虹が咲き、白が交ざる 作:水甲
私とかすみちゃんと璃奈ちゃんの三人は、ボーッとしているしずくちゃんを見つけ……
「しず子確保ー!」
「か、かすみさん!?」
しずくちゃんの腕をがっしり掴むと……
「なに?」
「りな子」
「ラジャー」
璃奈ちゃんが前もって書いてあったのかしずくちゃんの顔が書かれていたボードを出し、
「璃奈ちゃんボード拘束!」
「ちょっと!これじゃ前が…!」
しっかり目隠しした。
「未唯さん!助けてください!」
「あはは、行こう。しずくちゃん」
「未唯さ~ん!?」
助けを求めてるけど、今回ばっかりは仕方ないよね
「それじゃあ出発ー!」
「オー!」
しずくちゃんを連れ出して向かった先は……喫茶店だった。
かすみちゃんは悩んでいるしずくちゃんを元気付けようと計画していたのだ
そして私たちの前にはメガ盛りのパンケーキ『マウンテンパンケーキ』があった
「おぉー!」
「これが伝説の…」
「ほんとに食べるの?」
「マウンテンパンケーキ0勝5敗のかすみんが3人に完食の極意を教えてあげる」
「勝ててない」
「ひたすら食べ続けるべし!」
食べ続けるか……こう言うの初めて食べるな~
それからみんなで食べ続けていくけど……
「どうしたの?」
「み、未唯さん、すごい食べるなって……」
「み、みい子って少食じゃなかったっけ?」
「いつも小さいお弁当」
「少食だよ?」
みんな、何を言ってるんだろう?それにしてもこのパンケーキ、フワフワで美味しいな~
「実は大食い?『璃奈ボードびっくり』」
「人は見かけによらないと言うべきですが……」
「こ、これならもっと早くみい子つれてくれば良かった……」
それから四人で色んな所を回っていく中、しずくちゃんが映画のポスターに目を奪われていた。これって昔の映画の?
「好きなの?昔の映画。もしかしてしずくちゃんが演技を始めたのってこういうの見てたから?」
「そうかな…。それもあるけど私ね 演じてる時が一番堂々としていられるの。誰の目も気にならないし、自分が桜坂しずくだってことを忘れられるの」
それって……自分が嫌いなの?
「自分が…嫌なの?」
「ご、ごめんね変な話して。忘れて」
「あー!また暗い顔してる!スマイルだよしず子!えへっ」
「かすみさん……」
「今日は嫌なこと全部忘れてパーッと遊ぼ!それで元気出たらオーディション頑張って主役取り返そう!」
「知ってたんだ……」
「うん。でも別に内緒にしなくてもいいじゃん。私たち応援するし。それにもししず子が落ち込んでるなら話を聞くぐらい…」
「大丈夫。心配しないで。私は平気だから。3人ともありがとう」
笑顔でそう言うけど……その笑顔は演じているように思えた。
私は声をかけようとするけど、しずくちゃんはそそくさと帰っていった
「しずくちゃん……」
『やっぱり怖いんだ。本当の自分を見せることが』
『だって…』
『嫌われたくない。そうでしょ?私歌いたいの。みんなの心に届く歌を……そのためには自分を曝け出さなきゃ……受け入れて……』
次の日、三人で集まり、しずくちゃんに連絡を入れたことを話したけど……
「返事来た?」
「演劇の自主練だってさ」
「それじゃあしょうがない」
「あーあ、せっかく一緒にお昼食べようと思ったのに。知らなかった。しず子があんなに頑固だったなんて。本当どうしちゃったんだろう?」
しずくちゃん、多分だけど悩んでるんだと思う。自分について……ただその答えが見つけられない……答えが見えてるはずなのに……
「きっと今のしずくちゃんもしずくちゃんだよ」
「ほえ?」
「私もちょっと同じだったから分かるんだ。自分のことが嫌な気持ち。私の時は愛さんがぐいって引っ張ってくれた。みんなが励ましてくれた。だからライブができた」
「私も同じだった。かすみちゃん、今しずくちゃんに必要なのは……」
「あっ……」
かすみちゃんは私たちが何を伝えようとしているのか気がつき、直ぐにしずくちゃんのもとへと向かっていくのであった
しずくside
一人で練習を続けていても、全然ダメな感じがしていた。本当にこのままでいいの?自分をさらけ出すなんて……
すると勢いよく扉が開かれ、振り向くとそこにはかすみさんの姿があった。
「見つけた!」
「かすみさん?ど、どうしたの?」
「どうってそりゃ…。昨日変な感じで別れちゃったじゃん?だからどうしてるかなって」
「ごめんね心配かけて。でも私は本当に大丈夫。オーディションだって…」
