虹が咲き、白が交ざる 作:水甲
早速同好会の活動を始めようとする私たちだけど……
「見てみて」
「ぽむお姉ちゃん上手い」
ゲートボールをやっている公園に来ていた。
「これが同好会?」
「別の場所に行きましょう」
私とぽむお姉ちゃんはゲートボールをやっていたおじいちゃんたちにお礼をいい、次の場所へとみんなと向かうと……
今度は工事の音がうるさくって全然聞こえない……
更に次の場所は子供が多い。私とぽむお姉ちゃんはパペットを使って小さい子達と遊んでいた。
「ここも無理ですね」
「なんでわざわざ学園の外に?」
「かすみんは生徒会に睨まれてますから校内での活動は厳しいのです」
睨まれてるって、あの時追いかけられていたことが原因なのかな?
次の場所は広く、人もあまりいない場所だった。ここなら大丈夫だよね?
「おぉー!広いです!」
「ここなら迷惑にならないでしょ?どうかな?」
「バッチリです!ここにしましょう!」
かすみちゃんはそう言って、鞄からあるものを取り出した。これって……スクールアイドル同好会の……ネームプレート?
「じゃーん!」
「あれ?このネームプレートって…」
「かすみんが生徒会から取り返してきました!…………無断で」
「だから睨まれてるんだ…」
「もしかして生徒会長に追いかけられていたのって……これが原因?」
「あ、あはは……ってみい子に見られていた!?」
「うん、用事があったんだけど……」
「と、とりあえず何はともあれしばらくはここが虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の部室ですよ!ダンスや歌の練習は追々始めるとしてまずは部員をゲットです!」
「なんで部員募集からなの?」
「人がいっぱいいた方が可愛いかすみんが引き立つからです」
「あはは……」
でも部員集めには私も賛成かな?人数集まれば別に生徒会長に反対されたりしないし……もしかしたら部室も貰える
「ともかく手っ取り早く部員を集めるならこれでしょ」
かすみちゃんはそう言って始めたのは自己紹介動画作りだった。
「やっほー!みんなのアイドルかすみんだよー!かすみん虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の部長になったんだけどー、そんな大役が務まるかとっても不安ー!でもー!応援してくれるみんなのために日本一可愛いスクールアイドル目指して頑張るよ!」
「は?」
ぽむお姉ちゃん……辛辣だよ……
「わースクールアイドルの自己紹介初めて生で見たー!ときめいたよ!かすみちゃん!」
「えっ?」
「かすみちゃんらしい可愛らしさたっぷりだったよ」
「みい子も分かってくれる!この動画を投稿して部員を募ります!さぁ!次は歩夢先輩ですよ!今みたいな感じでお願いしますね」
「えー!?ムリムリムリだよ!恥ずかしいよ!」
「何が恥ずかしいんですか?自己紹介はスクールアイドルの第一歩ですよ?」
「め、目が怖いよ……かすみちゃん」
「大丈夫です!かすみんほどじゃないですけど歩夢先輩も十分可愛いですから。張り切っていきましょう!」
こうして、ぽむお姉ちゃんの自己紹介動画撮影が始まったけど……
「えっと…虹ヶ咲学園普通科2年の上原歩夢です…あ、あの私…ス、スク…」
「声が小さいですよ」
「ご、ごめん…」
「私スクールアイドルやりたくて!」
「大きすぎです。ちゃんとファンのみんなを思い浮かべて」
ぽむお姉ちゃん、恥ずかしがって上手くいっていないみたいだった。
「不合格です。一旦歩夢先輩は保留にして、みい子!」
「えっ?」
「えっ?じゃなくって、みい子もやる!」
し、仕方ないよね……ちょっと恥ずかしいけど……
「高柳未唯です。幼馴染みのお姉ちゃんに誘われて、スクールアイドル始めました。これから頑張っていきます!」
「普通ですね」
「でも何だか未唯らしかったよ」
私らしいか……誉められて嬉しいな
「はい!次は歩夢先輩!歩夢先輩はさっきと少し感じを変えて……まず両手を頭の上に付けて」
「こう?」
あれ?このポーズ……昔ぽむお姉ちゃんが…………
「語尾にぴょんを付けてください」
「ぴょん!?」
「ぴょん!」
「うさぴょん!」
侑お姉ちゃん……ぽむお姉ちゃんのあの姿好きだったもんね……だから凄い見たいって顔してる……でも私も見てみたい
「わくわく」
「わくわく」
「侑ちゃん……未唯ちゃんまで……うぅ……あ…歩夢だぴょん」
「声が小さい!もういっかい!」
「歩夢だぴょん!」
「もっとうさぴょんになりきって!」
「うさぴょんだぴょん!」
「ぴょんに気持ちがこもってない!」
「ぴょぉぉおおおおん!」
夕方、今日の活動は終わったけど……ぽむお姉ちゃんはすごく疲れ切っていた。私はそんなお姉ちゃんの頭をなでていた
「週末には動画をアップするのでちゃんと自主練しておいてくださいね」
「可愛い…怖い…可愛い…怖い…」
「よしよし」
「可愛いって大変なんだね」
「アイドルの基本ですから」
「でもせつ菜ちゃんは可愛いっていうよりはカッコイイって感じだったな」
「せつ菜先輩を知ってるんですか?」
「うん。一度遠くで見ただけなんだけどね」
確かにせつ菜さんはすごくかっこよかった。スクールアイドルにも可愛いとかっこいいいの2種類があるのかな?
