ハイスクールDATE・A・LIVE~無限の剣を担う王~ 作:月見花
「契約に同行してほしい?」
ある日、俺はグレモリーに呼び出されるとそう告げられた。
「ええ、悪魔の仕事を見てもらおうかと思って」
「悪いが俺は眷属になる気は・・・」
「分かってるわ。でも私は諦めた訳じゃ無いと言ったでしょ?私たちの仕事ぶりを見て悪魔になってくれるかもしれないじゃない」
それを本人に行ったら意味が無いと思うのだが。
「でも俺は帰ってご飯の支度をしなくちゃいけないんだが」
「安心して。依頼を行うのは基本的に深夜だから」
・・・釈然としないが、グレモリー達の仕事がどんな物かは気になる所だ。
「まぁ、空いてる時なら行ってやってもいいが・・・」
「そう、それは良かったわ!じゃあ早速今夜行きましょうか!」
「人の話を聞いていたのか?俺は空いてる時ならと・・・」
「じゃあ夜、またここに来て頂戴」
ダメだ、人の話を聞く気が無い。こうして俺の契約同行は本人の意見を無視して決定されてしまった。
「こんばんは、シロウ」
深夜。言われた通りに旧校舎の部室に来た俺を待っていたのはオカ研のメンバー。
「・・・で、俺は誰の依頼に同行すればいいんだ?」
「私です」
手を挙げたのは塔城。この娘の依頼に着いていけばいいのか。
「ちなみに依頼っていうのはどう言う内容なんだ?」
「それは行ってみなければ分かりません。いつも利用している人なら大体分かりますが今回は初めての人なので」
なるほど、と相づちを打つ。
「それでは早速行きましょうか」
姫島が俺と塔城の足元に魔法陣を出現させる。
「それじゃあ二人共、頑張ってらっしゃい」
グレモリーがそう言うと魔法陣は輝きだして、俺たちは眩い光に包まれた。
次の瞬間、俺たちは扉の前に居た。
「ここが依頼人の家なのか?」
「その様です」
早速インターホンを鳴らす塔城。
「こんばんわ、契約に来た者です」
『ハーイ、今開けるにょ!』
聞こえてきたのはアニメやマンガのキャラクターが言うような言葉使いの野太い声。何故だろう、嫌な予感がする。そしてこういう時の俺の感はよく当たるのだ。
ガチャッ
勢いよく開けられた扉。その先に居たのは、
「こんばんわだにょ!貴方たちが悪魔さんかにょ?」
そこに居たのは男性だった。いや、正確に言えばただの男性ではない。鍛えられた体は歴戦の戦士の様であり、その太すぎる腕は林檎程度なら苦も無く握りつぶすだろう。しかしそんな事ですらもどうでもいいと思わせるのが、
((・・・何その恰好?))
その男性の着ている衣服だった。
ひらひらのレースが付いていて、何故か露出度が高い。頭には猫耳のような物も付けている。いわゆる魔法少女の様な姿なのだ。しかし男性の体格と合っていないのか時々「ミチッ・・・ミチッ・・・」と言う音が聞こえてくる。
俺たちが絶句していると、男性が話しかけてきた。
「どうしたのかにょ?」
「・・・っ、い、いいえ、何でもありません」
「そうかにょ?だったら中に入って話をするにょ!」
そう言われて家の中に案内される。中にはアニメのDVDやフィギュア等が飾られていた。
「悪魔さん、早速ミルたんのお願いを叶えて欲しいにょ」
真剣な声で俺達に言う。見た目は魔法少女の格好をしたバーサーカーだがきっと悩みもあるんだろう。どんな悩みかは知らないが出来る限りの力にはなって上げたいと思う。
「それでどんな願いを叶えて欲しいんですか?」
ミルたんは声を大にして言う。
「ミルたんを魔法少女にして欲しいんだにょ!!」
「「・・・」」
本日二回目の絶句。
「いつもこんな感じなのか」
「いいえ、いつもはもう少しまともです」
二人で小さな声で会話する。大体こんな願いどうやって叶えろと言うんだ。
「と言うか、何故魔法少女に?」
「ミルたんはミルキーになりたいんだにょ!」