笑ってごまかそうとしてけど、かすみさんは私の両頬に手をやり、見つめた
「目ちょっと腫れてるよ?しず子が頑固キャラだってことはよーく分かったよ。でも…そんな顔で必死に隠そうとしないでよ!私としず子の仲でしょ!?」
私と……かすみさんの仲……私は思わず隠していたことを話した
「今度の役ね 自分を曝け出さなきゃ行けないんだって。でも私にはできない。私 小さい頃からずっと昔の映画や小説が好きだったの。でもそんな子は私しかいなかったから……不安だった。誰かに変なのって顔される度 嫌われたらどうしよう?って。そのうち他のことでも人から違うなって思われることが怖くなって……だから演技を始めたの。みんなに好かれるいい子のフリを……そしたら楽になれた」
「しず子?」
「私やっぱり自分を曝け出せない。それが役者にもスクールアイドルにも必要なら私はどっちにもなれないよ!表現なんてできない…嫌われるのは怖いよ…」
嫌われたくない……誰にも嫌われたくないの……
「なに……」
「えっ?」
「甘っちょろいこと言ってんだ!」
かすみさんに殴られそうになり、目をつぶったけど、額に軽い痛みが走った。でこぴん?
「嫌われるかもしれないからなんだ!かすみんだってこんなに可愛いのに褒めてくれない人がたくさんいるんだよ!?しず子だってかすみんのこと可愛いって言ってくれたことないよね!?」
「しず子はどう思ってるの!?」
「えっ!?えーっと…」
これは何て答えた方が正解なのかな……
「可愛い!?可愛くない!?」
「か、可愛いんじゃないかな?」
「ほら言ってくれたじゃん!しず子も出してみなよ!意外と頑固なところも意地っ張りなところも本当は自信がないところも全部!」
「それ褒めてない…」
誉めてないけど、改めてそんなこと言われると……恥ずかしい
「もしかしたらしず子のこと好きじゃないって言う人もいるかもしれないけど私は桜坂しずくのこと大好きだから!」
「あ……」
「だから心配しなくても…」
かすみさんは自分がさっき言ったことを思い出して、照れながら帰ると言い……帰り際に……
「かすみんにここまで言わせたんだから絶対に再オーディション合格してよね!」
そういい残して去っていくかすみさんを見送りながら、私は気がついたら笑っていた
何だか……吹っ切れた……ありがとうかすみさん
未唯side
それからしずくちゃんは見事オーディションに合格し、私たちはみんなでその演劇を見に来た。
ステージには白い衣装を纏ったしずくちゃんの姿があった
『ある町のある劇場に一人の少女がいました。彼女の夢はこの町一番の歌手になること。そしてたくさんの人に歌を届けること……あなたの理想のヒロインになりたいんです』
『待ってくださいオーナー!どうして私だけ出番がないんですか!?』
「残念だけどあなたの歌の評判がよくないの。もうウチの劇場に立たせてあげることはできないわ」
「ねぇ待って!もう一度オーナーに頼んでみようよ!チャンスをくださいって!」
『もういいの!』
終盤に差し掛かり、白い衣装のしずくちゃんと黒い衣装を纏った仮面をつけたしずくちゃん?がステージ……
『そんなに怖いの?本当の自分を見せることが』
『待って!私…それでも歌いたいよ!』
『ずっとあなたから目を逸らしていた。でも歌いたい。その気持ちだけはきっと真実。今までごめんなさい』
『これが私。逃れようのない本当の私』
『嫌われるかもしれない』
『でも好きだって言ってくれる人もいた』
『だからこの小さなステージでもう一度始めよう!』
ステージが暗くなり、明るくなった瞬間、そこには白と黒の衣装を纏ったしずくちゃんの姿があった。そして始まる…………しずくちゃんのライブが…………
舞台が終わり、かすみちゃんの方を見ると……すごい拍手をしていた。
「かすみちゃん、泣いてる?」
「な、泣いてない!」
そう言うけど……まぁ本当に凄かったもん……しずくちゃんの演技もライブも…………
二人の女子生徒が帰り際に舞台の感想を話していた
「いいステージだったわね」
「はい……虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 面白いですね」
しずかすは良いぞ
二期決定し、もしも未唯ちゃんの彼女が出てきた場合は……外伝が外伝ではなくなりそうw
次回はまたオリストになります
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