では、お楽しみください
(今回からあらすじはありません。)
…。
「…。
…という事で頼む。」
「…かしこまりました…。」
ダークライと話をしている謎の影
「すでにガブリアスより
精霊 アグノム が
南西の国にいる事が報告された…
ただ…少し厄介なことになっているらしい。」
窓から空を見上げ、ため息をつくダークライ
「…どうなさるおつもりで?」
尋ねる影
「…まぁ、南西に対しては西も動いている…
放っておいてもいいだろう…。
それで…お前には
この時代のマサラを落としてもらう。
あの国に対しては
この時代は…“砕け”。」
「…了解いたしました。
それでは手筈通りに…」
「…頼んだぞ。」
そう言って、何かの支度を始めるダークライ
「…?
この後、何かご予定でも…?」
「あぁ…西の女王が私に会いたいそうだ。
この世界線のあの女には少々期待をしている…
だからこそ、技術を与えてやろうと思ってな…」
…あの女に力を与えれば…さぁ、どうなるかな…?
「…なるほど…。」
二人は、薄く笑っていた。
…着実に精霊たちを追い詰めている…
我々の計画は…第二段階に入った。
…では…そろそろ潰していこうか…。
…この世界を…。
「丁度いい。
ウーラオス、お前も王にご挨拶を。」
「…そうでござるな。
ここでお会いせぬというのは失礼というもの…
ご挨拶をさせていただこう…。」
ウーラオスは南西の国の元将軍である。
だが、今では国を抜け…放浪の旅をしているのだ。
「それにしても…
ウーラオス、お前はどうしてここへ?」
ルカリオの問い。
…ちなみに、この場にゾロアはいない。
三人で話をしていると
オイラもう部屋に戻るぞ!!と言って
怒りながら行ってしまったのだ。
「拙者の旅の中継地として
寄っただけでござるよ。」
ルカリオの問いに答えるウーラオス
ただ…
「祭り事を行うというのであれば…
丁度良い頃合いに巡り合えたというもの…
マサラに寄って本当によかった。」
「…ところで、
あちらの国の師匠様はまだ…?」
今度はハッサムだ。
「…全く。
…影も形も掴めぬ…
…まぁ、それもあの方らしいと言えばらしいが…。」
「そうか…。」
ハッサムとウーラオスが同時にため息をつく。
そんな話をしていると…
あっという間に廊下を歩ききり、
玉座の間の扉が開く…。
「失礼いたします…。
父様…お呼びでしょうか?」
「うむ…。」
ハッサムが部屋の横に移動、
ウーラオスは頭を下げながら
ルカリオの後ろで控えている。
「…?
また、新しい客人か…?」
「…お久しぶりでございます、陛下…」
「…!
…おぉ…!ウーラオス将軍!!
国を出て長旅に出たと聞いていたが…
そうか、この国に来ていたか…
…長旅は疲れるだろう…
ゆるりと休憩をしていくがよい。」
「…ありがたきお言葉。」
ペコリ、と頷き、頭を下げるウーラオス。
ルカリオ王が、王子に視線を向ける。
「さて…ルカリオ
豊穣祭の件だが…
今回は協議の結果、
規模を少し縮小して執り行うことにした。
祭りにはお前も参加してもらうぞ」
「はい、分かりました。」
豊穣祭へ向け…着々と準備が進んでいく…。
その間に…
ジュプトルとセレビィが
国を出ていこうとしていた…。
二人を見送るルカリオ
礼をいう彼に対し、ため息をつくジュプトル。
国の上に…前に立ち、
誰かを、何かを守るには…
まず自分が傷つく覚悟をしないといけない。
その言葉だけを残し、
彼らは国を出て行った。
「…分かっているさ…そんな事…。」
ルカリオは顔を俯かせていた。
…。
ポチャン…。
まるで鏡のような水面に…一滴、水滴が落ちた…
マサラの城、訓練場にて…。
「豊穣祭がついにそこまで迫っている!!
我々はこの国の警備の要だ
より一層の鍛錬を積み、当日に備えてくれ!」
「おぉー!!」
「皆に良い知らせがある。
今回、南西の国の将軍、ウーラオス殿が
この国に参られた。
少しの期間、訓練に付き合ってくれるそうだ。」
ハッサムの横にウーラオスが立つ
「…紹介に与った、ウーラオスでござる。
…うむ、みな良い目をしている…
これから少しの間…よろしく」
一礼。
…後、訓練が始まった。
「どうですか…我が軍は」
「…うむ。
統率がよく取れている。
彼らの上に立ち、
指導する者が良いせいかもしれぬな」
「ふっ…御冗談を」
訓練の合間に
ハッサムとウーラオスが話をする。
「…それで…ハッサム殿
拙者には少し気になることがあるのだが…」
「…?