「気になってたんだけど同好会って何で廃部になったの?」
「元はと言えば、せつ菜先輩がいけないんです。グループを結成した時は結構いい感じだったのに、お披露目ライブに目標を決めたあたりからなんかピリピリしてきて……『こんなパフォーマンスではファンのみんなに大好きな気持ちは届きませんよ』」
かすみちゃん、声マネかな?なんとなく似てる感じだけど……
「って!だからかすみんもムキーッてなっちゃって!そのまま活動休止に…」
「かすみちゃんもせつ菜ちゃんもファンに届けたいものがあるんだね」
「当たり前ですよ!スクールアイドルにとって応援してくれるみんなは一番大切なんですから!より一層可愛いアイドルであるために…」
「うぅ…可愛いって何…可愛いって難しい…可愛いって…」
「ぽむお姉ちゃん、ほら、落ち着いて」
ぽむお姉ちゃん、トラウマになってない?
「もう。そんなんじゃファンのみんなに可愛いは届きませんよ……」
かすみちゃんがそう言った瞬間、俯き始めた
「ん?かすみちゃん?」
「もしかしてかすみん、同じことしてる?」
かすみちゃん、どうしたんだろう?
次の日、集合場所に行こうとしていると、ぽむお姉ちゃんが何かをしているのを見つけた。せっかくだから一緒に行こうとしていると……
「新人スクールアイドルの歩夢だぴょん。臆病だから寂しいと泣いちゃう~ぴょん。あたたか…」
ぽむお姉ちゃんは私と通りかかった先輩に気が付き、すごい汗を流していた
「こ、これは…その…練習をしてて…ス、スス…」
「スクールアイドル?」
「お姉ちゃん、ごめんね……」
「あぁ、未唯ちゃん謝らないで……」
「あら?姉妹なの?」
「あ、幼馴染です」
「そう、それにしてもごめんなさいね。とっておきの可愛いところ見ちゃって、でもそれはあなたの言葉?」
「え?」
「あの……それって……」
「もっと伝える相手のことを意識した方がいいわよ」
「頭では分かってるんですけど今の私にファンなんていませんし…」
「ぽむお姉ちゃん…私はそうは思わないよ」
「えっ?」
「私はお姉ちゃんのファンだし、侑お姉ちゃんだってそうだよ」
「あ……うん、応援してくれてるもんね」
「お節介終わり。頑張ってね」
先輩はそう言って去っていった。奇麗な人だったな~
「ねぇ、未唯ちゃん。手伝ってもらえないかな?」
「うん、いいよ」
私はぽむお姉ちゃんの自己紹介の手伝いをすることになった。昨日に比べてお姉ちゃん、すごくよくなってる……
「どうかな?」
「早速侑お姉ちゃんとかすみちゃんに見せに行こう」
「うん」
集合場所に行くと侑お姉ちゃんとかすみちゃんが待っていたみたいだけど、何か話していたのかな?
「遅れてごめんなさーい!」
「遅れてごめんね」
「あ、歩夢、未唯」
「あの、自己紹介なんだけど今撮ってもらっていい?」
「は、はい」
ぽむお姉ちゃんは深呼吸をして、練習した自己紹介を始めた
「虹ヶ咲学園普通科2年 上原歩夢です。自分の好きなこと、やりたいことを表現したくてスクールアイドル同好会に入りました。まだまだできないこともあるけど一歩一歩頑張る私を見守ってくれたら嬉しいです。よろしくね」
最後にウサギのポーズとウインクをするぽむお姉ちゃん、うん、ばっちりだよ
「どうかな?」
「すっごく可愛い!ときめいちゃったー!」
「よかったよ~お姉ちゃん」
「ありがとう。侑ちゃん、未唯ちゃん」
「かすみんの考えてたのとはちょっと違いますけど可愛いから合格です」
「あのね、かすみちゃん、多分やりたいことが違っても大丈夫だよ」
「えっ?」
「うまくいえないけどさ、自分なりの一番をそれぞれ叶えるやり方ってきっとあると思うんだよね」
「そうでしょうか…」
「探してみようよ。それにその方が楽しくない?」
「楽しいし可愛いと思います」
「でしょ」
かすみちゃん、何だかすっきりした顔してる。何か悩んでる感じがしたけど解決したみたいでよかった。
「3人とも見ていてください。かすみんの最高にかわいいところを!」
かすみちゃんはわたしたちだけに見せてくれた歌う姿………かすみちゃんの可愛さが伝わってきた。
帰り道、お姉ちゃんたちが話しているときに、私はこっそりかすみちゃんに話した
「あのね、絶対に内緒にしてほしいことがあるの」
「何?みい子」
「あのね……私がもしもスクールアイドルデビューするときなんだけどね……」
ちょっとした思い付きを話すと……かすみちゃんは難しい顔をしていた。
「確かにそれはいいかもしれないけど……」
「その時になるまで……内緒だよ」
「まったく仕方ないですね~」