虹が咲き、白が交ざる   作:水甲

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32 トキメキ不足

侑お姉ちゃんの様子を見に行くことになった私。丁度お客さんとして来ていた果林さん、エマさん、彼方さんと一緒に部室へと行くと、扉の前で栞子ちゃんとばったり出会った。

 

「おや?栞子ちゃん」

 

「どうしたの?」

 

「高咲さんが悩まれてると聞いたので」

 

「優しいね~」

 

「そんな…」

 

「栞子ちゃんは優しいもんね~」

 

「高柳さんまで……」

 

「本当、仲がいいわね」

 

「えへへ」

 

「と、とりあえず様子を見ましょう」

 

恥ずかしがる栞子ちゃんの言う通りに部室のドアを開け……

 

「侑ちゃ~ん」

 

「もうすぐランジュのステージ始まるわよ」

 

「トキメキはどこ~!?」

 

思いきり叫んでた……と言うかこの状態はもしかして……

 

「トキメキ…トキメキ…」

 

トキメキと呟きながらうろうろしたり……

 

「うぅ~全然出てこない~!」

 

床をゴロゴロしたり……

 

「どんだけ考えても~!」

 

ブリッジしたり……

 

「ときめかないよ~!」

 

最終的には逆立ちしてるし……

 

「こりゃ思った以上に重症だ~」

 

お姉ちゃんのこの状態を例えるなら、トキメキ不足。たまにトキメキがないとこうなるんだよね~

 

「試しに……」

 

私はぽむお姉ちゃんのメイド服を見せるけど、侑お姉ちゃんのトキメキ不足は解消されない。

 

「ダメか……」

 

「未唯ちゃん、流石慣れてるね」

 

「まぁ……」

 

「それにしてもこれでは……ここは気分転換ですね」

 

と言うことでお姉ちゃんを連れて気分転換をしに行くことになったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

うらside

 

私はかすみちゃんたちと一緒にハンバーガーを食べていた。因みにミアちゃんも一緒だ。

 

「おいしい~!」

 

「なんで僕まで一緒に」

 

「おいしいものはみんなでシェアするもんなんだよ」

 

「そんなもん?」

 

「そんなもんだよ」

 

「見るなよ…」

 

『あははははっ』

 

ミアちゃんも馴染んできてるみたいだ。流石に14歳のミアちゃんからしたら、もしかしたら寂しかったりするよね。

 

すると未唯ちゃんたちが向こうの方にいるのを見つけた。

 

「未唯ちゃん、どうしたの?」

 

「うらちゃん、実は……お姉ちゃんがトキメキ不足で」

 

トキメキ不足……なにそれ?

 

 

 

 

 

 

 

 

未唯side

 

「これ飲んで落ち着いてください」

 

「ありがとう」

 

お姉ちゃん、トキメキ不足と言うのもあったけど、どうにも疲れている。やっぱり悩みすぎてなのかな?

 

するとぽむお姉ちゃん、愛さん、せつ菜さんも来て、これで全員揃ったのかな?

 

「別に体調悪いわけじゃないから」

 

「ごめんね。みんなには何度も相談乗ってもらってるのに」

 

「相談くらいいくらでも乗りますよ」

 

「話して」

 

「せっかく開催できることになった大事なフェスの曲だから最高のものにしたくてさ……でもみんなの素敵のところはどうやって表現できるかとか、どうしたらファンの人たちに喜んでもらえるかとか……それにこの曲がランジュちゃんと約束した私が同好会にいることの答えに相応しいのかとか。そういうの全部叶えられるものになってるのかなって思うと自信なくなっちゃって……考えれば考えるほど頭がグルグルしちゃってさ」

 

「力入りすぎですよ」

 

しずくちゃんはお姉ちゃんの頬をつっつく。私もお姉ちゃんあることを話した。

 

「変に考えすぎちゃうと、余計わからなくなるよ」

 

「そうだね……うん」

 

