「心がいらないと叫んだ人間」という短編は消しました。
正直言って、リアルの方でゴタゴタがあって、モチベも下がり、中々手がつかなかったので、続きも書いていなかったので、消しました。
連載を書いている時に短編を続ける気力は私にはありませんでした。
完全に私の不足です。
しおりを挟んだり、お気に入り登録して頂いた読者の皆様、大変申し訳ありませんでした。
ケルトの英霊達を屠る姿を見たジークフリートは我慢出来ずに駆け出した。
別の世界で自分の心臓を授けてたホムンクルスが、カルデアに来てから弟の様にも息子の様にも思って可愛がっていたジークが、あの様な怪物じみた強さに至るとは思いもよらなかった。
別世界の存在とはいえ、これ以上の所業をジークフリートは認めるつもりはない。
ジークフリートはジェットの如き速さで跳躍し、ビーストとなったジークに向けて剣を振り下ろす。
「次は貴方か…。光栄だ。全力で挑ませてもらう」
その剣をジークは右手の魔力剣で防ぐ。
ジークは心なしか嬉しそうな表情をしながら大剣を置いて、魔力剣を空いた片手に創造する。
二つの魔力剣を握るジークの戦闘スタイルは先程のケルトの英霊達との戦いで既にジークフリートは『見て』覚えている。
ジークの剣撃の速度は凄まじく速い。
見てからではまず間に合わない。
ならば攻撃を予測すれば良い。
ジークフリートには『
だが、カルデア式の召喚システムと今のマスターの技量では、『悪竜の血鎧』はおろか他の宝具を使用できず、セイバー以外の霊基ならばタルンカッペなどの自身を強化する宝具を使用出来ると思うが、今の霊基では『
ジークフリート本人は、そんな事は気にしない。むしろ新たなスタートを切るにはちょうど良いと割り切っている。
『
ジークフリートは例え不死身の体が無くとも英雄なのだ。
ジークの動作をよく見れば、すぐに次の手が分かる。
先程のケルトの英霊達との戦いで十分に観察できた。
一見すると分かりづらいが、肩の動きや下半身の動きに着目していれば大体次の手は読める。
ジークフリートは生前で培った戦術眼で、ジークの動きを予測し、ケルトの英霊達の槍撃を1人で凌いで来たジークの剣撃相手に互角に渡り合う。
ジークフリートはさっきまでとは別人の様に成長していくジークの強さについ笑みを浮かべる。
目の前のジークの強さを知る度に、今のカルデアに所属している方のジークの成長が楽しみになってしまう。
そんな奇妙な感情を抱きながら、ジークフリートは剣を振るう。
ジークも尊敬する英雄と戦えて、心が躍る。
尊敬もしているし敬意もある。感謝もある。
だがそれ故に手は抜かない。
ジークは魔力剣を更に展開する。
手にではなく、自分の背後に列をなして展開する。
正確には展開ではなく配置だ。
背後というより正確には腰の辺りに剣を収めるかの様に魔力剣を配置した。
魔力剣を四つほど展開したジークは先程と同じくジークフリートに斬りかかる。
戦闘スタイルは前と対して変わっていない。
だが、手数が増えていた。
ジークが一度斬りつけると何故か
ジークフリートは一瞬佐々木小次郎の使う『燕返し』の域にまで達したのかと勘違いしてしまった。
答えはもっと単純だった。
ジークは重複する強化魔術による強力な身体能力に物を言わせて、素早く振るった魔力剣を素早く腰に納めて、素早く腰の魔力剣から抜刀術の様に引き抜いて斬りつけているだけだ。
要は
はっきり言って面倒で非効率な剣術だ。それなら展開した魔力剣をそのまま操って飛ばすなどの攻撃した方が効率が良く、合理的だろう。
だが、その非効率をジークは無理矢理粉砕する。
本来なら面倒な剣を腰に納める作業と抜剣をその身体能力で無理矢理一瞬で行う事で、隙を潰す。
その手に魔力剣を持つ事で、魔力剣の攻撃力を確かなモノにする事で攻撃力を保ったまま手数を増やす。
この様な芸当は複数の脳と心臓が宿ったから出来た事だ。
