ポケットファンタジア   作:肥えたチヌ

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大変お久しぶりです。
では、お楽しみください


第二章 帝国の脅威 その12

<アジト、最奥部 祭壇の間>

「バカヤロウ!!」

洞窟内に、怒号が響く

 

「目標を達成したのはいいが

 なんで俺の言った隊長を

 確実に始末してこなかったんだ!!」

スカタンクがゲンガーとミミッキュに対し怒りをあらわにしていた。

 

「で、でも…

 あの二人はできる奴らだと思ったけど

 片方は警戒に値しない雑魚だったし、

 隊長のプクリン?とかいうやつも、もうあと数時間の命だぜ?

 ボスの言っていたような怪物じゃねえ…

 あいつは俺様たちの敵じゃねえよ…」

ゲンガー達はシェイミ達を連れて戻り、檻に入れた後、

アジトの奥でスカタンクとズバットにこれまでを報告していた。

 

ゲンガーの報告はスカタンクの怒りを収めるには足りない

「分かってねえなぁ!!

 ”あと数時間の命”じゃ、ダメなんだよ!

 あのプクリンが、あの隊長が

 死ぬまでにこの状況を何とかしないわけないんだよ!」

…てめえらは、あいつの恐ろしさを分かってないから…。

頭を抱え、ビクリと身体を震えさせるスカタンク

 

「で、でもよぉ…」

「でももへったくれもない!!」

スカタンクのさらなる怒号に、ビクリと身体を震わせる二匹

 

「じゃあよぉ…理由を教えてやるよ。」

スカタンクは続ける。

 

「なんで、ドガースは戻ってこないんだよ…

 …俺の見立てが、甘かったぜ…。

 あの探検隊に関わるとろくなことがねえんだよ…。」

…だから、散々逃げ回ってたってのによぉ…

 

「ボスが言ってた、ペラップ?とかいうやつの仕業か?」

ゲンガーは首を貸しける

 

「あぁ、そうだ…

 あのプクリンにずっとくっついてる雑魚さ

 あの時は森ではぐれて、今一人みたいだったが…」

言いながらペラップに殴られてまだ軽く痛みの残る額が疼き、

小さく舌打ちをする。

 

「か、考えすぎだぜボス!

 …そ、そうだ

 き、きっと、ペラップなんて早々に片づけて

 どこかで道草くってるだけさ!」

ゲンガーはスカタンクの怒りを逆なでしないように慎重に言葉を選ぶ

ミミッキュもゲンガーの隣で何度も頷いていた。

 

「ちっ…だといいんだがな…」

ゲンガーの言は、今度はスカタンクの怒りを収められたようだ

 

…。

一人でため息をつき、思考を巡らせるスカタンク

その場に沈黙が流れる。

 

……

……。

 

少しして考えがまとまったのか、もう一度大きくため息をついた。

「だが、心配だ。

 …ズバット」

「へい、アニキ」

スカタンクとゲンガー達のやりとりを隣で静かに聞いていたズバット

 

「さすがに、トレジャーズキャンプまでには時間がかかりすぎる。

 奴に、援軍を呼ぶ時間はねえはずだ

 って事は、ここに攻め込んでくるはずさ

 なんとしても”こいつ”を気絶させるためにな」

…奴らの仲間も、こっちにいるわけだしな。

 

スカタンクがゲンガーを見つめた後、もう一か所を見つめる。

 

見つめる先、そこには檻に入れられて

両手両足を拘束され猿轡をはめられながら、

今もなお眠っているシェイミ達がいた。

 

「幸い、ここは”ダンジョン”だ

 すぐすぐここまで来られるわけじゃねえ…

 お前、アジトまでの道の途中まで行って

 あいつらを待ち伏せしとけ。」

「オレ一人でですかい?」

 

「いや、こいつも行かせる。」

スカタンクはミミッキュの方を見た

 

そして、ゲンガーの方を見た。

「なぁ、ゲンガー…

 俺としてはなんとなく予想はついてるが、確認したいことは二つだ。

 一つ目はプクリンの野郎は本当にこいつの影で拘束出来たんだな?

