本当はこの回で決着する筈だったのに、書きたい事が多すぎて続いてしまいました。
今度こそエピローグまで書き切ってから投稿します。
「いいや、
両断された天草四郎時貞の肉体がそう呟いた。
第二根源となった天草四郎時貞だが、根源になった程度では目の前の人間賛歌という『運命』には勝てない。
ならば、ならば。
「お前にだけは負けられない……ッ!」
宿敵への対抗心。
それのみで天草四郎時貞は覚醒する。
自分1人では彼らの様な『運命』は描けない。
ならば、誰かと共に描ければ良い。
天草四郎時貞には
彼等とならどんな事でも可能にしてみせる。
仲間との絆という確かな物を使って、天草四郎時貞は新生する。
「させると思うか?」
覚醒しようとする天草四郎時貞をセイバーは邪魔する為に更に細切れにする。
細切れにした肉片を更にナノサイズまで斬り刻む。
ナノサイズまで斬り刻まれようとも、天草四郎時貞の魂は未だ負けを認めていない。
まだだ、まだだ、まだだ。
覚醒の仕方も、その精神性に誰よりも自分は憧れていたのだから。
憎いながらも心から尊敬する憧れの英雄を前に、天草四郎時貞は死んでも死なない。
故に、だからこそ。
「さあ、数多の人間賛歌を紡ぎ出そう」
肉体も無い筈の天草四郎時貞の言葉がセイバーの脳内に響き渡った。
「天輪せよ、我が世界。世界を今度こそ救う為に」
塵以下になろうとも天草四郎時貞は健在だった。
そして、その塵は新たな肉体を精製していく。
「我が腕は全てを救った。だがまだだ。まだ救い足りない。まだまだ人は沢山いるのだから」
もっと救いを。
人間は一度の幸福には満足出来ない。
もっと、もっとと更に際限なく次を求めてしまう。
強欲な存在だと誰もが呆れるだろう。
「救いを求める者が存在している限り、救世主は倒れない」
天草四郎時貞は見捨てない。その強欲すらも受け入れて救ってみせよう。
「全てが救われた世界の果てに、人の答えを見てみたい」
人々は救われたとしても前へ進む事が出来ると信じている。
「その答えを見届ける為に、人間賛歌を今こそ謳おう」
「数多の世界を奏でる、外典の物語を望み観て」
進み続ける事を勝利として、天草四郎時貞と彼に繋がっている全員の仲間達は共有し、覚醒し新生する。
彼らが紡ぎ出す物語を見届ける。
救済とは終わりではなく、新たな始まりだと強く信じているから。
「『
その『
数多の仲間と共に到達した運命。
その詠唱を完了すると、天草四郎時貞は今度こそ
天草四郎時貞の固有結界で包まれたオルレアンは躍動し始める。
すると一瞬で景色が変わる。
楽園の様な場所から、舞台は
空間転移をした事は容易に想像出来た。
舞台が宇宙空間になった事で、人間の身体であるセイバーには息もできずに絶命する筈だが、今のセイバーは全人類の能力を兼ね備えるインチキ染みた存在だ。
遥か未来に宇宙空間に適応した人類の能力を引き出せばすぐに克服出来るだろう。
「我らの決着には、此処で良いだろう?」
セイバーの耳に宿敵の声が聞こえた。
空気などある筈のない宇宙空間で、確かな声が聞こえた。
セイバーは声の聞こえる方向を見る。
そこには新生した天草四郎時貞がいた。
「一つ質問しよう。なんて呼べばいい?」
新生した天草四郎時貞は、容姿こそ変化はない。
だが、その雰囲気は先程の第二根源の時より隔絶したモノとなっていた。
そして、何よりの違いがあった。
天草四郎時貞の背後に、無数のヒトの姿があった。
「そうだな、『
救世主…メサイアの背後には、おそらく彼が救った人々だろう人影達が現れてきた。
並行世界の人々も救っていって、それらを鑑みてみれば、兆や垓にも届く程の真っ白のヒトの影がメサイアの背後にいた。
セイバーは気づく。
その白い人影が、一人一人が先程の
「まさか…全部"そう"なのか?」
セイバーに最悪な予想が思い至る。どうか外れていてくれと思っても、自身の能力で確信してしまう。
あの垓にも届く膨大な数の人影全てが、新たな『根源』となっているという事実を。
「そうだ。お前が
