ハイスクールDATE・A・LIVE~無限の剣を担う王~ 作:月見花
どうぞー!
ミルたんとの契約が終わって数日、俺は特にグレモリーに呼ばれる事無く平和に過ごしていた。流石に毎日深夜に出かけていると十香達に気付かれるかもしれないからな。
と、言う事で放課後。俺は士織と琴里を連れて商店街に買い物に来ている。
「何してるのー?早く早く!」
「おい琴里、走ると危ないぞ」
目の前を走って行く琴里とそれを追いかける士織。うん、美人姉妹が並ぶと華があっていいな。
商店街を歩いてる人達も二人に見とれている。お兄ちゃんは鼻が高いぞ。
「まったくもう。琴里は落ち着きが無いんだから・・・」
「ハハハッ、まあいいじゃないか。元気があるのは良い事だ。しかし、わざわざ着いて来なくても俺だけでも良かったんだぞ?」
元々一人で買い物に来る筈だったのだが、二人が「着いて行きたい!」と言うので、こうして三人で来ているのだ。
「だって、今晩のご飯の買い物に来たんでしょ?なら一人じゃ大変だと思って」
確かに家は大所帯。特に十香の食欲は凄まじい。一体どこに入るんだと言うほど食べる姿は、どこぞの騎士王の様だ。その為、一度買い物に来ると大量の荷物を抱える羽目になる。
「そうか、ありがとな、士織」
「!?・・・ほ、ほら。早く行こっ!琴里が行っちゃうよっ!///」
何故か急に顔を背けて先を急ごうとする士織。
俺はその理由も分からないまま、夕飯のメニューを考えながら二人の後を追う事にした。
俺達が最初に来たのは八百屋。基本的に家ではスーパーでは無くこういう個人商店を使うようにしている。
スーパーよりも質が良いと言う事もあるし、何より店の人と仲良くなればおまけもして貰えるしな。
「いらっしゃい士郎君!お、今日は士織ちゃんと琴里ちゃんも一緒か!」
「こんにちはー!」
「おう、こんにちは!それで、何買って行く?サービスするよ!」
「そうだな・・・。取りあえず今晩はカレーにしようと思ってるから・・・」
そう言って人参、玉ねぎ、ジャガイモを見る。その直後、頭に入ってくるのは野菜達の鮮度や栄養素などの情報。
そう、魔術を使って野菜の解析を行ったのである。
普通の魔術師が見たら、たかがそんな事の為に魔術を使うなと言うかもしれない。しかしそこは愛する家族の為。少しでも良い物を食べさせてあげたいと思うのは当然の事なのだ。
俺は並んでいる物の中で一番の物を選んで店のおっちゃんに渡す。
「いや~、やっぱり士郎君すごいね!いつも良いやつ選んでるんだもん。中々の観察眼だよ」
いいえ、魔術です。
心の中でそんな事を思いながら会計をしようと財布に手を伸ばす。
「ちょっと待った。今回はサービスだ!」
おっちゃんはそう言うと選んだ野菜を袋に入れて渡してくる。
「いや、お金はちゃんと払いますよ」
「良いんだ良いんだ、こんなに可愛い子を三人も見れたんだ!こっちが金を払いたいくらいさ!それにいつも家で買って行ってくれるお礼だ!」
「「おっちゃん・・・」」
おっちゃんの言葉に感動している二人。しかし、俺はどうも引っ掛かる事がある。
可愛い子が『三人』。士織と琴里で二人。そして他について来ている奴はいない・・・。もしかして俺も入ってる!?
