ポケットファンタジア   作:肥えたチヌ

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第二章 帝国の脅威 その14

時間はどんどん過ぎていく…。

 

残された時間は…。

 

「…。」

 

プクリンはゾロアが自らを治療している間

ミミッキュとズバットを逃げられないように縄で拘束した後

少しの休憩時間に腕を見る。

 

 

そこにあるのは消そうにも消えない1の文字

しかも、半分消えかけの1だった。

 

 

「…?」

ゾロアも自らの腕に包帯を

その口で咥えて器用に巻き終わった後

一旦地面を見る

包帯を巻くために伸びていた毛を切る必要があったため

かなりの切られた毛が出来てしまった。

それを見て、仕方ないと静かに考えた

そして視線はプクリンへ。

 

後姿しか見えないが、

その雰囲気からプクリンが今何を思っているのかが

ある程度は分かった。

 

もはや、一刻の猶予もない

 

そんな事実が、

自身の背中からも冷たく這い寄ってくるような気がした

 

ブルリ…と身体を小さく震わせる。

 

「プクリン、オイラはもう大丈夫だから

 早く行こう!」

自分のせいで、こんな所でもたもたしているのだ

そんな自責の念が出て、居ても立っても居られずに

プクリンに声をかけるゾロア

 

「ん~?

 だいじょうぶだよ~?

 ちゃんと傷の手当、してからで」

ゾロアに笑顔を向けるプクリン

 

「もう、手当終わった!

 ちゃんとげんきになったぞ、ありがとう!」

ゾロアはプクリンに笑顔を向ける

 

 

それらには、すべて嘘が混じっていた。

だが、当人たちは多くは語らない。

 

故に

 

「わかった

 じゃあ、いこっか」

どちらかが折れるしかなかった

 

 

「…そうだ、あのさ」

再出発前、ゾロアがプクリン声をかける。

 

「…?」

「オイラに、ちょっとだけ考えがあるんだ」

ごにょごにょとプクリンに自身の考えを伝える。

 

「…なるほどね、わかった付き合うよ!!」

プクリンはゾロアの考えを聞き、

途端に笑顔になった

 

 

さっき化かされたんだ、

今度はこっちの番だ!!

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「…。」

…おせえな、あいつら…。

 

ズバット達を送り出してからというもの

落ち着きがなく、イライラを隠そうともしない

スカタンク

「…。」

ゲンガーも何も言わない

 

ただし、こちらはなんだか眠そうだった

奇跡の石を見つめ、アジトの入り口に視線を移し

楽しそうに不敵な笑みを浮かべては

やはり眠気には勝てないのか、あくびをする。

 

 

まだ、シェイミ達も目覚めていない

誰も声を発していないアジトを

居心地の悪い静寂が包んでいた。

 

 

「お~い!!」

 

 

「…っ!!」

そんな二人のもとに声が響く

アジトの入り口から出てきたのはズバットだった

 

そして、ズバットの後ろから現れるのは

縄につながれたプクリン

 

「ほら、さっさと歩け!!」

「…。」

 

ズバットの怒号にプクリンは黙ったままだ。

その顔には笑みはなく、

ムスッとしていて不服そうだった。

 

「…よぉ、心配したぜ…。」

スカタンクがそんなズバット達を見て、声をかける

「…。」

ゲンガーはその様子を黙って見ていた。

 

「へっへ~!

 プクリンを捕まえてきましたぜ!」

ズバットがスカタンクに報告する

 

「おう、よくやったな

 …だが、ミミッキュはどうした…?

 それに、ゾロアとか言うガキは?」

スカタンクはズバットに問う

その顔には紛れもなく疑いがあった。

 

…プクリン(こいつ)がそう簡単にやられるわけがない。

…それに、この状況…。

 

スカタンクの疑いの目は、どんどん強くなっていく。

「やだなぁ~、ボス!

 ミミッキュは外に他に敵がいないか探しに行きましたよ

 それと、ゾロアは…」

ズバットが懐から何かを取り出す。

 

それをスカタンクの前に放り投げる

ボトリ…と落ちたそれは黒い毛の塊だった。

若干、先端が焦げている。

 

「殺しましたよ。」

「…っ!!」

スカタンクとゲンガーが目を見開く

 

 

「…。」

そうして、少しの沈黙の後

 

「そうか分かった

 なら、そいつは死ぬが

 どうせなら仲間の目の前で殺した方がいいだろ

 …その方が俺的にはスカッとするしな」

スカタンクは首をくいっと曲げる

「そいつも、檻に入れとけ」

シェイミ達がいる檻を案内した。

 

「りょーかいだぜ、ボス!」

ズバットがプクリンを連れて檻に向かう。

 

が、しかし…

 

「…っ!!

