虹が咲き、白が交ざる 作:水甲
「改めまして!」
「ようこそ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会へ!」
練習も終わり、私たちは遥ちゃんをもてなしていた。
「すごい!本格的」
「喜んでいただけて嬉しいです」
「急いで準備したからお菓子はクッキーしか焼けなくて」
「かすみんは特製コッペパンを用意しました!」
「可愛い!」
「ふふん!それほどでもありますよ!」
楽しそうにしている遥ちゃん、練習の時に感じたものは私の気のせいだったのかな?
みんなでお茶会を楽しんでいると、侑お姉ちゃんが遥ちゃんに今日見てみてどうだったか聞いていた
「今日見てみてどうだった?」
「あ、はい。お姉ちゃんも皆さんも楽しそうでした。それぞれの個性に合った練習もあって素敵な同好会ですね」
「ほんと!?嬉しいなぁ!」
すると何かの音が聞こえて、見てみると彼方さんが充電切れたみたいに寝ていた。
「お姉ちゃん?」
「大丈夫ですよ。枕はちゃんとありますから」
しずくちゃんが彼方さんに枕をあげるけど………これって……大丈夫かな?
「この枕 彼方ちゃんのお気に入りなの。寝心地いいんだって」
「あの、お姉ちゃんはよく寝ちゃうんですか?」
「はい。私の知る限り彼方さんは寝るのが大好きだと思いますよ」
「特に膝枕で寝るのが好きだよね」
「膝枕!?」
あれ?もしかして遥ちゃん、知らなかった感じなのかな?まぁ彼方さんはがんばり屋な所を見せたいって感じがするから…………でもこれ、大丈夫なのかな?
「そうそう!愛さんもしてあげたよ!」
「お姉ちゃん皆さんに膝枕をしてもらうほど頻繁に寝ているんですね」
「そう言われると最近いつにも増してよく寝ているような」
「練習しながら寝てた」
「この前も全然起きないくらい熟睡してて」
「未唯ちゃんは確か……抱き枕にされてたよね?」
「う、うん」
起こそうとしたら、寝惚けていたのか抱きつかれて、起きるまで抱き枕になっていたけど…………
とりあえず彼方さんが起きるまで待とう…………
暫くして彼方さんが起きると……
「くぅー!遥ちゃんにお姉ちゃんの恥ずかしいところ見られてしまったー!」
「恥ずかしくなんかないよ お姉ちゃん。疲れて当然だよ。いっぱい無理してるんだから」
「ん?無理してるって何を?」
「やっぱり…」
「遥ちゃん?」
「お姉ちゃん同好会が再開してからあんまり寝てないでしょ?」
「うん。つい楽しくって」
「私 お姉ちゃんが忙しすぎて倒れちゃうんじゃないかって心配で。それで今日見学に来たの」
「そうだったの?」
「でも今日のお姉ちゃんは疲れなんて感じさせないくらい元気で楽しそうですごく嬉しかった。いつも私を優先してくれたお姉ちゃんがやっとやりたいことに出会えたんだって」
「遥ちゃん……」
「今のお姉ちゃんには同好会がとても大事な場所だってよく分かったの。だから私決めたよ。私、スクールアイドルやめる」
「「えぇーー!?」」
彼方さんとお姉ちゃんが驚くけど、お姉ちゃん…………
「やめ……」
「どうして!」
「このままじゃお姉ちゃんが体壊しちゃうから」
「彼方ちゃんが寝ちゃったせいで遥ちゃんのこと心配させちゃったの?大丈夫だよー」
「全然大丈夫じゃないよ!お姉ちゃんはお母さんが忙しいからってお家のこと全部して、家計を助けたいからってアルバイト掛け持ちして、奨学金もらってるからって勉強も頑張って、その上スクールアイドルもなんて誰だって倒れちゃうよ!もういいの。私のことよりお姉ちゃんにはやりたいことを全力でやって欲しいの」
「遥ちゃん……」
「あの…そのために遥さんはスクールアイドルをやめるんですか?」
「はい」
「ダ、ダメ!そんな…遥ちゃんは夢を諦めちゃダメ!」
「お姉ちゃんが苦労してるの分かってて夢を追いかけるなんてできないよ!」
彼方さんが必死に止めてるけど、多分……遥ちゃんの意思は固いと思う。
「そんなの気にしなくていいんだよ。だって遥ちゃんは大事な妹なんだもん」
「どうして?妹だったら気にしちゃいけないの?」
「心配させちゃってごめんね。彼方ちゃんもっと頑張るから」
「お姉ちゃんのわからず屋!」
そう叫んで遥ちゃんは出ていった。彼方さんはショックを受けて、動けないでいた。
お姉ちゃんは慌てて追いかけるけど…………多分説得出来ないかも…………
「………………」
朝、私は駅に行き、遥ちゃんを待っていた。少しして遥ちゃんが来て、私に気がついた。