 そして二つ目は、ゾロアってやつはこいつでも十分に相手にできるか?」

スカタンクの言葉を受け、

ゲンガーは真剣な表情になり一瞬考える。

そして、ズバット、ミミッキュの両方を一瞥し

スカタンクに向き直った。

 

「あぁ、ボス。

 どっちも問題ないぜ!

 さっきも報告したが

 ゾロアってやつを仕留めるまでプクリンは動けなかったし

 肝心のゾロアってやつも俺のシャドーボール一発で気絶するくらいの奴だ

 ズバットさんでも十分倒せる…というか余裕だな。」

へへっ…と笑いながらスカタンクにそう告げた。

 

「よし、分かった

 その言葉信じるぜ…」

スカタンクは若干不安がりながらも続ける

 

「お前ら、行ってこい!!」

 

 

「へい、了解!!」

 

 

「…。」

…もしもの事があったら…

 最悪俺一人ででも裏ルートで逃げる準備しとくか…。

スカタンクは意気揚々と向かった二匹の後姿を見ながら一人考える

 

…いや、大丈夫か。

…さすがこいつもいるし…それに…

 

スカタンクはゲンガーを見た後

「…これが、あるからな。」

自身の後ろの祭壇に奉られた巨大な石を見る。

 

ゲンガー曰く、この祭壇と石はダンジョンの最奥のここに昔から存在しており

誰がつくったのか、またどんな目的で作られたのか

全く分からないのだという。

 

ただ、この石…七色に輝く”奇跡の石”は

ゲンガー曰く特別なものなのだという。

 

ゲンガーが触れれば、特別な力を発揮できるのだ

その特別な力は実際に自分も見ている。

 

…ただし、ゲンガーにしか効力はないのだが。

自分や他の誰が触っても、効力はなかった

 

「…?

 どうしたんだ、ボス

 やっぱり、俺様も行った方がいいか?」

ゲンガーはきょとんとしながらスカタンクに問う。

「…なんでもねえよ。

 それと、お前は行くな

 プクリンのリミットが解除されるのはまずい。」

「へっへ、りょーかい

 俺もここの方が都合がいいしな!」

不敵に笑うゲンガー

 

 

「見せてやるぜ~!

 俺様の ”スーパー進化” を!!!」

 

 

アジトの部屋に、ゲンガーの声が響いた

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

<アジト、上層>

「たぁ~!!」

プクリンが元気のよい声で叫ぶ

 

「ちょ、プクリン

 オイラを置いていかないでくれ!!」

ゾロアはぐいぐい洞窟内を進んでいくプクリンを追いかける

 

…それにしても…。

 

ゾロアは周りを見渡す

「ここが、ダンジョンってやつなのか…。」

壁も床も天井も特段何の変哲もないただの洞窟といった印象をうける。

しかし、ゾロアはこの洞窟に来て出入り口から一歩入った時

体中にぞくりとした寒気を感じた。

 

それは洞窟内に流れる風のせいか

それとも他の要因かは、定かではない。

しかし確かに、プクリンの言うように

ここは異質な空間だと言うことは実際に肌で感じることが出来た。

 

「そうだよ~

 ダンジョンは各階が階段で仕切られててね~

 面白いのがさ

 その階段がスイッチになってるみたいで、

 不思議な力で一回階段を降りちゃうと

 上の階はまったく別の景色になっちゃうんだ!」

ニッコリ笑顔でゾロアに説明するプクリン

二人は洞窟内の階段の近くに来ていた。

 

ほら、ちょうど地下二階に行くし証拠を見せるね~と言いながら

ゾロアを手招きする。

 

ゾロアとプクリンが一緒に階段を下りる

「見ててね~面白いよ」

「うん…」

 

そして二人が完全に降りた時

自分たちが居た上の階が見えている範囲でぐにゃりと曲がる

 

一瞬ののちに上の階が全く別の部屋になった事が分かった。

ゾロアが階段を駆け上がり、確認する。

 

「うわ…、ほんとだ…」

「ね~、面白いでしょ!!」

 

「どういう理屈なんだ…これ?」

「ボクたちにもわかんないよ~

 でも、面白ければそれでいいんだよ!」

プクリンはにっこにこだ。

 

「ただし、その階にいるポケモン全員が

 完全に下に降りないと空間が変わらないとか

 色々一定のルールはあるみたいなんだけどね~

 まだまだ謎は尽きないよ」

…ほんっと、面白いよね!

