
クーフーリン達の槍より速く動き、その攻撃を全て捌いていた。
先程とは比べ物にならないほどの変貌に彼等は驚嘆する。
勿論、理由もある。
答えは簡単だ。
ジークが脳と心臓を増やしたからだ。
身体中に心臓と脳が有れば、どうなるか?
身体中のあらゆる機能が強化される。足を動かす、腕を振るうという単純な動作さえも最適化されて、魔術回路を起動させた状態では常時音速を超えて動く事も可能だ。
当然、普通の人間にはそんな事は無理だ。
だが、ジークはホムンクルスであり、英霊であり、不可能を可能にする『魔法の言葉』を授かった『特別』な存在だ。
それくらいの不可能など可能に変えてみせる。
ジークの魔力剣を振るう速度はクーフーリン達やスカサハすらも上回る。技量は当然上がったりはしない。だが、肉体そのもののスペックが彼等を凌駕した。
それだけでは終わらない。
ジークの姿がまるでエドモン・ダンテスの様に分身し始めたのだ。
6人ほどに分身したジークは、本当の分身などではなく、ただの残像だった。
要は小細工を使わずにただ滅茶苦茶速く動いているだけなのだ。
当然そんな事をすれば、とんでもないGが彼を襲うが、ならばそれに耐えられる肉体に改造すれば良いだけだ。
魔力を通して肉体を強化魔術で強化する。
それに合わせて他の脳が、同じく強化魔術を使用する。
その強化魔術は
常識外れとは思う。
それくらいに体内に脳が複数宿っているのは並外れた事なのだ。
「あっぶなーい!クーちゃーーんッ!」
「失礼ながら助太刀致すっ!」
「加勢するぞ!」
そして、キャスターのクーフーリンが斬られた事がきっかけとなり、クーフーリン達の危機を察したメイヴとフェルグス、ついでにセイバーとランサーディルムッドが乱入する。
メイヴは自分の戦車でジークを押し潰そうと彼の頭上に飛び上がる。
2人のディルムッドは、クーフーリン達に加勢する。
フォルグスは、敢えて距離を取り、機を見計らって自身の宝具を解放する準備をする。
勿論、それを想定していないジークではない。
ジークはクーフーリン達だけを相手にしているのではない。カルデアの『全て』を相手にしているのだ。
このくらいの奇襲など想定内だ。
ジークはまずクーフーリン達との乱戦を一時中断し、全力疾走で距離を取る。
その疾走の中で『何か』を拾う。
そして、自分の頭上に移動していたメイヴの戦車に向けて跳躍する。
「え、コッチ⁉︎」
まさか自分の方に向けて跳躍してくると思っていなかったメイヴは驚いてしまう。
「
ジークは、メイヴの戦車に手を触れると、理導・開通を発動する。
脳が複数ある事でジークの情報処理速度は、全力稼働させれば古代の戦車を解析するなど容易だ。
生前は宝具の一つ破壊するのに苦労していたが、今回は脳が複数ある。よって、瞬時に戦車の破壊に成功する。
足場を失い、宙を舞うメイヴを守ろうとクーフーリン達は跳躍するが、それより速くジークが動いた。
メイヴの反応より速く魔力剣を振るい、メイヴの首を斬る。
メイヴの離れた胴体の手を掴み魔力を流して
メイヴの離れた胴体に当たったクーフーリンは大したダメージはない。だが当たったと同時にジークの施した魔術「
「なッ⁉︎」
ジークの得意魔術によって破壊された彼女の胴体は、スプラッタに破裂する。
その破裂した胴体に動揺したのではない。
クーフーリンも英雄だ。
それくらいの修羅場などとっくに切り抜けている。
だが、問題はメイヴの肉体は人体だという事だ。
破裂した影響で、メイヴの内臓・臓物・血液が飛び散り、クーフーリン達に付着する。
その僅かな隙こそがジークの狙いだった。
そして、ジークは先程拾った『何か』…幻想大剣を構えていた。
体内の脳の補助により、幻想大剣の最大出力の黄昏の光の柱が大剣から出ていた。
「『
真名解放と共に黄昏の津波がクーフーリン達を襲った。
「おおおおおおおおおおおおッ!」
「『
その黄昏の津波を真っ正面から貫かんと両足が砕けるほどの力を込めて跳躍する。クーフーリン達を追い越してフェルグスは宝具を解放する。
