…
…必ず、守る。
新たな物語の始まりを告げるように
開かれた手は、強く握られる…
「それでは…豊穣祭を始めよう…」
「ミーは西の帝国の第二王女、
シェイミ、デス!!」
「…久しぶりだな、ウーラオス。」
「…お久しぶりです、ルカリオ王子
二年ぶり、でしょうか?」
…すれ違う思い…。
「なんで…なんでマァを
あの時助けなかった!!」
「王子に私は相応しくない…」
「ミーは…ミーは
守ってもらうために
ここに来たんじゃないんデス!!
このままじゃお母様が…
お母様がまた間違いを…!!
ミーはそれを止めてもらいに来たんデス!!」
「…姫様一人ではあまりにも危険です
私も一緒に同行します!!」
「まさか…南西の国に…?」
「…シェイミ様は…母君…
バンギラス女王を…止めに…?」
「今から出発すればまだ間に合うはず!!
拙者たちも早く行きましょう!!」
新たな旅立ち…新たな出会い
「僕らはとある所では
ちょっと有名な探検隊さ。
よろしくね!!
改めまして、僕はプクリンだよ!!」
探検隊…
「やだなぁ~…」
三つの島、小さな祠の守る者。
「ようこそおいでくださいました…
私はラティオス
こちらは妹のラティアスです…」
「あのっ…よろしくお願いします…。」
水の都…そして二人の守り手…
「全ての迷いはここに置いていこう…
“迷いの剣では何も切ることは出来ない”…」
帝国に仕える純白の女騎士、キュウコン…
そして…
「久しぶりだな…」
黒き龍…
因縁との対峙…
「…折角ここまで追ってきたんだ…
それは褒めてやらないといけないな…。」
「…っ!!」
ポケットファンタジア
第二章 帝国の脅威 編
スタートです!!
第二章 帝国の脅威 その1
…なぜ…見捨てた…
視界の中で、倒れていたゾロアークが
ゆっくりと立ち上がる。
それだけではない。
後ろでもルカリオとシャワーズが
まるでゾンビのように立ち上がった。
…どうして…見捨てた…
…まだ…生きたかったのに…
ドロドロと身体が溶けていく三匹。
…オマエノセイデ!!
「はっ…!!」
ルカリオは目を覚ます…
自分は森で寝かされていたようだ…
起き上がると、様々なにおいが鼻をつく
見覚えのある景色…
土…木の匂い…
そして…どことなく甘い…泉の匂い…
「ここは…精霊の泉…。」
どうやら自分は本当に帰ってきたようだ。
辺りを見渡す。
セレビィとイーブイが何かを話している。
「くそっ…あいつら…」
ジュプトルが木の上で頭を抱えている
そして…
「おいっ…お前!!」
ゾロアの体当たり。
「うおっ…!!」
起き上がったのに、
再び地面に戻されるルカリオ
そのままのしかかるゾロア
「なんで…なんであの時
マァを見捨てた!!
どうして助けなかったんだ!!」
お前のせいで…
お前のせいで…!!
力なく、ルカリオを殴るゾロア
その目から涙が零れ落ちる。
「ぜったい…たすけられたはず…だろ…?」
「…。」
ルカリオにその問いの答えは返せない。
「…。
すまない…」
ゾロアに謝る。
今は…ただ謝るしかなかった。
…。
ルカリオの身体の上で泣き続けるゾロアと
それを黙って見つめる全員。
静かな森に泣き声だけが響いていた…
少しして…
「…。
ほらほら…いつまでそうしてるの?
いくら責めても…埒があかないわよ…?」
セレビィがルカリオ達に近づき、
ゾロアを移動させる。
「…。」
渋々どけるゾロア
「…大丈夫だよ。」
イーブイがゾロアに近づき、声をかけた
ルカリオを見るゾロアの目は、冷たかった。
「…。
あんたら…コホン…
“過去の”王様たちはこれからどうする…?」
木の上から移動してきたジュプトルが
ルカリオに話しかけた。
「…私は…一旦イーブイとともに国に帰ろうと思う。
長く…留守にしていたから…。」
少し俯き…答えるルカリオ
「そう…ゴホン…そうですか…。
俺たちはセレビィと二人で
この世界を少し回ろうと思います…
ダークライ、あいつから未来を守るなら…
二手に分かれて
手段を探した方が得策だと思うので…」
…でもその前に…
「…もう少しだけお供します。
…平和なマサラを…見ておきたいので。」
「…分かった。
なら、とりあえず城に戻ろう…」
ルカリオ達は歩き出した…
「ただ一つだけ…」
ジュプトルは呟くように呼び掛ける。
「ここはセレビィの言った通りなら
あの時から五年前の、
“過去の”王様たちの世界…
という事は、ここで何か事を荒立てれば
その影響は未来のあの世界に行く…。」
「…。」
セレビィはジュプトルの言葉を聞きながら
黙って目を閉じている。
「つまり…
ここで不用意に歴史を変えれば、
俺たち“未来”の存在も消えかねないという事。」
…面倒な話だけどな…。
「…。
そして…それは敵方も分かっているはず…
今のままでいけば、間違いなく
ダークライによって歴史が改変され
ここもあの未来の世界と
同じ末路を辿らされる…。」
…ルカリオが続く言葉を繋げた。
「…。
俺たちが止めるしかないって、事だ。」
吐き捨てるように、ジュプトルは呟いた。
…たとえ、何も変わらなかったとしても…。
…重たい空気を引きずったまま、
ルカリオ達はまた歩き出した。
マサラの城下町…
「…。」
…ようやく帰って…来たんだな…。
ルカリオは町の入り口で中を眺める
あれだけ賑わっていた城下町は
ダークライの出現に伴い
国民の危険意識が強くなったのか、
どこか閑散としていた…
ただ…それでも
変わらない平和を保っているようだ…
「…。」
…私は…この平和を…。
ジュプトル達が歩き出す中、
ルカリオは一人立ち止まり、自らの手を見る。
「…。」
…必ず、守る。
開かれた手を、強く握った
「…王子…?」
イーブイが振り返り、声をかけてくる
「あっ…すまない…すぐに行く。」
「おぉ…ようやく帰ってきたか!!
