虹が咲き、白が交ざる 作:水甲
私とかすみちゃんはせつ菜さんに呼ばれて、部室である話をしていた。
「ソロアイドルですか……」
「私達だからできる、新しい一歩です。部員1人1人が、ソロアイドルとしてステージに立つ。その選択肢は、皆さんの頭の中にもあるはずです」
ソロアイドル…………確かにせつ菜さんの言う新しい一歩は分かるけど……
「はい……でも、それって、簡単には決められないですよね?」
「はい……」
「グループだとみんなと助け合い出来るけど……」
一人だと……
「それに……一人でファンのみんなを喜ばせられるかも……不安になりますよね」
「みい子は結構考えてるんだね」
「未唯さんは侑さん、歩夢さんのグループではしっかりと考えるタイプだと思ったので……今回、この話し合いに参加してもらいました」
しっかり考えるタイプって……そうかな?侑お姉ちゃんは引っ張っていくタイプ、ぽむお姉ちゃんは支えるタイプ。必然的に私は考えるようにってなってきたのかもしれない
「暫くはソロについて考えるようになりますね」
そうして話し合いは終わったのであった。
土曜日、9時に集まって練習することになり、私はお姉ちゃんたちより少し早めに集合場所に着くと……
「あれ?愛さん?」
「あ、みーちゃん早いね~」
「私、もう少し体力つけたくって」
「みーちゃん、がんばり屋だね~」
褒められてちょっと嬉しい。
すると愛さんは時間があるからレインボーブリッジの遊歩道まで行こうと提案して、一緒に走ると…………
「あれ?エマっち、やっほ~」
「あ、愛ちゃん、未唯ちゃん」
休憩がてら少し話をすることになった私たち……
「昨日はソロアイドルと聞いて、驚いた?」
「確かに驚いたけど、一番驚いたのは、自分に対してなんだよね……」
自分に対して?
「ん?」
「同好会のみんなが悩んでるのって、自分を出せるかって事でしょ? 今まで色んな部活で助っ人やってたけど、考えてみたら、みんなと一緒にやる競技ばかりでさ……いやー、めっちゃハードル高いよね……ソロアイドルか……」
愛さん…………愛さんのこれまでの事を考えると……確かにそう思っちゃうかもしれないけど……
「そろそろ走ろっか。」
「ん?」
「9時だし、もう行く時間だよ?」
すると何故か愛さんは固まっていた。あれ?エマさん、何かおかしなこと言ったのかな?
「どうしたの?」
「アハハハハハハ! ウケる!」
「え?え?」
どうして急に笑いだしたのか戸惑う私とエマさん。すると愛さんは笑いながら……
「ソロでそろそろ! 9時だし、行く時間って! アハハハ! ダジャレだよね!」
あ、愛さんダジャレ好きなんだ~
「ダジャレ? ああ、全然気付かなかったよ!愛ちゃんが同好会に来てくれて良かった……」
「え? 何で?」
「すっごく前向きでいてくれるから!」
「そう? 今はめっちゃ悩んでるけど……」
「でも、みんなといる時、いつも楽しそうにしてたよね!」
「私も……愛さんの楽しいって気持ちが凄く伝わって……私も楽しくなってます」
「私達、色々あって、ようやくスタートラインに立ったばかりなんだ……きっと、みんなが不安で、でも、本当は、それと同じくらい、これからに期待してると思うんだ……そうじゃなけりゃ悩まないもの……まだ、一歩を踏み出す勇気が出ないだけ……愛ちゃんが来てから、同好会のみんなの笑顔、すっごく増えてるんだよ!」
「そうなの? 自覚ないけど……」
「ないから、すごいんだよ!」
「そうかな?」
「そうだよ!」
「えへへ……そっか」
愛さんは太陽に手を伸ばし……そして何か決意したような顔で……
「エマっち、みーちゃん、走ってくる!」
「「えっ?」」
私とエマさんは追いかけていくと、愛さんは公園で歌を披露していた。愛さんの楽しそうな姿を見て、周りの人たちも楽しそうにしていた。そっか……これが……
すると侑お姉ちゃんたちも見ていて……
「すごいね……あれが愛ちゃんのステージなんだ……私、みんなのステージも見てみたい……1人だけど、1人1人だからこそ、色んな事できるかも!そんなみんながライブをやったら、なんかすっごい事になりそうな気がしてきちゃった!」
「負けてられませんね!」
「燃えてきた……」
「うん!」
「そうだね!」
みんなのソロアイドルとして……前に向かう気持ちが固まった。そして私も……私らしいライブを出来るように…………
その数日後の部室にて
「歩夢、最高に可愛いね! 高2だけに! 走るのってランランするよね! ランだけに!」
「アハハハハ!」
愛さんのダジャレに侑お姉ちゃんは爆笑していた。変わらないな~お姉ちゃんも
「次は同好会で、どーこー行こうかい?」
「すごくウケてますね……」
「侑ちゃん、幼稚園の頃から、ずっと笑いのレベルが赤ちゃんだから……」
「何でいきなりダジャレを?」
「スクールアイドルの特訓だよ!」