生前の頃には身体能力も低く、2本程しか硬い魔力剣を維持出来なかったのだから。
そして、手数の増えたジークの剣撃はジークフリートを近接戦で圧倒する。
「……ッ⁉︎」
理由は単純だ。ジークフリートの剣だけでは手数で勝るジークの剣を防ぎきれない。
斬撃を一瞬の内に4つもほぼ同時に放つなど、一流の剣士ならば難しい事ではない。
だが、それを通常攻撃として放ち続けるとなれば話は別だ。
確実に疲弊し隙が生まれ、そこが弱点になる。
「何を驚く?」
だが、それを超人的な身体能力で克服すれば間違いなく脅威だ。
本来ならば必殺剣なる剣を通常攻撃として放ち続けるのは狂気の沙汰だ。
だが、ジークはそれを可能にする。
何故ならば……
「これくらい出来なければ、人類の『敵』は務まらないだろう?」
彼は人類の『敵』だから。
その為ならば多少の不可能は可能にして見せよう。
ジークの猛攻にジークフリートは捌き切れずどんどん負傷が増えて…いなかった。
寧ろジークの剣撃を弾いて、傷一つ付いていない。
ジークも不思議に思うが構わず攻撃を続ける。
その様子と自分の僅かな変化に気づいたジークフリートは、その場では深く考えず、敢えて生前の竜殺しを果たした後の捨て身の戦闘スタイルに切り替える。
捨て身の戦闘スタイルになったジークフリートにジークの放つ剣撃を全てを受けるが、
「なにッ⁉︎」
それに驚くジークに、ジークフリートは見切ったジークの魔力剣を振るう両腕を掴んで動きを封じる。
今のジークフリートには『
ジークフリートは知るよしもないが、今戦っているのはジークの固有結界だ。
固有結界内には真エーテルが内包されている。
本来なら大気中に流れる真エーテルを取り込めば身体能力も敵味方構わず向上する。
ジークはそのせいで攻撃が弾かれたのかと思ったが、それでも無理がある。
その真実は、ジークの
ジークの固有結界にはあらゆる竜を生み出す機能がある。
あらゆる物に竜属性を付与し竜へと変容させ使役する。
本来ならば、竜属性の付与は幻想大剣を持つジーク相手にはデメリットにしかならない物だ。
だが、
固有結界そのものは悪竜現象を固有結界に無理矢理で形にした歪な固有結界だ。
悪竜現象も『悪竜の血鎧』も半ば似たような現象だ。
『悪竜の血鎧』は魔術師達の考察では、ジークフリートは邪竜の血を浴びた事で悪竜現象が起きているが
つまり『悪竜の血鎧』は悪竜の血ではなく、
ジークの固有結界は悪竜現象の産物だ。
ならばその空間内にいるジークフリートがこの固有結界内に存在すれば、いるだけで竜属性が付与されて、『
本来のジークフリートならば必要無い現象だ。だが、カルデア式召喚システムとマスターの脆弱さもあって弱体化している今のジークフリートにとっては大幅な強化が施されたのと同義だ。
正確にはジークフリート本来の実力を発揮しているに過ぎない。
当然、そんな事はジークもジークフリートも知る由もない。
そしてジークフリートが叫ぶ。
「
先程ジークの元に向かう前に、彼らの周囲で流星の如く走り回る戦車を走らせるライダーの姿をジークフリートは見逃さなかった。
「おうよ、任せな!『
その声と共に人類最速の英霊である『アキレウス』が、その三頭引きの戦車と共に、ジークとその動きを封じるジークフリートに向けて突撃を敢行した。
その突撃は一度では終わらない。2度、3度と連続で彗星の様な軌道を描きながら突撃を続ける。
ジークとジークフリートは、その超音速の突撃に蹂躙される。
だが、『悪竜の血鎧』が復活したジークフリートにはAランクの宝具であるアキレウスの『疾風怒濤の不死戦車』は打撲程度のダメージしかない。
痛い事は痛いが大した事はない。
だからこそジークフリートは自分ごと戦車で轢く様に言ったのだろう。
アキレウスの戦車の突撃を受けてもジークフリートはジークの動きを封じ続けた。
そして、それに堪らないのはジークの方だ。