心配したぞ…!!無事で何よりだ!!」
「二人とも…よくぞ戻ってきました…
長旅で疲れたでしょう…
…ところで…王子…その方々は…?」
城にて、ルカリオ達は王と王妃に面会する。
「あぁ…母様…こちらの方々は
私の客人です…少し訳ありで…」
「…セレビィと申します…」
「…ジュプトルです。」
「…ゾロア…です…」
三人はそれぞれ挨拶をする
「…ふむ…。」
「…そうですか…
よくぞマサラの城においでくださいました…。
…客人の方々…
どうかゆっくりしていってくださいね」
不思議そうにジュプトル達を見つめる王と
優しい微笑みを浮かべる王妃
「さて…まぁよい。
ルカリオよ、王妃の言う通り
長旅で疲れたであろう…
今日はゆっくり休むといい。
詳しい話はまた明日にしよう…」
ルカリオ達を見て、頷く王
…こうして、ルカリオ達は城に戻った。
…次の日。
時刻は昼を過ぎ…
ジュプトルは一人城下町で、
噴水の近くを通りかかる。
「…ん?」
ふと、ベンチの近くでたむろする
四人を見かけた。
「…君…だあれ?」
「…えっと…僕は…ヨマワル…
最近お父さんに連れられて
この国に来たんだけど…
あの…一緒に…遊んでほしくて…」
おどおどとした様子で
アチャモ、キモリ、ミズゴロウに言う子ども…
ヨマワル
かなり勇気を出したのか、
…その目には涙が少し溜まっている。
「…いいよ!!
一緒に遊ぼう?
私はミズゴロウっていうんだよ
よろしくね!!」
そんなヨマワルに対し、
ミズゴロウは
暖かな笑みを浮かべながら答えた
「僕はアチャモ」
「俺はキモリ…よろしくな。」
「あっ…ありがとう!!」
「じゃあ何して遊ぶ?」
わちゃわちゃ…
「…。」
ジュプトルは、四人を見つめ固まっている
…
……
………。
ジュプトルの目から…
無意識のうちに一筋の涙が零れた
「…? なんで…。」
なぜ自分が泣いたのか、訳も分からず
それを指で掬い取るジュプトル
「あの子達が…どうかしましたか…?」
「…!」
ジュプトルの横から、
ガルーラが現れ、声をかける
「…いや…平和っていうのは…
こういう事なのかなって思って…。」
多少、驚きはしたものの
すぐに冷静さを取り戻し、
落ち着いて答えるジュプトル
「…そうですねぇ…
最近はダークライやら西の帝国やら…
何かと物騒ですから…。
子どもも成長してくれて…
主人もいなくなって、
老い先短い私にとっては、
あの子達に読み聞かせをして…
一緒にいる時が…
一番幸せな時間なんですよ。」
フフッ…
それは本当に幸せそうな…笑みだった。
決して、戦場や過酷な状況に
身を置いていてはすることの出来ない…
平和な世界に対する 無防備さ だった。
「…。
そうですか…それは良かった」
一息ついて…
ジュプトルはガルーラ達に背を向け、歩き出す
「…。
そう言ってもらえると…俺も嬉しいです。」
去り際、小さくジュプトルはそう呟く
これ以上を言おうとも思ったが、
森でルカリオ達に言った言葉を思い出し、
ジュプトルは言葉を飲み込んだ。
「…?
