虹が咲き、白が交ざる 作:水甲
深夜の公園、私は一人で踊っていた。
「ふぅ……」
ここまで出来るようになったけど、あともう少し頑張らないと…………
そろそろ帰る時間だけど、もう少しだけ……もう少しだけ…………
「未唯、大丈夫?」
「えっ?」
「何だかボーッとしてるけど……」
登校中にお姉ちゃんたちが心配そうに私を見つめていた。私は心配かけないように笑顔で……
「ちょっと寝不足なだけだよ」
「それなら良いけど……」
「ちゃんと寝ないとダメだよ~」
「うん」
危ない……二人に心配かけちゃった……だけど……これだけは……これだけは…………
侑side
最近、未唯の同好会への出席率が悪い。
何か用事があると良い欠席している。
本当に用事なら良いけど…………
「侑ちゃん、未唯ちゃんの事……やっぱり心配だよね」
「うん……用事っていってるけど……前に被服部で見かけたし……」
声をかけたら、笑ってごまかされたし…………
「もしかして……私たちに話せないことでもあったのかな?」
「話せないこと…………」
もしかしたらいじめ!?って事はないか…………普通にクラスの子と楽しそうに話してるところ見掛けたし…………
「うぅ、未唯……本当にどうしたんだろう」
「一回聞いてみる?」
それしかないのかな…………
「何というか……二人も過保護よね……」
果林さんは呆れながらそう言うけど……仕方ないことなんだよね……私たちには……
「侑先輩と歩夢先輩って未唯さんと小さい頃から一緒なんですよね?」
「うん……」
「みー子の小さい頃ってちょっと気になるな~」
「未唯ちゃんの……小さい頃……」
「話しても……良いかな?」
未唯は今と違って……昔はあまり感情を表に出したりしない子だった。私たちはそんなことを気にせずに未唯と一緒に過ごしていたけど…………
ある日、些細なことで歩夢と喧嘩をしたときに…………
「…………て」
言い争いをする私たちを見て、未唯は今にも消えそうな声で何かを伝えようとしていたけど、私たちには聞こえなかった。
「もうゆうちゃんなんて……」
「あゆむなんて……」
大嫌いって言葉を言おうとした瞬間だった。
「もうやめて!」
今にも泣きそうな声で未唯がそう言い放った。私たちははっとして、未唯の方を見ると……未唯は泣きそうになりながら…………
「もう……喧嘩しないで……お姉ちゃんたちが喧嘩してるのやだ……」
泣きじゃくる未唯を私たちは必死に宥めていたのだった。それから……私たちは未唯の事を泣かせないように…………
「見守るようにしてきたんだよね……」
「それに……その事がきっかけで……未唯ちゃんは今みたいになったけど…………やっぱり心配なんだよね」
「そう……だったんですね」
「だから……あの時……」
璃奈ちゃんは何か覚えがあるのかな?でも何となく分かる。璃奈ちゃんと未唯は少し似ている気がするから…………
未唯side
東雲学園で、私は遥ちゃんの膝枕をしてもらっていた。
「練習しすぎだよ」
「あはは……つい」
「もう!」
怒ってる遥ちゃんに謝り、私は起き上がると…………
「それで……準備出来たの?」
「うん、今から……なんだけど…………」
私はそっと自分の髪に触れた。
伸ばしてきたこの髪……いつかお姉ちゃんたちが褒めてくれた。それが嬉しくって……伸ばしてきた。たまにお姉ちゃんたちが髪を弄ってくれて、嬉しかった。
私は…………
「一歩……踏み出そう」
侑side
そろそろ下校時間が近づいてきた。みんな、片付けをしていると…………
『高咲侑さん、上原歩夢さん、至急体育館に来てください』
「体育館?」
「何だろう?」
何かやったかなと思ったけど、身に覚えがない。
「お二人とも何かあったんですか?」
「分からないけど……」
「行った方がいいよね」
私と歩夢は体育館へと向かうのであった。
「一体何が?」
「さてと彼方ちゃんたちも行こうか~」
「彼方先輩、もしかして例の件知ってたんですか?」
「かすみちゃんも知ってるんだね~」
「お二人とも何か知ってるんですか?」
「それは~行ってからのお楽しみ~」
体育館に入ると、真っ暗で何も見えなかった。何で呼び出されたのかわからないままでいると…………ステージにライトが照らされた。
「え?」
「あそこにいるのって……」
ステージの中央にいたのは……白い衣装を身にまとった未唯だけど……見慣れた白く長い髪ではなく、セミロングに変わっていた。
「お姉ちゃんたち…………あのね、伝えたい事がいっぱいあるんだけど…………全部伝えるの大変だから…………歌声に込めるね」
歌い出す未唯。その姿は衣装が相まって……天使のように見えた。
歌声には……一緒にいてくれてありがとうとこれからも一緒にいてという感謝と願いが込められ…………私と歩夢は知らない内に涙を流していた。
「……ふぅ……」
歌が終わると……私と歩夢は盛大に拍手を送った。
未唯side
私は歌い終わり、ステージを降りてお姉ちゃんたちに近寄り……
「私の最初のライブは……私の最初のファンのお姉ちゃんたちにだけ見せたかったの」
「未唯……」
「未唯ちゃん……」
「私の新しい一歩……どうだった?」
私がそう聞くと、二人は抱き締めてきた。
「良かったよ……未唯」
「伝わったよ……未唯ちゃんの想い」
二人は泣いていた。それを見た私も……自然と涙が流れた。
「良かった……お姉ちゃんたち……これかも……よろしくね」
「「うん」」
これが私の新しい一歩…………
私は協力してくれたかすみちゃん、彼方さん、遥ちゃんにお礼を言わないとと考えていたけど……扉の近くで同好会のみんながいたことに気がついた。
「ありがとう」
聞こえたか分からないけど…………お礼を伝えるのであった。
次回は外伝になります!
未唯ちゃんが髪を切ったのは新しい自分になるためにです!
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