たいへん納得がいかないが、得をしたんだからと自分に言い聞かせて俺達は次に精肉店に来た。
此処では上等な肉がお手頃な値段で手に入るので贔屓にしているのである。
「らっしゃーい。何にする?俺的にはこの松坂牛とかおススメだけど」
「いきなり高いものを売りつけようとすんな」
店主が客に露骨に高い物を売ろうとするのは偶に傷だが。
「私もそれが良い!」
「お、嬢ちゃん見る目あるね~」
琴里と店主を無視して買う物をさっさと決めてお会計を済ませる。
「ちぇっ、松坂牛は買ってくれないのか」
買う訳ないだろ、あんな高いもの。
まあ、興味が無い訳じゃ無いが、家計を預かる身としては無駄な出費は抑えたいのだ。
「はい、これ」
肉の入った袋を渡されたのでここから立ち去ろうとしたらコロッケを手渡される。
「おまけだから、食べてよ」
「わーい、ありがとう!」
お礼を言って早速コロッケを食べ始める琴里。
「ありがとうございます」
「ありがとうございます。また来ます」
「よろしくね~」と気の抜けた声を聞きながら俺達は店を後にした。
「ふぅ」
俺は今、公園のベンチで一息ついていた。何故かと言えばそれは琴里が、
『新発売の梅しそ味買うの忘れた!』
とか言って飴を買いに走って行ってしまい、士織も琴里が心配だと言うので、追いかけて行ってしまったのである。
二人を置いていくことは出来ないし、、かと言ってこの荷物の量で一緒に行くのは邪魔になるだろうと判断し、今に至るのである。
特にする事も無く手持無沙汰な俺は、公園で遊ぶ親子連れをボーッと見つめる。
(・・・平和だな)
何に怯える訳でも無い、只々普通の日常を享受する人達。それがどんなに尊いものかは、非日常を知る物しか分からない事だろう。
だからこそ、十香達にはそんな風に日々の生活を送ってほしい。恐れるものなど無く、ただ楽しく暮らしていて欲しい。
「きゃあ!」
そんな事を考えていたら、何処からか悲鳴が聞こえてきた。声が聞こえた方向を見てみると、そこには地面に顔面ダイブしている少女。おまけに荷物は散乱してしまっている。
「だ、大丈夫か?」
「あ、あうぅ~、また転んでしまいました・・・」
近くに行って無事かどうか確認する。どうや怪我は無いようなので散乱した荷物を拾い集める。
「す、すみません。ありがとうござい・・・」
バサッ
「あっ!」
「おっと」
今度は少女が頭に付けていたヴェールが風に飛ばされたので、俺はキャッチして少女に手渡す。
「はい」
「ありがとうございます!」
少女は顔をあげてお礼を言う。その時、今まではヴェールを付けていて分からなかった顔が見えた。
長く美しい金色の髪。整った可愛いらしい顔。グリーンの瞳はエメラルドをはめ込んだかの様である。
紛うことなき美少女である。
しかし、この辺りでは見ない顔。それに荷物の入っていたカバンの大きさを見るに、
「旅行か?」
「いいえ。私はこの度この町の教会に赴任して来た者です。貴方はこの町の方なのですね。これからよろしくお願いします」
ペコリと頭を下げる少女。まあ、旅行先にこんな普通の町(表向き)を選ぶような奴はいないか。
「でも、良かったです」
「え?」
「私は日本語が苦手で・・・。道に迷ってしまったんですけど、道行く方に聞いても上手く通じなくて」
※士郎は主要な公用語なら基本的に話す事が出来ます。
「そうか、それは大変だったな。しかし、教会か。それなら多分知ってるぞ。案内しようか?」
確か街の外れの方にぼろいのがあったはず。
「本当ですか!ああ、これも神のお導きですぅぅ!アーメン!」
俺の言葉が渡りに船だったのか、感極まって神に祈りだす少女。少し大袈裟な気がするが、まあ喜んでくれたなら何よりだ。
ドテッ
「うわあぁぁぁん!」
少女のリアクションを見て和んでいると、俺たちの前で男の子が転んでしまった。
「大丈夫、よしくん」
その様子を見て母親が駆けつけて来たが、男の子が泣き止む様子は無い。
「うわあぁぁぁぁん!」
「大丈夫?男の子がこれくらいで泣いてはいけませんよ」
男の子は少女が何を言っているのか分からないようだが、なんとなく自分を励ましているの感じ取ると少し大人しくなる。
それを確認すると、少女は笑顔で男の子の傍まで行ってしゃがみ、頭を撫でて、転んで擦りむいてしまった箇所に手をかざす。
すると次の瞬間、少女の手から緑色の淡い光が放たれた。
光に当たった箇所の怪我がどんどん塞がっていく。
この少女は魔法使いか?いやしかしこの感じは魔力と言うより、
(
俺が驚いていると、治癒の光が消える。どうやら傷は治ったようだ。
「はい。これで大丈夫ですよ」
少女が笑顔で男の子に告げる。男の子の方は何が起こったのか理解が出来ていない様だったが、痛みが無くなったのが分かると途端に泣き止んだ。
「ありがとう、お姉ちゃん!」