どうして…お礼を…?」
ガルーラは、
去っていくジュプトルの背中を見送りながら
疑問を浮かべていた…
「…ん…?」
キモリもまた、
去っていくジュプトルの背中を見ていた。
「ここが…。」
「…そう、私の家」
ゾロアはイーブイに連れられ
マサラの城下町の一角に来ていた。
ゾロアは一応ルカリオの客人という扱いのため
城に居ても良かったのだが…
ゾロアの心情的にその行為はとても嫌だった。
だからこそ、
イーブイについていくことにしたのだ
…埋まらぬ心の足しになれば良いと
ちょっとした、興味本位で。
城の兵隊たちがしきりに噂していた
“精霊役” に選ばれる程の人物であるならば
どれほどの豪邸なのだろうか…と
期待していたゾロアだったが…
彼が見たのは
マサラの国の一角に佇む大きな施設だった。
それは城下町の人から
“預かりと育て屋” と呼ばれている施設で、
身寄りのない子どもたちを保護し、
育てている場所だ。
「さ、どうぞ…入って。」
「…!」コクコクッ
呆気にとられていたゾロアは
イーブイの声に何とか頷き、
施設の中に入っていった…
「今回のダークライの一件。
北の泉の精霊、ゼルネアスが姿を消し
そして奴の放った光によって
国中のものが恐怖し、
この国にあったはずの平和が脅かされている…
我々はこの国の平和を守らなければならない。
諸君もそれぞれ
全力をもってこれを守ってほしい。」
「…御意」
「はい…父様。」
城の会議の場にて。
ルカリオ王の呼びかけの下
ガブリアス、ハッサム、ルカリオ王子
その他の重役な兵士たちが一堂に会していた。
「さて…それで…
今年の豊穣祭の件なのだが…
諸君の考えを募りたい。
行うべきか…行わぬべきか…
皆はどう考える?」
ざわざわと騒がしくなる部屋。
「…私は、
今年も行うべきだと考えております。」
ガブリアスが王の言葉に対し答えを述べる。
「確かに、西の帝国が最近力を増し、
更にダークライの出現など、
外部勢力の脅威は格段に大きくなりました。
ですが、それに伴い内部の…
国民の不安感の高まりが
肥大しすぎている気がします。
ここは国民に寄り添い、
息抜きの場を与えるのがよいかと…」
外側が危ない現状で、
今一度、国を一致団結する場を設けた方がよい。
それがガブリアスの考えだった。
「…私は反対です。
今年はお控えになられた方がよろしいかと。」
それに対し、ハッサム兵士長は違った。
「祭り事は気を浮つかせ、緩めさせます。
確かにガブリアスの言う通り
息抜きも大事でしょうが
祭り事は大きな隙にも成り得ます。
ですので、今は
国防に備えた方がよろしいかと…」
賛否両論。
豊穣祭を巡っては
まだまだ意見がまとまることはなさそうだった。
「…うむ…なるほどな…。」
ふぅ…と
頭を悩ませながらため息をつくルカリオ王
コンコンッ…
部屋の扉がノックされる
「…ん?
誰だ?」
「…失礼します…
会議中に申し訳ありません。
ルカリオ王…
城内にどうしてもルカリオ王に会わせろと
言う者がおりまして…
…って、あっ…こらっ!!」
扉を少し開け、発言する兵士。
その下を通り抜け、
会議室に入ってきたポケモン。
…シェイミだった。
「失礼します、入りますデス!!」
「シェイミさまぁ…
いくら何でもわがまま過ぎますよ…
もう少しおしとやかに…」
…言われなくても分かってるデスよ!
ごたごたと兵士たちを押しのけ
王の前に姿を現す。
「お久しぶりデス、おーさま!!」
「…会議中、だぞ…。」
小さく頭を抱えながらガブリアスが呟く
「もしや…貴女は…西の帝国の…?」
ルカリオ王がシェイミを見て尋ねる
「そうデス!!
覚えていただいていたようで嬉しいデス!!」
ニッコリと王に笑顔を向けるシェイミ
「やはり…そうですか…。」
「あの…父様…?」
ルカリオは状況がいまいち飲み込めず、
王に尋ねた。
「あっ…!!
あなたは…!!」
ガーディがルカリオに気が付き
尻尾を振り始めた
「ん…あぁ…あなたが
ミーを森で助けてくれた人デスね!
感謝してるデス!!
どうもありがとう!!」
シェイミの言葉の後、
続けてガーディが頭を下げた
「えっ…あっ…あぁ…どうも…。」
シェイミのおてんばぶりに
ついていけないルカリオ
「…会議中、なんだがな…。」
ハッサムもまたやれやれとため息をつきながら
様子を見て呟いた。
「こちらの方は西の帝国の第二王女
シェイミ姫様だ。
以前、城に訪問したことがあったはずだが…
そうか…
お前は用事で城を留守にしていたな。」
「えっ…?
この…人が…。」
ルカリオは驚きながらシェイミを見る。
マサラの西に存在する帝国…
ブラッシー帝国は
軍事で言えばマサラに並ぶ国だった。
「改めまして…」
一歩シェイミが前に出た
「ミーは西の帝国の第二王女、
シェイミ、デス!!
ルカリオ王、お頼みがあります!!
ミーのお母様…女王バンギラスを
止めてほしいんです!!」
…それは、突然の申し出だった。
~次回予告~
シェイミと対面したルカリオ
彼女の申し出は
マサラの国の
今後を揺るがすものだった。
果たしてルカリオは
未来を守ることが出来るのか?
そして、イーブイ達はどう動くのか
次回 帝国の脅威 その2
お楽しみに!!