ゾロアはあらためてプクリンは探検隊なんだなと実感する。

いずれ、職に困ることがあれば

探検隊になってもいいなと思った。

 

「さて、おしゃべりはここまで!

 階段を下りて階が変わったって事は

 スカタンク達のアジトがある階じゃなかったって事だね!」

プクリンが真剣な顔になる

 

「ま、まさか…」

ゾロアはこの後を察し、冷や汗を流す

 

「ボクにはもう時間もないんだし、

 あいつらだって何するか分かんないんだ

 ゾロア君、休憩はできたかな?

 一気にいくよぉ~!!」

…目指せ、アジト!たぁあああああああああ~!!

プクリンが言いながら洞窟内のアジトを目指し、走り出した

「だ、だからっ…待てって~!!」

 

 

…。

たとえ、将来探検隊になっても

プクリンの下では、働きたくないなとゾロアは思った。

 

 

そうして、8階ほど急ピッチで階段を下り

上階が変わるのを確認した後、ゾロア達は洞窟の中層でひらけた場所に出た。

 

「ん~…アジトはまだ先かなぁ~?」

そう言いながらまたすぐに進もうとするプクリン

 

「ハァ…ハァ…オ、オイラ…

 走りっぱなしでちょっとだけ疲れたぞ…。

 どんだけ、体力あるんだよ…」

暗部で鍛えられている足でも休憩なしの走りっぱなしで

息を切らすゾロアと全く息を切らしていないプクリン

 

「ゾロア君は洞窟の歩き方が初めてなんだね~

 滑りやすい地面だから気を付けてね?

 歩き方が悪いからすぐに疲れちゃうんだよ?」

プクリンの言葉に、

走り方なんて気にする暇もないくらいずっと走らされてたからなぁ!と

少しだけ反論したくなったが

言に納得できる部分が勝ったため言葉を飲み込むゾロア

 

「階段が目の前でよかったねぇ~

 走り回らなくて済むよ」

「次の階が、だだっ広かったら意味ないぞ…。」

「その時はその時だよ!

 大丈夫、ちょっとスピードは落とすからさ!」

「ちょっとだけかよ!」

「えへへ~頑張ってついてきてね~」

洞窟内に談笑が響く

 

「さて、ところでさ…」

プクリンが階段を見ながら部屋の中央で止まる。

「…?」

ゾロアは首を傾げる、そしてゾロアも気づいた。

 

 

「この部屋に入ってからさ、ず~っとボクたちを見てるよね?」

…ねぇ、いるんでしょ?

 

 

笑顔で言いながら、部屋を見渡すプクリン

 

「一人…、いや、二人、かな?

 一人はボクの言葉で完全に気配を消したね

 気配が一瞬で消えたからゴーストタイプかな?

 じごくのていおうげんがーじゃなさそうだから…

 あの時の、もう一人の方かな?」

…あとは…。

 

そうして、プクリンは

「…ず~っとそこに張り付いてないでさ

 降りておいでよ、ズバット。」

天井を見上げた。

 

ゾロアは見上げない

部屋のどこかにいるであろうもう一人の”ミミッキュ(誰か)”を

警戒していた。

 

「マジで、おっかねえよなぁ~

 アニキがビビんのも分かるわ」

部屋に声が響く

 

そうして、数秒後天井から降りてきたのはズバット

「おたずねもの、ズバットだね?」

プクリンがズバットに問う

 

「いちいち聞くなよ、分かってるくせによ。」

ズバットがプクリンに返答する

「そっかぁ~。

 じゃあさ、用件だけ言うね

 ボクたちをアジトに案内してよ」

笑みを浮かべながらも、プクリンの声のトーンは低い。

 

 

「へっ…死んでも嫌だね!!」

 

 

戦闘が、始まろうとしていた。




間話、次回予告はありません

次回もお楽しみに!!
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