「そうそう、色々考えすぎ」

 

「侑ちゃんらしいけどね」

 

「私が言うのはおかしいかもしれませんが深く考える必要はないのではないですか?」

 

「そうだよ。侑ちゃんの曲を私たちで歌うなんてそれだけですっごく素敵なことなんだからさ」

 

「侑さんが作ってくれた曲を歌えるなんてすごく嬉しい」

 

「かすみんたちは自信を持ってステージで歌います」

 

「そっか。だったらやっぱり同好会やファン、みんなの中のトキメキに応えられるそんな曲になれば…みんな本当にありがとう!もう少しでできると思うから待ってて!」

 

お姉ちゃんも元気出たみたいで良かった。

 

「それに未唯が初めて歩夢たちと一緒に歌うもんね」

 

「うん」

 

「もうすぐライブ始まるわよ」

 

もうそんな時間か……あれ?そう言えば……

 

「ニジガク号ってうらちゃんも設計手伝ったんだっけ?」

 

「うん、頼まれたからね~まぁ普通な感じにしちゃったけど……」

 

うん、普通のにしてもらって良かったよ

 

 

 

 

 

 

 

ステージ裏で私たちはランジュさんのステージを待っていた。そろそろニジガク号もゴールするみたいだし

 

『ジェットスライダーもついにクライマックスを迎えようとしています!見事ゴールすればスクールアイドルフェスティバルのメインステージが鮮やかにライトアップされライブがスタートします!あとちょっとでゴールだよ!頑張って~』

 

それにしてもこんな大掛かりな装置を……あの流し素麺同好会がなんて……凄いな~

 

『順調に校内を巡り最後のレーンに入ったニジガク号!いよいよゴール寸前!』

 

最後のレーンに入ったが、直前のカーブでニジガク号が引っ掛かった……

 

みんなが残念がる中、一番残念がっているのは…………

 

「くっ、これなら勢いの増すロケットエンジンを……」

 

うらちゃん……でもこれどうするのだろう?

 

「ランジュちゃん…」

 

「お膳立てなんて最初から期待してないわ。前に言ったでしょ。私は与えるだけでいいって、私は私を知らしめるためにステージに上がるんだから。私にはそのやり方しかないの」

 

ランジュさんはステージに上がり、アカペラで歌い出す。今のうちにレーンの様子を見に行く私。するとニジガク号が止まっているレーンの支柱にはんぺんともう一匹の黒猫が支柱に振動を与えると、ニジガク号は動きだし、いいタイミングでライトアップした。

それにしてもあの黒猫は……見たことないけど、迷い猫かな?

 

 

 

 

 

 

 

オープニングアクトが終わると、栞子ちゃんはランジュさんに声をかけていた。

 

「すごかったです。ランジュ」

 

「ありがとう。あなたもスクールアイドルをやりたがってたなんて知らなかった」

 

「それは……」

 

「別にいいわよ。こういうの慣れているから、次はあなたたちの番よ。楽しみにしてるわ!」

 

そう言い残して去っていくランジュさん。そしてそれを見ていた他の学校のスクールアイドルの子達は……

 

「まさに孤高」

 

「ソロアイドルだね」

 

孤高………か。孤高は時には孤独になる気がするけど……ランジュさんは大丈夫かな?

 

「高柳さん?」

 

「なんでもないよ」

 

私の考えすぎだよね。

 

「ランジュさんのパフォーマンス前に見たときよりもっとすごくなってた」

 

「プレッシャーかけられちゃったわね」

 

「皆さんそろそろ準備された方が…」

 

「そうですね」

 

ライブが始まる。とは言え私と栞子ちゃんは最後の曲の前座だから、運営の仕事を…………

フッと気がつくと侑お姉ちゃんがそっとみんなの所から離れるように何処かへ行くのであった。




まさに孤高という台詞は、孤独にもとれるとリアタイしたさいに思いました
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