大型旅客機すらも解体する戦車の突撃を食らってジークも重傷を負うだろう。
そして、更にジークフリートが動きを解こうと足掻くが、ジークフリートの拘束は解けずにより強く拘束してくる始末だ。
だが、ジークへの猛進撃はアキレウスだけではない。カルデアにはまだまだ沢山の英霊達がいる。
ジークフリートのジークの動きを封じた事で、カルデアの英霊達が様子見をやめて一部を除いて攻撃を開始する。
「二大神に奉る…『
「フハハハハハハッ、我が愛を受けよ!我が愛は爆発するゥゥゥ!」
「ウァァッ!『
「標的確認、包囲角固定。『
「サーヴァント界最大のヒットナンバーを、聴かせてあげる!『鮮血魔嬢』!」
「我が矢は既に放たれた!『
「この真エーテルが満ちた場所で、このゴーレムを作れるとはな…。『
「中々面白えヤツになってんじゃねぇか!『
「武器など前座。真の英雄は眼で殺す『
「穿て!我が『
カルデアの英霊達がジークとジークフリートに宝具を放った。
勿論、宝具を使わずに普通の武器で攻撃を行う者もいる。
ジークには大量の宝具と飛び道具がモロに襲いかかる。
ジークフリートも『悪竜の血鎧』のおかげで、エリザベートの超音波攻撃による鼓膜の破壊というダメージを除けば、アヴィケヴロンの『
ジークはジークフリートの様な不死身な肉体ではない。その為皆の攻撃がモロに食らう事になる。
轢かれる。
矢が刺さる。
折れ曲がる。欠損する。
体内を蹂躙される。
貫かれる。潰される。
焼かれる。
焼却される。
その宝具の乱舞をまともに受けて、ジークは満身創痍だった。
下半身は潰されて蒸発した。
両腕も肘から先が無くなった。
頭部も砕けて中身の脳が見えている。
そのグロテスクな怪物の様な姿になり、立香はつい目を背けてしまう。
誰がどう見ても死んでいると判断するだろう。
だが、それでもジークはまだ生きていた。
「ま……だ……だ……」
まるでゾンビの様な姿に成り果てようともジークは諦めない。
そのあまりにも哀れな怪物となっているジークにカルデアのマスターはふと思ってしまった。
(……これじゃあ、まるで
圧倒的な人数で1人の人間を蹂躙する。
この感覚は嫌な感じだ。
幾ら相手が、強大な力を持っていたとしても、人類は数と知恵を絞り、追い詰める。
そして追い込まれた相手を嬲り殺す。
相手の戦意を折る為に攻撃を続ける。
数や規模、
日常には程遠い今の光景を見て、イジメと判断するのはあまりにも早計だ。
だけど、自分と相対する敵であるジークが、立香には『可哀想』と思ってしまう程に、ゾンビの様な姿になりながらも戦意を滾らせて意思を燃やし戦い続けるジークの姿勢が心底哀れで仕方がなかった。
一体、あの純粋無垢なホムンクルスが、どんな経験をしたら、こんな哀れな怪物になるんだ…とカルデアの一部の者は揃ってそんな感想を思っていた。
そして、ジークとの戦いに意識を向けていたカルデアは、その周囲一体に密かに生まれ続けていた『竜』に
ボロボロなジークを見つめるカルデアの元に突如として数万匹以上の、大量の竜種がカルデアの者達を取り囲んだ。
突然の出来事に驚く者もいるが、一部の者は既に気づいており、迎撃を開始する。
「雑種風情が粋がるな」
「殲滅だね」
「余の威光に焼かれる事を許す」
「我が終局的犯罪をご覧に入れよう」
「悪いが…生前の頃の付き合いで予測済みだ」
ギルガメッシュは『王の財宝』で。
エルキドゥは『民の叡智』という大地そのものを変容させる宝具で。
ジェームズ・モリアーティは自身の宝具であるあらゆる武装を内包した改造棺桶を全開放して。
エミヤは既に上空に配置させていた無数の剣で。
それぞれの方法で迎撃し竜を撃ち落としていく。
その迎撃の最中で、竜の影に隠れていた人間の影に気づいた。
「「「「「まだだ」」」」」
その人影は揃って、同じ言葉と魔力剣を振るっていた。
自分へ向けて放たれた攻撃を全て斬り、叩き落とし、その人影達はカルデアの周囲を取り囲んだ。