 危ない!!」

「…っ!!?」

プクリンの声

ズバットにシャドーボールが迫る

 

間一髪、シャドーボールを避けたズバット

シャドーボールを撃ったのはゲンガーだった

 

「なにすんだ、ボス!」

「うるせぇ!!!

 くだらねえパフォーマンスなんざ

 してんじゃねえよ!!」

距離をとって叫ぶズバットの声をかき消すように

スカタンクが怒号を上げた

 

「なにがボスだ!

 あいつはな、俺のことはアニキって呼ぶんだよ!!」

「…っ!!」

どうやら、ズバット(ゾロア)のイリュージョンは

バレてしまったようだ。

 

「バレちゃったなら、しょうがない」

ニシシ…

ズバットの顔で笑ったあと、

イリュージョンを解くゾロア

プクリンも自らを縛る縄を

簡単に解いた。

 

「あ~あ、案外簡単にバレちゃったね

 もう少し騙して

 二人を助けるつもりだったんだけどね~」

こちらもにっこりと笑っている

 

「ようやく会えたね、おたずねものスカタンク?

 それと…じごくのていおうげんがー君」

プクリンがそのまま声をかける

 

「俺は会いたくなかったけどな…」

「へっへ…その様子だと

 二人に随分てこずったみたいだな?」

…特にその雑魚は。

スカタンクとゲンガーの反応はそれぞれだ

 

「…だが、俺も流石に頭に来たぜ!!

 よくも俺の仲間を三人も…!!」

スカタンクの怒号が再びアジトに響く

 

「それは君たちが悪さをするからじゃないか!!

 頭に来てるのはボクの方だよ…!!

 いろんな人を誘拐して、

 挙句にはボクの大事な食べ物を

 一つ残らず食べて…!!」

スカタンクの様子に反応するように

声をあげたのはプクリンだった

「…三人…?」

ゾロアはスカタンクの言葉に首を傾げる。

…ミミッキュと、ズバットと…もう一人いたのか?

…じゃあ、そのもう一人は、いったい…?

 

「うるせぇ、うるせぇ!!!

 俺が何しようが俺の勝手だ!!

 国の法があるような兵士でもねぇ

 てめえらに俺を裁く権利なんてねえんだよ!

 それにあんなにうめぇ食いもんを

 隠し持ってるてめえが悪いんだ!!」

「なんだとぉ~!!」

他の二人をほったらかしてヒートアップする二人

 

「だぁ~!!

 こうなりゃぁあ、リミットなんざぁ関係ねぇ!!

 ゲンガー、やっちまえ!!」

「りょ~かい、ボス!!」

二人の口げんかの内容のしょうもなさに

若干引き気味だったゲンガーだったが

スカタンクの声にやる気を取り戻す。

 

「来るよ、ゾロア君!」

「おう!!」

 

<<さいみんじゅつ>>

 

ゲンガーの眼があやしく光る

二人はそれを目を合わせないようにしてかわした

 

<<シャドーボール>>

 

二人にまた悪意のこもった弾が迫る

 

「ゾロア君!」

「…っ!」

プクリンがゾロアに声をかける

ゾロアはそれを受け取り、すぐに耳をふさぐ

 

そして…

 

<<ハイパーボイス>>

プクリンが大きく息を吸い、大声をあげる

と、同時

シャドーボールがその大きな音圧を受け

空中で爆発した

 

ゲンガー達とゾロア達の間に煙が広がる

 

「ボクの事なら、心配しないで!

 あいつの技は効かないから!」

「それは、お前も同じことだろ」

プクリンの背後にゲンガーが現れる

 

すぐにそれに対応しようとするプクリン

攻撃はかわされる

「確かにそうだね…でも…!」

いいながら、プクリンは大きく横に避けた

 

プクリンの背後から

シャドーボールを溜め切ったゾロアが特攻してくる。

 

「…っ!!」

「これなら…どうかな?」

 

ゾロアのシャドーボールが爆発した

 

 

「…ふぅ…脅かしやがって。」

少し距離を置いた場所から、ゲンガーが現れる。

その右手は傷を負っていた

 

「…あいつ、やっぱり強いな…

 まさかあの一瞬で、

 影に入って直撃を避けるなんてさ」

ゾロアはゲンガーの方を見ながら少し悔しがる

「しょうがないよ…

 でも傷は負わせられたじゃん

 リベンジ、成功だね」

「おう!」

悔しがっていたゾロアだったが

プクリンの言葉に笑顔になる

 

「へっ…雑魚と馬鹿のくせに…

 ちょっとラッキーパンチ与えられただけで

 調子乗りやがってよ」

ゲンガーが不敵に笑う

 

…あと、一分…。

 

 

「…。」

…やべえよ、やべえよ…

…早く逃げねぇと…。

 

ゲンガーが傷を負わされたことを見て

スカタンクは一人後ろで震えていた。

 

「よぉおし!