『虹霓剣』は本来なら大地に向けて放ち、その大地そのものを破壊して敵を攻撃する使用法をしている。
だが、虹霓剣の本来の破壊力は「貫通」にこそ発揮される。
大地を破壊する破壊力を黄昏の津波に向けば、虹霓剣は津波を貫通していくのが道理だろう。
そした黄昏の津波の中で、フェルグスの背後のみに安全圏が出来た。
クーフーリンはフェルグスの意図を察知し、フェルグスの背後に回る。続いて他の者達もフェルグスの背後に回る。
フェルグスが津波を突破した時、他の者達が一気に宝具を解放するのがフェルグスの意図だ。
クーフーリン達やディルムッド、スカサハもフォルグスの背後で宝具を解放する準備をする。
だが、彼等は目の前に集中するあまりに津波の先にいるジークの事を失念してしまった。
ジークが幻想大剣を解放して黄昏の津波を撃ち出したのは目眩しも兼ねてのモノだった。
ジークは既に津波の先にはおらず、魔力剣を足場にして跳躍し既に地上に移動していた。
今のジークには瞬間移動の如き速さで空中を動く事も可能だ。
そして、ジークは幻想大剣を構えて、剣身に黄昏の波を超収束させる。
魔力を剣身に限界以上に収束させて剣に付加する。
幻想大剣の剣身は光の剣の様になり、その光は膨大なエネルギーの塊だ。
膨大な魔力を限界以上に収束し、収束された魔力は光速に達する。
その大剣に付加された光の魔力は核熱と化し、光熱を放っていた。解放すれば、核爆発に匹敵する威力を発揮するだろう。
だが、敢えてジークは解放しない。収束された魔力を殲滅の光ではなく、必滅の刃として振るう事をジークは選んだ。
その必滅の刃の名は
「『
この使用法こそジークの編み出した幻想大剣の真髄にして極致。
膨大な魔力を剣身に集中・収束させ、斬りつける。
その剣に触れれば核分裂反応を引き起こし、振るえばあらゆる物を破壊する必滅の刃となるだろう。
その必殺の大剣を手に、ジークは再び跳躍し、上空に飛んだクーフーリン達に迫る。
ジークの狙いに気づいたカルデアのアーチャー達が、ジークを撃ち落とそうとするが、矢や弾丸より速く移動するジークには当たらなかった。
そして、ジークの接近にスカサハが気づいたが既に遅い。
ジークの幻想大剣が振われた。
一閃だけではない。出来るだけ、念入りに斬り刻む。
それは、振われた剣閃は空間すらも斬り刻み、斬り刻まれた空間はガラスの様に砕けて、黄昏の津波とそこにいたクーフーリンとフォルグス、スカサハは体をバラバラにされて消滅した。
カルデアの者達の目の前に広がる光景は明らかに異常で圧巻だった。
覚醒という、第三魔法の片鱗の現象はビーストとして現界している現在に如実に効果を表した。
先程の攻防を見たカルデアのサーヴァント達の中で、一部の者はジークの特性…ビーストⅣの特性に気づいた。
その特性は「相手よりも強くなる」。
ジークは『敵』が強ければ強いほど強くなっていく。
『敵』が強大で有ればあるほど、彼は強くなる。
皮肉にも本来のビーストⅣと性質を同じくしていた。
だからこそジークはビーストというクラスで顕現したのだろう。
本来のビーストⅣの代わりとして顕現したのだろう。
そもそも本来なら出現する筈の無いビーストⅣの代役が出現したのかと言えば、理由はヨハンという転生者にある。
ヨハンという転生者による干渉により、ジークは獣の適正を手に入れてしまった。
カルデアのケルトの英霊達を殺し、立香達に向き直る。
そして、その姿は、立香には『魔王』の様に見えた。
戦いはまだ始まったばかりだ。
やっとタイトルを回収出来た。
今回はケルト勢の皆様が酷い目に合いました。
作者への報いなのかFGOのガチャで爆死が続いております。プーサーガチャでありったけの石を失いました…。
今回はどうやってジーク君を戦わせるか悩みに悩んだ結果、ジーク君が無惨様っぽくするという展開に落ち着きました。
そして漸く出せたジーク君流のガンマレイ・ケラウノスこと「幻想大剣・天魔必滅」。これが書きたかった。
というか、型月の魔術師にとって、「複数の脳と心臓を保有する」というのはかなり有用なのではないかと思った今日この頃。