俺が男の子の言葉を少女に伝えると、少女もとても喜んでいた。その後、男の子の母親が、「ありがとうございます」と少女に告げて、男の子を連れてそそくさと帰って行ってしまった。その時、男の子はずっと少女に向かって手を振り続けていた。
「これは神様から頂いた素晴らしい力なんです」
少女は男の子が見えなくなるまで手を振ると、笑顔でそう言った。しかし、その笑顔には少し悲しみが混ざっている様にも見えた。
(苦労も多かっただろうな・・・)
この少女が今までどんな人生を歩んで来たかは分からないが、決して楽な道のりでは無かったのだろう。
人間は自分の理解できない出来ない力を持つ者を差別し、排除しようとする。
それは幾ら時代が変わろうと、決して変わる事が無い事実。
仕方ないとは言え、やはりやるせない気持ちになる。
「あー!お兄ちゃんが知らない女の子と話してる!」
そんな事を考えていると、公園の入り口の方で琴里が叫んでいるのが聞こえてきた。
「待てってば!琴里!」
遅れて士織の声も聞こえてくる。余程琴里を追いかけるのに体力を使ったのだろう。「ハァハァ」と息を切らせながら立っている。
「お兄ちゃん、何してるの?もしかしてナンパ?」
「お前は自分の兄をどういう風に見てるんだ」
ムスーッとした顔で俺を問い詰める琴里をさらりと流す。まったく、ナンパなんて失礼な妹だ。
「早すぎるぞ、琴里・・・。で、シロ兄。その子どうしたの?」
「ああ、どうも道に迷ったらしくてな。これから案内しようと思ってるんだが二人はどうする?」
「「一緒に行く!」」
「じゃあ、早く行くか」
「はい!よろしくお願いします!」
「確かこの辺りのはず・・・・」
「あっ!あれじゃない?」
少女を連れてしばらく経った頃。目的の教会が見えてきた。
少女が地図を出して確認をする。
「はい、確かにあそこです!良かったぁ」
どうやらあっていたらしい。
「じゃあ、俺達はここで」
取りあえずは用も済ませたし、早くここから退散するとしよう。
「待ってください!」
少女が帰ろうとする俺達を呼び止める。
「ここまで案内して頂いたお礼を教会でしたいのですが」
「いや、気持ちだけ貰っておくよ。これから帰って飯の支度をしなくちゃいけないからさ」
「そうですか・・・。それではせめてお名前だけも」
む。そう言えば会って暫く経つが、まだお互いの名前を知らなかったな。
「悪い、紹介が遅れたな。俺は衛宮士郎。こっちは五河士織。でこっちは妹の琴里」
「私はアーシア・アルジェントと言います」
「よろしくね、アーシアさん!私は琴里って呼んでくれればいいよ!」
「じゃあ、私は士織で」
「はい。士織さんに琴里さんですね。それで、ええと・・・」
「うん?・・・ああ、俺は士郎で構わないぞ」
「はい、士郎さん。私の事はアーシアと呼んでください。今日は本当にありがとうございました!」
アーシアからのお礼の言葉を貰って、俺達は家に帰るために動き出した。
「シロウ。貴方教会に行ったわね」
アーシアを送り届けた次の日。俺はグレモリーに呼ばれていた。理由は今日は教会に近づいたことらしい。
「別に何の問題も無いだろう」
俺は悪魔では無い。まあ、キリスト教徒って訳でも無いけど、いきなり異教徒として攻撃されるなんて事は無い筈だ。
「そうね。だけど貴方は悪魔である私達と関わりを持っている。向こうが攻撃をしてこない可能性は無いのよ。今回はシスターを送り届けただけだったから、何もしてこなかった様だけど・・・」
グレモリーはそう言うと、紅茶に口を付けて一息つく。ついでに今日のお茶請けは自家製マドレーヌ。さっきから塔城が、一心不乱に食べている。
「まあいいわ。今度から気を付けてね」
「善処する」
グレモリーとの話が終わり帰ろうとする。
ぐいっ
「うおっ」
「衛宮士郎」
しかし、鳶一が袖を掴んで引っ張って帰る俺を引き留めた。
「どうした、鳶一?」
「あの女、誰?」
あの女?もしかしてアーシアの事か?
「いや、アーシアの事なら今、グレモリーが言ったとおりだけど」
「そう」
「あの、鳶一?そろそろ袖を離してもらいたいんだが」
そう言っても中々手を放してくれない。一体何なんだ?
「名前」
「え?」
「折紙」
「いや、知ってるけど」
「呼んで欲しい」
「・・・名前で呼べばいいのか?」
無言で頭をコクコクと上下に振る鳶一。
「・・・折紙」
そう言った瞬間、折紙は俺の袖を離した。心なしか折紙の雰囲気が明るくなった気がする。
何だか知らないが喜んでくれたなら何よりだ。
「部長」
そんな事をしていると姫島がいつもの笑顔ではなく、真剣な顔でグレモリーを呼ぶ。
「どうしたの、朱乃?」
グレモリーの問いに少し顔を曇らせて告げる。
「大公から『はぐれ悪魔』の討伐依頼が届きました」
なんか中途半端な気がします・・・。
さて、やっとアーシアが出てきました。士織と琴里も出せてよかったです。
しかし、更新に時間かかりすぎですね・・・(;´∀`)。何とかしなければ!
それでは次回(=゚ω゚)ノシ