武器だけではない。
容姿も揃って同じだった。
その人影の正体は『ジーク』だった。
大体20人程度だが、どれも先程から戦っていたジークと全く同じだった。
武器もそれぞれが同じ幻想大剣を所持しており、構えている者もいる。
エミヤが解析してみると、彼等の持つ幻想大剣は完全に複製された偽物だという事が分かった。
逆算的にエミヤは理解する。
今までジークの使っていた『
エミヤは知る由もないが、ジークにはジークフリートの血液の他に記憶も所有している。
その記憶に映る『幻想大剣』を見て、解析し、再現するのは魔術師には当然の技術だ。
勿論、ジークはエミヤの様に剣に特化した魔術を持っている訳ではないので、その完成度はオリジナルと比べると神秘が薄い。
何故ならジークの持つ『幻想大剣』は剣ではなく剣の様な竜でもあるのだ。
つまり、『幻想大剣』は『
だが、神秘以外は完全に再現に成功していればそれで十分だ。
故に、ジークの分身体が『幻想大剣』を所持しているのも納得がいく。
「悪いが、『俺』1人ではカルデアの大人数を一気に相手にするのは限界があるらしい」
「大多数の敵を相手にするにはどうすればいい?」
エミヤが納得していると、そのジークの分身の内の一体がそう言って、他のジークと共にカルデアに突撃した。
「答えは簡単だ。『俺』が
大多数の敵を相手にするにはどうしても無理が生じる。生前にジークが考えた末に思いついた苦肉の策だ。
ジークのやった事は、少し考えれば分かる事だ。
そもそもジークの持つ固有結界は「竜を生み出す」機能を持っている。
ならば、固有結界内の大地に竜属性を付与して竜を生み出す事は簡単だ。
だが、竜を生み出す事は簡単でも分身を生み出すとなると簡単ではなくなる。
そこでジークは自らの魂の一部と生命力であるオドの魔力を与える事で自身の完全なる『分身』を作りあげたのだ。
完成なる分身の能力は先程の
ジークと同じ経験をして、ジークと同じ肉体と能力を備えているだろう。
そして何よりもジークの魂を一部を与えられた分身は
何より自分自身の文字通りの『分身』だ。固有結界の継承にわざわざ儀式を行わなくても良い。固有結界の維持には最適な人材だ。
ジークの脳に深いダメージを負っているのに固有結界が暴走しないのはその為だ。
そして、ジークの魂を与えられたという事は
それは、最早『ジーク』という存在の群れだ。
生前では、世界の各地に配置していた『ジーク』達を今回は同じ場所に集っている。
カルデアの解決した特異点に「カーマ」の起こした
そこでは『カーマ/マーラ』という獣としてカルデアと戦った獣が、「
今回のジークの分身はカーマの時より遥かにスケールダウンしている。
今回の分身達は20人と現実的な数で分かりやすい上に存在する分身体の数にも制限があるという事だろう。
そんなに何度も何度も魂を切り分けてジーク本体は無事な筈はない。
分身体を作るのも限界がある筈だ。
カーマの時より、光明が確かに見える。
立香とカルデアのサーヴァント達は改めてジーク達に向き直る。
1人のジークの分身体が、本体のジークを錬金術で治療する。
本体と同じく、魂のエネルギーを利用した錬金術の治療だ。
欠損した部分を全て補って、本体を治療して、本体を立ち上がらせる。
「我ながら屁理屈だと思うが、敵は『俺』だけだ。矛盾はあるまい」
『ジーク』による猛進撃が始まろうとしていた、
実はジークの持つ幻想大剣は、彼の自作でした。
どうやって作ったかは、まずバルムンクをジークフリートの記憶で見ます。次に解析を頑張ります。固有結界内で竜を生みます。バルムンクの機能を再現出来る様に改造します。パチモンバルムンクの出来上がりです。
今作のジーク君はやけに改造を多用しますが、そうでもしないと強くならないからです。後「改造人間」とか「改造武器」とかがカッコイイと思っているからです。