そう言ってミルたんが取り出したのはアニメのDVD。パッケージには『魔法少女ミルキースパイラル7オルタナティブ』と書かれている。
「ミルたんはこれを見て魔法少女に憧れたんだにょ!どうかミルたんに魔法を授けて欲しいにょ!」
「異世界にでも行ってください」
塔城が投げやりに言う。おいおい、幾らなんでも適当過ぎるだろう・・・。
「異世界ならもう行ったし、世界を救ったりもしたにょ。でもミルたんに魔法の力は宿らなかったにょ・・・」
異世界行ったのかよ!まあ、俺が言う事じゃない気もするが、そこまでやったならもういいだろ。
「こうなったら宿敵の悪魔さんに頼るしか無いにょ!悪魔さん、どうかミルたんにファンタジーなパワーをくださいにょおぉぉぉぉぉっ!!」
今にも暴れだしそうなバーサー・・・ごほんっ、ミルたん。
「どうしましょう?」
塔城が何か案は無いかと俺を見てくる。しかしそんな目で見られてもなあ・・・。
「あっ」
「何かあるんですか」
「まあな・・・」
思い出したくは無かったが、1つだけミルたんの願いを叶えられる物があった。まあ、ちゃんと出来るかは分からんが。
「方法があるのかにょ!」
「いや、でも問題が・・・」
「何でもいいにょ!ミルたんの願いを叶えて欲しいにょ!」
「私からもお願いします」
「塔城?」
「先輩は見学しに来たのであって私の手伝いに来たのでは無いのは分かっています。でも出来れば協力してほしいです。お願いします」
そう言って塔城は俺に頭を下げる。まったく・・・
ポンポン
「えっ」
「後輩にそこまで頼まれちゃあ、しょうがない」
彼女の頭を撫でながら話しかける。ここまでされたら先輩として頑張らなきゃな。
「じゃあ、早速始めるか」
そう言ってある物を創り出す出すために意識を集中する。
「
頭に設計図を描く。映し出すのはあのステッキ。魔術を極め、ついには魔法にまで達した吸血鬼が創り出した魔術礼装。その力は平行世界に存在する自分の力を一時的にインストールする事が出来る。それさえあればミルたんにも魔法が使えるかもしれない。しかし、
(きっついなぁ・・・)
幾ら昔よりも投影の技術が向上したとしても限度がある。特にあんな愉快型魔術礼装の場合は見た目だけになる可能性の方が高い。どうしたものか・・・。
(
「ん?」
聞き覚えのない声が頭の中に響く。するとさっきまでぼやけていたイメージが鮮明になっていく。これなら中身のある投影が出来るかもしれない。意識を集中して・・・
「
投影を終えた俺の手にはある物が握られていた。それを見て二人が驚いているのは雰囲気で分かったが、本当に驚くのはこれからだ。
「ハーイ!愛と正義のマジカルステッキ、ルビーちゃんここに参上☆」
俺の手から離れ宙に浮かびながら名乗りを上げるステッキ。これこそがミルたんの願いを叶えるかもしれない物だ。
「おい、ルビー」
「おやおや、そこに居るのは士郎さんじゃありませんかー!お久しぶりですねー!どうしたんですか?もしかして寂しくなったりしたんですか?」
ダンッ!
「黙れ」
黒鍵を投影し、縫い付けるようにルビーに放つ。
「おおう、バイオレンス・・・。最近、私への対応が凛さんそっくりになってきましたね」
「お前がそんな態度をとるからだ」
投影を破棄してルビーを開放する。自由になったルビーはまたフワフワと浮き出していた。
「で、何の御用ですか?私はありとあらゆる世界の女の子を魔法少女にするので忙しいんですよ?」
「ああ、その事についてなんだがちょうど魔法少女になりたいって言う人がいるからお前を呼んだんだ」
「ええ!ほんとですか!?イヤー、ナイスですよ士郎さん!近頃の女の子ときたら現実的な子が多くて契約するのにも一苦労ですよ!ぷんぷん!ていうかよく私を投影できましたね。自分で言うのもなんですが、私ってかなりの高スペックなので投影はほぼ不可能だと思ったんですが」
「ああ、それなんだが・・・」
ゾワッ!