つまり、メサイアが到達した『
前進という勝利を共有し、到達した領域。
根源創造能力。
それがメサイアの『
これはもはや根源のインフラ化だ。正に全人類の全知全能化を成し遂げたと言っても良い。
こんなモノを施されては、魔術師も科学者も足を止めてしまうだろう。
だが、それでも人類は更に前へと進んでくれるとメサイアは信じている。
現にメサイアの同志達は、雄叫びを上げながらセイバーへと突撃を敢行する者や、遠距離から攻撃する者など、全知全能になっても尚生気にあふれた姿を見せていた。
彼等の攻撃は、全てセイバーに向けて放たれる。
超光速で魔剣を振るい、残らず迎撃した筈が、
「……ッ⁉︎」
攻撃した全員が因果逆転の術を用いていた為、セイバーの迎撃は無駄に終わった。
セイバーの能力である干渉無効の能力は、あくまでも第二根源の影響のある物だけだ。
あちら側の根源も少なからず影響はあるだろうが、次々とそれぞれが根源という新たな発生源となった事で、完全には無効化出来ずに攻撃を喰らってしまう。
無効化させようとも、根源が相手ではあまり効果を発揮しない。
因果逆転を許したのもそれが理由だ。
無効化出来たのはあくまでも致命傷にならない程度だ。
だが、チリも積もれば山となる様に、数千万の魔術や武器をモロに浴びて致命傷にならない者はいない。
だが、セイバーはジークでもある。致命傷
「この程度か?」
焼かれ凍り貫かれ斬られ抉られ、全身を隙間なく傷を負っても、セイバーは倒れない。
むしろ拍子抜けしたと言わんばかりに痛みも傷も欠損も無視して魔剣を振るい攻撃を一掃する。
欠損した部分は、セイバーの能力を使えばすぐに再生出来る。
たかが致命傷程度など脅威にもならない。
「次は此方の番だ」
「円卓の騎士達よ、得物を使わせてもらうぞ」
セイバーの能力は全人類能力。
人という可能性を全て引き出す力。
それはつまりその気になれば英霊や神霊の力すらも引き出せるという事だ。
セイバーは、円卓の騎士達の剣を全て引き出して周囲に展開する。
「『
セイバーが使用するのは、本来なら有り得ない合体宝具だ。
全人類能力を使って、円卓の騎士達の宝具を全て重ね合わせて、その威力を何乗にも増大させた合体宝具だ。
剣が槍が弓が、それらが全て一つの剣となり、解放する。
解放された剣気は、根源となった人影達を薙ぎ払っていく。
本来なら宝具程度では、根源など破壊どころか傷をつける事すらできない。
だが、今のセイバーは、その根源そのものを無効化という形で『攻撃』する事が出来る。
使用者がセイバーであるからこそ根源にも攻撃が通るのだ。
「『
「世界を借りるぞ、文句は後で聞いてやる」
セイバーは続けて星の聖剣とかつて生前の最期の敵の固有結界を展開する。
セイバーが使用出来るのは宝具だけではない。固有結界も使用可能だ。
よって宝具と固有結界を組み合わせて、新たな世界を構築する。
「『
次の瞬間、無限に聖剣が造り続けられる世界が広がった。
蒼天の空に無数の聖剣が突き刺さる大地が宇宙空間に展開される。
「
無量大数の聖剣が解放され、聖剣の光は一条の巨大なガンマレイバーストを構成する。
問答無用の破壊と滅亡の光がメサイアの同志達を飲み込んでいく。
「消し飛ぶ?この程度で?冗談でも笑えんぞ。ギャグセンスを一から磨いて出直して来るがいい」
「
メサイアの呼び声に、2人の白い人影が現れる。
白い人影の姿だが、ソレがギルガメッシュとオジマンディアスである事は理解出来た。
メサイアの合図と共に、2人はその身をガンマレイバーストの光に突撃して、その意思を持ってガンマレイバーストを鎮静化させる。
その姿は、救世主の
「おい、イラつかせるな」
あんな王としての威厳もカケラも感じない姿を晒す彼等など見たくない。
尊厳を破壊するなよ救世主のクセに。
セイバーはジークではなく立香としてメサイアに怒りを抱く。
あれほどのプライドの高い彼等がまるで忠実な走狗じゃないか。
あの2人をあそこまで堕ちる程のメサイアの『運命』など碌な物じゃない事が分かる。