「おはよう」
「未唯さん……未唯さんも私にスクールアイドルやめてほしくないって言いに?」
「う~ん、違うよ。私は遥ちゃんがそうしたいならって決めたなら止めないよ」
「未唯さん……」
「でもね……彼方さんの想いを知ってほしいかな?」
「想いを……?」
「彼方さんがどうして頑張るのかって……」
「あの……どうして……そんなこと……」
分かるかって?それは……
「二人のお姉ちゃんと一緒にいると……自然に分かるようになったからかな?」
「お姉ちゃん?」
「侑お姉ちゃんとぽ……歩夢お姉ちゃん。幼馴染でずっと一緒にいたから…………」
「未唯さん……」
「遥ちゃん、一人で頑張ろうとしないでね」
私はそう言って、学校へと向かうのであった。今の時間だと……確実に遅刻だよね…………
そしてお昼休みにみんなでご飯を食べていると、彼方さんが昨日の夜の話をした。遥ちゃんはあんまりスクールアイドルをやめることを話したがらなかったみたいだった。
「遥ちゃんせっかくスクールアイドルになったのに心配掛けちゃって。遥ちゃんがやめるくらいならいっそ彼方ちゃんが…」
「それはダメ!」
「はっ」
侑お姉ちゃんに遮られると、エマさんが語り出した
「彼方ちゃん、それは本当に彼方ちゃんが望んでいることなの?」
「違う。彼方ちゃんの望みは、ずっと探してた夢はここにある。同好会が再開してからずっと楽しかったんだ。やりたいことがどんどん増えていって それを一緒に目指す仲間がいるのがすごく幸せ……みんなとの同好会は彼方ちゃんにとってもう大事な失いたくない場所なんだよ。でも遥ちゃんの幸せも守りたいの。そんなのワガママだよね」
ワガママ……それで良いんだと思う。
「そうかしら?それってワガママじゃなくて自分に正直って言うんじゃない?」
「うん。自分に嘘ついてるよりずっといいと思うよ」
「きっと遥ちゃんも彼方さんの幸せを守りたいんだと思います」
「似た者姉妹だと思う」
「似た者姉妹?」
「だって2人とも言ってること一緒だよ?」
「そうですね。お2人とも全部自分1人で解決しようとしています」
「でも遥ちゃんは彼方ちゃんが守らないと…」
「彼方さん、遥ちゃんはもう守ってもらうだけの人じゃないと思う。だってそうじゃなきゃお姉さんのことを助けたいってあんなに真剣にならないよ」
「何となく分かったような気がする。遥ちゃんに伝えないと!」
「それなら……伝える方法は1つですよ。彼方さん」
「未唯ちゃん?」
私は遥ちゃんに自分の想いを伝える方法を話した。話し合うのではなく、きっと伝えたい想いを伝えられる方法を…………
そしてライブ当日……
侑お姉ちゃんとせつ菜さんが遥ちゃんを特設ステージに連れてきた。
「未唯さん……」
「遥ちゃん、聞いてあげて…………彼方さんの想いを」
ステージにはライブ衣装を纏った彼方さんの姿があり、ライブが始まった。
遥ちゃんは彼方さんのライブを見て……そっと涙を流していた。
伝わったんだね……
ライブが終わり、舞台袖で
「お姉ちゃん!素敵なライブだった!」
「遥ちゃん。ごめんね。遥ちゃんのこと分かってなくて……遥ちゃん、彼方ちゃんのこととっても大事に思ってくれていたんだね。ありがとう。あのね2人とも同じ思いならお互いを支え合っていけると思うの」
「支えあって?」
「これからはウチのことをいっぱい手伝ってね。お互い助け合ってスクールアイドル続けていこ。2人で夢を叶えようよ」
「お姉ちゃんはそれでいいの?アルバイトをしながらスクールアイドルってやっぱり大変だよ?」
「平気平気。だって遥ちゃんがスクールアイドルをするのも彼方ちゃんの夢なんだもん」
「お姉ちゃん……」
「あれー?遥ちゃんは彼方ちゃんがこんな素敵なライブをしたのに今日でやめるなんて悔しいって思わないの?」
「それは…思う…」
「スクールアイドルではライバルだよ。お互い頑張ろ」
二人は握手を交わす。仲直りできて、元通り仲の良い姉妹に……ううん、もっと仲良しな姉妹になったのかな?
「それにしても未唯さんはこんなことよく思い付きましたね」
「そうだね。どうして?」
「う~ん、この方が一番想いが通じるかなって…………だから私のライブのときは想いをたくさん込めるから……楽しみにしててね」
「うん」
私も……始めないと……その前に準備しないと…………
彼方ちゃん回は個人的に好きな話だったりします!
次回は外伝……と言うよりオリストになります
感想等待ってます