な、何だこのプレッシャーは・・・!?恐る恐る後ろを振り向くと、そこには溢れ出るほどの闘気の様なものを放出しながら目を輝かせるミルたんが。
「これだにょ・・・!これこそがミルたんを魔法少女にしてくれるものだにょおおおおおおお!!」
「えええぇぇぇぇ!?何ですか、あの人!?ていうか人間なんですか!?」
「俺も分からん・・・」
自らの身に危険が迫っていると感じたのか、空を飛んで逃げようとするルビー。しかしミルたんが逃がす筈も無く、ありえないスピードでルビーを捕まえた。
「逃がさないにょっ!ミルたんを魔法少女にしてほしいにょっ!」
「ヒィィィィィッ!?助けてください士郎さん!ルビーちゃんがピンチですよ!」
「塔城、帰ったらケーキ持って来てあるから食べるか?」
「いただきます(じゅるり)」
「士郎さんっ!?」
無理。ていうかその為に呼んだんだからきっちり働いてもらは無いとな。
「ミルたんにファンタジーなパワーをくださいにょおぉぉぉぉぉっ!!」
「きゃぁぁぁぁぁっ!?折れる、折れちゃいますよ!?」
すげぇ、ミルたんの腕力でルビーが折れそうになってる。
「ほら、さっさとしないと本気で折られるぞ」
「分かりました!分かりましたから手を放してください!そろそろ限界です!」
「やったにょ!」
ようやく解放されたルビー。持ち手にはミルたんの指の跡が残っていた。
「じゃあ、いきますよ。ミルたんさん、少し血を下さい。それから私を握っていて下さいね。あ、全力で握らなくていいですからね!」
そう言ってミルたんから血を貰うルビー。
「血液によるマスター認証完了。接触による使用契約完了。そして乙女・・・いや
「うおぉぉぉぉぉぉっ!マジカルなパワーが漲ってくる気がするにょ!」
眩い光に包まれるミルたん。その光がやんだ後には・・・
「愛と正義の魔法少女、マジカルミルたんここに参上だにょ☆」
さっきと変わらない姿のミルたんがポーズをとってそこに立っていた。むしろ何故か分からないがさっきよりも筋肉量が上がっているようにも見える。
「あれ、おかしいにょ?あまり変わった気がしないにょ?」
「おい、ルビー。これはどういう事だ?」
ルビーに変化が無い事についての理由を問う。それに対しルビーはミルたんの手から離れて俺の所に来ると、少し震えながらミルたんに聞こえないように答えた。
「・・・いや、あの本当にすみません。やっぱり無理です。どれだけ他の平行世界の可能性を探しても、あの人あのまんまなんですもん。ずっと同じのを見ていたら気分が悪くなりまして・・・ウプッ」
顔?を青くするルビー。数多ある平行世界で全く変わりないってミルたんどういう事なんだよ・・・。
「という訳なんで私は帰ります」
「はぁっ!?」
「それではお達者で~☆」
今帰られたら契約成立しなくなるだろうが。そう言う前にすでにルビーは消えていた。チッ、行動の早い奴め。しかしどうしたものか。これでは塔城の仕事が・・・。
「悪魔さん、もういいにょ」
「ミルたんさん?」
「ミルたんはまだ努力が足りなかったんだにょ。それなのに誰かの力を借りようとしてしまったにょ。だからミルたんにはファンタジーな力が宿らなかったんだにょ」
「いえ、悪いのは私で・・・」
「でも」
依頼を果たせなかった俺達を責める事無くミルたんは言葉を続ける。
「ミルたんは諦めないにょ。もっともっと頑張っていつか本当の魔法少女になってみせるにょ!」
・・・すごいなミルたんは。どんなに成果が出なくても、今までの努力は決して無駄じゃないと言って諦めない。その言葉に塔城も感動してる様だった。
「だから」
『ミルキー』のDVDを俺達に見せながらミルたんは言う。
「ミルたんと一緒にミルキーを見て欲しいにょ!それが今回のお願いだにょ!」
「「ああ(はい)」」
そうして俺と塔城はミルたんの『ミルキースパイラル7オルタナティブ』の全話鑑賞に付き合った。
どうでしたか?今回は士郎の持っている神器の能力を一つ使ってみました。しかし難しい(泣)。皆さんはどうやってオリジナルの神器を考えているのでしょうか?もし良かったらオリジナルの神器についてのアイデアを頂けたら作者はとても嬉しいです!ではまた次回(=゚ω゚)ノシ