いったい何が…?」
「…ルカリオ王子の事でござる。
…彼は何か…そう、昔とは違い
重い何かを背負っているような…
そんな気がするのでござる。
…何か心当たりはないだろうか?」
…それは、ウーラオスの心配だった。
確かに、ルカリオも大人に近くなり
以前よりは これから を意識することが
多くなってきたことだろう。
だが…それだけでは説明が出来ない程…
今のルカリオは神経質になっている気がした。
…そう…たった一人で…
全てを背負おうとしているような…そんな気が。
「…。」
ハッサムはウーラオスの言葉に言葉をなくす。
そして…長時間の訓練が終了する。
城の廊下を歩くハッサム
「…。」
無言で廊下を歩いている
ルカリオ王子が目に入った。
「おぉ…王子、丁度良い所に…
今、お時間を頂いてもよろしいですか?」
「あぁ…いいが…どうした?」
「こちらに…」
ハッサムはルカリオを連れ…
誰もいなくなった訓練場に足を運ぶ。
「…どうしたんだ…こんな所に。
悪いが私は…訓練はしないぞ…
今日はそんな気分ではないんだ…。」
「…“今日も”、ではありませんか?王子」
背中を向け…ハッサムは言った
「…ハッサム兵士長。
…一体何を…?」
「…失礼します。」
次の瞬間
<<バレットパンチ>>
「…っ!?」
スッ…
ルカリオはハッサムのバレットパンチを
受け流していた。
以前のルカリオでは絶対に有り得ない速度で
行動し、手際よくハッサムをいなす。
その上で、<<はっけい>>を繰り出し、
ハッサムとの距離を離した
「おいっ…!!
いったい何のつもりだ!?」
「…。」
無言でルカリオを見て、
そしてまた構えるハッサム
「…強くなられましたね、王子。
短期間で…まるで別人のようだ。」
「…?」
ハッサムの言葉の意味が分からず、
困惑するルカリオ
「私には…一体何があったのかは
分かりませんが
突然訳の分からない者達を連れて戻られ…
そして、あなたは急に
そこまでお強くなられた…!!」
ヒュン…!!
<<でんこうせっか>>
「…っ!」
ハッサムの腹もとに…無意識のうちに
ルカリオは<<はどうだん>>を構えていた。
ハッサムの右腕を左手で掴み…
右手でその腹に
<<はどうだん>>を当てている。
「教えてください…王子
いったい森で…何があったのですか…?」
拳を引きながら…ハッサムはルカリオに問う
「それは…」
ルカリオは躊躇いながら…ハッサムに全てを話した
「…っ!
…まさか…そんな事が…
…いや…にわかには信じがたいですが
実際、証拠は…揃っていますね…。」
「あぁ…私は…あの未来を回避しなければならない…。
そう思って、今まで過ごしてきたんだ…。」
「…。」
…もう一度、ハッサムはルカリオを見つめる
「…王子…
お気持ちは分かりますが…
どうか、一人で抱え込む事は…お止めください。」
ハッサムはルカリオの前で片膝をついた。
「あなたはこの国の王子です…が
…それ以前に一人のポケモンなのです。
全てを一人で背負う事は…良くありません。」
「…それは…私がまだ未熟だという事か…?」
「…いえ、そうではありません。」
ルカリオの問いに対し、きっぱりと答え
言葉を続けるハッサム
「何か行動をする者は、
それに伴う重責と判断…意思を問われます。
そしてそれは…
指導者として重要な“心の余裕”をなくさせます。
これを防ぐには、
協力すること…これが最善です」
…ですので…
「…その責任を…少しばかり、
私にも分けてはもらえませんか?」
この時、ルカリオは
未来の自分の背中を思い出した。
…たった一人の孤独な背中。
それでも、強く生き
多くのポケモン達をまとめ上げ、
反逆の旗を掲げていた彼の生き様を。
…未来の自分…
…でも、自分とは違う自分…
…。
…あの私は…立派だったと言える。
…でも…。
…私は…“私”にしかなれない…。
「…駄目だな…本当に私は…。」
王子としても…一人のポケモンとしても…
「…頼めるか…ハッサム兵士長?」
ルカリオの諦めにも似た言葉が…
二人だけの静かな部屋に響く…。
「…勿論です。」
歯車に…音を立てて
大きなひびが入ったような気がした。
数日後…それは始まる。
「それでは、豊穣祭を始めよう…!」
王の開幕の宣言
それによって城下町の中央通りが
ライトアップされ賑わい始める。
「うわぁあああ~!!
キレイだね!!」
ミズゴロウが目を輝かせている
「今日は僕、お母さんに
いっぱいお小遣いを貰って来たよ」
アチャモがニコニコとしている。
「えぇ~いいなぁ~
私なんて今日も
普通と変わらないぐらいだよ~?」
…無駄遣いしないようにしなきゃ。
そんな二人を横目に。
「なぁなぁ!!
色々出店とかあるんじゃないか!?
早く回ろうぜ!!」
キモリがはしゃいでいた。
「…。」
ホワンホワン…ホワワワ~ン
「んだよ…祭りではしゃぐなんて…
子どもじゃあるまいし…。」
はぁ…めんどくさ…
バキンッ…
アチャモとミズゴロウの頭の中で、
キモリのイメージが、
バラバラに砕け散った。
ちょっと意外だったけど…
まぁ…いっか!!
「ちょっと待ってよ~キモリ~!
はしゃぎすぎだってばぁ~!!」
そのまま人混みに入っていく三匹
建物の屋根の影…屋上にて。
「お父さん!!遅いよ~」
「本当に申し訳ありませんね…ヨマワルさん」
ヨノワールとヨマワルがいた。
クスクス…。
ヨマワルが可笑しそうに笑う
「さぁて、それじゃあ手筈通りに。」
「えぇ…始めましょうか。」
二人は祭りの先…
パレードの中心で
手を振る王と王妃を見つめていた。
~次回予告~
豊穣祭が始まった。
精霊役 イーブイの活躍…
裏で暗躍するヨノワール達。
そして…ガブリアスを守れという
謎の人物からの言葉…
様々な思惑が交錯する中
彼らは何を思い、どう動くのか。
次回 第二章 帝国の脅威 その4
お楽しみに!!