「まだまだいるぞ。カルデアの者達よ、マスターは目の前だ。軽く挨拶してくるといい」
メサイアがそう言うと、大量の白い人影がメサイアの周囲に展開された。
その中にはマシュとジャンヌの姿が見えた。
「イラつかせるなと……」
セイバーは怒りに身を震わせて、メサイアに突貫する。
「言ってるだろうが!」
セイバーは怒りに燃えていた。
目の前のマシュやジャンヌが、根源となりメサイアの走狗となっている事実など耐えられない。
明らかな挑発だ。怒りを誘う為に煽っているだけだ。
だが、それでもセイバーは無視は出来なかった。
「やはりかかったな」
メサイアは突貫するセイバーの前に、マシュとジャンヌを出現させる。
突然の事に驚いたセイバーを、その隙を突いてマシュとジャンヌはセイバーを攻撃を開始した。
「……グッ、ああアァッ!」
セイバーは反撃しようとするが、出来ない。
守りたいと幸せにしたいと思っているからそこセイバーは2人を
ジークのままでなら攻撃出来ただろうが、今のセイバーは立香の部分も含まれている。
只人の意識が反撃を邪魔してしまう。
セイバーを攻撃する2人に続いて、他のサーヴァントやカルデアの職員達もセイバーに総攻撃を開始する。
「……ああああああああああアァッ!!」
激痛の意識の中で見てしまう。セイバーを攻撃する人影の中には立香が助ける事が出来なかった者も混ざっている事を。
Dr.ロマン。成人女性のダ・ヴィンチちゃん。パツシィ。ゲルダ。アーシャ。アジャイ。アデーレ。マカリオス。
自分が救えなかった人々に攻撃されてセイバーは慟哭する。
「我ながら、悪趣味だと思うが、其処は大目に見てくれ。此方も待ちに待った決着の時なのでね」
セイバーの慟哭を聴きながらメサイアは呟く。
更にメサイアは仲間を展開して、セイバーへ追い討ちを仕掛ける。
セイバーへの攻撃が更に激しくなる。
本来ならそこで決着だ。此処で誰もが終わると思うだろう。だからこそメサイアは手を抜かない。
セイバーは英雄だ。この程度の窮地など乗り越えて来るに決まってる。
「
セイバーはその言葉と共に自身を攻撃していた2人の人影を両手で掴んだ。
武器である魔剣すらも手放しながら、セイバーはその2人の白い人影を掴んだ。
その意味はすぐに分かった。セイバーの掴んだ2人の人影は、セイバーが掴んだ瞬間に、セイバーが自身の能力を2人に分け与える。
「お前達も、ヤツの世界は気に食わないと思うだろう?ならば、俺に協力しろ!」
「奴の鼻を明かす事を約束する。俺にはお前達の協力が必要だ」
すると掴まれた白い人影は、徐々に明確な人の姿を表していく。
セイバーの掴んだ2人の人影の正体は、カルデアにサーヴァントとして召喚されたジークと天草四郎だった。
2人は今のセイバーとメサイアに関係が深い者達だ。
立香との縁を辿れば、2人を見つける事は容易い。
セイバーには味方が必要だ。
カルデアのサーヴァント達ではダメだ。すぐにまた取り込まれてしまうだろう。
メサイアにとって救い難く、関係も深く、目を逸らしてしまう様な人物などこの2人以外にいない。
何故なら彼等は『天草四郎時貞』と『ジーク』だからだ。
別世界の宿敵ともう1人の自分など扱い辛くてしょうがないだろう。
だからこそセイバーは2人に協力を求める。
最も信頼できるメサイアの反乱分子であり、2人の宿敵との対決に紛れた致命の砂粒。
セイバーが勝つには2人が必要だ。
セイバーの言葉に2人は答える。
「ええ、構いませんよ。私も彼は些か
「それお前が言うのか?」
本来の姿を取り戻した天草はメサイアを見つめて戦闘態勢を取る。
ジークは天草の言い分に少し怪訝な視線を天草に向けながら構える。
カルデアの方の天草の野望は『全人類の不老不死化』だ。
天草もメサイアの行動に思う所はあるのだろう。
いくらなんでもメサイアの方法やその目的はやり過ぎだと天草は思う。
人類の不老不死化を目指す天草もメサイアの目的には共感出来なかった。