 今度はこっちの番だぁ!!」

プクリンは一瞬、ゾロアに目配せをして

気合を入れるように大声で叫んだ

 

<<マジカルシャイン>>

 

あたりをまぶしい光が一瞬覆う。

ゾロアがそれと同時に

シャドーボールを放っていた

 

「甘い!」

ゲンガーはそれを見て

小さなシャドーボールを指先に作り、放つ

 

それはゾロアの放った弾の

上部にあたり軌道を大きく下に落とさせた

床に当たり、煙が上がる

 

「うぉおりゃぁあああ!!」

その煙からプクリンが飛び出し、特攻する

ゾロアの姿は見えない。

 

どうやら、煙に隠れた後ろで身を隠しているようだ

 

本当に、ゾロアなのか…

一瞬疑ったが、ちらりと黒い毛と白い包帯が

煙の中で見え、そして続いて小さかった影は

ゆっくりと大きくなり

シルエットとしてプクリンに姿を変えた。

ゲンガーは一人笑う。

 

…なるほどな。

 煙の中に隠れて、また何か仕掛けるつもりか。

…どうせまたどうにかして

 俺に攻撃を与えるつもりなんだろ…?

 

ゲンガーはさらに思考する

こいつらの目的は俺を気絶させること

 

「だが…残念だったな…。

 お前もあと少しの命さ!

 気づいてるか?

 あと20秒だ!!」

迫るプクリンにゲンガーが笑いながら叫ぶ

 

「うぉおおおおお!!」

プクリンは我を忘れてしまったのか

直線的な攻撃ばかり仕掛けてしまう

 

「へっ…どうしたよ!」

ゲンガーは攻撃をかわしながら

わざとプクリンの顔近くに自分の顔を近づける

 

「さっきまでの威勢は、どこに行ったんだ?」

 

 

「さらに、追い詰めてやるよ!!」

ゲンガーは言いながら攻撃を仕掛けると同時

シャドーボールを煙の後ろのゾロアに向けて打ち放つ。

 

「ゾロア君!!」

その様子を見て攻撃を避けながら叫ぶプクリン

直後シャドーボールは

煙の中にいたプクリンに化けたゾロアにあたり

大爆発を起こす。

 

「これで、あとはお前だけだ」

「くっそぉお!」

絶望的な状況に距離を取るしかなく、いったん離れた

 

 

その時だった。

 

 

「うわぁああああああ!!」

急に苦しみだしたプクリン

 

「…!!」

スカタンクとゲンガーは歓喜の目でその様子を見る

 

「がっ…ぐる…うがぁ…!」

自身の首をおさえ、床にのたうち回るプクリン

「ハッハッハ…!

 しね、しね、しんじまえ!!

 クソ野郎!!」

スカタンクは笑う

 

ゲンガーは後ろにいるであろうゾロアの様子を見る。

まだ煙の後ろにいるようだ。

黒い影が見えている。

 

そして…

プクリンはその場で動かなくなった。

 

「ふぅ~…終わったな…

 なんだ、奇跡の石を使うまでもなかったな…

 さて、あとはあの雑魚にとどめを…」

ゲンガーはゾロアのいた方を見る

が、影はない。

 

おかしいと思う間もなく、

ゲンガーの後ろから声がした

 

「…死んだと思ったでしょ?」

「…っ!!」

 

直後、ゲンガーの顔面に強烈な連打が叩き込まれる。

プクリンだった

 

「なっ…!!?

 じゃあ、あいつは…!!?」

スカタンクが倒れているプクリンを見る

 

苦しみ、倒れていたはずのプクリンがむくりと

何事もなかったかのように起き上がった。

 

「オイラだぞ、まさか二回目をするなんて

 思わなかっただろ!!」

イリュージョンを解き、ゾロアが姿を現す。

ニシシと笑ってそして真剣な顔になった

 

そう、ゾロアが最初にプクリンに化けた。

その隙に本物のプクリンはゾロアの毛を身に着け

丸まり自分をゾロアに見せかけた。

そして、プクリンにそのまま姿を変えることで

あたかもゾロアが煙の中で姿をプクリンに変えたように

錯覚させたのだ。

 

 

「決めろ、プクリン!!」

 

 

…あと2秒…

 

「うぉおりゃぁあああ!!!!!」

プクリンは連打を繰り出し、

ゲンガーをぼこぼこにする。

 

「ち…、こ、んな…!!」

「うりゃぁああああ…!」

殴られ続けるゲンガーは

あまりの連撃に言葉を発せない

 

そして、最後に

プクリンは一撃に力をこめる

 

 

「これで終わりだ!!」

 

 

「か、カハッ…!!」

的確にゲンガーの腹に突き刺さった拳は

ゲンガーの意識を奪い取ることに成功する。

 

最後の一撃に突き出されたプクリンの腕

その腕からカウントダウンが消え去った。




次回もお楽しみに!!
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