「改めて決意を固めました。やはり、人類には不老不死化が必要だと。私の野望は間違っていなかったと確信できました」
改めて天草は決意する。人類の不老不死化を成す為に邁進する事を決意する。
その様子はやはり別世界とはいえ同一の存在ゆえなのかメサイアとよく似ていた。
ジークは天草のその様子に少しげんなりとしていた。
ジークとしてはどちらも五十歩百歩だ。どっちにしても他人を巻き込まないでほしいと願わずにはいられない。
「俺も協力するよ。俺もヤツのもたらす救いは少し嫌だと思うし。それになにより……」
「
ジークはセイバーの方を向いて笑いかける。
セイバーの中の立香に笑いかけているのだろう。
2人の返答に笑みを浮かべながら、セイバーは2人と共に白い人影の軍団に突撃する。
サーヴァントとしてのジークと天草では、この場において、あまりにも戦力不足だ。
だが、それを補う事は出来る。その術は既にセイバーが持っている。
先程セイバーが2人を掴んだ際に、自身の力を2人に渡した。
つまり、『
『
運命は他者に影響を与える物だ。
ならば、他の者に貸し与える事も可能だ。
つまり、今の天草とジークは、無効化能力と全人類能力を持っているという事になる。
「
天草は掌に極小だが膨大な質量の星を精製し解き放つ。
超新星爆発という規格外の熱量が白い人影達を消し飛ばしていく。
「無限の竜よ、生まれろ。『
ジークはもう1人の自分が使っていた固有結界を使用して、その出力を極限に高めて、万、億、兆、垓と鼠算式に文字通りの無限の竜達を生み出す。
その竜達もまた、ジークの『運命を生きろ、謳い続けろ人間賛歌』の力を受け継がせて生まれた竜達だ。
全人類の能力を持った竜など前代未聞の存在を指揮してジークは白い人影の軍団と戦う。
「『
セイバーもまた負けじと自身の理想とする姿を瞬時に本に書き上げ、更にその分身体の意思を分割し、その意思を束ねて一つの軍勢を創り上げる。
「『
次の瞬間、誕生したのは無数のセイバーの軍勢だった。
両者とも共に大量の軍勢を展開し、戦い始める。
それはもはや戦いというより、戦争の領域だった。
最終戦争が勃発し、舞台は遂に最終局面へと突き進む事となった。
(ア ゚д゚)(ガ ゚д゚)「いや、何やってんのアイツらァァ⁉︎」
抑止力として呼んだ奴らが、勝手にホモ祭り開催して、第二根源が発生し、最終的には根源が大量発生するという前代未聞の事態に直面する事になり、明らかに根源という枠を超えた存在となったセイバーとメサイアの戦いを見守る星の抑止力達の心労は如何に。
オマケ 用語解説
『運命を生きろ、謳い続けろ人間賛歌』
種別もランクもレンジも存在しない。
ありとあらゆる物事からの干渉を無効化し、人の可能性を引き出す。
干渉無効化・全人類能力。
文字通り過去未来含めた全人類の能力を引き出して使用出来る。
半神半人だろうが、人外だろうが、1%でも人類の要素が有れば、その能力を引き出せる。
要は現在過去未来を含めた全人類の全能力を自由自在に使えるという事。
つまり、人類に関するあらゆる事が可能という事。
人の可能性をそのまま具現化させた様な能力。
その気になれば、全英霊の宝具やステータスを使える。夢の合体宝具とかも使える。
他者に力を分け与える事で軍勢変生っぽい事も出来る。
『救いの運命を此処に、紡ぎ続けろ外典の物語』
種別もランクも存在しない。
ありとあらゆる可能性を操作し、創造する。
『根源』創造・全知全能能力。
『根源』を無限に創造する能力。
誇張無く『全て』を操る全能の力。
特出しているのは、使用者がどんどん増えていくという事。
無論、使用者は全て例外無く全能となる。そして例外無くメサイアの支配下になる。どんなに強靭な精神力や絆を持っていようと、その発生源には敵わない。
メサイアとしてはもっと反逆してもっと頑張って人間の可能性を見せてほしいと思っている。なんなんだコイツ。
並行世界の人すらも救済して、救世主の力は更に増していく。
要は全知全能のゾンビ集団を1秒単位でどんどん増やしていくトンデモ能力。